翔太郎は優衣と小春を連れて、情報処理部合宿の会場である高さんの家を目の前にしていた。
「なにこれ豪邸じゃん……。リアルにこういうところ住んでる人初めて見たんだけど……」
「高さんのお家ってお金持ちだったんだね……」
「俺も去年初めて来た時は同じ反応したなぁ……」
インターホンを押して少しの間待っていると、高さんが玄関から出てきて門を開けてくれた。ぶかぶかのティーシャツを着ただらしない姿に思わず苦笑いが漏れた。
「やぁやぁ、ようこそ諸君」
「高さんは相変わらずみたいですね」
「あははぁ、私はいつでもマイペースだからねぇ。それで小春チャンとそっちが……」
「え、もしかしてこの人が部長さん? ちっちゃ、小学生じゃん」
「おぅおぅ、ぐいぐいくるねぇ。一応私、妹チャンの二コ上だからねぇ? まぁ、かしこまる必要もないんだけどぉ」
高さんはニヤリと笑って続ける。
「というか妹チャン、噂に違わず可愛いねぇ。黒髪ロングは正義!」
「あー、はい……どうも」
癖の強い人だというのが伝わったようで、優衣は若干引き気味。初対面の人とは距離を取りがちな優衣だが、今回はお構いなしに踏み込んでくる高さんに圧倒されている。
翔太郎はその様子が面白くて、気づけば頬を緩めていた。
「暑いし、とりあえず入って入ってー」
高さんの家に入るとひんやりと涼しい空気が迎えてくれる。
合宿の会場がこの場所になったのは家が広いからという理由の他に、もう一つ理由があった。それは案内された部屋に入ればすぐに理解できた。
「うわ、ホームシアターじゃん」
「好きなところ座ってくつろいでねぇ」
前方の壁には一面を覆い尽くすようなスクリーンが設置され、手前には五人が優に座れそうな大きさのソファがある。
「そうだこれ、飲み物買ってきたんで冷やしといてもらえますか?」
「おぉ、ありがとぉ……んー、よいしょー」
高さんは大きいペットボトルが何本か入ったビニール袋を手渡されて、それを引きずるようにして運ぼうとするので、
「あー、運びます運びます」
「あら、すまんねぇ」
翔太郎が再び持ち上げて、頭を掻く高さんの後ろについていく。
冷蔵庫もこれまた一味違い、扉にディスペンサーがついていて、扉を開けなくてもそこから氷が出せるらしい。その大きな冷蔵庫の中に飲み物を入れていると――ピンポーン――インターホンが鳴った。
「ヒデクンかなぁ? 翔太郎クンは先に部屋戻っててねー」
「了解です」
少しして、高さんがヒデを連れて部屋に戻ってきた。そして、ヒデは優衣を一目見ると、仰々しく腰を折って挨拶した。
「これはこれは、お初にお目にかかりますぞ、妹君。どうぞ小生のことはヒデとお呼びいただければ」
細長い背格好で眼鏡をかけたステレオタイプなオタクという風貌には似合わなくて、絵面のおかしさに初対面の優衣は呆気にとられていた。
「……ねぇ、なんかお兄ちゃんの部活、キャラ濃くない……?」
「二人とも変わってはいるけど、人は悪くないんだよ?」
「あのさ、言っとくけどお兄ちゃんも大概だからね?」
「……え?」
どうやら自己評価と妹の評価の間には大きな隔たりがありそうだった。
「食べ物よし! 飲み物よし!」
高さんが指差すテーブルの上にはピザと清涼飲料水、
「アニメよし!」
スクリーンではアニメが開始直前で一時停止されている。
「それでは皆の者! カンパ~イ!」
「「「「カンパーイ!」」」」
全員で掲げたコップをコツンと鳴らした。
「いやぁ、今日は賑やかになったねぇ」
「ハハハ、翔太郎殿の妹君にもお目通り叶いましたしな。実に愉快」
「お兄ちゃん、私のことなんて話してたの?」
「いや、そんな話してないと思うんだけど……」
「翔太郎殿からは、見目麗しい妹君がおられると聞き及んでおりましたぞ。噂に違わぬお姿で、翔太郎殿が
「そうそう、翔太郎クンは小春チャン一筋だと思ってたのに、急に妹チャンの存在が現れて気になってたんだよねぇ」
本来の目的であるスクリーンに映ったアニメもそっちのけで、高さんとヒデは面白がるようにニヤけて口々に言う。
「お兄ちゃん……」
咎めるような視線を向けてくる優衣に、翔太郎は若干小さくなって、
「だって……高さんとヒデは小春のこと知ってるから、諸々黙ってるのも具合が悪かったんだって……」
「あはは……」
小春は隣で居心地悪そうに苦笑いを浮かべていた。
「というか、こうなるから優衣は連れてきたくなかったんだよ。なんで来たがったの?」
「だってそれは……小春ちゃんも来るって言うから……」
「フ~、ジェラシーだねぇ」
「ジェラシーですなぁ」
おちょくる二人にいい加減ちょっとイラッとした。
「もう! 今日は上映会なんですから! こっちじゃなくて前見てくださいよ!」
「ごめんごめん、でもぉ……翔太郎クン顔が赤いよぉ?」
「ぐぬぬっ……」
高さんとヒデはひとまず満足したようで、それ以降はイジられることもなくなった。加えてアニメの内容も盛り上がってきたことで、全員の意識は自然とスクリーンの方へ向くようになった。
「ここめっちゃ綺麗なシーンだよねぇ」
「というかこれめっちゃ感動しますね」
「わかりますぞ。この美しい景色で、劇的な再会ですからなぁ」
「確か彼岸花の花言葉が再会だった気がするんだけど、だから一面の彼岸花なのかな?」
「へぇ、さすが文芸部、そういうの詳しいね」
小春はもちろんのこと優衣も打ち解けて、少しずつ会話が増えてきたようだった。
「妹チャンも普段アニメ見たりするの?」
「お兄ちゃんの影響もあるので、多少は見ますよ」
「じゃあこの中で一番見てないのは私かな」
アニメが内容的にちょうど一区切りというところで、翔太郎は空になったペットボトルとお菓子の袋を見て高さんに声をかけた。
「もう飲み物とお菓子だいぶ減りましたよね? 追加で買いに行ってきましょうか?」
「んーそうだねぇ。晩ごはん食べるにしても、夜中まで見るならもう少しあった方がいいかなぁ」
「でしたら小生もお供しますぞ」
「よし、じゃあ一旦休憩ってことで。コンビニ行くか」
女子三人を残して、翔太郎とヒデは連れ立って出かけることになった。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
まだ夕方と言うには少々早い時刻、日差しが照る道を歩きながら、不意にヒデが口を開いた。
「妹君は翔太郎殿に似て良きお人柄のようですな」
「俺に似てるかは分からないけど、根は良い子だよ。本人は愛想が悪いって気にしてるみたいだけどね」
少し躊躇する間があって、ヒデは言う。
「……実は少々心配しておりましたが、小春嬢と妹君の関係は真に良好の様子。杞憂でしたな」
「心配かけちゃってたか。ごめん」
「いえ、翔太郎殿のことですからな。本心からお二人を大切に思っていることは間違いないと確信してますぞ。……ただ、一つだけ言わせていただくと、誰かを悲しませるようなことにはならぬようお心がけなさるべきですな」
「……そう、だよね。……俺も二人には笑っていて欲しいし、二人とも幸せにしたいんだ」
「…………そうですな」
ヒデはそれ以上何も言わず、次にはケロッといつもの調子に戻っていた。
「そういえば翔太郎殿、先日購入したゲームがなかなかでしてな…………」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
買い出しから戻った翔太郎は荷物をヒデに預けて言う。
「ごめん、ちょっとトイレ行ってくるから頼む」
「承知しましたぞ」
一足先に廊下を進んで、もう場所も把握しているので迷うことなく目的の扉へたどり着く。そしてドアノブを回して開けた先には、
――――便座に座る小春がいた。当然パンツを下ろし、陰毛の茂る股間は丸見えだった。
「あっ」
「……ふぇ?」
二人で見合って固まる。小春の顔はみるみる赤くなって、
「っ……!」
声にならない悲鳴を上げて素早く露出していた股間を隠した。
「ごっ、ごめ…………」
固まっていた翔太郎が謝罪をしようとしたちょうどその時――――
「翔太郎クンー?」
高さんの呼ぶ声と迫ってくる足音が聞こえて、とっさにトイレの中へ入って勢い良く扉を閉めた。高さんにはトイレの中までは見えていないはずだが、血相を変えてトイレに入るところは見られていたようで、心配した声が扉の向こうから聞こえた。
「んー? 大丈夫ー?」
「あっ、ああー、ちょっとお腹の調子が悪くて! 大したことないので大丈夫です!」
「そう? それでなんだけど、飲み物次はコーラと三ツ矢どっち開けたいー?」
「えーっと、じゃあ三ツ矢で」
「ほいほーい、了解ー」
遠ざかっていく足音に翔太郎は胸を撫で下ろした。しかし、一息ついて前を見れば、なんでトイレに入ってきたのかと批難と羞恥を込めた視線を向けてくる小春がいた。
「あー、ごめん……」
「鍵かけ忘れた私も悪かったけど……えっち……」
「ほんとごめん……じゃあ俺は一旦出るから…………」
「あの、翔ちゃん……それ……」
呼び止めてきた小春が視線で指すのは、翔太郎膨らんだ股間だった。
「そのままだとおトイレするのも困っちゃう、よね……?」
「え、まぁ……」
「その……必要なら私が、してあげようか……?」
トイレという小さな密室。先程見えた小春の股間。薄っすらと香る小春の尿の匂い。そして、頬を薄く染めて上目遣いの小春の提案。必然、答えは一択だった。
「…………お願いします」
「えと、じゃあ……」
きまりが悪そうにする翔太郎のベルトに、小春はおもむろに手を伸ばした。彼女はベルトを外してズボンを下ろすと、姿を現したそそり立つペニスを間近に見て、ゴクリと唾を飲み込んだ。
「近くで見るとやっぱり……お、おっきいね……」
「……じっくり見られると少し恥ずかしいね……」
「あ、うん……じゃあ時間もないし、するね?」
小春は小さな手でペニスの竿を握って扱き始めた。以前よりも手付きに躊躇いやぎこちなさがなくなっているような気がした。
「あぁ……小春、前より上手くなったね……」
「翔ちゃんと、えっちなこといっぱいしてきたからだよ……?」
「小春……」
上目遣いに言う小春の言葉に、ペニスは更に一回り大きくなる。
「……翔ちゃん……あの、ちょっとやってみたかったんだけど……お口で、してみてもいいかな……?」
お口。その言葉に、ペニスがビクッと反応した。
「あ、おちんちん跳ねた……して欲しいの……?」
小春は小さく首を傾げて、まるでペニスに尋ねるように言う。
ビクッビクッ――ペニスが勝手にした返事に、小春は小さく笑うと、
「ふふ……じゃあ……おっきいからちゃんと咥えられるか分からないけど、がんばるね」
そう言って、小さな口を目一杯に開いてペニスを咥えてしまった。
「ん……
唾液でぬるりとした口内は、小春の体温で暖かい。口の中がもごもごと動いてペニスをしゃぶるようにすると、ザラリとした舌が裏筋と擦れるようにして絡まる。
「やっぱ口、気持ちいっ……!」
小春は口の中でペニスを転がすのを一旦止めると、頭を前後に動かし始めた。小春の口がペニスに吸い付いて、じゅぽじゅぽと水音を立てた。その間、桜色の薄い唇がペニスを締めつけて絞り上げてくる。
「うぁっ……それやばい……!」
「じゅぶ……ん……じゅるっ……」
あまりの気持ちよさに翔太郎は思わず腰が前に出るが、小春はそれを懸命に受け入れてペニスを喉奥まで咥えてくれる。
「小春……! もう、出そうっ……!」
「
「あ、ぁっ……出るっ!」
喉まで加えられたペニスはそのままビクッと震えて、小春の喉奥にドロドロの白濁液を吐き出した。
「んッんんッ! ……ケホッ、ケホッ……ん……ゴクッ……」
小春は咳き込みながらも、口の中に残った精液を飲み込んでくれる。
「あぁ……ごめん、大丈夫?」
「うん……ちょっとむせちゃったけど。それより、まだ残ってるから……」
小春は言って再びペニスを口に含むと、ちゅーっと尿道に残った精液まで吸い上げた。仕上げにペニスについていた精液まで丁寧に舐め取ると、ようやく口を離した。
「ん……はい、綺麗になったよ」
「うん、ありがとう小春」
「えへへ……」
翔太郎が労って頭を軽く撫でると、小春は目を細めて顔を緩めた。
密室で二人の世界に浸っていたが、忘れてはならないことがあった。それは、ここが高さんの家で今は合宿の最中だということだ。
「翔太郎クンー? ずいぶん長いけどほんとに大丈夫ー?」
「やば……大丈夫ですー! もう少しで出ますからー! ……小春、様子を見て先に出ててくれる?」
「あ、ちょっと待って拭くから…………えっと、恥ずかしいからそっち向いてて……?」
「あ、ああ! ごめん!」
慌ててドアの方を向くと、背後ではペーパーが巻き取られて擦れる音がすると、小春の立ち上がる気配があって衣擦れの音がする。最後にトイレの水が流れて、横に備え付けられている手洗器で手を洗った小春が声をかけてきた。
「どう? 大丈夫そう?」
「多分。今なら大丈夫っぽい」
「うん、大丈夫そう。じゃあ先に出てるね」
小春はドアをそっと開けて廊下を覗くと、足音を殺してトイレを出ていった。
翔太郎が胸を撫で下ろして用を足していると、外からは話し声が聞こえて、
「あれぇ? 小春チャンどこにいたのぉ?」
「あー、えーっと……翔ちゃんの様子を見に……なんか便秘みたいですよ……?」
「調子が悪いって、お腹壊したんじゃなくてそっちかぁ」
「暑くて水分不足になりがちですしね……?」
頑張ってごまかそうとしてくれている小春をトイレの中から応援した。