子供に戻ったと思ったら女体化させられるし女として生きるべきか男のまま生きるべきか分からない俺はスワンプマン 作:千佳のはんぺん
かがりんを虐めるようになって1ヶ月経った。
ただ義務として、いじめるべきクソ女だからいじめている。そんな当初の意識をそのまま引き摺った思考停止の義務感から紗理奈はかがりんに強く当たっているが、もうそこに何の感情も抱いてない。紗理奈にとって、もうかがりんはどうでもいい雑魚みたいな扱いになっている。
小鞠ちゃんは元々どっちつかずの立場だったから何とも言えないけど、少なくとも今はかがりんと付き合いを戻すつもりはないようだ。紗理奈と同様、視界に入れないようにしてあまり感情を向けないようにしているのが見て取れた。
二人ともかがりんと仲良かった癖に薄情だ。ウチはかがりんの事が大好きだったから、1ヶ月経った今でも彼女に率先して関わろうとしている。
いじめが起きてて静観を決めるだなんて、そんなの絵にも描かれないようなモブのする事だから。
「あははっ!! 涼しくなったあ〜? まだ汗を流したいのならおかわりしてあげるよ〜」
「ひっく……ぐすっ……」
女子トイレの個室の中からかがりんがすすり泣く声が聴こえてくる。かがりんが虐められる側に落ちてから、彼女はクラスの二軍カーストと呼べる女子グループ四人に執拗にいじめられるようになった。
バケツの中の水を個室の上から掛けられ、罵倒する事すらなく弱々しく泣き声を上げる。以前のかがりんなら茶化したり煽ったりしてきそうなのに、彼女は最近抵抗らしい抵抗を見せなくなった。
心が完全に折れている。なのに学校には変わらず登校してくるし、自分を傷付けているような様子もない。だからまだ遊べる、退屈しのぎとして最高な相手だ。
「皆〜。次の授業移動だから、もう散った方がいいよ〜」
「そうだね。蝶田さんは行かないのん?」
「ウチはかがりんと話したい事あるから。先行ってて」
「おっけー」
ゾロゾロと女子達が掃けていく。
……? 一人、二軍カーストの小判鮫ポジションである堀口さんだけ皆に着いていかず、水の入ったバケツを持ったままウチを見ていた。
「どうしたの? 堀口さん」
「んーん。何話すのかなって思って」
「ははっ。下らない世間話だよ。ちょっとした」
「私も聞いてていーい?」
「ん? なんで? 堀口さんには関係ないよ?」
「聞いてたいの」
何なんだろうこの子は。何でこんなに食い下がってくるの?
「堀口さんには関係ないから早く行きなよ。その水、かがりんに掛けたらさっさと掃けて?」
「えー。聞かせてよ、あたし、二人がどんな話するのか気にな」
ドンッ! と中から扉を蹴る音がした。かがりん……? ここに来て水を掛けたことに苛立ち衝動が押えきれなかったのかな?
「……あ。あっはは!!!」
それまでつまらなそうな顔をしていた堀口さんがぱあっと笑顔になり、笑いながら中のかがりんに水をかけた。そして、そのまま堀口さんは嬉しそうな顔をしてトイレから走り去っていった。変な人。
「やっと二人になれたね〜。かがりん」
扉を開けると、なかには全身ずぶ濡れで便座に座ったまま俯いているかがりんがいた。
シャツの上にカーディガンを羽織っていたが、どちらも濡れて肌に張り付いている。そのまま放置したら風邪を引いてしまうだろう。そんなので休まれたらつまらないな。
「大丈夫〜? ジャージ貸して上げるから、この後保健室で寝てきなよ。今日は先生居ないっぽいし、鍵空けとくからさ」
「……」
「あれ? 助けてあげるってのに返事も無いの? かがりん、お礼は言えるようにしないとダメだよ?」
「……ありがとう、ございます」
ボソボソ口を動かすかがりんの頭にバケツを被せる。滑稽な姿につい笑ってしまった。
「ねえ。かがりん」
「……」
返事がないのでバケツ頭を叩く。
「かがりん。なんでこんなにいじめられてるのに平気な顔して学校に来られるの?」
「……中三やし」
「あー。そうだね。でもかがりんの成績なら来なくても受験問題ないよね? あ、もしかして、同中の子が居ないような上のレベルの高校目指してるとか? そうだとしたら健気だね〜、前向きに頑張ろうとしてるんだ! でもさ、どうせウチらと縁が切れても高校、大学で同じような目に遭うと思うよ? かがりんってさ、無神経だし空気読めないしさっ!」
「……」
「今だってウチに何も言い返さず黙りこくったままだしね〜。普通さ、こういう時は小声でもなにか恨み言うべき場面だよね? トロいよね〜、かがりんのそういうボーっとしてる感じ。やっぱり腹立つわ〜」
「……話長いね」
「は?」
掃除用具入れからモップを出すと、それをかがりんの胸に押し付けた。
「それ、舐めろ」
「……」
「かがりんさあ。誰とも会話出来なくて寂しそうにしてたから久しぶりにこうして仲良く話してやろうって思ったウチの親切を無下にするわけ? 性格悪いよ? 居るよね〜、いじめられた過去があるからって人間不信になって優しく手を差し伸べようとする善人にも敵意を向ける奴。ウチそういう人間嫌いだわ〜、いじめなんて徹頭徹尾全部100パーセント一点の曇りなくいじめられる側しか悪くないのにさ? いじめてくれた先生達に責任転嫁して、関係ない人にも敵意を向ける厚顔さ? まじこの世界が物語だとしたら悪役でしょ。幸せになれないよねそんな奴」
「だから長いって。何の話してんの。私使って価値観ひけらかしてオナニーしないで。全然頭入んないし」
「……なにそれぇ〜?」
思い切りモップを押す。かがりんの背中がトイレのタンクに付く。そのままグイグイとモップを押し続け、バケツ下の顔の口元に無理やり当ててやる。
「オナニーなんかしてないわ、気持ち悪〜。そうやって言えばウチの気分害せると思った〜? 残念でした〜、全く的外れな事言われてもなんにも感じませ〜ん。でも折角かがりんを助けてあげようとしてあげたウチに生意気言ったから躾はしないとだもんね〜。ほら、舐めろよ。舐めろっ!!」
グイグイと押し付けるとかがりんの頭が振り子のように上下する。ざまあみろ、役柄も弁えていない奴には当然の報いだ。ウチが居なきゃ存在が成立しないモブの癖に歯向かうとか、何様なんだっての。
「ほら、ウチに謝ってよ。正しい事言ったウチに対して価値観をひけらかす、なんて暴言を吐いた事謝って。かがりん、人に悪い事したらごめんなさいでしょ。生理の時みたいにこれもウチが教えてやらないとダメなわけ?」
「……そうやって、自分を肯定する事しか出来ないから、自分に落ち度があるとか誰より劣ってるとか見たくないから。都合のいい自分の妄想に付き合ってくれる奴隷を作る為に人を陥れてんだね。蝶田ちゃんって」
「……ねえ何言ってんの? さっきもそうだけど、何を言っているの? かがりん。ウチがなんだってー?」
「他人依存のナルシストなんかが、目立てる人間になんかなれる訳ないやろ」
「………………あ?」
鹿狩の首の位置にモップを当て全力で押す。横に回すように捻ると、鹿狩の首が斜めに曲がる。鹿狩は必死に抵抗している、力は拮抗していた。
「蝶田〜。まだ〜?」
「……あぁ。鷲見さん、ごめんごめん。今行くよ」
鷲見さんが呼び来たのでモップを離し、バケツ頭を一度小突いてからトイレを出る。あ、そうだジャージ。
ウチはかがりんの為にわざわざ教室まで戻ると、自分の体操服袋の中からジャージと短パンを出すと手間だと言うのに一々トイレまで戻りかがりんの膝にそれらを乗っけた。
「それ、返さなくていいよ。使わないなら捨てといてね」
「……ありがと」
「! ふふっ。お礼なんかいいんだよ、かがりん。風邪引かないようにね」
やっとここで素直になったらしいかがりんの撫で……ようと思ったけど濡れてて気持ち悪かったからそのままにして。ウチはトイレを出て視聴覚室に向かった。
*
「う〜〜ん! クンカクンカ。現役JCのジャージ、良いね〜!」
俺は情け容赦で蝶田ちゃんから頂いたジャージと短パンに着替え、その香りを堪能していた。どこの柔軟剤使ってるのかな? めちゃくちゃフローラルでふわふわだ、いい匂いだね〜。
「はあ。しっかし、パンツもブラもびちょ濡れとは……」
下着無しで学校徘徊はちょっと露出狂みあるな。まあこれまで何度もパンツ無しで歩かされた事はあるが。
「蝶田ちゃんかあ。美人メガネ女子のジャージ……かなり良いな。俺実は、メガネお姉さんかなり性癖なんだよね〜つって」
名前欄に蝶田と書かれているのを確認し、濡れた制服を畳んで掃除用具入れにあった黒いゴミ袋に詰め込んで保健室に向かう。
保健室に着き、乾燥機にシャツ、スカート、カーディガン、ついでに下着一式も共にぶち込む。これで縮んだら泣いてやろ。ユニクロのカーディガンって高いもんね、ほぼ4000円で絶望したわ。
「一応備え付けのブラとか無いか探してみるか。パンツは……クソだっせぇガキパンツしかないし。短パンやし耐えだな」
保健室の棚をテキトーに漁る。うわ、コンドームだ。誰のだよ。俺のでは100ない、佐藤絶倫すぎて前来た時は何度か腹出しされたし。
「……っ」
うわ、そうやん。思い出してしまった。俺と佐藤がヤッたベッド……。
二つしかないベッドの片方にしか掛け布団がなくて、だから寝るってなったらそこしか使わなくて。俺ら、寄りにもよってそっちでセックスしてたんだよなー……。
「……ブラ探そブラ。垂れ乳なったらやんやんだからね〜」
誰に言うでもなく、意識を霧散させる為に棚を漁る。
「……お、あった。てちぃせえ!? 収まんないよ!!!」
棚の上の方にあるバスケットの中にはブラは数枚入っていたが、サイズがA70からC65まで。
まじ架空の存在相手に大自慢カマすけど、トップ90アンダー69の俺にはシビアすぎるブラしか無かった。E70のブラは中学生には縁遠い物扱いらしい。
……うちのクラス、マジに巨乳多いんだな。感謝。はあ、皆と仲良くなり直して胸揉みしだきてぇ〜。
「仕方ないか……」
どうせ誰も来ないだろうとは踏んでいたが、夏だから暑いし、ジャージの前開けたままにして寝転がっていたかったわ。前を閉めて腕をまくる。エアコンのリモコンはどこかしら〜?
「ふぅ」
エアコンを点け、室内が涼しくなってきたあたりで窓を閉めてベッドの上で横になる。快適だ。授業に参加出来なかった事は悔しいが、まあたまにはこういう日があってもいいだろう。
「辻井の後輩君達、ちゃんと頭トチ狂ってくれたかなぁ。精神力強い子居たら、チクられちゃうかなぁ」
結局あの後、動画欲しさに辻井にレイプさせるといった事を行ったせいで拘束を解くのが遅れてしまった訳だが。
監禁系の拷問をするなら、環境に慣れる前に恐怖を刷り込ませなければならない。人間は慣れる生き物だから、いくら発狂していようと状況が変わらなければいつかは耐性が付き、平気になってしまう。
発狂する直前で止めたのならトラウマ止まりになってくれたんだが、完全にミスったな。
「もし克服してる奴いたら、個別で拐わないとだな……めんどいなぁ。でも辻井が1番都合いいんだもんな、今泉ファミリアぶっ壊すには……しゃーないよなぁ」
本音を言えば辻井とセックスとか死ぬほど嫌だったし、脂性肌の辻井をベロンベロン舐めるのも吐きそうなの我慢してたし。この頑張りが報われなかったらこっちがメンブレするって話。
「……しゃーないのかなぁ」
ここまでする必要……はまあどうでもいいけど。俺が自分から体を差し出すラインが低くなってる事にちょっとした疑問を抱く。
佐藤は例外として、廻君は面自体はいいからまあ順当だとしても、辻井に対してあんなにアッサリ『自分を使ってハニトラ仕掛けよう』って発想を思い至るとは。
もし俺を女にしたあの医者が俺をブスに作ってたら、ここまで安売りすることも無かったんじゃないか。そういう点でも医者に感謝だな。全てにおいて都合のいい体を作ってくれてありがとーごじゃいます。
「……はあ」
寝返りを打つ。鷲見さん堀口さんが居ない学校、家には廻君か監視役の赤池がいるから、今は久しぶりの一人の時間。久しぶりに、独りの考え事に耽る。
俺は、鹿狩八尋をやれていただろうか。いじめ云々は置いといて、もし鹿狩八尋が女になった場合とか、彼氏を作った場合とかのムーブを出来ていただろうか。
相手が出来るだけ喜ぶように考えて動いたつもりだったし、嫌われるなら嫌えるムーブを意識したつもりだったが。
「そもそも修学旅行事故の原因があんまよく分かんないからこんな事までしなきゃいけねぇんだよ……運転手が居眠りしたとかなら廻君握った時点でクリアだったのに。はぁ……」
バタフライエフェクトを気にする必要も無いくらい単純な原因だったら学校通わずニートでもやってやろうって思ったのに。全く、意味分からん病気で死んだであろう人間なのに、なんで生まれ直してまでまた奔走してんの。アホくせぇ〜マジで。
「……佐藤に嫌われたのは、ちょっと堪えたな」
誰も居ないし。少しだけ、本音を出す。
脳みそは俺そのものだけど、体は成長するとホルモンバランスとかの関係で趣向や思考は変わってくる。
女脳にはならんやろとタカをくくっていても、どうしても女に寄ってしまう所はある。恋愛観なんかは特に。理性じゃどうしようも無い本能の部分で歪んでいくから、どうしようも無かった。
女に対してエロいと思える脳は残っていても、だからといって男に対して何も感じない訳が無い。だから、そうなるとは分かっていても、佐藤と別れた後はしばらく引きずっていた。いじめられるよりしんどかった。
……今でも少し、引きずってるし。人に言っておいて未練がましい奴だなと我ながら思う。
「……っ。なんで今ムラっときた? 俺」
意味わからんタイミングで自慰したくなった。なんで? えっ、女脳って未練がある男の事思い出すとムラつくん? 心のリストカット過ぎない? それ。
「いや、でも待てよ。前の世界の年齢足したら俺、今の中身年齢34歳? 意識覚醒前の年齢を抜いても24歳? うーむ結婚適齢期。もしや、妙齢になると性欲が増すという女性のアレか?」
肉体は紛うことなき14歳なんだが、性欲って体と脳どっちに依存するんだろうね。ホルモン云々で体依存だと思ってたけど、思えば俺すぐに濡れるんだよな。そんな14歳いる? きっとあんま居ないよね。
これに関しては絶対に誰にも言えない秘密なんだけど、電車乗った時に尻揉まれて濡れたしね。普通に自分が変態の気があるのかとゾッとした。
あと、電車乗ると3分の1くらいの確率で痴漢に遭うのもゾッとした。痴漢冤罪なんか問題にするなー! ってヒスる気持ちが少しだけわかった。専用車両乗れば解決やが。
「はぁ……誰も来ねえよな? すっごいほじりたいけど、人来たらちゃんと終わるもんな……」
あぁ〜。ウズウズする。何でだろ、頭の中で佐藤とヤった時の記憶が離れん。くそー、ハニトラばっかしてて満たされないからやろ絶対。
うぅ……廻君に頼むのもなんかビッチっぽくて嫌だし、どうしよう。
「……ちょっとだけならいいか」
何がいいのかは分からないが、まあ、人が来たら音で分かるし。毛布を被り、ムラつく胸を抑える為に俺はズボンの下の筋に指を伸ばしていく。
「失礼しまーす」ガララッ。
「むんっ!!!」
なんでじゃああああ!!! なんで今まさにツプッと指を入れた直後に入ってくるぅ!? いらんのよそういう奇跡は! ぶっ殺すぞ!!!?
「あれ、先生居ないね」
「そうだね〜。あでも、一応人は居るみたい」
「そっか。寝てんのかな?」
「さあ。毛布は……あ、そういえば一つしかないんだった。ごめん朔月君」
「いいよ、ありがとう井上さん。俺はもう大丈夫だから、授業戻ってて」
「うん、お大事に」
クソー……。完全にシコる、いや付いてねえわ。オナるマインドでいたせいでムラムラが加速したわ! 殺生すぎる〜生殺しすぎる……ホントなんなんだよ、誰だ入ってきたやつは……!」
「って、小刻くんじゃん」
「あ鹿狩さんだったんすね」
カーテンを空けて顔だけ出して確認してみると、保健室にやってきたのは朔月さんの弟である小刻くん(中学一年生)である事が分かった。
「なぁんだ。知り合いか、丁度いいや。話し相手になってよ」
「お易い御用ですよ鹿狩さっ、ちょっと!?」
カーテンを空けて小刻くんに向き合うと、何故か小刻くんは両手で目を覆った。何事かと首を傾げていると、小刻くんは指の隙間から俺を凝視しながら叫ぶ。
「前! 空いてますジャージ! てか下着は!?」
「えっ、ああぁああっ!!?」
いや忘れてたわ、うん。だってオナるマインドだったんだもん。廻君が来る前までは片手で胸を弄りながらほじってたから完全に習慣着いてた。
流石に見えたのは胸と胸の間ら辺とかその近辺の膨らみだけだと思うしいいんだけど、ちょっと今の流れは恥ずかしすぎて笑えんかった。
「ビックリした……心臓に悪いっすよ鹿狩さん!」
「でも小刻くん、私の胸ガン見してなかった? 指の隙間から」
「そんな事してなっ、だってしょうがないでしょ男なんすから!」
「いや誤魔化す方向性で良かったと思うけど。何故に正直」
「ハッ! くっ……こういう言い合いする時、姉はいっつも『本当? 本当に本当?』ってしつこく言ってくるんで、ついその時の感覚で正直に答えちゃいました……」
「そうなんだ。まあ分かるよ、小鞠の『本当に本当?』攻撃はよく見るもん。ちょっち面倒いよね、あれ」
「本当っすよ! ちょっちってかガチ面倒いっす!」
「あはは。酷い言われようだ」
笑ってやりながら、まあ知り合いだったしとの事で勝手にポットを拝借しお茶を淹れる。途中で小刻くんが「先輩にやらせる訳にはっ、俺が淹れますよ!」って言ってきたが座ってもらった。こんな事で先輩後輩意識するのはヤンキーくらいなのよ。
「はい、小刻くん」
「すませんっ! ありがとうございます鹿狩さんっ!」
「いや頭下げんでも。てかどうしたの? 怪我とかした?」
俺の問い掛けに、ズズズと茶を啜った後に小刻くんは答えた。
「立ちくらみが酷くて。貧血と寝不足っすね。それで体育館暑いしって事で、保険係の子に付き添ってもらってここまで来ました」
「あ、保険係の子か! てっきりさっきの子と付き合ってるのかと思ったよ」
「つ、付き合ってませんよ! アイツはただのクラスメートっす!」
「ふーん」
「鹿狩さんはどうしたんすか?」
「私は……」
どう答えようか。いじめられてて制服が濡れたからここに来た? そんな事言ったらいらん心配してきそうだもんな〜この子。死ぬほどいい子やし。
「私はただのサボりだよ。特に理由なし」
「サボり〜? 鹿狩さんってやっぱり意外と不良ですよね」
「不良の敷居低くない? 置き勉しただけで不良って呼ばれるような気分なんだけど」
「こんな堂々とサボる人は不良側でしょ。そういう人らと付き合いあるのも見てますし」
「昔と違って、今のヤンキーはあんまり排他主義じゃないからね。普通に接してみなよ、仲良くなれるよ」
「別に嫌ってるとか偏見がある訳じゃないすけど。仲良くしてくれるなら嬉しいですし」
「そっか」
いいね〜その言葉。そんな事言われたらコイツ良い奴じゃんってなってメロついちゃうよ。人たらしの才アリだね〜小刻くん。
「ねえ小刻くん」
「はい?」
「さっき、正直に胸をガン見してしまったって言ってたけど。どう思った?」
「え、ど、どうって?」
「私の胸。ガン見するほどエロかった?」
「はいぃ!? いや、それはー……まあ」
「ぶふっ!」
面白すぎて吹いてしまった。正直やな〜、嘘つけ無さすぎ! いじりがいあるなこの子。
「もいっかい見る?」
「はい!? いや良くないすよそれはっ、俺ら赤の他人だし! そういうのはカップルでやるもんでしょ!?」
「見たくないの?」
「見たいです! あ、ちがっ」
「違うの? 見たくないんだ」
「ちがっ!!! 見たいです! 見たいです、けど……そういうのは」
「そういうのは?」
「……そういうのは、不健全でしょ」
「ゲームだって影響力考えたら健全とは言い難いよ〜?」
「いやそれはどうっすかね!? 健全なゲームなんて沢山有りますよ!」
「こういうのだって、健全な遊び方だってあるよ?」
俺は首元まで上げたチャックを掴み、ジーッと下の方まで下げてジャージの前部分を再び開ける。小刻くんは今度は目を隠そうとはせず、俺のチャックの動きを凝視した後、ゆっくりと視線を胸の方まで上げた。
ゴクリ、と。小刻くんは固唾を飲んだ。本当に正直だなぁ。
「ただ前を開けただけ、それ以外の事はしない。どう? これは不健全?」
「えっ。……えぇ、と。何もしないなら、まあ、健全、すかね」
「だよね。水着なんて来たら谷間なんてすぐ見えるし。じゃ、これは?」
俺はジャージの両端を掴み、腰の方に持っていくと胸肉がさらに露わになる。
乳首が出る寸前で止め、小刻くんを見る。少し前のめりになって、俺の胸元を凝視していた。
「あははっ。これは健全? 不健全?」
「それは不健全っすよ!! てか何やってるんすか今!?」
「ゲームだよ。健全不健全ゲーム。小刻くんが反応したら小刻くんの負け、しなかったら私の負け」
「反応!? 反応って、な、なんの事すか!」
「さあ。なんの事だろうね?」
ニコッと笑うと小刻くんが顔を赤くして逸らしてきた。ふはは、こんな程度の事でタジタジになるとは、まだ青いな。朔月小刻よ。
「触ってみる?」
「はいぃ!? なっ、鹿狩さん!?」
「んー?」
「ど、どうしたんすか今日! 様子おかしいっすよ!」
「いやいや。君らんち行った時もおへそ見せたり小鞠のスカート捲りあげたりしたじゃん。別に普通だよこれくらい」
「普通なんすか!? え、女子みんなこんな遊びしてんの!?」
「いや遊びはどうだろ……でもまあ、こんなくらいの事なら特に抵抗ないよ」
「そ、そうなんすか。女すげ〜……!」
いや純粋か。実際は結構恥ずかしいけどね。小刻くんは何をしても手ぇ出してこなさそうだから出来るってだけだし。
……でも、小刻くんがどこまで理性を我慢出来るのか少し気になるな。辻井は実際の所性欲マシーンだったし、真の童貞男子の臨界点が何処らへんなのな確かめたくなった。
朔月さんの弟なんだし、ちょっとちょっかいかけちゃお〜っと。
「触ってみる? おっぱい」
「え……っ!」
「嫌?」
「や、嫌ではなっ、でもっ、それは……っ」
「いいよ。指でつんつんくらいなら。ゲームなんだってば。ほら」
乳首がポロリしないように気をつけながら胸を突きだす。小刻くんの目がさらに開くような感じがして、再び固唾を飲んでいた。
「い、いいんすか」
「あはは。うん。ほら、つんつんって」
「……あざす、あざす! し、失礼します」
震える指で、小刻くんは俺の胸に触れようとする。
膨らみに指が触れる直前、小刻くんは手を離して「いやっ! ダメだ!」と声を上げた。
「やっぱりダメっすよ! 俺ら赤の他人じゃないっすか!! こんな事するのはおかしいっす!」
「え〜? 今触りそうだったじゃん。私もちょっとそれ期待してたのに、残念だなぁ」
「期待!?」
「うん。小刻くんになら別に触られてもいいし、実はちょっとエッチな気分だったから、こんな提案してみたんだけどな」
「エッチな気分……ですって!?」
「不意なお嬢様口調」
「くっ……しかし……」
「あ、でもさー小刻くん。やっぱり触っていいよ、セーフだよ。確かに私達カップルじゃないけどさ」
顔を近付けて、小刻くんのすぐ側で小声で言う。
「……反応しなければ、友達同士のじゃれ合いでしょ? どんな事をやったとしても」
「じゃれ、あい……?」
「うん。小刻くんさえ我慢出来れば、私に何しても友達同士のふざけあいっこだよ。だから、小刻くん」
小刻くんの後頭部に手を添え、優しい力で視点を下げさせて俺の胸に持ってこさせる。よく考えたら、両手離してるし前傾姿勢だしで上から見たら乳首見えちゃうかもしれないが、まあそれはもういいだろう。
「私のおっぱい、どんな風にしてもいいよ」
「っ!? 鹿狩さんっ、俺……!」
「んー?」
何さ言いたげだったから話を聞いてやろうと思ったらガバッと胸を鷲掴みにされた。ビックリしたぁ、不意打ち攻撃とは恐れ入る。
「うわっ、柔らか……っ!」
「あ、あはは……えっと、指でつんつんじゃなかったん?」
「我慢出来なかったっす! ごめんなさい!」
「うわぁ素直〜……いいけどさ」
てか、俺反応って勃起の事言ってたんだけど。勃ってないの? 小刻くん。今の鷲掴み、完全に欲望に負けた男の速度してたけど。そういう時って大体フルチャージされてるイメージあるけどどうなのかな。
「あのっ、鹿狩さん!」
「はいはい。ちょっと痛いから力抜こうね。で、何?」
「反応しなかったら何してもいいんでしたよね!」
「い、いたた……ねえ、力抜こ? ちょっと力強いなぁ、私のおっぱいそんな頑丈じゃなっ、ひぐぅ!?」
「はぁっ、はぁっ! あの、胸吸ってもいいすか!?」
「いたっ、痛いからっ! 何? 胸吸う? どゆこと」
「乳首吸っても大丈夫すか!?」
「いや剣幕やば。吸っても何も出ないと思うけど……」
「ありがとうございますっ!」
「ああ今の了承と捉えたんだ。すごいなぁ」
すごい勢いで胸にがっつかれる。なんだろう、眠れる獅子を起こしてしまった? また俺、男をからかおうとして失敗したのか? なんなんだ、男は全員ケモノかなんかなのか? ケダモノであるのは間違いないな最早。
まあ、小刻くんの興味は胸に集中しているみたいだし。それ以上に激しく犯される事は無いだろうと思い身を委ねることにした。
……っ。
やば、なんかすっごい濡れてる。やばいなあ、いくら普段は紳士的な小刻くんでも、この股の状態を見られたらどうなるか分からないなあ。
「……っ、ふ。うっ」
手が動き始める。胸を乱暴に弄られ、吸われながら、俺は自分で自分を慰めていた。
またこの感じだ。思考が解されていく、段々と体が快楽を求めて、勝手に自動操縦で快感を貪ろうとしてしまう。
あー。これ、今回もダメかもしれん。欲求不満はやっぱ解消しないとだわ、恥を忍んで廻君に頼もう。そう決意するのであった。