※この作品はR-18です。

ひろがるスカイ!バトルライフ   作:宇喜多秀鶴

2 / 2
前回、何が起こったのか?
空國零於は平和に暮らしていたが、エニアークと名乗る組織によってその平和が崩壊してしまう。
本人も命の危機に晒されるが母親に救われる。しかし、彼女は銃弾を受けて死んでしまう、
これがトリガーとなり覚醒し、怒りの力で戦うようになる。
空裂団と名乗る自警団の幹部を名乗る緑川僧儒と共に戦うことを選ぶ




ヒーローガール

「そもそも蒼空って何ですか?」

零於はこんな質問をしてみた。

「そうか...まだ知らねえのか。俺たちは自警団にしては異例の団長がいない。その代わり、九人のリーダーがいる。それが『蒼空』だ。各リーダーは前線で指揮を執りつつ、治安維持のために外道を粛清する。そして俺達には『ある特権』があるんだ。」

「特権?」

「これだ。」

零於の頭に?が浮かぶ。「これ」と言われて、分かるわけがない。

「すみません...『これ』と言われても分かりません。」

「俺たち九闘士は単騎出撃が許される。」

「あ、そういう事ですか。」

「特にこういう任務は俺らのような人間じゃなければいけない。」

「なるほど...」

「いずれお前も仲間に会えるぞ。」

「蒼空...どんな人たちなんだろう。」

零於はまだ見ぬ仲間の存在に期待を膨らませていた。

二人がこんな事を話している頃...空高い場所に存在する「スカイランド」ではなにやら不穏な動きが見られていた。

「赤谷さん、どうでしょうか?」

「油断するな、エニアークがいる可能性は高い、なにしろ今日はプリンセスの誕生日だからな。」

「なるほど...エニアークが狙うならここですからね。」

「なにしでかすか分からねえ。」

彼の名は「赤谷炎河」。蒼空の幹部である九闘士の一人。白髪の青年であり、使う武器はナイフ。彼は今現在、部下と共にスカイランド王宮付近で一般人のふりをしてエニアークが動いていないか見張っている。

「こりゃ長丁場になりそうだ。」

その頃、ここより遠く離れた場所では青く巨大な鳥に運ばれる青い髪の少女。名を「ソラ・ハレワタール」という。

「ちょいちょいちょーい!!ちゃんと捕まってないと落ちるで、嬢ちゃん。」

「これくらいの事を怖がっていたらヒーローは務まりません。」

「ヒーロー?こんなご時世にヒーローを目指してるんか?」

どうやら彼女は「ヒーロー」を目指しているようだ。

「はい!昔、ある人と交わした約束なんです。その人は私にとって...凄く大切な人です。」

1枚の写真を見て彼女は笑顔になる。

「ほぉ...」

遊覧鳥は何かを察した。

「べ、別にす、す、好きとかそ、そ、そんなわけないじゃないですから!!」

こんなことを言っているが心の内はバレバレである。

そんなことを言っているうちに王宮が見えた。

「あれが...」

「せや、スカイランドのお城や。」

だが、王宮に向かおうとしたのはソラだけではなかった。

ここから離れた場所に船が浮かんでいる。

「時が経った。本日、僕らエニアークはスカイランドに革命を起こす。」

そこには狂気的な笑みを浮かべた青年が組織構成員の前に姿を見せる。

『うおおおおお!!』

構成員たちは雄たけびを上げた。

「そのためのあいさつ代わりといっちゃなんだが少し暴れてきてくれるかな?」

すると青年は剣を持ったスラックスとYシャツを着ている男に話しかける。

「この俺『スパイ・ウォークロック』にお任せを。寝ぼけたスカイランド人に朝を持ち込んでやりますよ。」

「期待...してるからね。」

スパイと名乗る男は数千人の手下を引き連れ鏡のようなものから発生したゲートに入り、スカイランド王宮近くまで来た。

(一年ぶりに来てみたが平和すぎて気持ち悪い。大方、空裂団の中でも蒼空メンバーが復興指導したんだろう。そんな奴らが作った脆い平和、俺が壊してやるよ。)

スパイは手下を分散させて自らは王宮へ向かった。

(王宮の地図は一年前に旦那に教えてもらったから通路ぐらい...)

すると門番に止められた。

「ここは王族以外立ち入り禁止...」

スパイは門番を瞬殺したが彼は気にせず王宮へと進んだ。

その頃、エニアークが王宮に入ったことなど全く知らないスカイランド人は「プリンセス・エル」の誕生日を祝っていた。

「おめでとうプリンセス!!」

「バンザーイ!!」

街はお祝いムード一色。これを壊そうって画策しているから質が悪い。

「あ~い」

彼女の名は「プリンセス・エル」。スカイランドのお姫様である。実は彼女、零於と接点があるのだがこれはまた遠くない未来に...

「ハッピーバースデー、キラキラ輝く一番星。...にしても寂しい。『もう一人の一番星』がいないなんて。」

「そうですね。プリンセスの誕生日を一番楽しみにしているのは彼なのに、どこに行ったのかしら?一年も私たちに顔を見せないと心配になるわ。」

「ああ、そういえば間もなく一年か...」

「きっと帰ってきますよ、彼は。」

王様とお妃様はプリンセス・エルの一歳の誕生日を祝いつつも、未だに帰らない「ある男」の帰還を待ち望んでいた。

そんな時だった。

「ハッピーバースデー、トゥ~ユ~...」

戸を蹴飛ばして鞘から刀を抜く。

「今日は革命の始まりだ。」

ゆっくりと歩き、王様に向けて刃を振ろうとしたその時、

「ムフフ...」

怪しい声がして王様に

「チッ...邪魔が入ったか。」

スパイが音のする方向へと向かい、斬撃しようとしたが避けられる。

「なるほどねぇ。」

彼は何かを察したのか狂気的な笑みを浮かべた。

「わざわざ俺たちエニアークと同じ日に王宮に侵入するなんていい度胸じゃねえか。誰だよテメェ。」

「俺様の名前はカバトン!!ハッピーバースデー、プリンセス・エル。」

カバトンと名乗る獣人は爆弾を投げた。

「させるかよ!!」

だが、炎河によってそれは防がれた。

「貴様、赤谷炎河!!」

「よう、外道。プリンセスの誕生日に何考えてるんだ?」

「何故ここが分かった。」

「え、なんで分かったって?」

時はスパイが門番を斬殺した直後まで遡る。

「赤谷さん、どこに行くんです?」

見張りを続けていた炎河は何を思い立ったのか一般闘士と別行動を取ろうとしていた。

「王宮だ。奴らは直接やって来る。」

「どうしてそれを……」

「カンだよ、俺の。テメェらはこれから来る雑魚の相手でもしてろ。」

「分かりました。」

こうして炎河は己のカンを頼りに王宮に乗り込んだ。

「ただのカンか。」

「戦闘じゃお前が思ってる以上に頼りになるんだぜ。」

「そんな根拠もねえ信じて何になるんだよ!!」

スパイは再度、王様に向かって斬りかかった。

「させるかよ!!」

しかし炎河はナックルナイフで刀の斬撃を止めた。

「スカイランド王家は守れって命令なんだ。邪魔する奴は容赦無く消す!!」

「くだらねえ。社会から爪弾きにされた穀潰しに何が守れるんだよ!!」

互いの刃が激突している最中、カバトンはプリンセスを狙う。

「プリンセス!」

「グッフッフ、プリンセスは頂いていくのねん。」

その時だった、銃声が王宮に響き渡る。撃ったのは赤谷炎河だ。

「焦っちまったせいで全く当たらねえ。」

彼はスパイとの戦いを切り上げて、カバトンを追いかけた。

「野郎、待ちやがれ!!」

得体の知れない獣人を白髪の男が追っかけ、それを刀を持った男が追いかけるという展開にまで発展する。そのせいで城下町は大パニックに陥るが空裂団のおかげで被害は何とか最小限まで食い止めている。

(後ろのエニアークが厄介だ。悪いが引っ込んでもらうしかないな。)

炎河が用意したのは閃光弾。強力なフラッシュによって視界を奪う。更に不意打ちだったおかげで斬撃を免れた。

(グッ...中々に考えたな。追うのは無理そうだ。次の策を考えるか。)

その時だった。

『スパイ、あの怪物と協力しろ。』

「え、どういう...」

『面白い考えを思いついた。』

何か考えがあるのかエニアークは別の作戦に切り替える。そうしたおかげもあって炎河はプリンセス救出に専念に出来る。

「待ちやがれ!!」

「待てと言われて誰が待つ...」

炎河が構えたのは拳銃。彼の目はやる気だ。

(コイツは殺さねえ。麻酔で眠らせて捕縛、後は尋問だ。エニアークと繋がっていると厄介だからな。)

彼は先ほどと一転、冷静になり拳銃を構えた。

「アデュー...」

銃撃をした瞬間だった。何かにはじかれたような音がした。

「よう、久しぶりだな。」

最悪なことにスパイが再び現れた。

「じゃかじゃーん、また来たぜ。」

こんな時に最悪なタイミング。エニアークの人間である以上、何をしてくるか分からない。

(撃ちてえけどプリンセスがいるから撃てねえ。)

戸惑ったことで一瞬、隙が生じた。それをスパイが見逃すはずもない。

「さあ!地獄に行こうか!!」

刀で斬りかかろうとしたその時、彼は銃を捨て別の武器を構えた。

「何!?」

彼が持っていたのは……何と催涙スプレーだった。

「お前は一旦、退場だ。」

スプレーを至近距離で吹きかけ、スパイにダメージを与えることに成功した。

「て、テメェ……!!」

スパイが悶絶しているその隙にカバトンに殺意を向ける。

「ヒィ……」

「覚悟しろ豚野郎。テメェは捕縛だ。」

その頃、城下町が混乱していることを遊覧鳥になっているソラは気づいた。

「とうとうエニアークが攻め込んできたか。」

「エニアーク?何ですかそれ。」

「スカイランドを主に拠点に置く革命組織でコイツらはこの世界に革命を起こそうと躍起になってる集団だけど実質は破壊と殺人ばかりやる危険集団なんや。」

すると、ソラは黙った。

「……スピードを上げてください。」

「は!?エニアークは危険やぞ!!女子供でも本気で武器使って殺すつもりや!!」

「関係ありません。早く!!」

遊覧鳥は危険だと承知をしていながらも王宮へ向けていつもより速く飛行する。

着いた先は大混乱。死人まで出ている始末だ。

「おっ、女だ!!」

しかも最悪なことにエニアークの構成員に目をつけられてしまった。状況が最悪すぎる。

「堅気がいたぞぉ!!」

しかし、空裂団がエニアークを止めてソラは無事に進む。

だが、それを見ていた人間がいた。

「ゲームの駒にピッタリだ。」

彼は鏡のようなものを操作して、ゲートを作ってソラを知らず知らずのうちに赤谷炎河、スパイ、カバトンの元に送り込んだ。

「何を目論んでいるのです?」

「ただのゲームだよ。プレイヤーは多い方が面白いからね。」

男の笑みを浮かべた。まるでこの戦いを「楽しむように」。

そうとは知らずソラは激戦地帯に入った。

「誰だ!!」

真っ先に気づいたのはスパイ。剣を振るうが軽く避けられた。

「うおッと!!」

彼はソラを敵とみなし、明確に殺意を向ける。

「今すぐその子を離しなさい!!」

「コイツの事か?嫌だね。邪魔だから死んでもらうぞ!!」

エルちゃんを指さして開放を拒否したスパイは容赦なくソラに斬りかかろうとしたが炎河がそれをナイフで防いだ。しかし、彼は一歩バックステップを取る。

「さて、プリンセスを捕まえたしそろそろお開きにするか。」

その時、エルちゃんが泣き出してしまった。

「あ~!!あ~!!」

「うるせぇんだよ。」

高圧的な態度を見せたことで彼女はかえって泣いてしまった。

「なんてことを...許せません!!」

ソラは無謀にもスパイに挑もうとした。

しかし、彼はやる気が無いのか肘打ちでソラを圧倒した。

「逃すかよ!!」

逃げようとするスパイを追おうとする炎河。しかし、

「俺様を忘れちゃ困るのねん!!」

カバトンが攻撃してくるが炎河は軽くあしらった。

「スパイ...テメェは少しやりすぎだ。悪いが死んでもらう。」

「いいのか?俺の手元にはコイツがいる。お前が武器を扱えばそれが及ぶんだぜ?」

この男はエルちゃんを人質にして炎河の動きを封じた。しかし、この男にそんな脅しは効かない。

「あっ、後ろ。」

まんまと引っかかったスパイに投げたのは…火炎瓶だった。

「クソッ……まだ武器隠してやがったのかクソ野郎が!!」

「おいおい、俺がナイフだけで戦うなんていつ言った?戦闘にルール求めたんじゃねえよ。」

上着を脱いでバタバタと火を消し、上はYシャツのみとなった。

「その隙……プリンセスを奪うとは。」

後ろを振り向かせ、注意をそちらに向ける。これを行うことによってスパイの卑怯な戦略を封じた。しかし、彼は諦めたわけではない。

「悪いけど...卑怯は俺の土俵でもあるんだよね。」

何と彼はエルちゃんを奪還されたのを見計らい、銃でわき腹を打ち抜いた。

「おいおい...」

そこからはあっさり奪われてしまった。

「おい、豚野郎。持っていけ。」

「え?あ、ありがとなのねん。」

彼はカバトンにエルちゃんを渡す。

「さて、アンダーグに...」

だが、スパイはカバトンを首根っこを掴む。

「行先はここじゃねえ。俺たちの居場所だ。」

「え?」

「ここに来たなら分かるはずだ。お前の力で俺たちの船まで連れていけ。」

そんなことを言っている間にソラが気絶から目覚めてしまう。

「何!?」

ああだこうだ言っている間に取り返された。

「大丈夫ですか?」

「あ~い!!」

今まで知らない怖い大人たちに怖い目に遭っていたのでソラを見て安心していた。

「えるぅ~!!」

だが、そう簡単に事が思うように運ぶはずもなくスパイがカバトンの力で発生させたゲートに落とすようにソラをタックルした。

「このまま負けっぱなしはあの人に恥だ。せめてコイツを俺たちの場所に行かせてから貴様を殺す。」

しかし、ここで想定外の事態に遭遇する。

「逃さねぇよ...」

怪我をしているはずの赤谷炎河がこっちに来ていた。

「お前は逃げろ!!コイツは素人が突っ込んでいい相手じゃねえ。」

エルちゃんを逃がすために彼はダイナマイトを投げる。

「この期に及んで小細工するのか!?」

「あの子を逃すためならなんだってやるさ。テメェはその後でいい。」

「俺にそれが通用するとでも思っているのか!?」

浮遊する空間でもバランスをとって炎河に斬撃を与える。

「グハァ!!」

彼は袈裟斬りをモロに受けて大ダメージを負った。

(もう少しで出口...。頼む、耐えてくれ。)

脇腹、胸を斬られてしまい視界もかなりぼやけ始める。

生と死を狭間の空間でさまよい続けるなか、彼は「光」を見つけた。

(ここは...どこだ?地獄にしては明るすぎるな。)

彼はとうとう自分があの世に行ったと思ったまま垂直落下をした。落ちた先はまさかの僧儒が運転する車だった。

「ウワッ!!誰か倒れてる。」

「ちょっと待て...赤谷!?」

僧儒は車を止めて炎河の安否を確認する。

「ここは地獄か?まさか閻魔大王がここまで近くにいるな...」

それを聞いた僧儒は容赦なく頭を引っぱたいた。

「誰が閻魔じゃ!!」

「ハッ!!緑川の叔父貴じゃないか。」

「お前がここに来たという事はプリンセスは....」

炎河が指を指した方向には何もなかった。

「どうなってんだ?」

ゲートがあるはずなのだがない。あるのは違和感のみ。

「というか、お前かなりダメージ負ったな。大丈夫か?」

「ギリギリってとこですね。袈裟斬り食らったのは失態でした。さすがにあの人に治療してもらわないと。」

蒼空同士の話し合いに零於は完全についていけなくなった。

「おおっと....忘れてた。コイツ、空國零於だ。」

「お前が零於か。俺の名前は『赤谷炎河』だ、よろしく。」

こうして零於は蒼空メンバーの2人目に会うことが出来た。

「よろしくお願いします、炎河さん。」

「よろしくな、零於。」

二人は固い握手を交わした。

「じゃあ、コイツを送り届けてまた戻るから少し羽をを伸ばせ。なるべく早く戻るから。」

こうして彼は車を走らせた。

「叔父貴、アイツを一人にしていいんですか?」

「あの男はエニアークNo.4と互角だ。それは言ってしまえば俺たちと同格ということになる。」

「そうだったのか。本当なら見てみてぇな。」

「いずれ見れるさ、生きていればな。」

その目はどこか悲しそうだった。

その頃、ソラもゲートから出ていた。

「ようやく脱出出来ました...?」

彼女が下を見るとそこに足場はなかった。つまり彼女は今、天空にいる。しかもエルちゃんと一緒に。

「えっ?」

それに気づいたのは脱出して少し経ってからだった。

「うわあああああああああああ!!」

ソラはそのままエルちゃんと共に落下した。

彼女が落下したのと同じ時、ある少女がおつかいに来ていた。

(おばあちゃんに頼まれたものは...確かローズオイル、シナモンスティック、干したカエル。干したカエルって何だろう?魔法使いかな?)

彼女の名は「虹ヶ丘ましろ」。彼女もまた自らの運命を大きく変えることになるがそれはまたそう遠くない未来の話...

彼女は祖母に頼まれたおつかいのリストにある「干したカエル」の在りかが分からなかった。

(干したカエル...やっぱり分からないなあ。ダメかもしれないけどあの人に聞いてみよう。)

ましろは零於に聞いてみることにした。

「あの~、すみません。ちょっといいですか?」

「何でしょうか?」

「干したカエルってどこにあるか知ってますか?」

「干したカエル...干したカエル!?ほ、干したカエルってあれ..え?ええ!?」

ましろが聞いてきた質問内容に零於は驚きを隠せなかった。

「君って魔女の家系?」

「いやいや!!おばあちゃんに頼まれたおつかいのリストにあっただけで...」

「すごいね、君のおばあちゃん。僕も探すの手伝うよ。」

「本当に!?助かるよ~」

こうして零於はましろと一緒に干したカエルを探すことにした。

「そうだ、名前聞いてなかったね。」

「俺は『空國零於』。」

「私は『虹ヶ丘ましろ』。よろしくね、零於君。」

「よろしく、ましろ。」

彼らは知らない。この時、既に運命の歯車が大きく狂い始めたことを。

「零於君はどこから来たの?」

「俺...俺は米晴村から来た。」

「米晴村ってここより離れてる場所だよね?」

「ああ、俺が来たのには少しわけがあるんだよ。」

「訳?」

「それは...」

その時だった。

「うわあああああああああああ!!」

空からソラが落っこちようとしていた。

「ええーーー!?」

零於は落ちていくソラをキャッチしようとしたとき、何かの力が働きフワフワと浮いた。

「何が...起こった?」

エルちゃんの力で浮上し、きれいに着地した。

「えるぅ?」

そして零於とエルちゃんは数秒見つめあった。

「エル?」

「えるぅ?える!える!!」

突然、エルちゃんは零於の元に行きたいとソラにねだった。

「え?あの人...ええ!?れ、零於君!?お久しぶりです!!」

零於には何が何だかさっぱりだった。

「え、久しぶり?ごめん、君とはどこであったか俺覚えてないんだ...」

「もしかして記憶を無くしてしまったんですか?」

「そうなんだ。俺、なんにも覚えてなくて。」

するとソラは少し申し訳なさそうにした。

「ごめんなさい...。でも、零於君が生きていて私、凄い嬉しかったんです。」

「え?」

「ずっと前に会ってからずっと行方不明になっていた貴方と会えて。でも...私のことを忘れてしまったのはとても悲しいです。」

だが、悲しみにくれる暇などなかった。

「感動の再開のとこ悪いけど..ここでお前には死んでもらおうかな、空國零於。」

そこに現れたのはスパイとカバトンだった。

「お前ら、エニアーク!!」

「覚えていたのか?いや、あれだけの事をして生き残ったんだ。当然と言えば当然か。まあ、名前はさすがに忘れているだろうから改めて...『スパイ・ウォークロック』、エニアークの幹部だ。自己紹介が終わったからさっさと死んでくれ。」

刀を抜き、神速の踏み込みから斬撃を決める。

「危ない!!」

しかし、第二撃が襲う。

「お前が躱すことは想定内なんだよ!!」

そしてスパイは避けた零於めがけて逆袈裟に斬る。

「グッ...」

胸を深く斬られてしまい、体制が一気に崩れる。

「零於君!!」

ソラが駆け寄ろうとするが零於は止める。

「あの女、二度ならず三度も...。だがお前は後。まずは零於、お前からだ。」

スパイが刀を振ったその時、

「えるぅ~!!!」

エルちゃんが大声を出し、視線が向いたことで零於は助かった。

「貴様~!もう誰であろうが関係ねぇ!!ここで死ねぇ!!」

何と彼はハンドガンをエルちゃんに向けるという凶行に走り始めた。

「終わりだ!!」

発砲しようとしたその時、零於が自ら身を呈してそれを受けた。

「見事...だがあと12発残ってる。それに俺には斬撃がある。果たして生き残れるかな?」

かなりの深手を負っている零於だが、それを言い訳にできない現状に立たされた。

(分からねえけど……エルを守らねえといけねえ。なんかそんな事しか考えられねえ!!)

しかし、相手はスパイだけではなかった。

「俺を忘れちゃ困るのねん!!」

カバトンの攻撃によって零於はボロボロになった。

「ここまでとは...」

だが、彼も彼で終わったわけではない。

「オラァッ!!」

高速ストレートを放つも、それを躱されてしまう。

「おっと!!」

分かってはいたが実力が違いすぎる。そんな時、彼は一か八かの賭けに出る。

「おりゃ!!」

スパイが振った刀を彼は掴んでいた。そしてそれを利用して、片手で投げ飛ばした。

「...やるじゃねえか、そのケガにしては。」

当の本人はボロボロ。立っていられるのもやっとだった。

「だがもう終わりだ。ここで死ねぇ—!!」

次の瞬間、ソラが蹴りを入れて零於は助かった。

「テメェ......俺が誰だか分かって攻撃したんだろうな。」

「大切な人を見捨てるわけにはいきません!!」

「でもコイツはお前のことを大切に見ていない。記憶を無くして、お前と過ごした日々を忘れたんだからな!!」

「それでも私は記憶が戻るのを手伝います!!彼は...私にヒーローを目指すきっかけになった人だから!!」

「ヒーロー?これ聞くとムカつくんだよ!!」

怒るスパイは鉄板を仕込んだ靴によってソラを蹴った。

「ざまぁねぇな。ん?」

するとスパイの元にある手帳が転がってきた。

「なんだこれ、『ヒーロー手帳』?」

彼は適当なページを読んだ。

「何々...『空を怖がっていたらヒーローは務まらない』、『ヒーローは泣いている子どもを絶対に見捨てない』。ふうん。」

次の瞬間、スパイはあろうことかその手帳を燃やしたのだ。

「!?」

「くだらねぇ!!何がヒーローだよ!ああ、笑える。本ッ当にスカイランドの人間はどいつもこいつもバカな奴らだよ!!」

醜悪な形相で笑うスパイ。その高笑いは街一帯に響いた。

「笑い過ぎた...やっぱりスカイランド人は馬鹿な奴らだったよ。ああ、最高だ。」

その時、零於は立ち上がった。

「...テメエ..ゴフッ...人の夢をバカに......しやがって......偉くなった......つもりかよ。」

「ああ、偉いさ。俺たちはスカイランドに革命を起こす。そのために貴様が邪魔なんだよ!!」

すると零於を除く全員の背筋が凍った。

「手始めに貴様をここで殺してやろう。本当ならスカイランドで殺したかったが減るもんじゃねえからまあいいか。」

彼は強力な殺気を放つ。

「おい、豚。零於は俺が殺すからテメェは残りの奴らをコテンパンにしろ。」

「え、はい。カモン!!アンダーグエナジー!!」

するとショベルカーが怪物化して、街の人間を襲った。

「貴様......」

すると、彼の視界に鉄パイプが入る。

「これ借ります!!」

得物を見つけ、これで互角に持ちこめる。

「俺の刀に拳は勝てないとみて持つのか。」

「あの子の夢はバカにさせない!!」

激突する二人、鉄の音が弾け飛ぶ。

「さすがは天才!!しかし、これは読めたか?」

投げたのは焙烙火矢。爆発させ、防御に気を取られている間に距離を...零於は詰めなかった。

「何!?」

「人の夢を平気でバカにするような腐った性格のお前だ。何かしてくると読むのが最適解と判断した。」

「読まれたとはなぁ。......なんて俺が言うと思ったかバー―――カ!!」

彼が用意したのは手榴弾。ピンを抜いた時に狙いがソラ達に狙いを定めていると知った彼はそれを阻止しようとした。だが、次の瞬間、

「怪物、零於を潰せ。」

怪物「ランボーグ」に命令して妨害をするが、零於の高速移動で手榴弾を空高く弾き爆発させた。

「どうした、引き出しはこれで終わりか?」

ソラはそんな零於の後ろ姿を見ていた。

(あの姿……私があの日、あの時追いかけた空國零於君です。間違いありません。記憶は無くしていても完全に忘れたわけではないんです。あの人が頑張っているのに私は何ですか!!ヒーローを目指しているのに、彼に頼りっきりじゃないですか。)

彼女は零於をきっかけにヒーローを目指している。しかし、現状はエニアークの侵攻を彼一人で防いでいる。それでヒーローを目指すなんて、スパイに笑われたがそれも今思えば無理もない。

そんな零於もスパイとランボーグ相手ではさすがに厳しい。しかも三人を守りながら戦うのはかなり負荷がかかっている。

「ランボーグに気を取られたんじゃねえよ!!」

遂に背中がガラ空きになり、そこを斬られてしまった。だが彼はここで終わることはなかった。

「ここだよ。」

何とランボーグを掴み、スパイごと巻き込んで吹き飛ばした。

「痛てて……やるじゃねえか。」

脱出しようとするがランボーグが重すぎて簡単に脱出できない。

零於はズタボロの身体で

「ソラ・ハレワタール……」

「え?今なんて…」

「そう呼べって俺の心が言うんだよ。お前、ヒーローになりたいんだよな。だったら俺と一緒に戦え。」

「もちろんです!!」

「そして、エルと一緒にスカイランドに帰ろう。」

「はい!!」

その時、ソラの中からペンが飛び出した。

「これは!!」

するとエルちゃんが何かを言った。

「ぷいきゅあ〜!!」

そう言うと彼女から何か青い物体が現れた。

「ヒーローの出番です!!」

すると、ソラは変身する。伝説の戦士に。

「スカイミラージュ!トーンコネクト!!ひろがるチェンジ!スカイ!!きらめきホップ!さわやかステップ!はればれジャンプ!!」

彼女は変身をある程度完了した。

「無限にひろがる青い空!キュアスカイ!!」

水色のツインテールに騎士のような風貌をしたキュアスカイが今ここに誕生した。

「プリキュア……」

「凄い...」

そこにいる誰もが驚いた。零於もましろもスパイもカバトンも、何なら変身しているソラでさえも。

「スカイ、行くぞ!!」

「はい!!」

そこからは2人のターンだった。ランボーグを相手に息の合った連携プレイで優位に立つ。

「グダグダしている暇はなさそうだ。」

スパイも動き出し、ランボーグに加勢する。

「グッ...スカイ、フルパワーだ!」

「分かりました!!」

二人がフルパワーになったことで、遂に押し返すことに成功した。

「グッ......」

形勢不利と判断したのかスパイはランボーグを置いてゲートを作り、撤退した。

「逃げやがった!!だけど、勝機は俺たちの中にある!!」

零於はここ一番の拳をランボーグにぶつけた。

「あ、ああ~」

この時、カバトンは零於の強さを見て彼の強さを見てさすがに勝てないと直感で感じた。

「今だ、スカイ!!」

「分かりました!!」

スカイはランボーグに向けて強力なパンチを放った。

「ヒーローガールスカイパンチ!!」

彼女のパンチによってランボーグは浄化された。

「去れ。じゃねえと拳が貴様の顔面が吹き飛ぶことになるぞ。」

「か、カバトントン!!」

カバトンは姿を消した。

「やりま…零於君!?」

ダメージが蓄積したせいで彼は倒れてしまった。

「やれやれ…手間かけさせやがって。」

その頃、緑川僧儒が現れた。




次回
三人目の蒼空メンバー「青山水善」、四人目の「藍沢インディゴ愛梨寿」登場!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。