※この作品はR-18です。

逆髪の結羅の物語   作:nenenene

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鉄砕牙

 

亀裂の中の異世界。

それは骨の平原だった。見渡す限り、四方八方、妖怪の骨が転がっている。

中央には、ひときわ巨大な犬の骸骨。体高百メートルもあろうかという巨大な骸骨だ。その巨大骸骨は、犬夜叉の父親である犬の大将軍の遺体であることを、逆髪の結羅は漫画を読んで知っていた。

 

「これが、犬夜叉の父親かしら? うふふふ。なんて大きな骨。」

 

結羅はそう言って、櫛を振るう。すると、鬼火が出現。犬の大将の骸骨に向かって飛んでいく。爆発。炎上。後には結羅ひとりが通るには十分な大きさの穴ができる。

逆髪の結羅は、その穴へと悠然と歩みを進めていく。

 

 

⭐️⭐️⭐️⭐️

 

 

一方、そのころ、殺生丸は犬の大将の骸骨内に立っていた。殺生丸の目の前には台座と、それに刺さった刀があった。その刀は鉄砕牙だった。その 刀は長い期間だれも手入れをしていなかったらしく、古びて錆びて、刃こぼれだらけであった。

 

「ついにたどり着いたぞ。鉄砕牙よ……。」

 

そんな骨董品を見た殺生丸は、感慨深く独白する。

 

「これが、父上の骸の胎内に納められし宝刀。一振りで百匹の妖怪を薙ぎ倒すという牙の剣、鉄砕牙……!」

 

殺生丸は独白しながら、鉄砕牙に手を伸ばし、その柄を掴む。

 

「鉄砕牙は父君の牙から研ぎ出した刀と聞き及びまする。すなわち! これを手にするという事は父君の妖力を受け継ぐも同じ!」

 

邪見は、真剣な顔で殺生丸が鉄砕牙を引き抜くのを見守る。

 

だが、鉄砕牙が放電。バチバチという音と共に刀を抜こうとした殺生丸を攻撃する。

 

「うひゃあぁ!?」

 

鉄砕牙の放電に驚愕した邪見が、慌ててその場を飛び退く。

 

「ひぃ! 何故じゃ! 何故鉄砕牙を抜ぬ!?」

 

邪見の動揺。だが、殺生丸の方は冷静だ。

 

「用心深いことよな。結界が張ってあるとは……。」

 

殺生丸は、放電によって傷を負った右手を眺めながら独り言を呟く。

 

「あはははは! あんた、父親に拒絶されたみたいね!」

 

そこに、女の声が降ってくる。殺生丸が視線をそちらに向けると、先ほど逆髪の結羅と名乗った女が空中に浮いて、轟然と殺生丸を見下ろしていた。

 

「うん? 女、まさか、我が父君の刀を狙っているのか?」

 

殺生丸の問い。

 

「そうよ。鉄砕牙はあたしが貰うわ!」

 

 

⭐️⭐️⭐️⭐️

 

 

「そうよ。鉄砕牙はあたしが貰うわ!」

 

結羅はそう言って、髪を操る。結羅は普段、人間、半妖、妖怪の髪を操るとき、どの髪がどれなのかを、意識しない。

しかし、今回は違った。結羅は人間の髪を、鉄砕牙の柄に巻きつける。

そして、一息に鉄砕牙を抜く!

 

「やった!」

 

台座から引き抜くことに成功した鉄砕牙を見て、結羅は歓喜の声をあげる。

やはり! 予想どおりだ!

もともと鉄砕牙は犬夜叉の父親が人間の母親を守る為に作らせた物なのだ。だがら、邪悪な妖怪である殺生丸に、鉄砕牙は抜けない。だが、先ほど結羅が使用したのは、人間の髪。鉄砕牙の結界は、人間を異物と見做して排除しようとはしない。だから、問題なく抜けた。

 

「うふふふ。これが鉄砕牙なのね。」

 

結羅はそう言って、刀に流れる妖力の波動を感じ取る。この妖力の波動に意識を同調させれば……。

次の瞬間、錆びた古びた刀だったはずの鉄砕牙は、巨大な大剣へと姿を変える。

 

「女!? 貴様、なぜ鉄砕牙を使える!?」

 

殺生丸の顔は、顎が外れそうなほどに驚愕していた。

 

「ふふふ。そんなのどうでも良いでしょ? だって、あんた達はここで死ぬんだから。」

 

結羅は残忍な笑みを浮かべると。だが、結羅の余裕はあまり長くは続かなかった。

殺生丸が結羅めがけて跳躍してきたからだ。

 

「毒華爪!」

 

殺生丸の渾身の右ストレート。その殺生丸の爪には毒が含まれていて、触れる物全てを腐食させんとする。

だが、

 

「馬鹿ね。あたしには鉄砕牙があるのよ。」

 

殺生丸の攻撃は、鉄砕牙の結界に阻まれて、結羅にまでは届かない。

殺生丸の攻撃を防いだ結羅は、殺生丸の追撃を警戒して、一旦、跳躍。殺生丸との距離をとる。

 

そして、結羅は殺生丸に向けて、柄に髪を絡ませた鉄砕牙を放つ。殺生丸との距離を一気に詰めた鉄砕牙は、一閃!

ズバッ! 鉄砕牙は、鉄砕牙を防御しようとした殺生丸の右腕ごと、その首を刎ねる! その顔は馬鹿な、と目の前の現実を認められない表情をしていた。

ごろごろと、殺生丸の生首が地面を転がる。

 

「ひっ!! ひっいいいい!!」

 

邪見の絶叫。一撃で殺生丸が殺されるのを目撃した邪見は、驚愕のあまりその場に尻餅をつく。

 

「あひ! あひ! あひひ!」

 

邪見は壊れた人間のような無意味は言葉を発する。

 

「うふふふ。心配しなくて良いよ? あんたもすぐ、殺生丸と同じ所に逝かせてあげるから。」

 

結羅の冷酷な宣言。

これに邪見は失神。ジョロジョロジョロとおしっこを漏らして、その場に倒れ伏してしまう。

 

「なんて情け無い妖怪なのかしら? 死になさい。」

 

再び鉄砕牙が光る! 邪見程度の下級妖怪に、鉄砕牙が防げるはずはなく、それで邪見は死亡。その首は、胴体から永久に分離する。

 

「くすくすくす。今日は大漁ね。また銀髪コレクションも増えたし、鉄砕牙も手に入った。」

 

逆髪の結羅は、鉄砕牙と殺生丸の生首をうっとりと眺める。

次はお城でも襲って、お姫様のキチンとお手入れされた髪を手に入れよう。

彼女は、そのように決意した。

 

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