※この作品はR-18です。

蛇と吸血鬼【完結】   作:春4号機

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③

 

 

「ひぁあッ……ん、ぁ」

 

堪え切れずに漏れ出すような嬌声が小屋の中に響く。

瑞鬼から漏れだす声を聴いたリンは、そのあまりの艶やかさに思わず喉を鳴らす。

 

「瑞鬼ちゃん……ちょっとエッチすぎない?」

「……ッ、だれの、せいだ、とッ……んぅッ」

 

リンの白い髪が、まるで生き物のように瑞鬼の身体を這う。その一本一本が、まるで蛇の舌のように敏感に瑞鬼の肌を撫で、熱を帯びた彼女の身体をさらに煽る。

月の光が小屋の隙間から差し込み、瑞鬼の白い肌を幻想的に照らし出す。その光景はあまりにも美しく、同時に危険な誘惑を孕んでいた。

 

「リン……っ、待っ、ほんと……これ、ダメ……」

 

瑞鬼の言葉とは裏腹に、彼女の身体はリンの動きに反応してしまう。

息を荒げて身悶えする瑞鬼の姿に、リンの瞳孔が縦に細く開く。それはまるで蛇が獲物を絡め取るような、ねっとりとした視線。

その視線は瑞鬼の心を更に強く縛り上げていく。

 

「ダメ?……そう言いつつ、瑞鬼ちゃんの身体はこんなに正直なのにぃ?」

 

リンはそう言いながら、ゆっくりと瑞鬼の首筋に顔を近づける。

彼女の吐息が瑞鬼の肌に触れるたび、ゾクゾクとした感覚が瑞鬼の背筋を駆け上がる。

リンの唇が瑞鬼の首に触れるか触れないかの距離で止まる。その唇の隙間から長い舌が覗き、チロチロと瑞鬼の首筋を湿らせていく。

 

「ん……っ、ちょ、舐めるのやめて……くすぐったいから……」

 

瑞鬼は必死に声を絞り出して抵抗するが、リンの髪が無数の蛇のように蠢いて瑞鬼の鎖骨や胸をなぞる。ただそれだけで瑞鬼の抵抗は霧散してしまう。

そして髪とは別にリンの指先はゆっくりと、瑞鬼の身体を下へ下へと滑っていく。

彼女の熱を探るようにリンの指は瑞鬼の下腹部で一瞬止まり、柔らかく瑞鬼の身体を愛撫し始める。

 

「やめないよ、瑞鬼ちゃんが本気で抵抗してくれなきゃ、私も止まれないもん。ずっとずっとず〜っと我慢してたんだよ?……私だって、瑞鬼ちゃんのこと、ずっと食べたかったんだもん」

 

リンの声はひどく熱を帯びていた。

リンの指が瑞鬼の肌を這うたびに、瑞鬼の理性は吸血鬼の本能に掻き消されていく。

リンの首筋から漂う甘美な血の香り。

吸血鬼としての本能が瑞鬼の牙を疼かせ、リンの綺麗な肌を貫き血を貪れと駆り立てる

 

「リン、だめ、ほんとに……私もう、抑えらんない……っ」

 

瑞鬼は最後の理性を総動員して警告するが、リンは優しく微笑んで彼女の言葉を聞き流す。

そして逆に瑞鬼の眼前に首筋を晒しながら、彼女に囁いた。

 

「良いよ、瑞鬼ちゃん?」

 

その言葉に瑞鬼の理性は崩れた。

リンの真剣な瞳と揺るぎない信頼が、彼女の胸を締め付ける。

吸血鬼としての本能と、最高のパートナーである彼女への想いがせめぎ合う。

傷つけたくはない、だけど彼女の全てが欲しい。

 

「はぁ、はァッ!……ヴぅうッ!!」

 

瑞鬼は相反する二つの思考に板挟みになり、獣のように唸ることしかできなくなった。

そんな彼女を「仕方ないなぁ」と慈愛の滲んだ瞳で見下ろしながら、リンは彼女の代わりに瑞鬼の望むことを実行することにした。

 

「んッ」

 

リンはガリッと自身の唇を傷付けて血を滲ませる。

そしてそのまま瑞鬼の唇と自身のソレを重ね合わせた。

 

「んっ……ふぁ……」

 

柔らかい感触と焼け付くような血の熱さが、瑞鬼の全てを塗りつぶしていく。

唾液と血液を一方的に送り込みながら、リンは長い舌で瑞鬼の口内を蹂躙する。

 

「ん、んっ……んくっ、ぁ」

「ぷぁ……ふへへ、瑞鬼ちゃん、かわい〜」

 

瑞鬼がゴクリと喉を鳴らして嚥下したことを確認して、リンはようやく唇を離す。

眼下で息を乱して口元を拭う瑞鬼を眺めながら、リンはにやにやと満足気に呟いた。

 

「……ふぃ〜。とりあえず、これで瑞鬼ちゃんの問題は解決、だね!」

 

一段楽したとでもいうようにリンは呑気な言葉を口にした。

先程まで瑞鬼にまとわりついていた髪も、シュルシュルと元に戻って行く。

 

「足りない……」

「え?」

 

のそりと身体を起こした瑞鬼は、剣呑な目付きのままでリンを押し倒した。

 

「瑞鬼、ちゃん?」

「リンが、悪いんだ……私は我慢してたのに、私だって我慢してたのに!」

 

ポロポロと涙を流して声を荒げながら、瑞鬼はリンの首筋を凝視している。

 

「……ん、ごめんね?だけど悪いのはぜ〜んぶ私だからさ。気が済むまで私のこと食べていーよ?」

「ッ!!」

 

その言葉で最後だった。

 

「んィッ!?」

 

瑞鬼はなんの躊躇いも容赦もなく、自身の長い牙をリンの首筋に突き立てた。リンはその衝撃に身体を大きく逸らして堪らず嬌声を上げた。

吸血鬼の吸血行為は親愛の度合いによって大きな変化があるのだが、その最たるものが快感の有無である。

吸血対象への愛情が大きいほど、吸血行為には快楽が伴うのである。

 

「ん、ぢゅる、ちゅっ、んく」

「ひぃぁ!ゃ、これ、やっ!瑞鬼ちゃ、ぁ、ぁっ、やぁあ!!」

 

瑞鬼の容赦ない吸血により、リンはもはやまともに言葉を発することすらできない。

先ほどまでとは立場が逆転し、血液を吸われる度に叩きつけられる暴力的なまでの快楽。その波の中にリンは既に飲み込まれてしまっていた。

 

「ぁ、あ、んん!も、だめ!うぁああぁ!」

 

リンは身体を逸らして快楽を逃がそうともがくが、瑞鬼に覆い被さられているため、ソレすらも満足に許されない。

 

「ごめ、ごめなさい!ごめんなさいぃい!!」

 

リンは視界にチカチカと火花が散るような錯覚を覚えながら、瑞鬼が満足するまで必死に謝って許しを請うことしかできなかった

 

それから明け方まで、リンの嬌声が止む事はなかったのだった。

 

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