逆髪の結羅が、日暮かごめと犬夜叉を殺した日。太陽が中天に昇るころ。結羅は、自分の隠れ家の中の無数の髑髏の上でアグラをかいていた。
結羅の中の美咲は、この異様な光景に嫌悪感や違和感など全く感じていなかった。彼女が髑髏や生首から感じるのは、親しみやコレクションの充実感だけだ。
このことに、彼女はまったく抵抗感を持たなかった。何故、平和な21世紀の日本で暮らしていた筈の彼女が、死体の山を見ても何とも思わないのか? そのことを疑問に持つことすら、彼女はしなかった……。
「ふふふ。犬夜叉の髪って何で素敵なのかしら。あたし、濡れちゃうわぁ……。」
犬夜叉の生首を左手に抱いた結羅は、その言葉どおりに股間からおびただしい量の膣液を分泌。髑髏の床を濡らしていく。
「早くこの銀髪で遊びたい。さっき見つけた村を、この銀髪で蹂躙して楽しもう。」
結羅は、さくらんぼの様に美しい唇を邪悪に歪める。
でも、その前に、やるべきことがある。それは、怪我を癒す事だ。先程の犬夜叉との戦闘で、結羅の右手は切断され、胸には大穴が空いている。いくら不死身の肉体とはいえ、流石にこのような姿で次の戦いに挑むことはできない。
結羅は、帯にくくりつけておいた四魂の玉のカケラを取り出すと、傷口へと近付ける。ポワッ! 四魂のカケラが発光。結羅の傷は、まるでビデオの逆回し再生の様に一瞬で再生していく。
「くすくすくす。不死身の肉体と四魂のカケラ……。無敵の組み合わせね。」
彼女は自信に満ちた笑みを浮かべる。
逆髪の結羅は、『魂移し』という技で自分の魂を肉体から分離。櫛の中に隠しており、櫛を破壊されない限りは、いくら肉体を破壊されても不死身なのだった。さらに、この本体の櫛は、持ち歩いたりせずに隠れ家の中に隠してあるので安全だ。
その不死身の肉体に、無限の肉体再生能力を提供できる四魂の玉が加われば、間違いなく彼女は無敵と言えた。
傷の修復を終えた逆髪の結羅は、隠れ家から出る。
目的地はすぐ近くの村。犬夜叉やかごめが泊まっていた、巫女・楓の住んでいる家がある村であり、骨喰いの井戸の隣の村だ。
目標の村まで逆髪の結羅は、髪を使って跳躍して移動。ものの数分で到着する。
まだ、日が高く、モノノケや盗賊に等襲われる筈がないとタカをくくっていた村人達を嘲笑うかの様に、結羅は白昼堂々と人間の村に現れた。
結羅は、高さ五メートルほどの物見台の屋根の上にトンッ軽やかに着地。
人間たちを見下ろす。
この時、結羅の中の美咲の精神には、羞恥心の様なモノは無くなっていた。股下三センチの超ミニスカを履いて高台に立っても、まったく平然としていた。
人間などゴミ屑だからだ。スカート内を見られた所で、どうという事はない。
さて、人間や半妖など見下すべきゴミ屑としか思っていない彼女が、村で何をするのか? それはすぐに明らかになる。
「ふふふ。犬夜叉の銀髪には劣るけど、この村にもいい獲物があるわね。全部、あたしの髪になってもらおうかしら。」
結羅は櫛で髪を梳き、細い髪を村へと伸ばしていく。
村人たちに向かって放たれた髪は、結羅の妖力により遮蔽されていて、普通の人間には不可視。
だがらその時、村人たちは何が起こっているのか理解できなかった。
まず、畑で働いていた老人の首が、突如として鮮血を吹き出し宙を飛んだ。次に、家で洗濯物を干していた若い女性の腹が裂かれた。その女性の腹は大きく膨らんでいて、腹からは胎児がポトリと地面に落ちる!
「ぎゃああああーー!! 私の赤ちゃんがあ!?」
妊婦が悲痛な叫びをあげ、裂けた腹から転がり出た胎児を一所懸命に腹に戻そうとする。
そして次に、昼食の為、畑仕事の手伝いから帰ってきた子供たちの一人が真っ二つにされた。
「ぎゃあああああ!」
「な、何だ!?」
「助けてー!」
村は一瞬にしてパニックに陥った。人々は逃げ惑ったが、逆髪の結羅の髪はどこからともなく襲ってきた。彼女は髪を操って、村人たちを次々と殺していった。
結羅の髪に襲われた村人達の首が、次々と飛んでいく猟奇的な光景。村人には、恐怖と絶望が広がった。
「くすくすくす。こんなに泣き叫ぶなんて人間はなんて情け無いのかしら。もっと感謝しなさいよ? 美少女のあたしに殺されるなんて、あんた達みたいなゴミ屑にとっては最高の栄誉でしょう?」
結羅は村人達の死を嘲笑する。
「助けてー!」
「誰か止めてくれー!」
「神様仏様桔梗様! お助けください!」
「なんでこんなことに!?」
村人たちの悲鳴。絶叫。命乞い。村人たちは逃げ惑った。だが、逆髪の結羅は容赦なく髪を襲撃させた。彼女は殺戮を楽しんでいた。彼女にとって、人間はただの獲物であり、玩具でしかなかった。
「あはははは! 楽しいわ! 凄く楽しい! 人間が泣き叫んでる! こんなに沢山、血が流れるなんて!」
結羅は、慌てふためく村人を見て哄笑する。それはとても残酷な笑いだった。
村人達の虐殺を終えた結羅は、髪で切り裂いた首を集めるため、村に降り立った。
彼女は、人間たちの首を集めて回る。
「あら?」
その時、彼女は一軒の家に目を留めた。
中から人間の声が聞こえる。
「ふふふふ。ここにも隠れてる人間がいるわね」
結羅はそう言って、髪で家の壁を突き破った。結羅は、家の中に母娘二人を見つけて、ジュルリと舌なめずりした。
そこには、母娘二人が隠れていたのだった。母親は娘を抱きしめて、必死に震えていた。娘はまだ幼く6歳ほどで、聞こえてくる悲鳴や絶叫に泣きじゃくっていた。
「お母さん、怖いよ…」
母親に抱きしめられた娘が泣く。
「大丈夫、大丈夫…早く誰かが助けに来てくれるわ…」
母親はそう言って、娘をなだめた。しかし、彼女の声には確信がなかった。外からは、人々の悲鳴や得体の知れない女の笑い声が聞こえてきた。母親にはどうすればいいのかわからなかった。
「あら。なかなか上等な髪ね?」
そんな母娘に、結羅は声をかける。同時に、結羅は髪を伸ばして、母娘二人を攻撃する。母親は娘を守ろうとして、結羅に向かって叫んだ。
「やめて!娘には何もしないで!どうか、娘だけは助けてください!」
母親の懇願。
これに逆髪の結羅は、心底馬鹿にした表情を浮かべる。
「助けて? そんなの駄目に決まってるじゃない。人間には生かす価値なんてないわ。あんた達は獲物なんだから。この村はもう、あたしのものよ。あんた達は、あたしの髪の一部になるだけよ。」
結羅はそう言って、母親の首を髪で切り落とした。娘は母親の死体を見て、絶叫した。
「お母さん! お母さん!」
「かなしいの? あんたもすぐにあの世に送ってあげるわ。」
結羅は娘の首にも髪を巻きつけ、その首を躊躇なく刎ねる。
騒動後、村の中には、逆髪の結羅の髪によって血まみれになった死体が散らばっていた。生き残った者は絶無だった。皆殺しにされたのだった。
全ての死体からは首が切り取られていた。結羅のコレクションに加えられたからだ。
逆髪の結羅は満足げに生首の髪を梳いていき、その数を数えていった。
「ふふふ。全部で百八個の生首。今日の収穫はなかなかだわ。これでまた、あたしの髪も増えたわね。」
結羅は、人間達の髪を自分の”髪籠”に組み込んでいく。
結羅の髪の巣は長くて黒くて艶やかだった。彼女は自分の髪に自信と誇りを持っていた。
「さて、次はどこに行こうかしら。まだまだ沢山の獲物が必要だわ。」
結羅は、次の獲物を探すために村を後にした。