おっぱいメインの甘々や、ヒロインの胸を付け狙う膨乳愛好家からの乳責めを展開していきます。
天原希(あまはらのぞみ)
大原東高校二年。
T164 B73〜∞ W58 H92
少々天然なところはあるが正義感が強くて明るい女の子。
その乳房は自分の意志で膨張、縮小することができ、あらゆるダメージを無効化する。
弱点は性感帯である乳首。また、脇をくすぐられると、本人の意志とは関係なく乳房が膨張してしまう。
普段のバストは103cmのJカップくらい。
放課後、希はいつものように商店街に立ち寄って夕飯の食材を買ったあと、自宅へと向かっていた。
梅雨のシーズンとなり、空は今にも雨粒を落としてきそうな灰色の雲に覆われている。希は降られる前に帰ろうと、歩く速度を上げた。
路地を曲がったところで、自宅の門扉の前に見知らぬ男が立っているのが目に入った。
「あの……うちに用ですか?」
声を掛けられた男がこちらに振り向く。父親と同じくらいの年齢で細身。髪を真ん中で分けていて、白いシャツに黒いスラックスを履いている。少々、神経質そうな顔が、希を見るなり柔和になった。
「あっ、すいません……失礼ですが、天原希さんですか?」
「はい、そうですけど…」
希が答えると、男はにこやかに笑みを浮かべた。
「あぁ、よかった。実は私は探偵をしておりまして……依頼を受けてあなたのことを探していたんです」
「私を……ですか?」
男が頷く。
「依頼者の女性が、先日の七草商店街での通り魔事件で女子高生に助けられたそうで、是非お礼をしたいから探し出してほしい、といった依頼を受けまして…」
あの人だ……
希の脳裏に中年の女性の顔が浮かんだ。
「それで商店街で聞き込みをしていたところ、天原さんではないかというお話を聞きまして、こうしてお宅まで伺ったところなんです。確認させて頂きたいのですが……女性を助けたのは天原さん、ということで間違いないですか?」
「えっと……まぁ…」
「やはり、そうでしたか……しかし、すごいですね。相手は刃物を所持していたんですよね?」
「そうなんですけど……一応、子供の時から合気道の道場に通っているので」
乳房の能力のことは当然言えなかった。
「なるほど……護身術ですか」
男がしきりに感心するので、希は少し恥ずかしくなった。
「……ところで、依頼人がぜひ、親御さまにもご挨拶に伺いたいとのことなんですが、今ご在宅でしょうか?」
「あの……普段、母は海外にいて……」
「ほう、そうですか…」
「父もたいてい帰りが遅いので、不在なことが多いんで……それと、私はあまり話を大きくしたくないというか……お礼とか全然、大丈夫なんで…」
刃物を持った男の前に飛び出したことが父親に知れたら、どんなことになるか目に見えていた。
「なるほど……わかりました。依頼人には私からその旨をお伝え致しますのでご心配なく。今日は突然押しかけるようなことをして申し訳ございませんでした。それでは……失礼します」
男は恭しく頭を下げ、駅の方へと歩いていった。
希は去っていく男の後ろ姿を見ながら、この短期間で自宅まで突き止められたことに、妙なざわつきを覚えていた。
同日、夜────
「お父さーん、ごはーん」
「ああ」
リビングのソファに座っていた希の父親・英一(えいいち)は、分厚い本を閉じて腰を上げた。夕飯前、こうしてリビングで宗教学や神秘学関連の本を読んでいる事が多い。希には、そのいかにも難解なそうな書物のタイトルさえ理解することができなかった。
父がそういったものに傾倒するきっかけになったのは日本の航空機史上、最悪と言われる墜落事故のたった二人しかいない生存者のうちのひとりであることが起因しているのではないかと希は考えている。
「お父さんはさ、いつも難しそうな本読んでるけど、楽しいの?」
「まあな」
「たまには料理の本も読んで、レパートリー増やせばいいじゃん」
「そうだな」
希の問い掛けに対し必要最低限の言葉で英一が返す。天原家でよく見られる光景だ。良く言えば物静かで落ち着いている。悪く言えばそっけない。それが希の父親に対する印象だ。
英一を知るあきらからは、どうして寡黙なお父さんが育てて希のような騒がしい子に成長したのかわからないと言われたが、自分でもそう思っていた。
「……ねぇ、大学の学生さんとはコミュニケーションとれてんの?」
「そのつもりだが………いただきます」
何か問題があるのか……という顔をしたあと、今夜のおかずであるカレイの煮付けに箸を進めた。
英一は三十代で大学の准教授を務め、主に宗教学に関して教鞭をとっている。小難しい学問の先生というのは、みんなこんな感じなのだろうかと希は常々思っていた。
「そういえば、商店街で事件があったそうだな」
「……そうらしいね。まぁ、犯人はすぐに捕まったから、被害は出てないみたいだけど…」
……とうとう、お父さんの耳にも入ったか…
父はどこまで知っているのかと、ドギマギしながら答えた。
「そうか、それは不幸中の幸いだったな。ところで──」
「………はい?」
「───希は、日本と海外の宗教の相違について、なにか知ってるか?」
────また始まったよ……
事件から話が逸れたのはよかったのだが……
希は小さくため息をついた。
「……一神教とか多神教とかの話でしょ?」
「そうだ。よく知ってるな」
「この前、お父さんが話したんじゃん」
「ん……そうだったか」
英一は斜め上に視線を送って記憶を辿り始めた。
いつも希や晴吾の話に相槌を打つぐらいであまり自分から話をしない英一が、このところ宗教やスピリチュアルに関する話を度々するようになっていた。
それらの分野に興味のない希にとって、まるで学校の授業でも聞いているような気分となり、内心辟易していた。そこで英一が再び話し始める前に、間髪入れず話題を変えることにした。
「ねぇ、お母さんは今度いつ帰ってくるんだろうね」
「さぁ、どうだろうな」
治安維持活動に従事するため、希の母は一年のほとんどを海外で暮らしている。
「前から思ってたんだけど……今どきさ、海外にいるからって電話も繋がらないのおかしくない?衛星電話とかあるんじゃないの、わかんないけど…」
「……希が考えている以上に、日本ほどインフラの整っていない国や地域が世界にはある……ということじゃないか?」
「そうかもしれないけど……お父さんはさ、お母さんのこと心配じゃないの?」
「心配……か。そんなにはしてないな」
「……お父さんって、思ったより薄情なんだね」
「そんなことはありませんよ」
不意に背後から懐かしい声がしていた。
希が振り返ると、そこにはいつのまにか白いシルクのワンピースを着た女性が立っていた。
希と同じ琥珀色の瞳だが母性的な趣が強く、包容力に満ちている。たおやかな栗毛色の髪が腰近くまで伸び、その肌は抜けるように白い。
ワンピースの胸部分は普段の希より遥かに大きくふくらんでいて、深い谷間の1/4ほどが顔を覗かせている。服のサイズがややタイトなため、しっかりとくびれた腰つきと、豊かな尻のラインがはっきりと見て取れた。
それでいてけっして淫靡な印象はなく、その佇まいからは気品さえ感じられる。
静かに微笑を浮かべる様はその服装も相まって、西洋画に描かれた慈愛の女神がそのまま飛び出してきたかのようだった。
「お母さんっ!」
茶碗を持ったまま、思わず立ち上がっていた。
希の母……エレナはなんの前触れもなく、いつも突然帰ってくる。その容姿は二十七、八歳くらいに見え、とても高校生の娘がいるとは思えない。
「もうっ、いつも帰ってくる前に連絡してって言ってるじゃん!もっとちゃんとしたゴハンつくるのに」
「ふふっ……ごめんなさい、希」
むくれる娘を流暢な日本語でなだめながら、夫に顔を向ける。
「……ただいま、英一」
「おかえり」
普段、無愛想な英一もこの時ばかりは少し顔を綻ばさせていた。
希は急いでエレナの夕飯を用意し、久しぶりに親子三人の団欒が始まった。
「……ほんとさ、お母さんがいないと、お父さんの小難しい話をずっと私が聞くハメになるんだよっ。神がどうしたこうした、とか」
「悪かったな」
「ふふっ……私は英一の話、おもしろいと思いますよ」
「……それは、お母さんが変わってるんだよ」
共感を得られず、希は不満そうにしている。
「だいたいさ、神様なんているわけないじゃん」
「……どうしてそう思うんだ?」
「だって本当にいるなら、今だに戦争してるところがあるのにそれを放っておくの、おかしくない?神様なのに」
エレナが少し悲しげな顔つきになる。
「私が思うに……神様はいるってことにしておかないと困る人達が世界中には大勢いて、その人達が自分の権益を守るために神を信じなさいって説いてるんだよ。もし、神様がいないって証明されたら、職を失う人がたくさんいるでしょ?あっ、でもそうなったら、お父さんも大学クビになっちゃうかもしれないから、うちもヤバイか…」
「まぁ、そうかもしれないな」
英一は眼鏡のフレームをクイッとあげてから続けた。
「……それでは、希の言う通り神は存在しないとしたら、世界中にいる熱心に祈りを捧げている人々は、全く無駄な行為をしている、ということか?」
「そう言われると、ちょっとあれだけど……私は宗教なんか入ってないからわかんないよ」
「希だって神社に初詣に行ったり、困った時は神頼みするだろ?」
「それは……そうだけど」
「つまり、無宗教だと思っている多くの日本人は普段自覚がないだけで、その生活には宗教的な儀礼が深く根ざしているわけだ。そういう意味では、神という存在は案外自分のすぐ近くにいるのに気付いていないだけ、なのかもしれないな」
「……ふーん、そういうもの、なのかな…」
そのあと、希は時間を惜しむようにいろいろな話を母にした。母と食器を片付けたあと、一度入浴するため浴室に向かい、戻ってきたあともべったりと引っ付いて話し続けた。
幼少の頃からエレナは不在なことが多く、希が母親と過ごした時間は一般の家庭に比べればずっと少ない。それでも、希は優しく美しい母が好きだった。海外で人のために働くエレナを誇りに思っている。
「希、そろそろ寝ないとまた遅刻するぞ」
「ちょっと、お母さんの前で余計なこと言わないでよ!」
「あら、それはいけませんね」
時計を見ると、もう日付が変わっていた。
「お母さんは明日も朝早いの?」
「……そうですね」
よほどタイトなスケジュールなのか、エレナは希が起きてくる頃にはいつもいなくなっていた。
「そっか……でもお仕事なら仕方ないよね……次はなるべく早く帰ってきてね」
「えぇ、そうします」
希が立ち上がり、エレナとハグをする。
「それじゃ、お仕事がんばってね……おやすみ!」
手を振りながら自分の部屋へと向かう娘を、エレナは見送った。
「……希は、強くなりましたね」
いつまでも離れようとせず、自分に抱きついたまま眠る娘の姿がエレナの脳裏をよぎった。
「希ももう十七だからね、来年には大人の仲間入りさ」
「そうですね……本当に、早いものです」
エレナは遠い目をしている。英一も同様に、エレナがいなくなったことに気付いて大泣きをする幼き日の希の姿を自然と思い起こしていた。
少しの沈黙の後、英一が口を開いた。
「……それで、なにかわかったのかい?」
エレナは首を小さく横に振った。
「……それでも、少しずつですが近づいているのがわかるのです。大いなる災が…」
「そうか……かつて、エレナが予見したことが現実になろうとしているんだね」
「はい……その正体がなんなのか、わかればいいのですが…」
エレナは力なく肩を落とした。英一が立ち上がり、その横に座る。
「……希に本当のことを話す日が近いということか」
「えぇ、そうですね」
エレナの膝に乗せられた手が微かに震えるのを見て、英一は自らの手をそっと重ねた。
「いつも、エレナにばかり負担をかけてすまない…」
「いいえ……それが私の、使命ですから…」
英一の顔を見て、エレナは悲しげに微笑んだ。
翌日──
駅前のファミレスで希とあきら、結乃はいつもの取りとめのない話を繰り返したあと店を出た。
結乃とは改札口の前で、あきらとは商店街の入口の前で別れて、希はひとり商店街の通りを歩いていく。
「こんにちは。ちょっといいですか?」
見るとチャラついた雰囲気の若い三人組の男が立っている。ナンパ目的だとすぐにわかった。繁華街まで遊びに行った時に声を掛けられたことは何度かあるが、地元の商店街では初めてだった。
「……すいません、ちょっと急いでるんで」
希が足早に去ろうとすると、
「まぁまぁ、ほんとちょっとだけなんで」
別の男が希の進行方向に割って入った。
「東高の子?めっちゃカワイイね。ハーフ?」
矢継ぎ早の質問で希を足止めしようとする。他のふたりは希の両側に立った。男達の視線が希の顔と突き出た乳房を往復する。
「そこの裏にさ、いい感じの喫茶店あるから、そこでお茶しませんか?」
地元民である希はそんなところに店などないことは知っている。
「あの……ほんと急いでるんで…」
希が男達をかわして歩き出したところで、背後から手が伸び肩を掴まれた。
「ちょっとだけって言ってんじゃん。ね、来てくれればいいだけだからさ」
男の声色が少し低くなっていた。
「ちょっと、離してください」
「いいから、ほら行こうよ」
肩を掴む手に力がこめられる。
「……はぁ」
ため息をついた希がバックを地面に落とした。その次の瞬間には肩に置かれた男の手を捻り上げていた。
「いでででっ…!」
幼少の折より合気柔術を学んでいる希は、膨乳能力を使わずともこの程度の男をあしらうのは容易いことだった。
「痛ってぇな……くそ…」
男が捻られた手首を掴んで希を睨んだ。
「ハハッ、だっせーなおまえ。女子高生に負けてんじゃん」
「……っせぇな」
仲間に嘲笑され、男は頭に血が上った。
「調子乗んなよ、おまえ。いいから来いよ!」
希の腕を掴もうと近付く。
「こらっ!何してんだ!」
騒ぎに気付いた金物屋の八十近い店主が、小鍋を片手にやってきた。
「……そういうのいいから、ジイさん……関係ねぇだろ」
「この子はな、昔っからの顔馴染みなんだ。チンピラに囲まれて、放っておけるわけねぇだろ!」
「うるせぇな、引っ込んでろよ!」
頭に血が上った男が老人を突き飛ばす。老人は道路に派手に倒れ込んだ。
「ちょっと!……おじいちゃん、大丈夫?」
希が駆け寄って抱え起こす。
「くっ、この野郎っ」
「なんだよ、まだわからねぇのか、このジジイ」
男が早足で老人に近付いた。
「やめて!」
希がふたりの間に割って入る。
「わかった……わかったから。行けばいいんでしょ」
男達に前後を挟まれながら路地を抜ける。すると、元は小さな町工場で、長らく空いたままであった建物のシャッターが開けられていた。
希は男に促されるまま中に入っていく。錆びた鉄の臭いが鼻をついた。
背後でガシャンと音がした。最後に入った男がシャッターを閉めたのだった。それでも明かり取りの窓がいくつがあるため、比較的部屋の中は明るい。
「それで……何の用事なわけ?」
「おまえ、度胸あんな」
男のひとりが感心したように言った。いくら正義感の強い希とはいえ、普段ならこんないかにも怪しげな場所にのこのこついて行ったりはしない。それだけ、子供の頃から可愛がってくれている商店街のお年寄りに危害を加えられたのが腹に据えかねたのだ。
「まぁ、安心して。俺達、乱暴するつもりはないから。とりあえず───」
別の男が作業台の上に置いていた照明をつけ、希に向けた。
「───服を脱いでくれる?」
強い光に一瞬、目を背ける。
「なんでそんなことしないといけないわけ?」
「いいから、とっとと脱げよ!」
先ほど、希に関節をきめられた男がシャツを荒々しく掴んで引っ張った。衝撃にボタンがいくつか飛び散る。
男の乱暴な態度に、希の内で沸いていた怒りに火がついた。瞬間的に乳房に力を込める。
直後、突然膨張した双つのふくらみがシャツを突き破って目の前にいたふたりの男に直撃し、そのまま壁に叩きつけた。
「ふごっ……!」
「ぉぐっ……!」
男達は低く呻いたあと床に崩れ落ち、動かなくなった。
「なっ、なんだよおまえ……なんなんだよ!」
希が男に顔を向ける。
「……あなたも、同じ目に遭いたいの?」
「………くッッ…」
残された男は踵を返すと、急いでシャッターを開けて外へと飛び出していった。
「……ふぅ」
男達を退け、希はようやく肩の力を抜いた。
希の眼下には、床に着きそうなほど膨張した乳房がある。その瞳には逃げていった男の怯えた顔が焼き付いていた。
あれが普通の反応なのだろう。この膨張した胸をあきらと結乃が見たら、きっと……
それでも、晴吾はこんな奇妙な体質を持った自分を受け入れてくれた。そう思ったら、急にその声を聞きたくなった。
希は乳房を元に戻すと、もしもの為に持っていたジャージを着て廃工場をあとにした。
この時、希は気付いていなかった。
建物内に隠されていた数台のカメラが、膨乳の一部始終を捉えていたことを……
大原駅近くのビジネスホテル───
その一室のドアが開かれ、細身の男が慌ただしく入室してきた。回収したカメラ機材をベッドの上に雑に放る。
急いでノートPCを立ち上げてSDカードをカードリーダーに差し込み、収録されたデータを確認する。画面には、乳房を膨張させて男達を打ちのめす希の姿が鮮明に映っていた。それを見た男は、ほくそ笑む。
男の名は瀬戸といった。
データの確認を終えた後、瀬戸はデスクトップにあるアイコンをクリックした。
スクリーンに表示される「Airbag」という文字列。それは国内外の膨乳フェチが集う老舗のサイトだった。瀬戸はそのサイトの管理人をしている。
続けて事前に選んでいた数人のヘビーユーザーに向けて、ダイレクトメッセージを打ち始めた。その冒頭の一文は、膨乳フェチならばそれの意味するところはわからずとも、内容は理解することができた。
『Airは実在する』
今、膨乳フェチ界隈はある少女の登場により湧いていた。きっかけは七草商店街で撮影された通り魔事件の映像。話題の中心はその犯行そのものではなく、フレームに飛び込んできた女子高生の胸が膨張するシーンだ。
膨乳フェチと巨乳フェチは似て非なる属性と言える。豊かな乳房を好むといった嗜好は同じだが、バストサイズがある一定のラインを超えると興醒めする巨乳フェチに対し、膨乳フェチの許容範囲はほぼ無制限であり、中には乳房の持ち主自体よりも遥かに大きなサイズに性的興奮を覚える者もいる。
当然のことながら、そんな異次元の大きさの乳房を持つ女性も、目の前で急激な成長を遂げるバストもリアルには存在しないため、彼らは専ら二次元の世界で自らの性癖を満たしていた。
そんな中で、突如として現実世界に現れた膨乳する女子高生は、膨乳フェチ達に鮮烈なインパクトとともに衝撃を与え、その真偽は別として熱狂をもって迎えられることとなった。
同時に、その映像に触発された絵師や書き手により二次創作の場に逆輸入される形となり、希の預かり知らぬところで、膨乳少女は「Air」や「エアーちゃん」として膨乳フェチ界隈で新たなアイコンと化していた。
瀬戸も事件の映像で衝撃を受けたうちのひとりであった。居合わせた通行人が撮影した映像を「エアバッグJK」とタグ付けして、世界中に流布したのはこの男の仕業だった。エアバッグとは膨乳を指す隠語である。
瀬戸は映像を見た直後から、膨乳少女の正体を探り始めた。まず、膨乳した部分がCGやAI技術によるものか解析し、無加工であることを確認した。
それがわかると事件現場のある、ここ大原町へ急行し、記者を装って目撃者を追った。
在籍する学校は、制服から近隣にある高校だとすぐに割れた。調査の過程で、膨張した乳房に吹き飛ばされたと吹聴する男に遭遇し、少女の容姿を聞き出した。
瀬戸の執念じみた調査の末、「天原希」という名前とその住居に辿り着く。だが、その段階ではまだ確証はなかった。
そこで、希が帰宅する時間を見計らって待ち伏せし、探偵を騙ってカマをかけたのだ。すると、希はあっさりするほど件の少女であることを認めた。
瀬戸は内心、ほくそ笑みながら聞き出せるだけ希の個人情報を聞き出した。何も知らない希は家族構成や留守にしている時間帯まで、のべつしゃべってしまった。
本人の証言は得た。あとは膨乳能力の確証……
天原家をあとにした瀬戸は、歩きながら新たな計画を練った。それは男達に希を襲わせるというもの。そうすれば自衛のためにまた膨乳能力を使うのではないかと踏んだのだ。
瀬戸は半グレに前金を払って依頼した。男達には膨乳を判別しやすいように、ただ希の服を脱がせろとだけ指示を出した。
そして……瀬戸の画策した通り、希は乳房を膨張させ男達を打ちのめしたのだった。
瀬戸は冒頭の一文のあと、ここ数日で調べ上げた希のプライバシーに関する情報を書き連ねた。
希のおおよその身長、目測した普段のバストサイズ、刃物をも弾き返すという乳房の特異性、映像をコマ送りで算出した膨乳のスピード、髪や目の色、住所、家族構成、在宅している時間帯、格闘技経験、近隣からの評判、在籍する学校、学年、仲の良いクラスメート、通学ルート……
当初、瀬戸から希の詳細なデータを送られてきた者たちは半信半疑であったが、最後に添付されていた新たな膨乳する映像に心を突き動かされた。
彼らは管理人である瀬戸が選出した生粋の膨乳フェチ達。長年夢想していた巨大な乳房、膨張するバストが本当に実在するというのなら、実際に自分の目で確かめずにはいられなかったのだ。
その動きは迅速だった。
大原町の雑居ビルと契約する者、日本行きのチケットを取る者、徒党を組む者、火薬の調合を始める者……
彼らのうちのほとんどは善良でなくとも犯罪に手を染めるような者ではなかった。しかし、悪の道へと足を踏み外してしまうほど希の乳房には男達を狂わせる、この世の理を超えた魔力を秘めていた。
……クックックッ……いいぞ、順調だ…
瀬戸がユーザーからの返信を読みながら、卑しい笑みを浮かべる。男達は瀬戸の思惑通りに、希の乳房を求めて動き出した。しかし、ここまでのことをしておきながら瀬戸に希を貶める意図はなく、その目的は別のところにあった。
希が一人目の刺客と遭遇したのは、それから十日後のことだった。
登場人物紹介パートが終わりました。次回から変態達との戦いが幕を開けます!