やはり俺は孤独だった。 作:悪夢
一色から絶交の宣言を受けた日...まあ、昨日の事だが、その日はそのまま早退した。
理由はいくつかあるが...まあ、とりあえず服を着替えたかったというのが一番の理由だ。
最後の一色の言葉...
あれはかなりショックだった。...しかし、当然と言えば当然だろう。恋人でも何でもない相手にあんなことを言われるなんて...その場で他の人を呼ばれたり、そのまま突き出されれないだけマシだ。
それと同時に...ひどく興奮した。
一色の言葉を思い返しながら床に就いたら...それはそれは凄い夢を見た。
「あー...」
さて、今日は普通に平日だ。早朝に目が覚めたのだが、同時に股間に違和感を感じていた。
夢精だ。
まさかこの歳で夢精するとは。
まあ...一色の語った痴態が、彼女の声が付いた妄想と言う形で脳内再生されて...それがそのまま夢に出て来た。
誰でも同じことになるさ、と自分に言い聞かせながらパジャマと下着を着替えた。
そして...両親や小町が眠っていることを確認し、脱衣所へと向かった。
「はぁ...」
パシャパシャと下着とパジャマのズボンを水洗いして、そのまま洗濯機へと放り込む。
さて...もう二度寝する程の時間ではない。
一通り身支度を整えて、朝食を摂ることにしよう。
............................
何となく、そのままいつもより早い時間に登校することにした。
「...」
通学路をトボトボと歩く。
一緒に登校するような友人も幼馴染も居ないが...まあ、今日はそれで良かった。
頭を空っぽにして通学路を歩いていると、段々と気分も晴れて来た気がする。
学校に近づく頃には、なんとかいつも通りの会話が出来るくらいには精神状態が回復した...と思う。
「ヒッキー?」
背後から声を掛けられた。
柔らかく可愛らしい声。
振り返ると、明るい髪色にスタイル抜群の身体、可愛らしい童顔の彼女...由比ヶ浜結衣が立っていた。
「由比ヶ浜...」
「やっはろー、ヒッキー」
ニコニコと可愛らしい笑顔で挨拶してくれる由比ヶ浜。
荒んだ心を癒してくれるような優しい声に...思わず泣きそうになってしまった。
「...おう」
心から嬉しかったのに、こんな返事しか返せない自分がもどかしい。
「大丈夫...?なんか...元気なくない?」
心配そうにのぞき込む由比ヶ浜。
彼女の優しさが本当に嬉しい。....しかし、元気が無い理由を悟られるわけにはいかない。
「ちょっとな...ハマってたゲームがサービス終了して落ち込んでるだけだ」
「え?ゲーム?」
もっともらしい理由を付けたつもりだったのだが、由比ヶ浜は不思議そうに小首をかしげていた。
「バカお前...サ終って辛いんだぞ?これまで愛情かけて育てた我が子を...一方的に取り上げられるような気持ちになるんだ」
まあ、そこまで思い入れのあるソシャゲは無いけどな。実際にはこんな心境のプレイヤーも居る事だろう。
「そんなに!?あ、あたしはそんなにゲームしないから...わかんないのかも。でも...そうだよね。しょうがないのかもしれないけど、大切なモノが無くなっちゃったら悲しいよね...」
俺は適当に誤魔化したというのに、真摯に受け止めて悲しんでいる。....この辺りが由比ヶ浜の魅力の一つだろう。
他者の気持ちを慮り、共感して、優しく受け止める。心から優しいその性格。誰もが振り返る可愛らしい顔立ちと抜群のスタイルだけではない、由比ヶ浜結衣という女の子の魅力的な一面だ。
「ま、まあ、たかがゲームの話だから...そこまで気にしなくても良いぞ」
「そうなの...?」
俺より気落ちしている表情の由比ヶ浜。逆にこちらが気を使いそうなくらいだ。
「ああ。だからお前が気に病むことなんて一つも無いんだ」
「...そっか。わかった」
ふわりと微笑んだ由比ヶ浜。
「っ...」
その愛らしい笑顔に思わず胸が高鳴ってしまった。
.....そういえば、コイツにはそれなりの好意を向けられているんだったな。
誰もが振り返る美少女に想われているというのは...悪い気はしない。
それに...最近、好意を向けられていると勘違いしていた女の子に、バッサリと現実という刃で切り裂かれたばかりなので...由比ヶ浜の優しさは余計に心に沁みた。
「そういえば...随分と早いな。いつもこんな時間に来てるのか?」
まだまだ他の生徒の姿が見えないようなかなり早い時間だ。
「あ、う、うん...今日はその...車で送ってもらったから」
何故か急に言葉に詰まり始めた。
「そう...なのか?」
...それはそれで妙な話だ。コイツの家からであれば、ゆっくり歩いても余裕で間に合う時間だ。
それなのに、わざわざこんな時間に送ってもらう必要なんて...
「あ」
そういうことか。この時間に親御さんが出勤して、その車に同乗してきたということか。確かに、通勤距離が長いとこの時間に出発する必要があるのかもしれない。
「ヒッキー?」
「いや、お前は父親とも仲が良いんだなと思ってな」
この年頃の女子が父親とコミュニケーションを取っているというのは...ウチの父親と小町の関係を見ていると、とても珍しいモノに見えた。
「え?」
「え?」
しかし、由比ヶ浜のリアクションは少し違った。どういうこと?とでも言いたげに小首をかしげている。
「あ...うん、確かに仲は良いと思うけど...いきなりどうしたのかな、って」
おや?父親じゃなかったのか?...というか、そもそもコイツのマンションってここから徒歩5分じゃないか。それなのにいったいどうして車で来る必要が...?
「...」
「ひ、ヒッキー...顔怖いよ?」
「あ...悪い」
考え込んでしまっていたらしい。
「ううん、大丈夫だけど...」
...ここで根掘り葉掘り聞くのも失礼か。
「...ん?」
そういえば、由比ヶ浜の歩き方に違和感がある。
足でも痛めたのだろうか?
「由比ヶ浜、怪我でもしたのか?」
やけにフラフラとした足取りだ。
「え!?...う、うん!そうなの!ちょっと階段で転んじゃって...足と腰がちょっと痛いの」
「それ...大丈夫なのか?」
というか...どうして慌てる必要があるんだ...?
「だ、大丈夫大丈夫!気にしないでっ」
ますます疑問が沸いてくるのだが...その答えを聞けずに教室に辿り着いてしまった。
「よい...しょ、っと」
ひょこひょこと歩いて、そのまま腰を押さえながら席に着く由比ヶ浜。
「本当に大丈夫か?酷いなら病院に行った方が良いぞ」
「あ、ううん、本当に大丈夫だから...ちょっと力が入らないだけだから...」
転んで力が入らないというのは結構な重症だと思うのだが...まあ、とりあえず今日は俺も気に掛けておくか。
とりあえず俺も席に着いて荷物を片付ける。
さて...今日の課題は全部終わっていただろうか?
「...ふふっ...♡」
「ん?」
唐突に由比ヶ浜の声が聞こえてきた。
彼女の方を見ると、何やらスマートフォンを手に持って微笑んでいる。
...何か面白い記事でも見つけたのだろうか?
「...えっと...あたしも...っと...♡」
いや...違うな。これは誰かとメッセージを送り合っている。
....まあ、別に不思議では無いか。俺や雪ノ下とは違い、コイツには冗談を言い合うような友人が沢山居ることだろう。
雪ノ下がこんな顔でスマホを眺めていたら...それはそれは不気味だろうが、感情が顔に出やすい由比ヶ浜なら違和感は無い。
「...」
しかし、先日の一色の件もある。相手が友人とは限らない。
「...はぁ」
...気にしてもしょうがないか。
とりあえず、暇つぶしに本でも読むか。
そう思い、カバンに手を突っ込んで漁ってみたのだが...
「ん...?」
家から持ってきた読みかけの文庫本とは違うブックカバーが巻いてあった。
どうやら間違って持ってきたらしい。
読みかけの小説の内容は気になるところだが...まあいいか。
表紙を捲り、タイトルが記載されている巻頭ページを開いた。
『3年目の違和感』
―――ミステリーだろうか?
どうにもこの本のタイトルに覚えがない。
どうやら小説らしいが...まあいいか。
冒頭から読み始めると、どうやら主人公は結婚3年目のサラリーマンらしい。今のところ、登場人物としては、主人公の他には美人で清楚という描写がなされている妻だけだ。
主人公が仕事を終えて自宅に帰ると、何故か家はもぬけの殻で、専業主婦である妻の姿が無い。
―――なるほど、此処で事件なのだろう。
不思議に思い、妻の携帯電話に掛けてみたところ、何故かリビングから着信音が聞こえて来た。
しかし、リビングにも妻の姿は無く、心配になって来た主人公。
―――何とも不穏な雰囲気だ。妻が事件に巻き込まれたのだろうか。
その時、玄関が開錠された音が聞こえた。ゆっくりと扉が開くと、そこに居たのは妻だった。
"あ、あなた...帰っていたのね"
"そうだけど...珍しいね、こんな時間に"
妻の髪は少し乱れており、少し息が上がっている様子だ。元陸上部である妻なので、多少の距離を走っても息一つ切らさないというのに珍しい。
"ごめんなさい、直ぐに御夕飯を作るから"
妻は、足をガクガクと震えさせながらキッチンへと向かおうとした。しかし、そんな状態の妻をキッチンに立たせる程、俺は亭主関白ではない。
"たまには俺に任せて。君は座って待っていてくれる?"
そう言いながら妻の細い肩に触れると...何故かビクンと震えてこちらに向き直った。
"そ、そうね...じゃあ...お願いしてもいいかしら?"
"う、うん..."
妻の身体は...熱かった。体調が悪いのだろうか、と思ったのだが...それも少し違う気がする。
―――この小説、まさか...
―――ぺらぺらとページを捲ると、シーンは夫婦の寝室へと移動していた。
"はぁ...はぁ...っ...!"
ギシギシと軋むベッド。眼下に広がる妻の裸体は、10代の頃から変わらず美しい。ピストン運動を繰り返すと、それに応じて妻の豊満な双丘が大きく揺れる。
"..."
いつも通りの夫婦の時間。しかし、今日は妻の可愛らしい嬌声が聞こえてこない。...体調が悪いのだろうか?
しかし、相変わらず妻の膣内は具合が良く、俺の方はすぐに限界が来てしまった。
"うっ...!"
"っ..."
ドクドクと感じる射精の感覚。
夫婦なので避妊を考えずに精を放つことが出来れば...最高の快楽なのだろう。しかし、妻はまだまだ二人の時間を大切にしたいと望んでいるのだ。だから今日も、俺の精を受け止めるのは薄いゴムの膜だ。
"はぁ...はぁ..."
"..."
相変わらず妻の反応が鈍い。
"ごめんね、体調悪かった?"
"...え?あ...ううん、そういうわけではないのだけれど..."
妻は少し考えて再び口を開いた。
"...そうね。ちょっと体調が悪かったのかも。ごめんなさい、あなたが悪いというわけ....ではないから。"
―――やはりそうか。これは官能小説だ。
―――しかし、こんな小説持っていただろうか?
―――一応、健全な男子高校生なので、その手の書籍は複数心当たりが有るが...まあ、そのうちの一つだろう。
...再びページを飛ばすと、次の濡れ場が描写されていた。
"ああああっっっ!!!だめだめだめぇぇえええ!!!"
快楽で脳が焼かれそうなほど...強烈な絶頂。
あの人の肉棒では決して届かない...最高に気持ち良い所。
"相変わらずスケベな女だな。一生懸命働いているダンナに罪悪感は無いのか?"
"いいの...もうあなたのおちんちんの事しか考えられないの...!...っあああ...っ...!"
言葉の途中でも彼の硬くて大きな肉棒が膣奥をコンコンとノックしている。その度に私ははしたない喘ぎ声をあげてしまう。
"ほら、スパート行くぞ。仕事中のダンナに謝りながらイけよ...っ...!"
ピストン運動を更に激しくする彼。私の気持ち良い所を全部刺激してくれる...素敵な肉棒。
"ごめんなさいっ...!夫婦の寝室に他の男を連れ込んで...その男のおちんちんで気持ちよくなってごめんなさい...っ!!"
先日も、夫が仕事から帰って来る直前まで彼とセックスをしていた。服を脱ぐ間も惜しんで、スカートを捲り上げられて後ろから立ちバックの体位で挿入されて...おかげで、夫が先に帰って来て、私はイッたばかりの余韻で足が震えてしまっていたのよね...
"もっとあるだろ?今日は何の日だ?"
いじわるな彼は、腰遣いをゆっくりとしたものに変化させた。私が返事をするまで、もどかしい程のピストン運動しか与えてくれないのだろう。
"ごめんなさいっ...!夫以外の男に...危険日孕ませセックスされてごめんなさい...!!もう何回も危険日
今日の
再び始まるピストン運動。私はずっとイったまま帰って来れない。そして...今日は一番妊娠の可能性が高い危険日。
私の上で腰を振る強い男の...強い遺伝子を子宮が欲しているのが分かる。
私は、気が付けば彼の腰に足を絡めて、全身で抱き着いていた。
"くっ...また
彼が私を抱きしめながら、更に激しいピストン運動で私の子宮を潰す。
"ああああっっっ!!!
絶叫に近いくらいの喘ぎ声。そして、その瞬間はやって来たのだった―――
「....」
パタンと本を閉じた。
これは...ダメだ。
何となく、タイトルで不穏な雰囲気があったのだが...これは不倫がテーマの濃厚な寝取られモノの官能小説だ。
「あれ...?」
しかし、どうやら夢中で読んでしまっていたらしい。気が付けば他のクラスメイトも登校してきており、時計を見るともうすぐ始業時間だった。