人間の健一と親切な僕っ娘上級淫魔アランの淫魔界珍道中 作:雑食性生物物部
役所に向かうまでは大変な道のりだった。
通りがかりの淫魔がさも当たり前のように頭を撫でたり、胸を触ったりするが、アランさんはハーネスを握ったまま微笑むばかりで何もしてくれない。ただ身長の高い淫魔に抱き上げられそうになったり、幼女の淫魔にキスされそうになると引き寄せるだけだった。
「ここじゃそれが当たり前なんだよ健一。君はマスクしてるとはいえ、人間が少しでも無闇に素肌を晒していれば、淫魔を限りなく誘惑してるのと同義だから、君は彼女らに攫われて犯されて調教されても文句は言えないんだよ?君がこうして歩けるのも上位の僕がいる事とこの保護用ハーネスのおかげなのさ」
アランさんはその大きな胸を大いに張って得意そうに語る。
「何でアランさんはそんなに俺を守ろうとするんです?」
「守る?まだそんな事を…だから言ったろう?これは巡り合わせなのだよ健一。僕と君があの席で乗り合わせた時からね」
そう言いながらアランさんはギュッと片腕で俺を抱き寄せた。
彼女の腕の中で、アランさんを見上げると背徳的な淫魔界で、彼女の朗らかな笑顔を見ると、思わず顔が赤くなるのを感じた。
「あぁ…健一……健一…君と言う奴は本当に何も分かってない…」
笑顔でブツブツ呟くアランさんを少し不気味に感じつつ、俺たちは歩き続け、ようやく役所にたどり着いた。
役所の中はアランさんと同様にスーツを着た淫魔達がいた。
アランさんは役所の窓口に近づくと、ここであまりキョロキョロしないように、と俺に耳打ちしてから人間保護権利書の申請の手続きを始めた。
窓口の淫魔はチラリとハーネスに繋がれた自分を見ると、素っ気なく書類に写した。
それが俺には少し新鮮だった。
淫魔界でもあまり性欲に関心がない淫魔も居るのかと思った。
(俺も大分淫魔界に染まってきたのかな…)
そんな事を考えている時だった。
「健一、少し脱いで貰えないかな。下だけで良いから」
アランさんが書類を持ちながら、突拍子もない事を聞いてきた。
「はい!?」
「この書類、印鑑が必要なんだよ。従来だったら僕の印鑑でも良かったんだけど制度が変わったらしい」
「…それと俺が脱ぐ事と何の関係が?」
「今君、実印持ってないだろう?だから代わりに保護対象の人間は金玉に朱肉を塗ってこの書類に押す事になったんだって」
「えぇ…」
「ほら早くしたまえよ」
「いやでもそんな…人前で…恥ずかしいですって…」
「…強制はしないけど。他の淫魔にやってもらうのかい?それこそ帰れる保証が無くなるけど」
正直、自分でやると言いたかったが、何やら背後から視線を感じ、ムスッとするアランさんに素直に従った方が良いと結論づけた。
ズボンを下ろし俺の息子を露出する(後ろから何か一斉に動く音がしたが、怖いので振り返らなかった)、アランさんは俺の金玉に朱肉をじっくりネットリと付けて、「それじゃ行くよ」と言う声と共に用紙を金玉に貼り付けた。紙越しにアランさんに触られたため、不思議な感触に思わずブルリと身震いした。
「うむ、良いのが撮れた。健一、君なかなか良いシワ模様してるね」
「…そんな事で褒められたの初めてです」
「まぁ良いじゃ無いか。それよりこれでもう印鑑は済んだよ。早くズボンを履き直したまえ。後ろの方々が辛抱できなくなるから」
その時、初めて自分の後ろから大勢の荒い息が聞こえてきた。
俺は大急ぎでババっとズボンを上げ、ベルトを固く閉めた。「もう履き直しちゃうの…?」「淫魔界で出してたんだからもう合意でしょ」「このまま連れ去っちゃっても…」「良いねそうしよっか」
ハァハァと息が肩までかかってきた所で、アランさんがパンパンと手を叩いた。
「はいはい!解散してね!」
「アランさん…」
「この子の保護者はあくまで上位種の僕だからね!上位の淫魔は僕の許可が無いとつまみ食い出来ないよ!下位の淫魔は尚更!」
この状況下で彼女の存在はあまりに頼り甲斐がありすぎた。胸の底からキュンとしてしまうのを感じた。
書類を出した彼女に手を引かれ、窓口を後にした。