「誰が死んだって?」
いきなり、結羅の背後から男の声が聞こえてきた。それは、アニメ『犬夜叉』で何度も聞いた事のある、主人公・犬夜叉の声だった。
結羅の中の美咲の精神には、ピシリと音を立てて、巨大な亀裂が入る。
なぜなら、今、結羅の身体は、両足を大きく開いて井戸に跨り、前屈しているからだ!
しかも、逆髪の結羅が履いているのは、股下3センチの超ミニスカート(下着無し)なのだ!
しかも、しかも、さっきまで結羅は自慰行為を行い、膣液をその股間から垂らしていたのだ!!
『ウソ! なんでここに犬夜叉が!? 見られてる! 完全にオナニーとおしりを見られちゃってる!』
美咲の精神は、絶叫を上げる!
しかし、それを声に出すことはできない。態度に出すこともできない。今の美咲は逆髪の結羅だからだ! 結羅は叫んだりしない! 結羅は狼狽えたりもしない!
逆髪の結羅への崇拝の念から、精神の動揺を無理矢理に抑え込んだ彼女は、余裕タップリに行動する。
まずは、前屈を解除。上半身を持ち上げる。さらに、右足で軽く井戸の縁を蹴り、左足を軸にして、反時計回りに180°回転。犬夜叉へと向き直る。
そして、オナニーとおしりを見られた事など意にも介していないかのように、悠然と犬夜叉へと声をかける。
「あら、たっぷりした素敵な銀色の髪。あんた犬夜叉ね?」
股間からまだ幾らかの愛液を垂らしながらも、結羅は犬夜叉に傲慢な問いを発する。
「てめえ! 何もんだ? どうして俺を知ってる? それにおれは、誰が死んだんだって訊いたんだぞ!」
これに犬夜叉はイキリ立つ。彼の瞳には、結羅の股間から滴り落ちている膣液など映っていないかのようだ。
「くすくすくす。出来損ないの半妖の癖に、随分とせっかちなのね?」
犬夜叉の反応に女として敗北感を抱いた結羅は、それを誤魔化す様に、挑発的な侮辱語を犬夜叉に発する。
「おれが出来損ないだと!? ふざけんな!」
犬夜叉の反論。
「うるさいわね。少しは静かにしてなさい。」
そう言って結羅は、周囲に張ってある髪を櫛で梳く。それにより生命を得た髪は犬夜叉へと向かい、団子状になって犬夜叉の口の中を塞ぐ。同時に、複数の髪が犬夜叉の両手足を拘束。身動きできないようにする。
「ぐむむ…」
四肢を拘束され、髪で口を塞がれた犬夜叉は声を出すことも身動きすることも出来ず、奇妙な呻きを漏らす。
「くすくすくす。いい気味ね? 半妖にはそれがお似合いよ。あたしは逆髪の結羅。あたしたち鬼の仲間の間では、もう評判になってるよ。犬夜叉っていう半妖が、生まれ変わりの巫女の手下になって、四魂の玉を集めようとしてるって。」
「ぐむ! ぐむむむ!」
犬夜叉の呻き。何を言いたいのか、それだけでは全く分からない。だが、彼女は原作漫画の知識により、その呻き声が何を言いたいのか、その内容を知っていた。犬夜叉は、『んな!? おれがあの間抜け女の手下だと!? ふざけるな!!』と、言いたいのだった。
「だからね、あんた達は邪魔なのよ。だからまずあんた達を殺してから、ゆっくりコレを集めようと思ってね。」
そう言って結羅は、胸の谷間に右手をやり、中に収納していた四魂の玉のカケラを取り出す。犬夜叉に見せびらかして勝ち誇るためだ。
「それでね、犬夜叉。死んだのは生まれ変わりの巫女、日暮かごめよ?」
そう傲然と言って、犬夜叉を拘束している髪を操作。犬夜叉の体を井戸の上へと運び込む。
「ぐぐ!!?」
犬夜叉の絶句。犬夜叉の視線の先。そこではサイコロステーキの様にバラバラの肉片へと変わり果てた日暮かごめの死骸があった。
「うふふふふ。あんたは情け無い半妖ね。愛していた桔梗には裏切られるし、その桔梗の生まれ変わりの巫女は、守ることも出来ずにあたしに殺されちゃったわ。」
それは結羅にとって、極上の光景だった。死んでしまった巫女の死体を見た犬夜叉が、絶望し、涙し、絶叫しているのだった。
「ぐぬ!! ぐぬぬぬ!」
あの犬夜叉が嗚咽している! それは結羅にとって、この上ない美酒だった。原作漫画で、逆髪の結羅の美しい肢体をズタボロに傷付けた犬夜叉。そのゴミ屑の嗚咽。
何て気持ち良いんでしょう?
犬夜叉の様子を見た結羅は興奮し、思わず、男(犬夜叉)の前に立っていることを忘れて、右手を股間にやりクリトス弄りを再開する。
「ああ、なんて気持ち良いの!」
膣から滴り出る愛蜜に、結羅の右手が濡れる。愛蜜は、結羅の足も濡らして地面に水溜まりをつくっていく。
「ぐぬぬ!! ぐぬぬぬぬ!」
犬夜叉の嗚咽が枯れ井戸周辺の森に響く。
「悲しいの? 可哀想。でも、心配しなくて良いわ。あんたもすぐ、女と同じあの世に行かせてあげるから。」
犬夜叉の事を欠片も可哀想などとは思っていない侮辱的な表情を浮かべた結羅は、自らの愛蜜に濡れた右手で犬夜叉の銀髪を撫でる。
「くすくすくす。なんて綺麗な銀色の髪なのかしら……。操るのが楽しみ。」
犬夜叉の髪に自分の愛液を塗り付けた結羅は、朝日に照らされた銀髪と愛液がキラキラと輝くのを見て、うっとりとした顔をする。
と、その時、犬夜叉はいきなり、右腕を強引に振り、髪の拘束を引きちぎる! 犬夜叉は、自由になった右手で、口の中の髪の玉を無理矢理引き抜いて、言葉を話せる様になる。さらに、右腕を使って逆髪の結羅へと攻撃する。
「散魂鉄爪(さんこんてっそう)!」
至近距離からの犬夜叉の一撃。それに、逆髪の結羅が反応できたのはほとんど奇跡だった。結羅の心臓を躊躇いもなく狙ったその一撃を、結羅は身をひねる事で回避する。
しかし、攻撃の全ては避けられなかった。犬夜叉の髪を撫で付けていた結羅の右手には、散魂鉄爪が直撃。結羅の右手を、手首から切断する。
バッという音と共に結羅の右手首は切り落とされる。その手首は、指に巻き付いた髪により、ブランと空中に浮く。
「ゆるんだ!」
犬夜叉の怒声!
右手を失った結羅の髪はその拘束力を弱めており、緩くなった髪から犬夜叉は一気に脱出する。
「あたしの手……。」
逆髪の結羅は呆然と、切り落とされた右手に視線を向ける。
結羅は悲しいと思った。結羅は自分を可哀想と思った。逆髪の結羅の綺麗な右手を、汚らしい半妖に攻撃されて、切断されたからだ。
こんな酷いことをする悪い半妖は生かしてはおかない。たっぷりと拷問してから殺してやる。もちろん、犬夜叉は命乞いするだろう。でも、許してなんてあげない。絶対に絶対に殺してやる。結羅は、そう心に誓った。
そんな結羅に、
「ふっ! 手が無けりゃ、妖術もあやつれねぇだろ!」
犬夜叉が罵声を浴びせる。この罵声もまた、結羅には許せなかった。出来損ないの半妖風情が、こんなにも美しいあたしの身体を傷つけて、あまつさえ罵声まで浴びせてくるなんて……。
「あんた……。女にはもっと優しくするもんよ」
犬夜叉の不遜な態度に不快感を抱いた結羅は、半眼で犬夜叉を睨む。残った左手で、口に櫛を咥えると左手を思いっきり振り、髪を櫛で梳く。その瞬間、無数の髪が蠢き犬夜叉を襲う。
「うわっ!?」
髪に吹き飛ばされた犬夜叉は、大岩に叩きつけられ、悲鳴をあげる。あまりの痛みに身動きも取れないようだ。その光景に結羅は気を良くする。
「ふん。やっぱり半妖は半人前か。」
結羅は、犬夜叉へと嘲笑を浴びせる。そんな結羅の中の美咲の精神はノリノリで結羅としての行動を演技していた。
えーと、この後は? 犬夜叉に近付いて、左手に持った刀で犬夜叉の首を刎ねようとするのよね? でも……? 刀をどこに置いたんだっけ? 腰には鞘だけがあり、刀はない。斬り飛ばされた右手にも持ってないし……。あ、そうか! さっき、井戸に落ちたかごめを追撃したときに、井戸に投げ込んだままだった。
そのことに気付いた結羅は、髪の一本を操作して刀に巻き付ける。そして、井戸底から刀を回収する。
「可哀想に。これを使って本物の妖怪になりたかったのね。」
そう言いながら結羅は、胸の谷間から再び四魂のカケラを取り出し、犬夜叉へと見せびらかす。
結羅は、悠然と犬夜叉へと歩いていった。彼女は自分の美しさと強大さに満足し、犬夜叉の絶望と苦痛を楽しんでいた。結羅は、犬夜叉のすぐ側に仁王立ちすると、左手に刀を構える。その刀は、犬夜叉の首を刎ねるための凶器だった。
「ふふふ。これであんたも終わりよ。」
結羅は髪を数本操り、犬夜叉の銀髪を持ち上げる。犬夜叉の穢れた血で綺麗な銀髪が汚れないようにする為の措置だ。
「動かないでよ。きちんと首を刎ねないと、その素敵な髪が血で汚れちゃうからね。」
結羅はそう言って、犬夜叉へと妖艶に微笑みかける。そして、犬夜叉への死刑執行を開始。大きく振り上げた刀を、犬夜叉の首へ目掛けて、ギュンと振る!
だが、その時、犬夜叉が火事場の馬鹿力を見せる!
「ふっ! ふざけんなあっ!!」
犬夜叉の裂帛の叫び!
「てめえなんかに、やられてたまるか!!」
ドカッ! 強引に立ち上がった犬夜叉は、渾身の右ストレートを結羅の胸の谷間に叩き込む!
「ああっ!?」
その衝撃に、結羅は思わず悲鳴をあげ、信じられないという表情で大きく目を見開く。結羅の視線の先。そこでは、犬夜叉の右腕が彼女の胸の谷間を貫通していた。
「けっ! ざまあみやがれ!」
軽蔑した顔で、犬夜叉は結羅の胸の谷間から右腕を引き抜く。
このとき、結羅の中の美咲にとって、あり得ないことが起こった。犬夜叉が、左手で結羅の右おっぱいをムンズと掴んで、そこをストッパーにして右腕を引き抜いたのだ。
え? 何これ? あたし、今、オッパイを掴まれた?
あまりの事態に彼女の精神は変調をきたす。
知らない! こんなの知らない! こんなシーン、原作には無かった!
だが、彼女の混乱は一瞬半の時間で鎮静化する。今の彼女は、逆髪の結羅だからだ。尊敬する結羅の肉体で狼狽することなんてできない! 美咲は意志力を総動員し、平静を装う。
「なんて図々しい駄犬なのかしら。会って間もない女の懐に腕つっこんで、しかも、胸まで触るなんて。」
逆髪の結羅平然とした様子で、刀を犬夜叉の右手に突き立てる。
「こっ、こいつ……!? 平気なのか……!?」
心臓を貫かれたにも関わらず平然としている結羅に、犬夜叉が困惑の表情を浮かべる。
「ふんっ。しかも、ちゃっかり四魂の玉まで盗み出して。往生際の悪いこと。」
結羅は髪を操って、攻撃と同時に彼女の胸の谷間から盗み出された四魂の玉を、犬夜叉から取り返す。
「あたしは不死身なのよ。」
結羅の宣告。彼女は多数の髪を操作。犬夜叉を数千本の髪で完全に拘束。まったく抵抗できない様にする。
「じゃあ、今度こそ、死になさい!」
それが、犬夜叉の最期になった。結羅の刀は、今度は狙い違わず犬夜叉の首を刎ねた。犬夜叉は、絶命し、その生首は結羅のオモチャに加えられた。
「ふふふ。最期にあたしの様な美少女のおっぱいに触れて幸運だったわね? 出来損ないの半妖には過ぎた結末よ?」
そう言いながら結羅は、犬夜叉の生首を抱える。
それは、自らの巣に持って帰るためだ。