ツンデレ妹が夜だけめっちゃデレてくる 作:荒井アライ
「なに?」
「いや、別に何でもないけど」
「あっそ」
俺には中学二年の妹がいる。思春期に入った妹様は俺と目が合うだけで、睨みを効かせてくるという暴挙を振る舞う妹様だ。
昔は超がつくブラコンだったのに、どうしてこうなってしまったのだろうか。
どこかで選択を誤った? いや、そんなエロゲみたいな選択肢に直面したことはないはずだ。
それでも、これだけ美少女の妹がいるというだけで、エロゲみたいではあるのだけど。
髪の先が少し巻かれている黒髪ツインテールに、ツリ目がちな目元。平均よりも小さい身長に、少し控えめな胸元。それでいて、整いすぎているような容姿をしており、街ですれ違えば目で追ってしまうほどの魅力がある女の子。
中学二年生でありながら、兄に向ける眼力だけは大人を凌駕する。そんな不機嫌を雑に兄にぶつけてくるような妹。それが鈴原美香という女の子なのである。
制服姿でソファーに腰を掛けてスマホをいじっていた美香は、俺が少しだけ美香の方に視線を向けただけで、過剰に反応して食って掛かってきた。
「用がないなら、こっち見ないでくれない」
「……そっちが見てたんじゃないのかよ」
「は? 見てませんけど」
美香は俺のぼそっとした言葉を聞き逃すことなく拾うと、こちらに睨みつけるような視線を向けてきた。
人に向けるにしては低すぎる温度の瞳。それはこちらを軽蔑するような目の色をしていた。耐えられずにこちらが目を逸らしても、美香はこちらに睨み続けていた。
だめだ、全く分からない。
「はぁ、馬鹿みたい」
美香はこちらに聞こえるように大きなため息をつくと、ソファーから立ち上がってリビングを後にした。
荒々しく閉められたリビングの扉の立て付けが心配になったが、どうやら問題はないらしい。
問題があるとすれば、リビングの扉以上にさっきの妹様だろう。
……全く分からない。なぜあんな態度を取るのか。
先程、俺がなぜエロゲみたいと言ったのか。
ただ美少女の妹がいるだけ。それなら、ラブコメ漫画でも、ラノベでも問題はないはずだ。もっと言えば、なぜギャルゲではなくエロゲなのか。
そう表現をしたのもしっかりとした理由があるのだ。
俺が何を言いたいのか、それは夜になれば明らかになることではある。
その日の晩。俺はお風呂に入り終えて、ベッドに横になっていた。
電気も消して後は眠りにつくだけ。
俺は眠りにつくのが早い。正直、眠ってしまえばある程度のことをされても起きることはない。
だから、気づかなかったのだろう。
あれだけブラコンだった妹が、俺に対して嫌悪感を露にするようになってしまった理由に。そして、妹の性事情について。
部屋の明かりを消してしばらく経つと、俺の部屋の扉がゆっくりと開かれた。微かに聞こえる、扉を閉めるときのドアノブの音。その音を聞いて、やはり今日も俺の部屋にやって来たのかと俺は諦めたのだった。
「お兄ちゃん?」
「……」
「おにーちゃん?」
「……」
「お兄ちゃんっ」
最後に語尾にハートマークを付けるような言葉で俺を呼んで、俺からの返答がないことを確認してから、美香は俺の布団に潜り込んできた。
「えへへっ、おにーちゃんっ」
そして、そんな甘々な声と共に、俺の背中に抱きついてきた。
ぎゅーっと控えめな胸を押し当てながら俺の背中に抱きつき、俺の背中に頬ずりをする。それから、美香は小声で俺を何度も呼ぶように言葉を続けた。
「お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんっ。おにーちゃんっ、ぎゅーっ」
驚いただろ? これ、さっきまで俺に罵声を浴びせてた妹なんだぜ。
一体、何がどうしてこうなったのか分からない。
だから、俺は美香に昼間のような態度を取られると分からなくなるのだ。
なぜ、あんな態度を取るのかと。なぜ、夜になるとこんなにも甘えてくるのかと。
そして、そんな疑問に頭を悩ませても答えが出るはずがなく、美香の日課が始まろうとしていた。
俺のすぐ後ろでは衣擦れの音が聞こえてくる。真っ暗な部屋で俺の背後にいる美香の服装は分からないが、これだけ分かりやすい音を立てれば、後ろで服を脱いでいることは明確だった。
そして、それは美香の日課を始めるときの合図でもあった。
「お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんっ。すぅー、はー、はぁぁぁ、おにーちゃんっ。あっ……んっ、お兄ちゃんっ……んあっ」
後ろではシーツが擦れるような音がして、俺の首元では荒い息がかけられる。肺いっぱいに吸った俺の匂いを吸収し、余った熱い空気を首元に漏らす。そして、その息遣いは時間経過と共に荒くなり、それに伴うように水音のような物が聞こえてくる。
「ああっ、お兄ちゃん。んっ……はぁ、はぁ、んっ。お兄ちゃん。すぅー、はー。お兄ちゃん。ああっ」
俺に密着させた胸の動きが呼吸に合わせて揺れる。漏れ出る嬌声が抑えらなくなっていくにつれて、俺の服の裾を握る美香の手にも力が込められていく。
「ああっ、おに、お兄ちゃんっ。……あ、んっ、おに、お兄ちゃんっ。もう……だめっ……い、イクッ!」
美香は俺に押し当てた体を小さく痙攣するように震わせると、一瞬息を止めてから再び荒い息を吐きだした。
「はぁ、はぁっ……はぁ。い、イッちゃった。お兄ちゃんの匂いを嗅いで、勝手にイッちゃった」
美香は現状を把握することさえも興奮の材料とするようにそんな言葉を口にすると、息を整えていた。それからしばらく息を整えると、衣擦れの音がまた聞こえてきた。その音が止んだ頃、俺の背中に押し付けられていた熱が離れた。
「おやすみ、お兄ちゃん」
そんな言葉を残して、美香は俺の部屋を去っていった。
「……どうしてこうなった」
俺は美香が去った部屋の中で、一人反りかえった肉棒を前にため息を漏らす他なかった。
妹の自慰行為で勃起した肉棒を、俺はどうすればいい?
そんな誰にも話せない悩みを抱えて、俺は今日も寝不足になるのだった。