人間の健一と親切な僕っ娘上級淫魔アランの淫魔界珍道中 作:雑食性生物物部
俺とアランさんはミスズさんの雑貨店を出て淫魔街を歩いていた。アランさんは何故か俺を抱き上げたまま離してくれなかったが、俺が「下ろしてください」と指摘したら何処か渋々ながらに下ろしてくれた。
「やっぱり普通に歩かせるよりも抱き抱えた方が安全だと思うんだけどねぇ……」
「いやぁ大丈夫でしょう。それにアランさんに悪いですよ」
「はぁ……無邪気だねぇ。最近は保護してても連れ去る事例が多発してるってのに」
「うぐっ……その手には乗りませんよ。ファスナーあるから大丈夫でしょう」
そんな事を話していると、ちょうど目の前で淫魔が持つファスナーに繋がれた人間の男が別の淫魔にブチッとファスナーをちぎられて連れ去られていた。
「バイバーイ♪ノロマな淫魔ちゃん♪」
それをファスナーをちぎられた淫魔が追いかける。
「テメェ !「また」連れ去られやがって !その女に一滴でも射精してみろ !今晩は寝かせねぇからな !」
「……抱き上げてくださいアランさん」
「素直な健一も素敵だよ」
驚いた事に淫魔界であるにも拘わらず人間らしき姿がチラホラと見える通りに出た。
「ややっ!アランさん、俺以外にも人間がいますよ!」
「ああ、この通りは人間くんを保護する淫魔が多くいるんだよ。そこの店の彼もついこないだ保護されたばかりだ」
「保護区か何かなんですか?」
「よくわかったね。ここは人間「きゅん」保護区画なんだよ。僕達が目指す場所もこの通りの近辺にあるんだ」
「……きゅんって言いました?」
「きゅんって言った」
……俺は何も聞かなかった事にした。
「ところでアランさんの目的地ってこの辺にあるって言いましたけど、アランさんの目的地って何処ですか?」
「僕が今日予約を取ったホテルだよ。人間が多く保護されている人間きゅん保護区画なら一夜を明かすのに安全だと思ってね。君が寝ている間に用意しておいたんだ」
「ほへー」
ん?人が寝ている間にホテルを予約しておくって何だか犯罪臭がするな。まぁアランさんの事だから親切心を効かせてくれたのかな。
そんな事を考えていると、横から突然話しかけられた。
「あの〜もしかして貴方も保護された方ですか?」
横を見ると看板を持った人間の男が立っていた。どうやら俺と同じく保護された人間のようだが看板持ちをやらされているみたいだ。
「そうですけど……貴方もですか?」
「そうなんです!僕も何が何だか分からない内にこの世界に来ちゃって。訳も分からない内にこの店のオーナーに保護されたんです!」
人間の男は興奮したように俺に話しかけてきた。意気投合して人間の話をするのかと思ったが、どうやら向こうはその余裕は無いようだった。
「お願いします!助けてください!この店の淫魔にご褒美と称して毎日搾り取られてるんです!ここから出して下さい!」
困った俺がアランさんの方を見ると、アランさんは肩を軽くすくめた。
「悪いけど君も淫魔に保護された身なんだろう?保護された者をどうするかは部外者の僕達には決められないね。どうしても出たいなら君の保護者に掛け合ってくれたまえ」
アランさんは珍しく冷たく突き放した。
「そんな!僕はもうウンザリなんです!この店の女は飛んだ業突く張りで毎日セックスを要求され──」
「ねぇダーリン?今の話どういう事?」
後ろからアランさんと同じくらい背丈の大きい淫魔が男に話し掛けた時、男から血の気が無くなった。
「は、ハニー。い、いや何でもないよ。この人もちょうど保護されたみたいだから──」
「言い訳は聞きたくないかなぁ」
あ、この流れ知ってる。さっきも見たやつだ。俺はそう思った。
「さ?行こうか?今日はちょっぴり激しくするからね」
そうして男は店の奥へと連れ去られて行った。俺は再びこう思った。成仏して(以下略)