待ち合わせ場所に現れたのは、送られてきた画像とは似ても似つかない全くの別人だった。
画像では爽やかなイメージのナイスガイだったのに、現れた男は根暗で卑しい目をしたみすぼらしい中年のオジサンにしか見えない。
自分の人生を蔑むようなその雰囲気は見た目にまで表われて、近寄りがたい空気に包まれている。
私は素知らぬ顔をして帰ろうかとも思ったが、男は待ち合わせ時間の随分前からここに居て、ずっと私の事を見張っていた様だった。
私はその男から滲み出る人間性に嫌な予感しか想像できず、気持ちの悪い汗をダラダラと流していた。
犯罪でも犯しそうな男の雰囲気は、決して関わってはいけないという危険信号が滲み出ている。
私は隙を見てこの男から逃げ出そうと機会を伺っていたが、既にお金は受け取っていて良心の呵責から中々実行に移せなかった。
「あのぉ~本当にデートだけですよね…?」
お小遣い目当てでパパ活をしようと思い、軽い気持ちでマッチングアプリに登録したものの中々条件に合う相手は見つからなかった。
そんな中、この男は僅かな時間のデートのみで破格の値段を提示して、私はそれに興味はそそられていた。
まだ男性との経験の無い私には、身体の関係を前提にしたパパ活など荷が重い。
疑わしい気持ちもあったが金欠だった私は、逢って直ぐにお金を受け取ってしまい、このまま行方をくらますのは気が引けていた。
「ああ…そうだね…」
男はぶっきらぼうにそう言って、私の身体を品定めでもするかのように、上から下に向けてゆっくりと視線を漂わせていく。
その舐めまわすような嫌らしい視線に、私は身震いを起こしながらゾワゾワと鳥肌を立てていた。
どうしても危険を感じてしまう男の違和感に、気を緩めることもできずに足がすくんでいく。
私は危険な目に会いそうだったら直ぐにでも逃げれる様に常に警戒を抱きながら、案内されるまま男の後を重い足取りで付いていった。
しかし男が連れてきたのは、約束通りのレストランで何も変わった所はない。
大手会社が経営するチェーン店のこのレストランは、他にも家族連れなどの客もいっぱい居て、ここで悪事を働く事などできる筈が無かった。
約束では最初にレストランで食事して、散歩がてらにデートした後は直ぐに解散の予定で、こんな楽な話はない
それが本当でこれだけの報酬が貰えるならば、私は好みから大きく外れて居ようとも目をつぶろうと考えていた。
しかし面と向かって食事をしてるのに、男との会話は一向に弾まない。
私がにこやかに話しかけても、暗い雰囲気を漂わせた男はニコリともせず、その表情は少しも緩むことが無かった。
沈黙の中での食事はプレッシャーばかりが圧し掛かり、私は居たたまれずに何度もトイレに席を立ち、気を取り直してはまた席に着く。
そんな重苦しい空気のままで食事は終わり、私たちは少しも打ち解けることも無くレストランを後にして、予定通りのデートを始めていった。
いったいこの男は何が目的で、高いお金を払って私とデートをしているのだろうか。
若い娘とのデートと言う名のコミュニケーションを取りたかったのであれば、もっと会話は弾むはずだし楽しそうな笑顔だって見せるだろう。
しかし男は常に魚が死んだような濁った眼をしていて、まるで感情が読み取れない。
他に何か企みがあるような気がして、私は警戒を持続したまま解散の時刻がくるのを、今か今かと待ち侘びていた。
「あれに乗ろうよ…」
すると男はそう言いながら遠くに見える観覧車に向かって指を差す。
密室で2人きりになるのは避けたかったが、1周で僅か15分くらいの時間では何もできないだろうと、私は渋々それを了承した。
それに息が詰まりそうな、この重苦しい空気に包まれた時間を何とかしてやり過ごしたい。
私は警戒だけは忘れずに、男の後を付いて観覧車の列に並んでいった。
何かあっても気持ちを強く持って、拒否を続ければ何とかなるだろうと軽く考えていた。
それに男は意外にも今までずっと一緒に居て、私の身体に興味を示した様子は見せていない。
この男が疚しい事を考えていないことを切実に願って、私は順番の回ってきた観覧車に男と共に搭乗していった。
観覧車はゆっくりと地上を離れ、それに合わせて外の光景が広大に広がって、清々しい景色を見せ始めていく。
対面に座った男は口を噤んだまま、そんな景色をボーっと眺め、また話しかけずらい雰囲気を醸し出している。
しかしこの時の私はそんな些細な事など、もうどうでも良い程にパニックに陥って、脂汗をダラダラと流していた。
少し前から違和感は感じていたが、私のお腹はゴロゴロと音を立てながら、今まさに急激な便意が込み上がっている。
15分という短い時間でさえ、私には耐える余裕などなく、切羽詰まって顔面蒼白になっていた。
今すぐにでも飛び降りてトイレに行きたい願うものの、既に怪我では済まないくらいの高さまで観覧車は上がり、私はこの状況に愕然としながら深い絶望を感じていた。
何でこんな事にと後悔しながら、頭の中では色々な考えが頭を駆け巡っているが、考えなど纏まる筈も無く時は刻々と過ぎていく。
呑気に外を見つめている男に恨めしさを募らせながら、大きく息を繰り返しスカートを強く握りしめて、必死に込み上げる便意の我慢に勤しんでいたが限界は迫っている。
「ト…トイレに行きたい…」
「ここじゃ無理だよ…少し我慢して…」
最後の望みで縋る様に助けを求めるが、男は表情も変えない涼しい顔つきで、突き放す様にそう言い放つ。
その言葉に私の心は打ち砕かれ、遥か遠くを見つめながら小刻みに息を繰り返し、放心状態でブリブリと大便を垂れ流していった。
腹痛で繰り返し押し寄せていた苦しみが解き放たれ、一気に開放感が込み上げるものの、何か大切なものを失った絶望感で身体中には寒気が走っている。
観覧車の中には吐き気を催すような異臭が立ち込め、席に座った私のスカートの隙間からは湯気を纏った水っぽい大便がボタボタと溢れ出している。
魂が抜けたように天を仰いで大きく息を繰り返す私は、自分の痴態に情けなさが込み上げて涙で頬を濡らしていた。
取り返しの付かないことをしてしまったと思いながらも、この現状をどう終わらせて良いのかも良くわからずに途方に暮れていた。
恐る恐る男に目を向けると、何を考えているかわからない濁った眼で、脱糞をした私の膝元を表情も変えずに観察している。
観覧車が一周して地上に差し掛かると男は私の手を掴み、扉が開いたと同時に身体を引き寄せていった。
「逃げるよ…」
不気味にそう話す男に手を引かれ、私はパンティにこんもりと溜まった大便を、ポタポタと垂れ流しながら引かれるままに観覧車を後にしていった。
お尻にベッチョリと張り付く大便の不快感を感じながらも、今の私はこの情けない姿を誰かに見られているかと思うと恐ろしくて顔を上げる事もできなかった
スカートまで茶色いシミが滲んで、大便をまき散らしながら悪臭を漂わせる私を、周りの人々は嘲笑っている事だろう。
未だに頭はパニックで、男に引かれて街の中を彷徨い歩いているが、どこをどう歩いているのかすら全くわからない。
絶望に打ちひしがれて悲しみに暮れる私は男の言う通りに従って、いつの間にかどこかわからない所で裸にされてシャワーを当てられていた。
浴室であることに間違いないが、ここにどうやって来たのかすら、はっきりと覚えていない。
男は大便に塗れた私のお尻をまるで赤ん坊でも扱う様に、シャワーを当てながら何も言わずに淡々と奇麗にしていた。
傷心した私を気遣うその態度は優しさに満ちていて、その善意にほんの少しだけ心が揺れ動いている。
しかし洗いながら私のお尻を掌で撫で回す男のアソコが、ビンビンに反り返って男は息を荒げて興奮をみせている。
この時私は男にハメられた事に初めて気付き、その事実を素直に受け止める事などできずに、更なる絶望に打ちひしがれていった。