人間の健一と親切な僕っ娘上級淫魔アランの淫魔界珍道中 作:雑食性生物物部
「どうだい健一、僕はちょうど明日も予定が空いている。君をこの列車で無事人間界まで送っていけるから、その間淫魔界で僕と過ごさないかい?」
「多分断れる状況じゃないですが、良いんですか?アランさんは」
「気まぐれだよ。気にしないでくれたまえ坊や」
「坊やって…いや、ならよろしくお願いします。アランさん」
「アランで良いよ。よろしく健一」
こうして、人間の俺が上位淫魔のアランさんと淫魔界で過ごす奇妙な旅が始まった。
「何だかすこし安心したんで小便に行きたくなっちゃいました。トイレってどっちです?」
「タメ口でいいよ。さぁこっちだ付いてきたまえ」
「えぇ!?いやいや良いですよ一人で行けますってアランさん」
「君はここを何処だと思ってるんだ。人間がイチモツ出してここに居る連中が黙ってる訳ないだろ」
アランさんに引っ張られトイレに着くと少し納得した。トイレにはドアがなく暖簾だけがぶら下がってる。アランさんは手を繋いだまま中を覗くと、
「よし魅了とかの罠はないな。さっどうぞ、早く済ませたまえ」
「トイレに付いてきてもらうなんて、小学生ぶりだよ…」
「気安く可愛い事言うなバカ」
トイレをしている間ゾロゾロと何人かが近くにきたが、アランさんがいるとチェーという声と共に去っていく。どうやらアランさんの心配は的中したらしい。
席に戻る時も手を引かれて歩いていた時ちょうど俺のお腹が鳴った。
「そうか、もうそんな頃か。食堂車で食事にでもしようか」
「あるんですか?」
アランさんにそのまま手を引かれてやってきたのは豪華なテーブルや椅子が並ぶレストランだった。丈の短いスカートを履いた淫魔のウェイトレスに席に案内された。
「ランチと水を二人分、どちらも媚薬抜きでね」
アランさんがそう言うとウェイトレスは目を丸くしながら戻っていった。
「彼が食事じゃなかったのね…」
去り際にそんな事が聞こえると、アランさんは軽く肩をすくめた。
ランチ自体はそれ程待たずにやってきた。
「羊の睾丸を焼いたもの、白子の天ぷら、牡蠣のシチュー…やけに精がつく食い物ばかりですね…」
「媚薬抜きの意味がなかったかな?まぁ良いか食べよう」
ランチを済ませて席に戻りアランさんが先に座ると、無言で俺に向けて手を広げた。
「…何ですそのポーズ」
「あっ…いや何でもない忘れてくれ」
アランさんは俺から顔を背けた。俺もそのまま向かいに座った。
「そう言えばアランさんは下層から来たんですよね」
「あぁそうだよ」
「下層に何か用があったんですか?」
「少し買い出しにね。非常食の練乳の缶詰を買いに行ったのさ」
「非常食に練乳…?あぁ淫魔って牛のお乳が非常食になるんだっけ」
アランさんは頷いた。
「父のミルクのおこぼれを貰ってたんだがね。そろそろ父も歳だし負担を少なくしてやろうとね」
「へぇーアランさんって父親思いなんですねえ。牧場経営のお父さんでも足りないほどよく牛乳飲むんですね」
今度はアランさんが首を傾げた。
「……うん?父が牧場経営してるなんて言ってないぞ?」
「えっ」
「ミルクと言うのは、父“から”絞ったちんぽミルクだよ。僕達子供も食べる量が増えたからね」
「………父親思いですね」
「だろう?お陰で母さんが毎日蘇生薬を飲ませなきゃいけないんだ。淫魔も大変だよ。僕の上の姉なんて未だに、父さんのミルクしか飲みたくないって言うんだよ?そろそろ父離れの時期だってのに」
“ちち”の字が違う様な気がするけど…と心の中で突っ込んだ。