※この作品はR-18です。

俺は二回射精する   作:紺情

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第5話 「迫られる」

 ここまでくれば翔太郎にも分かる。

 優衣はパンツを守るために性欲処理に付き合ってくれているが、小春は違う。自ら進んで淫らな行為をしようとしている。

 それは何故か。小春がスケベなだけ? 恐らく答えはノーだ。

 小春はそれだけ翔太郎のことが好きなのだ。

 

 だとするならば、小春の好意に付け込んで、裏では優衣にも性欲処理を手伝わせるというのはあまりに不誠実ではないだろうか。

 翔太郎は心に靄(もや)が立ちこめるのを感じていた。

 

 しかしながら下半身は正直なもので、二人とエロいことをしたいと訴えてくる。

 どうしたものかと一人で悩んでいた深夜、

 ――――コンコンッ

 最近はよく誰かが訪ねてくるなと思いながら、半ば確信を持って名前を呼んだ。

 

「優衣?」

「うん」

 

 ドアを開けてパジャマ姿の優衣が入ってきた。

 今日は性欲処理のお願いはしていないはずだ。訪ねてきた理由には見当がつかなかった。

 

「どうしたの?」

「勉強見てもらったから、お礼でもしてあげよっかなって」

「お礼って……」

 

 もしかしてと、期待感が股間をムズムズさせた。

 

「今日は特別だよ……んっしょ」

 

 優衣は羞恥も躊躇いも無しに、上半身の服を脱いだ。下着はつけていなかった。

 

 今日の優衣は今までになく積極的だった。

 近づいてきて、翔太郎の耳元に顔を寄せると、

 

「胸で挟んで……口でしてあげる」

 

 誘惑するような妖艶な囁きが、翔太郎の思考をいとも簡単に停止させた。

 頭は真っ白になり、股間だけが熱を帯び始めていた。

 

「ぇ……」

「ほら立って」

「あ、うん……」

 

 言われるまま立ち上がった翔太郎のズボンに、優衣が手をかけて脱がせてくれる。

 そのまま優衣は膝立ちになって、半勃ちのペニスを目の前にする。

 

「まだ大きくなりきってないね」

 

 優衣はそう言って、手でペニスを刺激して勃起を促した。

 まだ困惑の色が抜けない翔太郎とは裏腹に、ペニスはいとも簡単に大きくなった。

 

「よし、おっきくなった。それじゃ挟んでみるね」

 

 優衣は手で胸を寄せて、その二つの膨らみでペニスを挟み込んだ。

 

「うぁ……」

 

 想像を超える柔らかさだった。人間の体の一部とは思えない、ふわふわとした感触がペニスを覆った。

 

「おちんちんあっつ……。おっぱいに挟まれた感想はどう? 気持ちいい?」

「すごい……柔らかくて、気持ちいい」

 

 優衣の胸のサイズではなんとか挟むことはできても、包むというところまではいかない。

 手で胸を押し付けるその圧迫感がちょうど気持ちよかった。

 

「まずは滑りを良くしないとね」

 

 優衣は長い髪を耳にかけながら、口から唾液をツーっと垂らして胸に挟まれたペニスの亀頭を濡らした。

 唾液が馴染むように、胸を上下に動かしてペニス全体を湿らせる。

 

「よいしょ」

「うっ……すぅ……」

 

 股間を襲う快楽に翔太郎は思わず息を漏らした。

 

「それじゃそろそろ…………」

 

 挟んだ胸の上に顔を出している亀頭を、優衣は顔を寄せて伸ばした舌で舐めた。

 

「っ……」

 

 妹の舌が自分のペニスの先端をいやらしく舐った感覚に腰が引けてしまう。

 しかし、優衣は一舐めするだけにとどまらず、ペロペロと執拗に亀頭を刺激して、遂にはそのまま口の中に含んでしまった。

 

「くっ……!」

 

 口の中の温かさ、唾液でぬるりとした感覚、絡みつく舌、その全てが快感を与えてくる。

 なにより、妹が自分のペニスを咥えている。その事実が頭の中で興奮物質を大量に分泌させた。

 

「やばい……気持ち良すぎるっ……!」

 

 これではすぐに射精してしまう。そう思った翔太郎を察して、優衣は一旦ペニスから口を離した。

 

「まだダメだよ、お兄ちゃん。せっかくなんだから口だけじゃなくて、おっぱいでも気持ちよくなってもらわないと」

「う、うん、頑張る。……ふぅ……」

 

 翔太郎が息を整えると、優衣は胸をゆっくりと上下に動かしだす。

 竿全体に柔らかな刺激が加えられ、じんわりと緩やかな快感が広がる。

 股間に快感が蓄積し、更に優衣は上下の動きを徐々に速くしていく。

 

「あぁ……」

 

 再び込み上げてくる射精感。しかし、優衣はまだ達するのを許してくれない。

 動きを止めて、胸でギュッとペニスを圧迫するように手で押さえつける。

 乳房をぐにゅぐにゅと動かして弱い刺激を与えてくるが、射精に至るような強度ではない。

 

「ぐぅ……」

 

 苦悶の表情を浮かべる翔太郎に見かねて、優衣は尋ねる。

 

「もう出したい?」

「正直限界」

「うん、わかった。じゃあ口の中に出していいからね」

 

 優衣はそう言うと再び亀頭を咥えて、上下に動き始める。

 

「うっ……!」

 

 吸い付くようにペニスをしゃぶる口はじゅぽじゅぽと音を立てて、今まで以上に強烈な刺激を与えてくる。

 胸が竿を擦り上げる刺激も相まって、限界はあっけなく訪れた。

 

「あっ、あ、優衣っ……出るッ!」

 

 翔太郎の体がブルッと震える。

 妹の温度に包まれたままのペニスが脈打って、口の中に大量の精液を吐き出した。

 

「ん、ん、んんっ」

 

 優衣はビクッビクッと跳ねるペニスを咥えたまま離さず、白濁液の全てを受け止めて、尿道に残った分まで全てを吸い出した。

 

「ん、じゅぽッ……んん……ゴクッ」

 

 翔太郎は全身の力が抜けて、そのまま後ろにあったベッドに背中から仰向けに倒れ込んだ。

 

「はぁ…………」

 

 疲れ切った様子の翔太郎を、優衣が見下ろしてくる。

 

「いっぱい出したね」

 

 結局流されてここまでしてしまったが、今日の優衣はいつもと違った。その理由が気になって翔太郎は優衣に問いかける。

 

「どうして今日はこんな……」

「んーと、最後ぐらいサービスしてあげよっかなって」

「え? 最後……?」

 

 翔太郎は思いもしなかった言葉に、体を起こしてきょとんとした。

 

「そうだよ、これで最後。だってお兄ちゃん、小春ちゃんともなんかしてるでしょ?」

「あっ……」

 

 思い当たるのは今日の勉強会の途中で抜け出した時の出来事。気づかれていないと思っていた。

 しかし、優衣は翔太郎が思っているよりも聡かったらしい。

 返事もできずに固まっていることが、問いに対しての何よりの答えになった。

 

「付き合ってるの?」

「いや……それはまだ……」

「じゃあちゃんと告白しな。多分小春ちゃんは自分から告白するような性格じゃないと思うし。このままの中途半端な状態じゃ、小春ちゃんに失礼だから」

「そう、だよな……ごめん」

 

 不甲斐なかった。もっと早く自分でこの結論を出さなければいけなかったのに、妹に選択を迫られるまで決められなかった自分が情けなかった。

 

「うん。これからこういうことは、彼女に――小春ちゃんにしてもらいな?」

「…………わかった」

 

 告白すれば、きっと小春はそれを拒まないだろう。

 小春と先へ進む、それは現状よりもずっと自然で好ましい未来のはずだ。だというのに、翔太郎は何かが手からこぼれ落ちたような喪失感を味わっていた。

 

 

 

 兄の部屋から戻った優衣は、閉めた扉に背を預けてため息をついた。

 

「……うん。ちゃんと言えた。……これでいいよね……これで……」

 

 きっと全部丸く収まる。この方がみんな幸せになれる。そう自分に言い聞かせて、心の奥の気持ちに蓋をした。

 優衣は天を仰ぎながら、気持ちに嘘はつけてもこぼれる涙だけは正直だなぁと、他人事のようにぼんやりと思った。

 

 

 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

 翔太郎はなかなか告白をする踏ん切りがつかずに、数日が経過していた。

 

 今日の放課後はヒデと一緒に地元の中古ゲームショップに来て、部活でプレイするゲームを探していた。

 フルプライスのゲームともなると高校生にはなかなか手が出しづらい。中古で値段を抑えつつ、二人で出し合って買うことも多かった。

 

「翔太郎殿、スタジオ紅茶の晴天恋日和が2000円ですぞ。なかなかよいのではありませぬか?」

「悪くないね。第一候補にしよう」

 

 パッケージには五人のヒロインが描かれている。それを見ていたら、前にヒデが言っていたことをふと思い出した。

 

「ところでさ……ヒデはこの子とこの子どっちも好きって言ってたけど、どっちか一人しか攻略できないって言われたらどっちを選ぶ?」

 

 翔太郎が指さしたのは、幼馴染ヒロインと妹ヒロイン。

 

「ふむ……それならば、小生はこの子を選びますぞ」

 

 ヒデが指さしたのはどちらでもない、そのゲームのメインヒロインだった。

 

「え? お前この二人好きだって言ってたじゃん」

「やはりゲームはシナリオの方が優先されますからなぁ。現実でしたら選択は違いましょうが、ゲームの話ですゆえ」

「……ゲームと現実は違う、か……」

「現実でしたら周回プレイがないですからなぁ。選ばれないヒロインがいると思うと少々悲しいですな。まぁ小生には縁のない話でしょうが、ハハハ」

「…………」

 

 選ばれないヒロイン。主人公が一人のヒロインを選んで個別ルートに入った時、選ばれなかったヒロイン達はどういう気持ちなんだろうか。

 表では悲しい表情を見せなくとも、裏では涙を流しているのだろうか。

 もしそうならば、永遠に誰も選ばれず、物語が終わらない方が幸せなんじゃないだろうか。そう思った。

 しかし、それはあくまでゲームの話で、現実では何もしなくても時間が進んでいく。今自分が考えなければいけないのはどうしようもなく現実の話だった。

 

 

 

 帰宅した翔太郎は優衣の姿を見つけた。

 

「ただいま」

「おかえり」

 

 優衣は一言返事をすると、すぐに部屋へ引っ込んでしまう。

 最近はずっとこうだ。最低限の会話はするが、それ以上は無い。避けられているような気もするし、以前からこんなものだったような気もする。

 後ろ髪を引かれる思いがそう感じさせているだけなのだろうか。

 

 そこでふと思う。自分は何に未練を感じているのだろう?

 優衣は確かに可愛い。だが妹だ。恋人にはならない。幼馴染に告白して彼女ができても、優衣との関係は何も変わらない。

 ならば良いではないか。何も後悔するようなことは無い。

 大体、小春に告白するように言ってきたのは優衣だ。優衣も小春と恋人になることを望んでいるのだ。

 迷う必要など無い、小春に告白しよう。そう決意した。

 

 

 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 翌日、ホームルームを終えて部活に向かう前、こちらに背中を向ける小春の肩をつついた。

 

「あのさ、今日もちょっと話があるんだ。また少し早めに部活抜けてそっち行くね」

「……! わ、わかった」

 

 小春は驚いてから何かを覚悟した様子で、勘違いをしている気がしたので一応正しておく。

 

「えっと、あの、そういうことじゃなくて、真面目な話」

「あ……そ、そうだよね! あはは……恥ずかしい……」

「それじゃまた後で」

「うん」

 

 翔太郎は既に緊張感を自覚しながら、そそくさと教室を後にした。

 

 

 

「翔太郎殿、翔太郎殿?」

 

 ゲーム画面を前にしながら上の空だった翔太郎は、ヒデに呼びかけられて我に返った。

 

「……ん? ごめん、なんだっけ?」

「共通ルートの日常パートとはいえ、今日はやけに集中できておらぬ様子。なにか心配事でもおありですかな?」

「まぁ、ちょっと考え事を」

「ふむ……何か助けが必要なら言ってくだされば協力しますぞ」

「ありがとう。でもこれは俺の覚悟の問題というか……」

「といいますと?」

 

 話すかどうか悩んで、この面子ならどうせ結果を報告することになるだろうと思って口を開いた。

 

「あー……その、小春に告白しようと思ってて」

「なんと! それは吉報! これでようやく小春嬢も浮かばれますな!」

 

 盛り上がるヒデと高さんの反応は対照的だった。高さんは一瞬目を見開いたが、すぐに鼻白んだ顔をした。

 

「ふーん……あのヘタレな翔太郎クンが告白とはねぇ」

 

 てっきりからかわれるものだと思っていたので少々意外な反応だった。

 

「しかし、それは確かに覚悟が必要ですなぁ。物思いにふけってしまうのも頷けますな」

「良い返事をもらえる自信はそれなりにあるんだけど、それでもやっぱりいざとなると緊張するね」

「緊張するということはそれだけ真剣ということですからな、良いことだと思いますぞ。きっと小春嬢にも誠意が伝わるでしょうな」

「そう、だといいなぁ……」

 

 今までが不誠実だった分、誠心誠意向き合わないといけない使命感はあった。それを差し引いても、人生で初めての告白なので緊張するのは当たり前だが。

 

「まぁ翔太郎クンならどうせオーケー貰えるだろうからさぁ、どっしり構えて行きなぁ」

 

 高さんがのんきに言うので、こちらまで気が抜けてしまう。その気軽さが今はありがたかった。

 

「ありがとうございます、気楽……とはいきませんけど精一杯伝えてきます」

 

 翔太郎は壁にかかった時計を何度も見てはまだ早いと焦れていたが、逸(はや)る気持ちが予定よりも少しだけ早く翔太郎を立ち上がらせた。

 

「そろそろ行こうと思います」

「ご武運をお祈りしておりますぞ」

「いってらっしゃい~」

「いってきます」

 

 翔太郎は二人に送り出されて小春のいる文芸部へと足を向けた。

 

 

 

「小春? もう平気?」

 

 翔太郎はドアを少し開けて文芸部の中を覗くと、見回して小春以外の部員がいないことを確認した。

 

「あっ、うん、大丈夫だよ」

「良かった」

 

 翔太郎は小春の隣の席に腰を下ろして、背筋をピンと伸ばす。

 

「ん、んんっ」

 

 わざとらしい咳払いが出た。

 緊張感は小春にも伝わっているようだった。小春は少々硬い表情で尋ねてきた。

 

「……えっと、それで真面目な話って言ってたけど何?」

「そのまぁ、俺達最近色々あったでしょ? ……それでなんだけど、多分小春も同じ気持ちだと思うし、俺の気持ちを伝えておいた方が良いと思って……」

「それって…………」

 

 小春が目を見開いた。

 翔太郎は居住まいを正して、小春を強い視線でしっかりと見据えた。

 

「小春が好きなんだ。俺の彼女になって欲しい。付き合ってください」

 

 小春は口に手を当てて、息を呑む。

 

「……本当に、私でいいの……?」

「小春じゃないとだめなんだ」

 

 遂には目の端に涙を浮かべて、感極まった様子で、それでもしっかりと頷いた。

 

「はい……! こちらこそ、よろしくお願いします……!」

 

 小春の頬に伝う涙を見て、それだけ喜んでもらえたことが純粋に嬉しかった。

 その涙を拭いながら尋ねた。

 

「もしかして小春って、結構前から俺のこと好きだったりする……?」

「そんなの最初からだよ。この前話した小学校の頃の話、あの時からずっと……ずっと好きだったよ」

「そっか……。それじゃ随分待たせちゃったんだね」

「ううん、いいの。翔ちゃんはちゃんと迎えに来てくれたから、あの頃からずっと変わらずにあった私の気持ちを。だからいいの」

 

 柔らかく微笑んだ小春は、心の奥の大切にしていた気持ちに突き動かされるように、翔太郎の唇にキスをした。

 

「……!」

 

 不意の小春の行動に、翔太郎は驚きで固まった。

 

「へへ……もう恋人だから、いいよね?」

 

 唇を重ねるという行為は、翔太郎の中で今までの淫らな行為とはまた少し違う位置づけにあった。だからそれを小春とすることはまだ想像していなかった。

 しかし、そんな特別な行為をしたことは翔太郎に実感をもたらした。小春が自分の彼女になったのだとその瞬間に理解した。

 

「もういっかい……」

「うん……」

 

 小春が顔を寄せてくる。翔太郎も同じようにそうした。

 今度は先程の軽く触れ合うだけのそれとは違った。長く唇を重ね、そして舌を絡め合った。

 

「んっ……ぁ……」

 

 お互いの背に腕を回して抱きあって、重ねた唇は離さない。

 何かが欲しくて欲しくて仕方なくて、求め合った。満たされたくて、ただ貪り合った。

 

 どれくらいの間そうしていただろうか。

 ――――キーンコーンカーンコーン……

 

「あっ…………」

 

 気づいたら下校時刻になっていた。

 

「もうこんな時間……」

 

 我に返った二人は小さく笑い合って、

 

「帰ろっか?」

「うん」

 

 小春は部室を出る前に立ち止まると、躊躇いがちに口を開いた。

 

「あの……もう期末テストだから勉強に集中しないといけないけど……テスト最終日、終わったら家に来ない……? お昼なら誰もいないと思うから……」

 

 恋人が誰もいない家に招いてくれている。その意味は聞くまでもない。

 

「うん、行く」

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