繁華街からそう遠くないが、真夜中で人はまばらな路地裏。闇に紛れるフードを被った2つの影。暗殺者であるショーンと魔女の(魔女と言うものの男である)ウィル。ショーンが目配せで合図を送ると、2手に別れて今回のターゲットである男を追う。人間社会に紛れ込む人狼を秘密裏に狩る『仕事』が始まる。
途端、甲高い女性の悲鳴。
「不味いな、通行人がいたか」
ウィルは独り言ちると自分の腰ほどの高さの杖に跨り地面を蹴ると、高く飛び上がり、上空から様子を見た。凶悪な姿をした人狼が女性に齧り付き、捕食せんとしていた。
ウィルは足を打つと急角度で死角から人狼に突撃する。人狼の首にエルボーが決まると、流石の怪物も少し怯んだ様子だった。
「お客さん、セクハラは禁止ですよ」
降り立ち、杖によっかかりヘラヘラとジョークを飛ばすウィルを睨みつけ、人狼は女性から離れると前屈みになり戦闘の態勢に移る。怒り狂った人狼は深く腰を沈めると、素早く飛びかかろうとした瞬間、銃声が響く。こめかみの辺りから血を噴き、人狼の黒い巨体はゆらりと揺れ、倒れた。
────帰り道。
「店長、やっぱり今日は俺一人だけでも大丈夫でしたよ」
「仲間がいたらどうする」
ピシャリと言われシュンとする。
「それに、1人だったら蘇生する余裕も無かったかもしれない」
「優しいなあ店長」
ウィルは軽口を叩き、おもむろに先程人狼に襲撃された若い女性の遺体に蘇生薬を撒く。傷口はたちどころに塞がれ、心臓が動き出し、苦しげに咳き込み呼吸しだした。
「さ、これで放っておいてももう大丈夫ですよ、目が覚める前にずらかりましょう」
「エマを置いていって正解だった。」
「そうですね、あの姿見られてたら生き返らす訳にもいかないし」
「ウィル君ねぇ、そういう訳にも…」
じろりと見るショーンに冗談ですよ、とヘラりと笑う。からかいがいのある人だ、とウィルは表情を弛めた。
「店長の家、ここから近いじゃないですか、今日泊まってもいいですか?」
「ウィル君の家もそんなに遠くないだろう」
怪訝な顔をされる。ダメですか?とわざとらしく落ち込む素振りを見せると、ショーンは少し考え込んで、渋渋了承した。この店長はどうしようもなくお人好しで、押しに弱いのだ。それを分かっててそんな性格につけ込むような事をしてしまう自分に呆れてしまうが、元々そんなにご立派な誇り高い生き方してる訳でもあるまいし、たまには羽目を外してしまってもいいだろう。
ショーンの家にあがりお風呂に入らせてもらった。風呂上がりに
「飲む?」
と缶ビールを渡された。最近発売された、まるで生ビールのような風味の酒。思わぬ物をご馳走になり、上機嫌で開封すると、きめ細かい泡が出て、ちゅうと吸うとほろ苦い味が口に広がり笑顔になる。そのままごくり、と1口飲み喉越しを楽しむ。ショーンはその様子をニコニコして見ていた。
「美味しそうに飲むね」
「店長は飲まないんですか」
「試供品で貰ったものだからいいんだ、私は飲まないからな」
「そうなんですか、俺だけ飲んで悪いですよ」
「じゃあつまみ用意するからそれだけ一緒に食べようか酎ハイとかならまだ冷蔵庫にあるよ」
「えっまだ飲んでいいんですか?」
なんだかんだで夜食までご馳走になってしまった。
ほろ酔いで気分が大きくなったウィルは、
「店長、面白いもの見ます?」
と、店長の目の前でいそいそと魔術道具を取り出し、今日使ってしまった蘇生薬の補充を始めた。自らの血液を用いて作る秘薬である。普段なら自分の家でしか行わないが、それだけあの人に気を許してるんだろうな、と酔っ払った若い魔術師はぼんやり考えながらまじないの言葉を唱えながら薬の調合を進める。色は紫へ、ピンクへ、コバルトブルーへ、ライトグリーンへ
しげしげと興味深げに店長が見てるのが気持ちいい。
最終的にルビーレッドを染まった薬を楕円形の小瓶に詰め、完成だ。
「ふぅ、……これ、体力も気力も使うんですよね」
「お疲れ様、いいもの見させてもらったよ。ありがとう。疲れたなら私の部屋のベッドを使うといい。私はソファで寝るから」
「疲れちゃったからもう動きたくないです〜」
ショーンは困ったようにじゃあちょっと待ってくれ、毛布を持ってくるから、と言って立ち上がろうとするショーンを、ウィルは肩に縋りついて制止して、らしくなく甘える。
「店長、ここにいてくださいよ」そのまま顔を近づけると、ショーンはやんわりと拒絶した。
「ウィル、もう寝なさい。君おかしくなってるよ」
「何もおかしくないですよ〜」
ウィルは強硬手段で、酔っ払った振りをして誤魔化す事にした。
「店長〜俺の事嫌いなんですか、酷い」
すっかり箍が外れて、甘えた声を出してみると、ショーンはポーカーフェイスを演じて見せようとしているが、ボロがでてわかりやすく動揺している。
「嫌いとかじゃなくって、こんなおじさん嫌でしょ」
「そんなことないですよ、店長かっこいいし」
「あのね、…君酔っ払ってるんだって、酔いが覚めたらきっと後悔するよ」
「あ、隙あり」
ウィルはちゅ、と軽く唇に触れ、そのまま深く口付ける。ショーンはもはや諦め、抵抗せず甘んじて受け入れていた。長々と口内を堪能し口を離すとショーンは耳まで赤くなっていた。
「ね、いいでしょ」とウィルがショーンの白のシャツに手をかけると、
「……自分で脱ぐ」と遂に観念した。
2本の指でショーンの中を蹂躙すると、上擦った声が自然と出てしまったようで、慌てて声をくぐもらせている。声我慢しないでください、というと潤んだ目で口を抑えながら何か訴えようとしている。いやいやと頭を横に振るショーンの態度とは裏腹に硬く立ち上がり主張する竿を握り上下に擦ると、透明な蜜が溢れ出てくる。ショーンの反応を見ながら、ここがいいんですか、と中のフニフニした前立腺を押しつぶすと目をぎゅっと閉じて快楽から逃げきれず感じ入っている。
「あぁっ…そこ、ゃめ………ッ」
ウィルが竿からパッと手を離し腹の上からも力をかけながら強くぐりぐりとそこの弱い所を責めるとショーンは呆気なく果てて白い精液をぴゅるぴゅる、と竿を上下にしならせながら出してしまった。
「中だけでイけましたね、店長のえっち」
ショーンは聞こえないふりをしているようだった。
「はぁ、は……ちょっと、休ませてくれ、私は君みたいに若くないんだから」
ウィルは悪戯っぽくはにかみ、
「そんな拷問辞めてくださいよ、店長は動かなくていいんですから大丈夫ですって」
と、問答無用でショーンを組み敷く。とは言うものの、ショーンの体力を気遣いながら優しくすることにした。やわやわと全身を、耳や口にも口付けをおとす。じわじわと熱が高まるが、ウィルが待てをされた犬のように辛抱強く我慢していると、ショーンはモジモジと足を落ち着きなく擦り合わせている。
「ウィル、もう……」
「我慢できなくなりました?」
「お願いだから言わせないでくれ……」
蚊の鳴くような声で呻くショーン。もうちょっとこの人で遊びたいのも山々だが、これ以上追求するのも無粋なので、黙っててあげることにする。
ゆっくりと慣らしながらショーンの中に侵入し、深く深く穿つ。
「あっん…ぅ……で、るぅっ………」
中がきゅうと締め上げられ、肩に強くしがみつかれる。白濁が2人の腹の間に飛び散る。ウィルはぐりぐりと自身の竿を奥に押し付け、ショーンの雄をまた強く扱き始めた。出したばかりの敏感な鈴口がはくはくと蠢く。
2人だけの空間で水音と嬌声だけが響いている。心無しか室温が上がり、腰が強く打ち付けられる度に汗が吹き出る。ショーンは身を捩り快楽から逃れようとするが、ウィルに肩を押さえつけられていて逃れられない。激しい抽挿の末、遂にウィルが最奥で勢いよく白濁をぶちまけると、ショーンもまた追うように何度目かも分からない薄い精液を力なく吐き出し、身体を汚していた。ウィルは繋がったままショーンに深く口付けし、口内を吸い取るように舐めて、睦言を囁いた。
ライターを取りだし、思い出したように吸ってもいいですか、と聞くと、いいよとぶっきらぼうな返事が聞こえたので火を付け、深く煙を吸い込む。この人は煙草を吸わないが、きっと許してくれる気がした。煙がこの部屋に染み付いて、匂いを嗅ぐ度に俺を思い出せばいい、と柄にもなくロマンチックな気分でゆっくりと味わってからふう、と紫煙を吐き出した。