※この作品はR-18です。

ETERNAL ZERO 番外編   作:エッマの友人

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第6話

ショーン、エマ、ウィルの3人は珍しくビルではなくソフィアに呼び出しされ、お屋敷の離れにある、こじんまりとした研究所に足を運んでいた。白い蛍光灯の光が、無機質な研究室を照らしている。室内には、巨大なモニターやコード類が入り乱れ、奥にカプセルがあるのが見える。。

 

「こんなところに研究室なんてあったんだな」

 

 ウィルが腕を組みながら、退屈そうに壁にもたれかかる。

 

「ほんとそれー。というかいきなり私達になんの用事だろ?仕事終わりでもう帰りたいんだけど?」

 

 エマは椅子に座り、スマホをいじりながらあくびをした。

 

「最近急に白い服の研究員が増えたりしてると思っていたら、こんなロボット開発のような、...ことしていたんだな。よく分からないが...」

 

 ショーンが落ち着いた声で言う。

 

 カツカツとヒールの音を立てソフィアが現れた。彼女は腕を組みながら、ニヤッと笑ってみせた。

 

「いやー、来てくれてありがと~♪実はあんた達に見せたいものがあるの」

 

 エマがスマホから顔を上げ、「どうせつまんない恋バナかなんかでしょ」と興味なさげに呟く。

 

「んなわけないでしょ!これこれ!」

 

 ソフィアが指を差した先——奥のカプセルの中に、猫耳を持つ人型のアンドロイドが眠っていた。

 

「……なんだこれ」

 

 ウィルが目を細め、ショーンも珍しく驚いた顔をする。

 

「え、なにコレ。猫耳生えてる」エマが少し興味を持ち始めたようにしげしげと見つめる。

 

「この子はCatGPT。私が作らせたAIアンドロイド。これで次のmecha-1(メカワン)グランプリはいただきね!」

 

「週刊人狼の出版社がスポンサーをしてる大会か。え、じゃあソフィアちゃんが出場するのかな?」

「そゆこと!」ソフィアが得意げに胸を張る。

 

「というわけで、本戦で私が優勝するところ見に来てね~!」

 

「すっごい自信...」とエマが呆れる。

 

 ショーンはカプセルの中のCatGPTをじっと見つめた。

 

 その瞬間——

 

 カプセルの内部がわずかに光を放ち、機械音が響く、

 

 4人は一斉にカプセルを見つめる。

 

 そして、CatGPTが——ゆっくりと、目を開いた。

 

 

 

 会場には、さまざまな形のAIが並んでいた。人型のアンドロイド、球体のロボット、ただのモニターで会話するものまで、参加者は多種多様だ。

 

「さて、次のエントリーは——CatGPT!」

 

 司会者の声が響くと、ステージの中央に立つCatGPTの姿がスクリーンに映し出された。

 

「ドキドキするね」

 

 観客席からホットドッグを齧りながらエマがつぶやく。

 

「バクバク食いながら言っても説得力ないぞ」ウィルが腕を組みながらボヤく。

 

「まあまあ。あれだけ自信あるんだからなんとかなるでしょ」

 

 ステージ上、CatGPTが軽くマイクを持ち上げる。

 

「どうもにゃん~!ニャーは生まれたてのAIアンドロイド・CatGPTだにゃん!よろしくにゃ〜ん」

 

 観客の視線が集中する中、ソフィアが続けた。

 

「CatGPTは占いができるAIです!人間の仕草や話し方、表情を分析して、もっとも当たる占いを提供しちゃいます!」

 

 会場がざわめく。

 

 CatGPTが一歩前に出る。

 

「早速誰か試してみるにゃん?」

 

 観客の中から一人の女性が手を挙げ、ステージに上がってきた。

 

「お願いします!」

 

 CatGPTの丸くて大きい目がわずかに光り、彼女をスキャンする。

 

「あなたは……最近、大きな決断をしようとしているようにゃん?」

 

「えっ……!」

 

「ズバリ、迷ってるのは仕事に関してにゃんね?」

 

「……すごい!当たってる!」

 

 観客がどよめく。

 

「そして、あなたの話し方や目の動きから判断するに、あなたはすでに答えを持ってるにゃ~。でも、勇気が出ないだけ……にゃ?」

 

「……!」

 

 女性は息をのんだ。

 

「私は、転職しようと思っていたんです。でも、失敗が怖くて……」

 

 CatGPTが微笑むように言う。

 

「あなたが本当にやりたいことなら、挑戦してみる価値はあるにゃ。グッドラック!にゃ〜」

 

 女性は感動したように頷き、会場は拍手に包まれた。

 

 観客席では、ウィルが驚いた顔をしている。

 

「おぉ、ちゃんと上手くいったな」

 

「まさかここまでやるとはね」ショーンが軽く笑う。

 

「これ、優勝あるんじゃない?」エマがワクワクした声で言った。

 

 CatGPTのアピールタイムは終わり、満足気な表情を浮かべていたソフィアだったが、なんと予選敗退という結果になってしまった。

 

「うっそだろお前」

 

「流石に本選は行きなさいよね!?」

 

「うるさいうるさい!勝てると思ったんだもん!!」

 

ウィルとエマにからかわれながら、ソフィアは涙目でショーンの横の端の席に座る。

 

 

 ——次の出場者の名が呼ばれた。

 

「次のエントリーは……ヴィクター・エルンスト!」

 

 会場の空気が変わる。誰もが知る名家の御曹司が、このコンテストに参加しているという事実に、ざわめきが広がった。

 

 舞台に上がったのは、端正な顔立ちの青年。ヴィクター・エルンスト、18歳。名門エルンスト家の後継者。高価なスーツに身を包み、堂々とした態度でマイクを取った。

 

「ボクが紹介するのは、“エリシア”——」

 

 ロディが合図を送ると、彼の隣に立つアンドロイドが動き出す。美しく整った金髪、気品あふれる佇まい——彼女は、まるで生きた人間のようだった。

 

「——お兄様」

 

 

客席ではショーンが戸惑いながら語る。

 

「エリシア・エルンスト...?いや、だが彼女は去年の暮れに自ら湖に身を投げたと記事で見たが......?」

 

 

 

 

「お兄様、なぜ……なぜ、こんなことを?」

 

 エリシアの瞳がヴィクターを射抜く。

 

「ボクは……お前を取り戻したかったんだ。お前がいなくなって、毎日夜も眠れず——」

 

「お兄様、だからといって──」

 

「死ぬくらい私にも自由を下さったっていいではありませんか」

 

「絶対に!」ヴィクターが激しく叫ぶ。「お前と離れるなんて有り得ない」

 

「それは、お兄様のエゴでしょう!」

 

 観客は息をのんで見守っていた。

 

 

「ボクは……」

 

ヴィクターの手が震える。

 

「ボクは……お前を救いたかったんだ……」

 

 静寂。エリシアの瞳が揺れる。

 

「お兄様……」

 

 彼女は、そっとヴィクターの頬に手を添えた。

 

「お兄様の気持ちは、嬉しい。でも……私達はいつかは離れる運命なのです。そうでしょう?」

 

 ヴィクターの目に涙が滲む。

 

「……嫌だ」

 

 エリシアは微笑んだ。

 

「お兄様が、前を向いて生きてくださるなら……私は、それでいいのです」

 

 ヴィクターは静かに首を横に振って、エリシアに歩み寄ると、耳元で「自爆しろ」とはっきりと声に出した。その言葉に会場がざわつく。声紋認証が通り、エリシア本人も存在を知らなかった自爆装置が作動した───

 

 

 

爆発は規模自体は大したものでは無かったが、密接な距離にいた青年を吹き飛ばすには充分だった。

 

そして——この一件がきっかけとなり、コンテストの”倫理的な問題”が指摘された。

 

 議論は続き、結果的にこのコンテストは解散という結末を迎えることになる。

 

 花屋の玄関の掃き掃除をしながらウィルが苦笑する。

 

「まさかこんな展開になるとはな。...まあ、ヴェルナー家はお終いだろうな」

 

「貴族のドラ息子と言われ散々悪評があった彼だったが、最期は呆気なかったな。」

 

ショーンは週刊人狼を読みながら呟く。

 

「でもー、結局アイツ、あんだけ目立って周りに迷惑かけて、本望なんじゃないの?」

 

エマの問は、本人にしか答えの出ない問いだった——。

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