ハクアは性欲の赴くまま、レオンを押し倒し、乳首いじめをしながら『屈辱童貞宣言』をさせることに成功する!
しかし、途中でレオンの兄弟が現れたので、ハクアはレオンの恋人として挨拶を済ませたのだった!
その夜。レオンは復讐として、ハクアに弱体魔法を掛けて拘束し、甘辛罵倒耳舐めフェザータッチ生殺し誘惑を仕掛け、ハクアの性癖をぐちゃぐちゃにした!
1週間後、ハクアの誕生日パーティーが開かれた! そこでハクアは、レオンから『通信宝石』をプレゼントされた!
夜、レオンとの通話後、ハクアは幸せすぎてガチ泣きしてしまったのだった!
僕とハクア、その他数名の冒険者が、ギルド会館の会議室に集められた。
「皆には、交換演習に協力してほしい」
ギルド長はそういった。
交換演習――ギルド間で数名の冒険者を交換し、別ギルドでの生活を体験してもらうという制度である。当ギルドでは、隣市の大ギルドと友好的な関係にあり、昔からこの交換演習が行われている。
「うちから大ギルドに行くメンバーと、こっちで大ギルドの冒険者を受け入れるメンバーを決めたい」
話し合いの末、僕とハクアは受け入れる側のメンバーとなった。
「交換演習は来週からだ。くれぐれも相手に失礼のないようにな」
そういって、会議は終わった。
僕とハクアは食堂へ移動しながら話す。
「来てくれる人、優しい人だといいね」
「……そうですね」
「ハクア、不安? 緊張してる?」
「あ、いえ……大丈夫です……」
ハクアはどこか浮かない面持ちだった。
――この時、僕は完全に忘れていたのだ。
ハクアの黒歴史――好きだった男子を妹に取られたという過去のことを。そして、その妹さんが所属しているギルドが、その大ギルドだということを。
*
――1週間後。今日から、交換演習が始まる。期待と不安が半々だ。
僕はソワソワしながらギルドへ向かうと――ギルド会館の入口前で、ハクアと女冒険者が何やら話していた。
女冒険者の方は、背中しか見えない。
僕は建物の陰から、2人の様子をうかがう。
「久しぶりだね! お姉ちゃん!」
「帰って」
「え~!? そんなこと言わないでよ! 私、久しぶりにお姉ちゃんとクエスト行けるの楽しみにしてたのに!」
「私は楽しみにしてないっ!!!!!」
――お姉ちゃん!?!?!?
え、てことは、ハクアの妹さん!? ハクアの想い人をあっさりゲットしてハクアにトラウマを植え付けた、あの妹さん!?
背中しか見えないが、確かにハクアと同じく金髪だ。
でも、ショートカットだ。あと、妹のはずなのにハクアより背が高い。175センチくらいはありそうだ。
後ろ姿だけだが――陽キャのオーラがうかがえた。
というか、敬語じゃないハクアって初めて見た……! なんか新鮮だ……!
「お姉ちゃん、こっちでの生活はどう? 彼氏できた?」
「オーバーキルするな! 人の心とかないの!?」
だいぶグロいことされてる……。あの妹さんと一緒にいたら、確かに劣等感こじらせそう……。
「え、もしかしてまだ処女……なの?」
――ピシッ!と、ハクアの額に青筋が浮かぶ。
とっくに初体験を経験済みの、超イケイケ陽キャの妹に『処女』という事実を突き付けられる。……地獄だろうなあ。
「ご、ごめんねお姉ちゃん。さすがにまだ処女だとは思ってなくて……」
「はあ!?!?!?!?!? とっくに卒業してるけど!? もう毎日ヤリまくりだけど!? セフレ10人くらいいるけど!?」
「ぶふっ……!!!!!!(笑)」
僕は思わず噴き出した。
ハクアは顔を真っ赤にして声を荒らげる。その必死な様子が悲しいくらい哀れだった。妹さんも、もちろん強がりであることは分かっているのだろう。
「まあまあ、なんというか……良い人いたら紹介してあげるから(笑) ね、泣かないで?(笑) お姉ちゃん(笑)」
「泣いてませんが!?!?!?!?」
僕はハクアたちの前に姿を現す。
「おはよっ、セフレ10人ネキさん♡」
――ハクアの表情がピシっ!と固まる。直後、「うわ最悪だ……!」という表情になる。
「そっか~(笑)♡ ハクア、そんなにモテモテなんだ(笑)♡」
「……やめっ、やめてくださいレオンさんっ……!」
「知らなかったな~(笑)♡ さすが1軍陽キャのハクアさんだな~(笑)♡」
「もう許してくださいッ……!!!!!」
ハクアは顔を真っ赤にしたまま、涙目になってうつむくことしかできない。
そんな僕らのやり取りを妹さんは不思議そうに見ている。
「えっと……どなた? お姉ちゃんの知り合い?」
「レオンだよ。初めまし、て――」
僕は妹さんの方を向いて挨拶しようとして――あまりの衝撃に固まった。
ぱっちりとした大きな翡翠色の瞳。ショートヘアの金髪。そして、何より――100センチ超えであろう巨乳。ものすごい質量のおっぱいに冒険者服が内側から押され、大きく膨らんでいる。
「はじめまして、レオン! 私はルーシー、お姉ちゃんの妹だよ!」
ルーシーはそういって、笑顔で握手を求めてくる。僕は握手に応じながらも、彼女の胸を凝視してしまう。
「ルーシー、胸おっきいね……*1」
「うん、Iカップだよ! すごいでしょ!」
「Iカップ!?!?!?!?!?!?」
AVの世界の人じゃん! 普通に生きてたら一生見れないレベルのおっぱいじゃん!
僕は感動してしまう。この世界の男性であっても惹かれるであろう巨乳――いうまでもなく、前世の貞操観念を持つ僕にとっては、垂涎のおっぱいだった。
というか、本当にハクアと血の繋がった姉妹なの……?
思わずハクアとルーシーの胸を交互に見てしまう。
A!I!A!I!A!I!A!I!A!I!
「見比べないでください!!!!!!!」
ハクアは顔を真っ赤にして、泣きそうな表情でそう叫んだ。
「ご、ごめんね、ハクア」
前世でたとえるなら、身長180センチ越えのイケメン弟と、身長150センチの自分を見比べられるようなものだ。悔しいなんて言葉では表せられない程の劣等感だろう。
「あの、ほんとにごめんねハクア。僕はハクアの胸が何カップでも、ハクアのこと大好きだから」
「いいですよフォローしなくて!」
「ごめんってば!」
すると、ルーシーが不思議そうに僕とハクアを見ながら――。
「あの、お姉ちゃんとレオンの関係って……?」
「恋人だよ。いつもハクアにはお世話になってます」
ルーシーは絶句した。と思ったら、険しい顔で僕を睨み付ける。
「いくら騙し取る気なの? 私、お姉ちゃんのこと大好きなんだ。だから――お姉ちゃんのこと騙そうとしてる男のこと、許せないな」
「いや美人局でも結婚詐欺でもないよ!? 本当にハクアのこと好きなの!」
「え……そ、そんな……」
ルーシーは、ハクアの方を見ながら――。
「お姉ちゃん……どんな弱みを握ってレオンを脅してるの……?」
「脅してないけど!? 叶わぬ恋の末に脅迫なんて手段に訴えてないけど!?」
「お姉ちゃんがこんな美人と付き合える訳ないでしょ!」
「そんなことハッキリ言うな実の姉に!」
ハクアとルーシーは言い争い始める。なんだかんだ姉妹関係は良さそうでなによりだった。
*
僕たちはギルド会館に入った。
すると――近くのテーブルに座る男子たちから「誰あの女子、めっちゃイケメンなんだけど……!」「え、交換演習の人かな!? ぎゃ、逆ナンしにいこうかな!?」とか聞こえてくる。
ほんと凄いなルーシー……。
ギルド内のテーブルに着き、僕とハクアとルーシーの3人は、改めて話し合う。
「じゃあ、これから1ヶ月よろしくね? レオン、お姉ちゃん」
「うん、よろしくね!」
「……はい」
楽しそうなルーシーとは対照的に、ハクアはず~ん……と落ち込んでいた。
「でもびっくりしたな~。お姉ちゃんがこんなカッコいいカレシ作ってるなんて」
「えぇ……それはどうも……」
形式的にはともかく、実質的には既に恋人なので『恋人』といってしまって何の問題もないだろう。もう何度もデートもキスもしているのだから。
ルーシーはあどけない笑みを浮かべ、僕の方をじっと見る。
「ほんとにカッコイイし可愛いね。ね、私ともデートしてよ、レオン」
「えっ」
「は?????????????」
ハクア、そんなに低い声出せるんだ……。
ハクアは憤怒の表情でルーシーを睨む。背筋が凍りそうな冷気が一帯に満ちる。
「なにいってるの、ルーシー。あの子と付き合ってるんでしょ」
「あ、別れたよ」
「えっ……?」
「といっても喧嘩別れじゃないよ? しばらく付き合ったけど、『やっぱ友達に戻ろ』ってなったの。円満別れってやつだし、いまも仲いいよ?」
「いや、えっ……?」
ハクアはショックを受けていた。
無理もないだろう。ハクアがどれだけ望んでも手に入らなかった男の子――想いを寄せていた男子を、あっさり手に入れて、あっさり手放したのだ。
ハクアにとっては、本気でショックな出来事だろう。
「……何なんでしょうね、私の人生って」
ハクアは天を仰ぎ、人生を憂い初めてしまった。僕はハクアの頭を撫でながら――。
「ま、まあまあ、ハクア。僕はハクア一筋だし、僕じゃだめ……?」
「……あ、えと、光栄です……私もレオンさんがいてくれれば、それで……」
ハクアは赤面しながら、小声でそういった。
よかった。僕の存在がハクアの救いになれた……。
「わ~ラブラブ~! お姉ちゃんたちいつもそんな感じなの?」
「いつもこんな感じです。ルーシーに入り込む余地はないから入ってこないで」
「うん。もちろん私の方から横取りするような真似はしないよ」
ルーシーは余裕たっぷりの微笑を浮かべる。円かな翡翠色の瞳が、妖しく光る。
「でも、レオンが私のこと好きになっちゃったら……その時はごめんね?(笑)」
「こんのッ……! 絶対レオンさんは渡さないからッ……!」
ハクアは威嚇するようにルーシーを睨み付ける。それに対して、ルーシーは悠然と構えていた。
とはいえ、僕はハクアのことが大好きなのだ。今さら、心変わりすることなんてない。
*
ルーシーと行う初めての合同クエストは、恐竜型モンスターの討伐だ。
クエスト地に着くと――廃村に、恐竜の群れが闊歩していた。恐竜のせいで村が滅んだわけではなく、廃村に棲みついてしまったらしかった。
「リリヘルム流・一の太刀――
「リリヘルム流・三の太刀――
――瞬殺だった。
かつてハクアと同じパーティーで双璧を為していただけはある。圧倒的だ。強すぎる。
「おつかれさま! レオン! お姉ちゃん!」
「おつかれ! すごいねルーシー! 超強い!」
「ん~! それほどでもあるかも!」
ルーシーはそういって笑う。太陽のようなまぶしい笑顔だ。
「でもレオンもすごいね! 魔力量も多いし魔法構築も早いね! うちのギルド来る? いっぱい稼げるよ!」
「引き抜きしないでください! レオンさんは渡しませんから!」
「え~? いっぱい良い思いさせてあげるんだけどな~?」
ルーシーとハクアは僕を挟んで言い争う。必死なハクアに対し、ルーシーはずっと楽しそうだった。
もしかしてだけど、ルーシーは僕のこと……。
*
その後、昼食を取ってからギルドに戻った。
「あ、お姉ちゃん。交換演習中はお姉ちゃんの家泊まらせて?」
「は!? 交換演習者には宿が用意されてるでしょ!」
「でもお姉ちゃんと一緒にいたいな~?」
「むぐぐっ……」
ルーシーは甘え上手な妹パワーを存分に発揮し、ハクアにおねだりする。
「いいんじゃない? 姉妹水入らずの時間、ひさしぶりなんでしょ?」
「まあ、構いませんが……交換演習中は、レオンさんはうちに来ないでくださいね」
「「え~!?」」
僕とルーシーは同時に抗議の声を上げる。
「なんで僕だけハブられるの!」
「そうだよ! 私もレオンと仲良くなりたいのに!」
「それが一番嫌なんですよ!!!」
ハクアは本気で嫌そうな顔をして訴える。しかし、ルーシーも譲らない。
「私だってレオンと仲良くなりたいよ! いっぱいお話ししたいよ!」
「そういってまた私から男を寝取る気なんだ! 私は分かってるんだ!」
「いや寝たことないでしょ、昔も今も」
「ぐはッッッッッ!?!?!?」
ハクアはルーシーによるクリティカルな一撃を受け、胸を抑えてうずくまった。
「ハクア、僕が他の女の子になびくことはないし、ハクア以外の女に抱かれるなんて嫌だよ。だから、信じてよ、ハクア」
「……ッ!」
ハクアはバッと顔を上げる。心なしか、目を輝かせ、喜色に満ちた顔色だった。
「あの、今のもう一回言ってもらえますか?」
「ハクア以外の女に抱かれるなんて嫌だよ」
「そ、そうですか……」
きっと『自分以外に抱かれたくない』という言葉が嬉しかったのだろう。ハクアは冷静な様子を装っているが、ニヤニヤと口角が上がっているのを堪えきれていなかった。
――しかし、ルーシーは半眼で僕らを眺めていた。
*
結局、この日は3人でハクアの家に泊まることになった。
ルーシーがお風呂に入っている間、僕とハクアは、ハクアの部屋で2人きりだ。
僕は、ずっと気になっていたことを尋ねることにした。
「ねえ、ハクア。前のギルドで好きだった男の子のこと、まだ好き?」
「いえ、今はもう……吹っ切れました。なにより、私はレオンさんのことが好きです」
そういって微笑むハクアに、僕はドキッとした。
嬉しい。嬉しすぎる。『好き』という言葉に、喜びで満たされる。
あれだけこじらせていたハクアがこんなにも心を開いて、自分に愛情を向けてくれることが、嬉しくて仕方なかった。
「僕も、ハクアのこと好きだよ」
僕はハクアに顔を近づける。ハクアも察したのか、受け入れる態勢を整え――。
――唇が触れ合う。
優しく、口吻けを交わし続ける。想いが伝わってくるような感じがして、胸が満たされる。
やがて僕たちは唇を離し、小さく笑い合った。
「レオンさん」
「うん」
「貴方のことが好きです」
「うん、僕も、ハクアのことが好き」
ハクアと、向かい合う。
朝焼けのような、まばゆい金髪。
強い決意を宿した、翡翠色の瞳。
白磁の肌は、朱色に染まっている。
ハクアの面持ちには、かすかな緊張があった。
「改めて、私と恋人になってください」
「うん、喜んで!」
僕はハクアに抱き着いた。
ずっと、求めていた言葉。僕とハクアの関係を正式に『本当の恋人』にできる、最後の一線だ。
勇気も要っただろう。でも、ハクアは、その一歩を踏み出してくれた。
「ありがとう! 大好きだよ! ハクア!」
「私も、大好きです。レオンさん」
僕たちは、ずっと抱擁し合っていた。恋人と抱きしめ合うその温度が、温かくて、幸せだった。
ハクアは僕を抱きしめたまま、静かに話し始めた。
「出会ってからずっと、レオンさんのことが怖かったんです」
「……どうして?」
「貴方のことを、魔性の男だと思っていました。色々な女性に手を出していて、私も遊ばれている女たちの中のひとりだと思っていました」
「ひどいなあ。でも、そう思ってたんだ」
「はい。貴方と関係を持てば破滅すると、怯えていました。でも……それはこじらせた心が見せた幻影でした。今では、本当にレオンさんが私のことを好きでいてくれていると、信じています」
「ふふっ……うん、大好きだよ。ハクアのこと、大好き」
「ありがとうございます。何度も、伝えてくれて。自分でも言うのもなんですが……こじらせすぎて、その言葉を信じるのに長い時間が掛かってしまいました」
ハクアは一度抱擁をやめて、僕を正面から見つめる。翡翠色の瞳は潤んでいた。そして、愛情がこもっていた。
「魔性の男なんて、幻でした。マウントを取ったり取られたりする内……レオンさんがただの可愛い男の子だって気付けました」
「ありがとうって言っていいのか微妙なんだけど!」
なんだろう、愛されてるのかバカにされてるのか分からない。
「一緒にいて、楽しかったんです。レオンさんのすべてが、好きなんです」
ドキン、と心臓が跳ねる。恋をしたてのような、爆発的な胸の高鳴りで、心臓が痛い。ハクアのことが好きで好きでたまらない。
「僕も、大好きだよ、ハクア」
僕は、そういって笑った。
この短時間で、何度『好き』と言っただろう。前世も含めて生まれてから今までで、最も幸せな時間だった。
――こうして、僕とハクアは、正式に恋人になった。
*
翌日。
ハクアは他のパーティーの
クエストも終わり、ルーシーと共にギルドへ戻った。手続きと報酬の受取も終わり、一緒に食堂で夕食を取っている。
「レオン、魔法職なのに前衛でも戦えるの凄いね。どこのパーティーでもやっていけるじゃん」
「えへへ、ありがと」
「しかも超綺麗で可愛くて、おまけにそのスタイルだもんね。うちのギルド来たら引っ張りだこだよ」
ルーシーはそう言いながら、僕の胸元を凝視する。かぁっ……!と羞恥心が込み上げ、僕は慌てて胸を腕で隠す。
「どこ見てるの、えっち」
「いやあ、おっきいなって。多分私が抱いてきた男の子の中だと……2番目か3番目に大きいかな」
「えっ、ウソっ!?」
僕はショックを受ける。毎日鍛えて胸筋を大きくしてきた身だ。当然、おっぱいの大きさには自信があった。
「いや冒険者の服って締め付けきついし! 絶対僕の方がおっきいから!」
「え~ホントかな~? じゃあ帰ったら見せて?」
「望むところだよ! …………いや見せる訳ないでしょ!」
僕はあっさり挑発に乗りかけた後、我に返った。危ない、危うくおっぱいをタダで見せるところだった。
その後、僕らは夕食を食べ終わり、お会計を済ませた。*2
ちなみに、ハクアたちの方はクエストの終了時間がハッキリしないので、先に終わったらお互いを待たずに帰るという約束だ。
外に出ると――。
「わっ、雨だ」
突然、雨が降ってきてしまった。僕はロッカールームから傘を取ってきたが、当然1本しか持っていない。
「一緒に帰ろっか」
「私が持つよ」
背の高いルーシーが傘を持つ。僕の肩が濡れてしまうことに気付いたのか――。
「濡れると風邪ひいちゃうよ?」
「わっ」
突然、肩を抱かれた。
わっ……すごっ……! 肩抱かれてる……! 凄い男慣れしてるなあ……!
僕は抱き寄せられたまま歩いていく。
おっぱいが……! おっぱいが当たってる!!!!! でっか……!
「あはは、なんか恋人みたいだね」
「ルーシーみたいなルックス1億点のイケメン高身長巨乳女子がこれやるのダメでしょ。普通の男だったら即オチだよ」
「あれ、ドキッとしちゃった? 浮気だぞ~?」
「してないし! ハクアに言いつけるよ!?」
「冗談だってば~笑」
笑いながらルーシーと共に、雨の中を歩いていく。
*
私はクエストから帰ってきた。雨が降り出してしまったので、気持ち早足でギルドへと向かう。
「……えっ?」
遠くに、相合傘をしながら歩くレオンとルーシーの背中が見えた。
距離、近くない……? だ、大丈夫だよね……?
だって、レオンさん、私のこと大好きだって言ってくれたんだから……。
瞬間――フラッシュバックする、あの悪夢。
――実は、僕たち、付き合ってるんだ。
――驚かせちゃってごめんね、お姉ちゃん! 実は――というわけで、付き合い始めたんだっ! ずっと黙ってるのも悪いかなって思って話すことにしたのっ!
大好きな人を、ルーシーに取られた瞬間の、絶望。あの瞬間の苦しい気持ちがぶわっと湧き出てきて、身も心も重くなる。
「もうやだ……脳が、破壊される……」
心臓を抑えるように、胸に手を当てる。
ルーシーと違って、薄い胸。ぺたんこな胸。女性的魅力のない胸。
――ちょっと、泣きそうになる。
「……だ、大丈夫だよね?」
もう、そんな悪夢……起きないよね?
*
僕とルーシーはハクアの家へ帰宅した。順番にお風呂に入り、今はルーシーの部屋で雑談している。
ふたりで、ベッドに腰掛けている。拳4つ分の距離。恋人の妹に対する距離感としては、ちょうどいいくらいだろう。
「すごいね、通信宝石持ってるんだ」
ルーシーは、僕の胸元に提げたペンダントを見ながらそういった。
「私も元カレにあげたことあるけど、結局別れちゃったしな~」
「そういうの、どうするの? 処分するの?」
「私たちは売っちゃった」
それを聞いて、なんとなく悲しくなる。まあ、指輪だって同じだ。別れれば処分するだろう。
永遠のつもりで贈ったこの通信宝石ペンダントも、もし別れれば――。
嫌な想像をしてしまって、思わずペンダントを握る手に力が入っていた。
「もし私に乗り換えたくなったら、新しく買ってプレゼントしてあげるよ?」
「僕はハクア一筋だよ」
ルーシーは妖しげな微笑を浮かべながら、僕を見る。――魔王のような覇気だ。値踏みされているような、心の裏側まで見透かされているような、絶対的強者の威迫を帯びた眼差しだった。
「ねえ、レオン」
ルーシーが、ぐいっと距離を詰めてきた。
少女漫画に出てくる王子様のような、ばっさばさの長い睫毛。妖しい光を宿す、円かな翡翠色の瞳。すべてが整った、完璧な目鼻立ち。
あまりにも、美しい。暴力的で圧倒的なルックスに、思わず魅入られてしまう。
ルーシーは
だめだ、この距離は、健全じゃない。
「や、だめっ……」
僕は退いたが、ルーシーは更に体を寄せてくる。
お風呂上がりの、いい香りがする。女の子の匂いだ。そのせいか――つい、ルーシーの胸元を見てしまった。
パジャマを内側から押し上げ、巨大なテントが形作られている。まさしく、夢の巨乳。Iカップという圧倒的なおっぱいの質量が生む、魔性の膨らみだった。
思わず「……ごくっ」と喉を鳴らしてしまう。
「あれ? 顔赤いよ?」
「そ、そんなこと、ないけど……」
急に、自分に対する自信がなくなった。まるで、元の世界の初心な男性に、急激に戻された感覚だった。
これが、本物の陽キャ強者女性。何人もの男性に愛され、何人もの男性を抱いてきた人間。
ルーシーは微笑みながら――僕を押し倒してくる。そのあまりの自然さに、僕は反応が遅れてしまう。
「や、なにしてっ……」
押し返そうとした手を握られ、
うわっ、ちかっ、顔キレイすぎ……!
「私の過去のセフレ、私に抱かれた後に付き合った彼女さんとえっちした時、満足に気持ちよくなれなくて苦しそうなんだよね」
「そりゃ、そうだろうけど……」
ルーシー、絶対えっち上手いんだろうなあ。そんなに百戦錬磨で経験豊富なんだから。
しかも、この抜群のルックスと、豊満な身体だ。それに加えて天国に昇るような快感を与えられてしまったら――普通の男はもう戻ってこれないのだろう。
ルーシーが僕に顔を近づけてくる。僕はせめてもの抵抗として顔を背けたが――ルーシーが、僕の首を舐めた。
「んひゃあっ!♡」
「うわぁ、喘ぎ声えっろ……」
さらに、耳を口に咥えられる。耳の形に沿って、生温かい舌がねちっこく攻めてくる。
甘い快楽が全身を駆ける。自分よりも強い雌に蹂躙され、愛撫されている感覚に満たされてしまう。
「んっ♡ ちょっ♡ やめっ、んんぅっ♡」
感じやすい体質が裏目に出ている。乳首だけではなく首や耳ですら、性感が込み上げて悶えてしまう。
ルーシーが一度愛撫を止めて、顔を離す。その獰猛な眼差しから目を逸らしたくて、視線を下ろすと――柔らかそうなIカップのおっぱいが目に入る。
パジャマ越しにすら分かる、肉感的な質量。触れれば指が沈むであろう、柔らかいおっぱい。
――前世では、絶対に触れることのできない女性。社畜童貞はもちろんのこと、男の中でも上位1%の勝ち組男性しか抱けない極上の女体。
ランウェイすら歩けたであろうトップクラスの美貌とスタイルを誇る美女。
そんな相手と性交できる権利が、目の前にある。しかも、あべこべ世界であるが故に、そんな絶世の美女の方から迫られ、求められている。男である自分がリードせずとも、一方的に愛され、めちゃくちゃにされるに違いない。
そんなの、そんなの――ぜったい、きもちいい。
「ねえ、お姉ちゃんには黙っておいてあげるからさ。1回、私としてみない?」
翡翠色の瞳が、僕を見つめる。
暴力的なまでの美しさを持つ美貌と、数多の男を堕としてきた豊満な肉体。――堕天の使徒のごとく、妖艶な雰囲気。
自分が、快楽の坩堝の
――それでも。
それでも、僕は。
「……しないよ。僕は、ハクアのこと愛してるから」
「……そっか」
ルーシーは一瞬目を伏せた。その時、彼女の表情に翳が差したような気がした。
「ねえ、ルーシー」
「なに?」
「僕に興味なんてないでしょ?」
「えっ」
ルーシーは虚を衝かれたように、目を丸くする。
「ハクアと一緒にいる時、ず~っと楽しそうだけど、僕の時はそうでもないもんね」
「いや~そんなことは」
「気づいてたよ、ハクアと話してる時だけ、幸せそうな笑顔なの」
「……」
「僕のこと試したんでしょ? ハクアに相応しい男かどうか」
僕はルーシーの肩を押し、上からどかす。そして姿勢を直して、ベッドに腰掛けた。
ルーシーから笑顔が消える。友好的な雰囲気がなくなった。
「……うん、正直あんまり信じてなかったからね」
「どうだった? ルーシーテストで、僕は合格?」
「う~ん……まあ保留かな、試してるのがバレちゃったら意味ないし」
「え~」
僕は不満の声を上げる。
「ハクアが選んだ男なんだけど、信じてもらえない?」
「お姉ちゃんチョロいから、レオンみたいな美人に迫られたらすぐ本気にしてのめり込んじゃうだろうし……」
「その通りだけど酷い言われようだね」
「恋愛Eランクのお姉ちゃんが、そんな冷静な判断なんてできるわけないもん」
「ハクアが聞いたら泣くよそれ」
やっぱりハクアがこじらせたのは、半分くらいルーシーのせいなのではないだろうか。
「でもやっぱり怖いよ、レオン。魔性の男って感じする」
「ハクアにも同じこと言われちゃったよ、何回も」
「え、そうなの?」
僕は頷く。
「ルーシーは知らないだろうけど、僕とハクアってずっと距離あったんだよ。ハクアが、僕に警戒心を抱いてたから。でも、がんばったんだよ。がんばって、ここまで来たんだよ」
ハクアと恋人になるのは、一筋縄ではいかなかった。
時には正直に気持ちを伝えて、時には色仕掛けで性的好奇心を惹いて、時にはマウントを取ったり取られたりしながらも、仲良くなって、ようやくハクアを彼女にしたのだ。
「だから、信じてほしいな。ハクアのことが好きって気持ちは、ルーシーにも負けてないと思うから」
「……うん、分かった! 信じるよ! 失礼なこといって、試すようなことしてごめんね!」
「ううん、いいよ! 僕が美人すぎるのが罪なだけだから!」
「自己評価たっか!!!!!!!」
この後、僕とルーシーは他愛ないお喋りをした。恋人の妹と、姉の恋人として、正しい距離感で。
「あ、そうだレオン、お姉ちゃんにイタズラしない?」
「イタズラ? どんな?」
「えっとね、まず通信宝石で――」
*
私はギルドで受付を済ませ、夕食を食べてから帰宅した。
玄関にはルーシーとレオンの靴がある。
……なんだろう、これだけで嫌な気持ちになる。あの日、好きだった男の子とルーシーが夜に何をしていたか、愚かな私は何も知らなかった。
その時期と、今の光景が、どうしても重なる。
「……ただいま」
「「おかえり~」」
そして風呂を済ませて、私は自分の部屋に戻った。ルーシーもこの部屋で寝ているのだが――なぜかルーシーが部屋を出て行った。飲み物でも取りに行ったのだろうか。
すると――通信宝石が発光した。レオンからの着信だ。しかし、なぜ同じ家にいるのに通信を……?
「こんばんは~ハクア! 突然だけど今からハクアにドッキリを仕掛けたいと思います!」
「いえ~い!」
レオンとルーシーの楽しそうな声が聞こえてくる。な、なにいきなり……。
「ドッキリ……? でもネタバラシを先にしたらドッキリにならないんじゃ……」
「あ、流石に先にネタバラシしてあげないと悪質だと思ったから、予告ドッキリってことにしたんだ!」
「その内容はずばり! 私がレオンのこと寝取っちゃうドッキリです! じゃあ早速始めていくよ~!」
「……はい?」
寝取っちゃうドッキリ……? な、なにをいってるんだろうこの愚妹は。
理解が追い付かない私を余所に、ルーシーは予告ドッキリとやらを始める。
「いえ~い! お姉ちゃん聞こえる~? 今、お姉ちゃんの大事なレオンとラブホテルに来てま~す!」
「いや隣の部屋にいるでしょ」
……なんだこれアホらしい。
まあでも、趣旨は分かった。こういうイタズラなのだろう。ルーシーは昔からこういうドッキリが好きだった。
「じゃあ、脱がすね……?」
「うん……初めてだから、優しくしてね……?」
「うん、だいじょうぶだよ」
……なんだろう。何を聞かされてるんだろう、私は。
「あの……これドッキリになってるんですか? ネタバラシ後にされても、何も思わないんですが……」
私は通信宝石越しにそう伝えるが、向こうは構わず続けている。
「えっ……!? なにこれ、でっか……!? ハクアのと、ぜんぜん違うっ……!?」
「えへへ、Iカップだからね。バスト100センチあるんだよ?」
「すっご……」
瞬間――たまらない劣等感を覚えた。屈辱で、強い怒りと苦しさに襲われる。
『女』として、比べられている。交尾するに足る強い雌と、相手にしてもらえない弱い雌。
――その身体的な特徴を、比較されている。
「や、やわらかっ……! おもっ……! すごいね、ルーシー……!」
「ふふっ(笑) お姉ちゃんみたいな貧相な胸じゃ、もう満足できなくなっちゃうね?」
悔しくて、悔しくて、たまらない。もう聞きたくない。通信を切りたい。
そう思った直後、ギシギシとベッドの揺れる音が聞こえてくる。
「えっ……!?」
私は慌てて、隣の部屋との壁に耳を押し当てる。
「なっ、なにしてっ、冗談なんですよねっ!?」
ベッドの上で動いて、わざと軋ませているだけだろう。そうに決まっている。
けれど――。
「あっ……♡ んっ……♡ あっ……♡ うぅっ……♡ んあっ……♡」
レオンの嬌声が、聞こえてくる。
聞いたこともないくらい、気持ちよさそうでいやらしい声をあげている。
ルーシーに腰を振られ、喘がされているレオンが、頭の中に浮かぶ。
「ごめんねっ……! ごめんねっ、ハクアっ……!」
「あははっ! 謝ってるわりに随分気持ちよさそ~!」
見えないのに……いや、見えないからこそ、鮮明に想像してしまう。――ルーシーに跨られ、快感に耐えかねて海老反りに跳ねているレオンを。
「ねえ、私とお姉ちゃん、どっちが好き?」
「そ、そんなの、いえるわけないッ……!」
「へえ、ほんとに……?」
「やっ……!♡ トントンしないでっ……!♡」
具体的な性行為のイメージが、より鮮明になっていく。
ぱんっ、ぱんっ、と腰を打ち付けられ、快感に溺れそうになっているレオンを、想像してしまう。
私は、通信宝石を握り込んだまま、キツくキツく拳を握り込んでいた。
「うっ……演技だって、分かってるのにっ……!」
苦しい。脳が破壊されていくような感覚。胸が痛くて、心臓部を抑える。
それでも、レオンの嬌声は止まない。その時――。
「きっ、キスはダメっ……!」
「唇なんかよりよっぽど大事なおチ○ポ許しちゃってるのに?」
「いやっ……言わないでっ……! んあっ……♡」
そのセリフに、血管がブチギレそうになる。熱い。身体が熱い。猛烈な苛立たしさで、血圧が上がっていくのを感じる。
くそッ……! くそッ……! ちくしょうッ……!
「レオン、顔とろっとろ……♡ 完全にオス堕ちしちゃったね♡」
「んっ……♡ あっ……♡ ルーシー、気持ちいいっ♡ こんなの知っちゃったら、もうハクアみたいな貧乳じゃイケないっ♡」
私は壁に額を押し当てるように体重を掛けたまま、床を殴った。――骨に真芯に響くような痛みが、拳に残る。
「くっそッ……! ざけんなッ……!」
私には何か月一緒にいてもヤらせてくれなかった癖に……! なんでルーシーにはひと月足らずで体を許すのッ……! なんでっ……! なんでっ……! なんでっ……!
このクソ男ッ……! 絶対ぶっとばす……! 絶対顔面ぶん殴るッ……!
「ほらっ♡ いいよっ♡ イっちゃっていいよっ……♡」
「んあっ……♡ あっ……♡ うっ……♡ んあっ……♡」
その時、ひと際長く甲高い嬌声が聞こえ、ベッドの軋む音は止んだ。――明らかに、絶頂の声だった。
――私の中で、なにかがキレた。
その直後、隣部屋の扉が開いて、廊下を歩いてくる足音が聞こえてくる。
「てってれ~! ということでドッキリでした~!」
「どうだった? お姉ちゃ――」
私は立ち上がった。ふたりとも、私のただならぬ気配を感じ取ったのか、怯えの表情を浮かべる。
私はレオンに近付き、彼の両脇に手を入れて、強引に持ち上げる。
「わっ!? ハクアっ!?」
「ふんっ!!!!!!!!!」
そして、思いっきりベッドに投げた。レオンは「ぐえっ」と声を漏らして、信じられないような目で私を見ている。私にこんな乱暴な扱いをされたことがないので、衝撃を受けているようだった。
「あの、お姉ちゃ――「出てけ」
ルーシーは恐怖に震えながら、一歩退く。
「ご、ごめっ――「5秒以内に出て行かないなら、頸骨*3圧し折るから」
「ひいっ……! ごめんなさいぃいいいいいいいッ!」
ルーシーは爆速で隣部屋に逃げていった。
私は改めて、ベッドの上のレオンを振り返る。今の私は余程憤怒に歪んだ
「ちょっ、待って……! ごめんっ! ごめんねハクアッ!」
私は無言のまま、レオンに近付く。そして、彼に押し倒して馬乗りになり、両手首を掴んで動けなくする。
「う、うわっ! 力つよッ! は、離して!」
「ふぅッ~~~! ふぅッ~~~~~!!!」
私は鼻息荒く、レオンに詰め寄る。完全に、脳の血管がブチギレている。怒りで全身が熱く、血液はマグマのように沸騰している。
一方、レオンには本気の焦りが見えた。
「ごめっ、ごめんっ! 調子乗りすぎたっ……!」
「よくも……よくもバカにしてくれましたねッ……! 今日までさんざん屈辱を与えられた分、思いっきりブチ犯しますからねッ!」
レオンも初めてなのだから優しくしてあげよう――みたいな良心は欠片も残っていなかった。
興奮が止まらない。怒りと期待で、異常に唾液が分泌される。17年間積もりに積もった性欲と劣情を、一身にこの男にぶつけてやる。
――この男だけは、絶対に分からせる。
*
私――ルーシーは、隣の部屋に避難した。
ヤバい、ガチギレだ。あんなお姉ちゃん、初めて見た。やり過ぎた。ヤバい、どうしよう。
レオン、助けてあげるべきかな? 助けてあげるべきだよね? でも、今邪魔したら、
――その時。
「いやっ、ちょっ、待っ……! あぁああああああッ!」
レオンの悲鳴が聞こえてきた。私は慌てて、隣部屋との壁に耳を押し当てて、声を聞く。
――そこからの悲鳴は、凄まじいものだった。
「ん゛ぁ゛っ゛♡ あ゛っ゛♡ あ゛あ゛っ゛♡ ん゛ぅ゛う゛♡」
「ら、らめっ……! こんなのむりっ……! だ、だめっ……! んぁああああああああああッ!!!!!」
「んあッ♡ 乳首つねりながら腰押し付けるのだめっ……♡ んぁああああッ!♡」
「こ、こわれるっ! てかげんしてっ! ハクアっ! あっ、ああああああんっ!♡」
「ん゛お゛っ゛♡ う゛っ゛♡ もうだめっ! ほんとにだめなのっ! ん゛ぅ゛う゛う゛う゛う゛ッ゛♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡」
「いやっ♡ んあっ……♡ はくあっ……♡ ゆ、ゆるしてっ! し、しんじゃうっ! こんなのしんじゃうっ! あ、あぁああああああああああああっ!!!!!」
一晩中、レオンの喘がされる声と、ベッドの軋む音は鳴りやまなかった。
ご、ごめん、レオン……。
*
翌朝――。
僕は目覚めた。べとべとした身体と、満足に動かない下半身が、昨夜の性行為の激しさを物語っている。
「あ、れ、レオンさん……」
ハクアも、同じタイミングで目を覚ましたようだった。
寝ぼけまなこで、翡翠色の瞳をうっすらと開けて、僕を見ている。
「このあほっ!」
「ぐえっ」
僕はハクアの顔に、枕を押し付けた。
「やりすぎ! これ僕だったからギリ耐えられたけど、普通の男の人だったら死んでたよ!」
「あ、すみませんでした……」
ハクアは申し訳なさそうな顔をしていた。
「でも、その……き、きもちよかったよ、ハクア」
「あ、は、はい……」
ハクアの白い肌が紅潮する。照れと嬉しさで、口角が上がっていくのを堪えきれていない。
「その、私、本当にセックスしたんですね。本当に、本当に、セックス、したんですね……」
ハクアは感慨深そうに、その事実を噛み締めている。性行為をした、という実感が嬉しいのだろう。
「うん、そうだよ。処女卒業、おめでとう」
その言葉に、ハクアはハッとしたように目を見開いた。そのまなじりには、うっすら涙が光っている。
「ありがとうございます……長かった……本当に、長かったです……」
僕はハクアの頭を撫でながら抱きしめる。彼女の温かさが心地よかった。
僕も、童貞を卒業した。前世も今世も合わせて、ようやく初体験を済ませた。
――感慨深い。ついに、幸せになれた。好きなひとと、結ばれることができた。
僕たちはしばらく、幸せを実感しながら、抱きしめ合っていた。
*
少し落ち着いて――シャワーで身体を洗って、着替え直してから、改めてリビングで話し合う席を設ける。
「ということで、ハクア。ちゃんと責任取ってよね?」
「は、はい! もちろんです!」
もちろんハクアはそのつもりだっただろうが、やっぱり言葉にしてもらえると安心する。
これからは、正式に結婚を前提とした恋人関係なのだ。
「じゃあハクア、一緒に住まない?」
「えっ!?」
「僕、家賃5万なんだよ。毎月5万持っていかれるの、結構負担だったからさ。この家に住めたらいいなって思うんだけど……だめ?」
「も、もちろんです! 不束者ですが、ぜひよろしくお願いします!」
ハクアは前のめりになってそういった。その表情も明るく、喜びに満ちている。
「嬉しいです……! 私に、こんな日が来るなんて……!」
「ふふっ……僕も、幸せだよ。ハクア」
「はい、私も幸せです。レオンさん」
なんだか、世界が輝いて見えた。昨日とは違う、優しい世界に来たような気分だった。――これが、幸せというものなのだろう。
*
翌日、僕たちはギルドに来ていた。
「あ……」
テーブルで歓談していた女性パーティーのひとりが、僕を見て小さく声を漏らした。
「……ね、ねえ、レオンさんの首、あれキスマークじゃ……」
その言葉に、ギルメンたちがざわめく。キスマークを見て――行為を想像してしまったのだろう。女性が、呻き声を上げながら机に突っ伏した。
さらに――。
「クッソ……!!!」「血管ブチギレそうッ……!」「レオン……! レオンが、そんな……!」「あの清楚系なレオンくんが、そんなことッ……!」「ちきしょうッ……胸が苦しいッ……! 脳が破壊されるッ……!」「おのれハクアッ……!」「あの巨乳触り放題って……! クソうらやまじいッ……!」「許せねえッ……! 私、許せねえよッ……!」
悲観や怒りや絶望といった負の感情が、あちこちから噴き上がる。ジトっとした眼差しが僕の首元に向けられているのが分かった。
その一方、ハクアは鼻高々に、自慢げな顔でふんぞり返っていた。ガラにもなく僕の手を握りながらクエストへ向かう。
すごく、ご機嫌だった。
僕はそんなハクアの耳もとに、唇を寄せてささやく。
「……僕で処女卒業したくせに」
「それいうのはズルでしょうッ!!!!」
〈あべこべ異世界で処女をからかって遊びたい 完!!!〉
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