※この作品はR-18です。

あべこべ異世界で処女をからかって遊びたい   作:耳野笑

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 前回のあらすじ!

 レオンとハクアは、2人きりで『屋敷の罠を解体する』というクエストへ向かう!

 なんとその屋敷は、亡くなった元・主が、イタズラでえっちな罠を仕掛けまくったエロトラップダンジョンだった!
 レオンは罠に引っ掛かる度辱めを受け、ハクアはそれを見て美味しい思いをするのだった!

 探索中、ハクアはレオンを庇い、発情状態になってしまう! そのままだいぶキモい言葉責めをされながら、レオンは襲われかける!

 地縛霊の乱入により、レ○プ未遂に終わるが、レオンはハクアから「乳首弱いくせに」などとバカにされキレる!
 レオンはハクアに対し、マウントを取り返すことを誓うのだった!



第8話 あまあま媚び媚び罵倒&ドス声ガチ軽蔑罵倒1時間コース

 

 私には、2つの悩み事がある。

 

 1つ目は、『レオンさんと私は付き合っているのかどうか』ということだ。

 

 私はレオンさんから『好きだよ』と言われただけで、『付き合って』とは言われていない。

 ただ告白されただけで、交際を申し込まれていないのだ。

 

 私たちの関係は恋人なのだろうか。それとも、恋人になる前の段階なのだろうか。

 

 レオンさんに尋ねてみたら、なんと返ってくるのだろう。

 

「え? 僕は恋人だと思ってたんだけど……だって普通にキスもしてるし」と言われる気もする。

 

「ハクアから好きだって言ってくれたことないのに、恋人な訳ないじゃん。告白したんだから早く返事ちょうだい」って言われる気もする。

 

 よし、今度……改めて聞いてみよう。そのために、デートに誘おう。

 

 男の子(レオン)を、デートに誘う。

 

 人生で初めての挑戦だ。正直怖い。でも、大丈夫だ。これまでもデートはしたし、肝試しもペア組んだし、一緒に海行って花火もしたし、お泊まりもしたのだ。

 

 私はもう、過去の私ではないのだ。イケメン陽キャとキスしたという経験があるのだ。

 デートに誘うくらい、できるはずだ。

 

 そして、2つ目の悩み事だ。これが肝心なのだが――私はレオンさんとヤれるのだろうか?

 

 めっちゃS○Xがしたい。したい。したいのだ。

 

 早く処女を卒業したい。

 

 デートの終わり際、ホテルに誘うなり家に招くなりして――ヤれちゃったりしないだろうか。

 

 *

 

 僕には悩みがある。最近、ハクアにマウントを取られ過ぎている。

 

 ――あ~エロすぎ、マジでエロすぎッ! もう終身名誉肉奴隷に任命しますッ!

 

 ――口ではそう言っても、レオンさんの乳首は『もっといじめてっ♡』って言ってますよッ……!

 

 ――……乳首弱いくせに。

 

「くっそ……!!!!!!」

 

 ムカつく。

 

 そもそも、僕はこのあべこべ異世界で処女(ハクア)をからかって遊んでいたはずなのに。

 処女を煽って、マウントを取って、屈辱に震えるハクアを笑っていたはずなのに。

 

 今となっては、マウントを取られてしまっている。

 

 許せない。名誉を挽回しなければ。今こそ、立場をもう一度逆転しなければ。

 

 ――僕をバカにしたことを、後悔させてやる。

 

 *

 

 とある日、私はレオンさんと一緒にギルド会館の食堂で夕食を取っていると――。

 

「ハクア、今度の土曜日、デート行かない?」

 

「……えっ」

 

 私は衝撃を受けて、硬直してしまう。

 

 私からデートに誘おうと思っていたのに、レオンさんから誘われてしまった。

 

「ハクア?」

 

「あ、ええ。いいですよ、行きましょう」

 

 まあ、問題ない。デートのどこかで、今の私たちの関係性を尋ねるくらいはできるだろう。

 

「中央区の魔法遊園地に行こうと思うんだけど、だいじょうぶ?」

 

「はい、大丈夫です」

 

 *

 

 こうして、私はレオンさんと魔法遊園地にやってきた。

 

 入場ゲートをくぐる。

 巨大立体迷路、魔力で動くコーヒーカップ・観覧車や、空を飛ぶ魔法の絨毯など様々なアトラクションが見える。

 

 土日なので、カップルや家族連れが多い。

 

 私たちは、メリーゴーランドに乗った。ぐるぐると景色が回る。

 

「本物の馬よりだいぶ安定してるね」

 

「馬車は揺れますからね」

 

 ちなみに、この魔法遊園地のメリーゴーランドは特殊で、なんと自分の足で漕ぐと加速できる。

 

「ねえハクア、今からどっちが先に5周できるか競争しようよ。はいスタート!」

 

「えっ、ちょっ、ズルいですよ!」

 

 結果――フライングしたレオンさんをあっという間に追い抜き、5馬身差をつけて大勝ちした。

 

「いやハクア速すぎ!!!!!!!」

 

「それほどでもありません。では、次のアトラクションに行きましょう」

 

 私はレオンと共に、次のアトラクションへと歩いていく。

 

「次はどれにしようかな……あっ」

 

 レオンは、お化け屋敷の前で小さく声を漏らした。

 

 そういえば、レオンはお化けが苦手だった。肝試し大会の時の怯えようは、ハッキリ覚えている。

 あの日は――私から初めて手を繋いだ日だった。

 

「まあ、ここはやめておきましょうか」

 

「………………」

 

 レオンはなぜか半眼になって私を睨んでくる。

 

「れ、レオンさん?」

 

「なんか気を遣われた気がする!」

 

「ここのお化け屋敷は怖いと聞いたことがあるので、やめた方がいい気が……」

 

「だいじょうぶだって! ほら、あんな小さな子どもでも楽しめるんだから!」

 

 そういって彼が指し示した先には、出口から笑顔で出てくる男児の姿があった。

 

「それなら、構いませんが……」

 

 ――5分後。

 

「きゃぁあああああああああああッ!」

 

 レオンは涙目になりながら、幼児のように悲鳴を上げている。

 

 真っ暗な廃病院を模した内装。点滅する電灯。時折ガタン!と動く寝台。

 ――レオンには、あまりにも度の過ぎた怖さのようだった。

 

「やっぱり無理! ギブギブギブ! 戻ろうハクア!」

 

 そういって、レオンは来た道を戻ろうとする。私も一緒に引き返そうとするが――数歩進んだところで、彼の足が止まった。

 

「あれ、こんなところ、通ってない……」

 

「あ、レオンさん、このお化け屋敷、時間経過で内部構造が変わるらしいんです。来た道戻っても出れませんよ」

 

「なにそれ最っ低!!!!!!」

 

 仕方なく、私たちは洋灯が提げられているだけの仄暗い通路を進む。

 

 レオンは涙目だ。

 美術品のように綺麗な顔が恐怖で歪むその表情。涙に潤むスカイブルーの瞳は美しく、ちょっと可哀想なのに可愛い。

 

「さいあくっ……ぐすっ……」

 

 ――私は、勇気を出して、レオンの手を握った。

 

「……!」

 

 レオンが驚き、私を見上げる。そして、ぎゅっと私の手を握り込んでくる。

 

 可愛ぃ~~~~~!!!!!

 

 やば、可愛い、天使すぎる。

 

 そして、私、また男の子と手繋いでる! すごっ! もうこれ陽キャ! 完全に陽キャ!

 

「ハクア、ニヤニヤしてる……」

 

「え、そうですか?」

 

「ほら、笑ってるじゃん! 僕が怖がる姿見て面白がってるでしょ!」

 

「すみません、その、可愛くて」

 

「むぅううう~~~! 処女のくせに!」

 

「じゃあ私は先に進みますね」

 

「待って待ってごめんなさい置いてかないでぇ!」

 

 レオンは私の腕へ抱き着き、強く強く抱きしめてくる。

 ――胸が、当たってる!!!!! 硬い胸筋(おっぱい)が、当たってる!!!!! えっろ!!!!! 硬った!!!!!!

 

 私たちは歩いていく。血の付いた壁。仄暗い廊下がどこまでも続いている。

 

「いまなんか悲鳴聞こえたぁ!!!!!!」

 

 そういいながらも、レオンはワガママボディを押し付けてくる。

 硬った!!! エロすぎ!!! オスの身体だ!!!

 

 道中――絶叫が聞こえたり、寝台がガタンと動いたり、洋灯が点滅したりした。レオンはその度悲鳴を上げた。

 

 でも、ぶっちゃけ、もうお化け屋敷のギミックはどうでもよかった。

 押し付けられるおっぱいの硬さを感じることに、私の意識は100%使われていた。

 

 その後、安全エリアと書かれた、真っ白な部屋にたどり着いた。ソファが置かれている。

 

「ちょっと座りましょうか」

 

「そ、そうだね」

 

 そして、私たちがソファに座ろうとした瞬間――ソファを突き破って血塗れの腕が飛び出してきた。

 

「きゃああああああッッッッ!!!」

 

 レオンは私の腕にひっついてくる。涙目でぷるぷると震えていた。

 

 あんなに強いレオンさんが、こんなにも怯えて、私を頼りにしている。その事実に、心が昂るのを感じていた。

 

「なにこれうそつき!!! 安全エリアって書いてあるのに!!!」

 

「ふふふっ、大丈夫ですよ、レオンさん。私がいますから」

 

 私はレオンの頭を撫でる。さらさらのブロンドヘアが、指の間を流れていく。

 私、今凄い陽キャリア充っぽいことしてる……!

 

 その後、およそ10体のお化けに襲われ、その度にレオンの絶叫が轟いた。

 そして、遂に出口へと辿り着いた。

 

 その後も、遊園地を堪能した。徐々にレオンも元気になってくれて、一緒に楽しく遊んでくれた。

 

 ――ずっと、手を繋いだままで。

 

 お化け屋敷を出ても、レオンは手を離さなかった。

 

 私も、離したくなかった。

 レオンさんはどう思っていたのだろう。私と同じように、離したくなかったのだろうか。

 

 意識した途端、急にぐんぐんと体温が上がる。ヤバい、ヤバい。手繋いでるのに、手汗バレる。落ち着かなきゃ……!

 

「あ、あれ乗ろうよ」

 

 レオンがそういって指差したのは、観覧車だ。

 

 私たちは、ゴンドラに乗り込む。自然と、その時に手も離すことになった。ゴンドラの中で、私とレオンは向かい合って座る。

 

 ゴンドラが上がっていく。

 

 夕焼けの空。橙に染まる雲。地平線に沈んでいく太陽が、ひと際目映く輝く。

 

 1/4周したとろで、レオンが微笑を浮かべながら、私のことを見つめる。

 

「ねえ、ちゅーしない?」

 

「……はい」

 

 びっくりした。でも、迷う理由なんてない。したいに決まってる。

 

 レオンが私の隣へと移動する。

 間近に、レオンの顔がある。おそろしく、美しい顔だ。さらさらのブロンドヘアは、夕日に照らされてきらきらと輝いている。スカイブルーの瞳は、ほのかなオレンジ色に染まっていた。

 

 そして、ゆっくりと顔を近づけてきて――私たちは、唇を重ねた。

 

 うわ、レオンさんきれい……唇やわらか……。

 

 4度目なので、少し余裕も出てきて、キスの感触を余すことなく感じられた。

 

 私たちは、唇を離した。観覧車のちょうど半周――私たちのゴンドラは、てっぺんまで来ていた。

 

「……レオンさん」

 

「うん」

 

「私たちって、どういう関係なんでしょうか」

 

「……どういうこと?」

 

「その、こんな風にキスしているのに友達というのも変ですし。ですが、まだ正式に交際しているとは言いづらいわけで……レオンさんは、どう思っているのかと」

 

 レオンは少し悩むような表情を浮かべる。

 

「ん~……友達以上恋人未満、かな。僕はハクアのことが好きだから、いろいろがんばってオトそうとしてる段階って考えてたよ」

 

「ああ、そうだったんですね。……分かりました」

 

 そんなの、とっくにオトされてるに決まっている。私は、レオンさんのことが好きだ。

 

 ……思えば、ずっとレオンを恐れていた。女を騙し破滅させる男(オム・ファタール)に見えていた。

 でも、もしかしたら私が見ていたのは『魔性の男』という幻想だったのかもしれない。

 

 今日のレオンさんは――いや、最近のレオンさんは、一緒にいて楽しいと思える、可愛い男の子だ。

 

 私は――今目の前にいる男の子と、人生を共にしたい。

 

「あっ……」

 

 ふっ、と目が覚めた。本能と理性が鳴らしていた『魔性の男に嵌まってはいけない』という警鐘が、鳴りやんだ。

 

「ハクア……?」

 

 レオンが、不思議そうに私を覗き込んでくる。

 

 ――よし、告白しよう。

 

「私も、レオンさんのことが、す――」

 

「…………」

 

「…………」

 

 こ、声が、出ないッ……! うわ、苦しいッ……! あと、1文字なのに!

 

 よ、世の中の陽キャリア充ってみんなこれを乗り越えて、交際を始めるの!? すごすぎじゃない!?

 

 ああ、うぅッ……ぐぅッ……!!!

 

 出ないッ……声が出ないッ……!

 

「す?」

 

 レオンが、私の顔を覗き込んでくる。その口もとは、ほころんでいた。

 余裕たっぷりの微笑――ぜんぶ、分かってる。分かってて、続きを促している。

 

「どうしたの? 僕のことが? す……?」

 

「す、す、すっ……!」

 

 あ、だめだ、今レオンの掌の上にいる。私、ころころ転がされてるッ……!

 

 すると――レオンが、私に手を重ねてきた。

 

「ねえ、ハクア。初めてふたりでクエストに行った帰りのこと、覚えてる?」

 

「え……? は、はい」

 

 なんだろう。どうして、いきなりそんな話を……?

 

「あの頃のハクア、完全に心閉ざしてたよね」

 

「え……? そうですか?」

 

「そうだよ。すごい距離取ってたし。目も合わせてくれなかったし」

 

 私、そんな感じだっただろうか。少なくとも、レオンさんはそう感じていたのだろうか。

 

「昔のことも、打ち明けてくれなかったし」

 

 前ギルドでの黒歴史――思いを寄せていた男の子を、実の妹(ルーシー)にNTRれたというトラウマ。

 結局、レオンに無理やり脅されて話すことになったが――確かに自分の意思では話さなかっただろう。そんな踏み込んだ話をするほど、心を許してはいなかった。

 

「それに――僕がなに言っても、信じてくれなかったし」

 

 ――そうだ。あの時、レオンさんは私に「好きだよ」といってくれた。

 でも、私が去り際に残した言葉は――。

 

『言ったはずです。もう、貴方の言葉は真に受けません』

 

 強い意志で、それを拒んだ。

 

「……ごめんなさい。私……酷いことを、言っていました。あの時は、処女をからかって遊んでいるだけだと思っていて……馬鹿にされてるだけだって、思ってたんです」

 

「いいんだよ。今は、僕の想いを、素直に信じて受け止めてくれるようになったんだから」

 

 レオンは優しい眼差しで、私を覗き込んでくる。夕日色に染まる瞳は、温かく私を見つめている。

 

「それだけじゃない。ハクアの方から手繋いでくれるようになったよね。植物園デートの時は、繋いでくれなかったのに」

 

 あの時――私は、手を繋がないという選択をした。

 

 あれから時間が経って――今では、私から手を繋ぐようになった。

 自覚はなかったが、確かにレオンさんの言う通り、私はレオンさんに心を許しているのかもしれない。

 

「ハクアが勇気を出して僕に歩み寄ってくれてることは、分かってるよ。――だから、ムリに急かすつもりはないよ。僕はずっと待ってるから、ハクアの心が決まったら返事が欲しいな」

 

 慈父のように優しい口調で、レオンはそういった。

 このときばかりは、レオンが本物の天使に見えた。こんな女にチャンスをくれるのは、レオンだけだろう。

 

「ありがとうございます……レオンさん」

 

 ゴンドラは3/4を過ぎていた。もう、告白のタイミングを逃したことは分かっている。今「好き」と伝えるのは、微妙すぎる。

 ――次こそは、ちゃんと想いを伝えよう。

 

「でも、1つ残念なお知らせがあるんだけど」

 

「えっ、な、なんですか?」

 

「実は今日、ハクアが返事くれたらお持ち帰りされてもいいかな~って思ってたんだ♡」

 

「えっ、えぇええええええッ!?」

 

 お、お持ち帰り!? それはつまり、私がチキらずに「好きです」って言えてたら、今日処女捨てられてたってこと!?

 

「ちょっ、もう1回乗りましょう! 次は告白しますから!」

 

「だめで~す」

 

 レオンは私に手を重ねたまま、私の顔を下から覗き込むようにして、意地悪な笑みを浮かべる。

 

「あ~あ(笑)♡ 勇気出して告白してれば、初えっちできたのにね~?(笑)♡」

 

「っ!!!!!!」

 

「処女卒業させてあげようって思ってたんだけどな~?(笑)♡ もうしばらく処女歴更新がんばってね?(笑)♡」

 

「ぐぁあああああああああああッ! ちょっ、待って! もう1回チャンスください!」

 

「うわ必死~(笑)♡ がっつきすぎてこわ~い(笑)♡」

 

 レオンは身を守るように、私から離れて向かいの席に座り直した。

 私は必死に頭を下げる。

 

「お願いしますっ! ほんとにっ! ほんとにっ! マジで切実に処女捨てたいんですっ!」

 

「だめで~す(笑)♡ もう遅いで~す(笑)♡」

 

「そんなあッ!?!?!?!?!?」

 

 ゴンドラが1周し、私たちは観覧車を下りた。

 

 こうして、私は千載一遇のチャンスを逃した。

 

 あぁ~~~~~~~~~~!!!!!!!! バカだ私~~~~~~~~~!!!!! なんでヘタレたんだ!!!! 勇気出せよ~~~~~~~~!!!!!!

 

 *

 

「あぁ……つら……」

 

「元気出してよ。楽しかったでしょ?」

 

「もちろん楽しかったです。でも、後悔が深くて……」

 

 遊園地からの帰り道、私はまだ気持ちを切り替えられずに落ち込んでいた。

 

 もちろん、レオンとのデートは楽しかった。私の人生に本来起きなかったであろう、奇跡的な時間であり、奇跡的な体験だ。

 

 ただ、失ったものが、あまりに大きい。私が人生で幾度となく渇望した『異性との性交渉』の機会を、私は喪失したのだ。

 

「あ、ねえねえハクア。今日寄り道していかない?」

 

「寄り道ですか?」

 

「あそこ」

 

 そういってレオンが指差したのは、お城のような建物だ。

 

「えっ!?!?!?!?!?」

 

 ――つまり、ラブホテルだ。

 

「え、ど、どうしてですか!? まさか、本当はいいんですか!?」

 

「いや、興味本位だよ。僕も行ったことないし。どんな感じなのかなって。嫌ならこのまま帰ろう?」

 

「行きます! 行ってみたいです!」

 

 こうして、なんかラブホに行くことになった。私たちはラブホに向けて歩き始める。

 

 これ……イケるのでは!? 千載一遇のチャンス、もう1回来たのでは!?

 

 そうだ。実は、レオンさんはだいぶ優しいのだ。

 

 胸筋(おっぱい)を見せてくれた時も、サービスで触らせてくれた。

 えっちな下着を買った時も、意地悪しながらも最後にはちゃんと着て見せてくれた。

 

 レオンさんは、なんだかんだ情が深い。私が本気でお願いすれば「しょうがないなあ」といいながら本番までヤらせてくれる可能性がある。

 

 私の心は、期待に燃えていた。

 

 ラブホテルの前に立つ。『休憩時間』と『宿泊時間』が別々に書いてある。

 ――本物の、ラブホテル。セックスをするためだけの場所。

 

 うわ、ホントにラブホだ……! すごっ……!

 

 私たちはラブホに入り、部屋を選んで鍵を受け取る。魔法により、これらのやり取りは人を介さず行えるらしい。

 

 私とレオンは、選んだ部屋に入った。めちゃめちゃ広い。おとぎ話に出てくる部屋みたいな内装だ。

 ほのかにピンクの空間。キングサイズのベッドと、2つの枕。ふかふかのソファにはクッションが置かれ、卓上のアロマはほんのりいやらしい香りを漂わせている。

 そして、シャワールームはなんと、ガラス張りだった。すけすけだ。

 

「すご……」

 

「なんか、こう……えっちだね」

 

 レオンもちょっと感動しているようだった。

 

「じゃあ、お風呂入ろう?」

 

「え!? 一緒にですか!?」

 

「そんなわけないでしょ。ひとりずつだよ」

 

「……ですよね。わ、分かってましたよ」

 

 くっそ!!!!! 駄目か!!!!! レオンさんとお風呂入りたい!!!!! レオンさんの身体で私の身体洗ってほしい!!!!! 私もレオンさんの身体いっぱい触りたい!!!!!

 

「じゃあ、先に入っていいよ?」

 

「え、いえ、お先にどうぞ」

 

「いやいや、先入ってよ」

 

「男性より先にお風呂に入る訳にはいきませんよ、まして、ここですし」

 

「う、でも……」

 

 レオンの視線が、ガラス張りの浴室へと向く。流石に、裸を見られることが恥ずかしいようだった。

 

「あ、あれで負けた方が先入ることにしようよ!」

 

 そういってレオンが指差したのは、卓上の六角チェッカー*1だった。

 

「ええ、構いませんよ」

 

 私とレオンは、テーブルを挟んで向かい合う。

 正直、勝ち負けはどうでもよかった。勝っても負けても順番が変わるだけだ。裸を見たり見られたりするのは変わらない。

 

 すごいな……レオンさんの裸、マジで見れるのか……。

 

「ねえ、ハクア」

 

「なんですか?」

 

「目ギンッギンなんだけど。頭の中スケベなことでいっぱいでしょ」

 

「し、失礼な!」

 

 結局、チェッカーは普通に負けた。私からお風呂に入ることになる。

 ……いや、待って。これ……ちょっと恥ずかしいな。

 

「だいじょうぶだよ、見ないようにするから」

 

「う……わ、分かりました」

 

「僕も見ないようにするから、僕が入る時ハクアも見ないでね?」

 

「わ、分かってますよ」

 

 ……仕方ない。今日、あれだけの失態を見せた以上、これ以上カッコ悪いところは見せたくない。

 だから、覗くのは、本当にやめておこう。今回は失った好感度を回復して、次へ繋げる布石のターンだ。

 

 私は服を脱ぎ、シャワー室へ入る。レオンは約束通りこちらを見ないようにしている。ボードゲームをいじったり、棚を開けてみたりしていた。

 私は安心して体を洗い、お風呂に入った。

 

 *

 

 僕はハクアの入浴を見ないように、暇をつぶしていた。

 

 正直、見たいという気持ちはある。でも、ここでハクアの裸を覗いてしまうと、自分が入る時にハクアにも覗かれるだろう。

 

 だから、見る訳にはいかない。僕は別のボードゲームを漁ったり、棚を開けてみたりした。

 すると――鞭、手錠、目隠し用アイマスク、その他もろもろを見付けてしまった。これはあれだ。アブノーマルなプレイを愛好する人たち向けのアイテムだろう。

 

「すごいな、こんなのも置いてあるんだ……」

 

 その時、僕は閃いた。自分が100%覗かれず、安全に入浴する方法を。

 

「お先にいただきました。レオンさんもどうぞ」

 

 ハクアがお風呂から上がってきた。バスローブに身を包んでいる。

 

「ねえねえハクア、これ見てよ」

 

 僕は鞭と手錠とアイマスクを見せつけた。

 

「……そ、そんなものもあるんですね」

 

「ハクアに僕の裸を覗かれないようにする、いい方法思いついたんだ」

 

「えっ……いや、覗きませんよ」

 

「ちょっとベッドに寝てみてよ」

 

「え……? まあ、いいですが……」

 

 ハクアはバスローブ姿のまま、ベッドの上へ仰向けになった。僕はそんな彼女の両手首に手錠を掛ける。

 

「ちょっ!? レオンさん!?」

 

「じっとしててね」

 

 僕はそのまま足首にも手錠を掛けた。更に、両手首を鞭でぐるぐる巻きにし、ベッドの柱へ縛り付けて固定する。ハクアは完全に身動きできない、イモムシのような状態になった。

 

「なにもここまでしなくても!? 本当に覗くつもりなんてないですから!」

 

「はいはい。今までの言動が信用に値するかを振り返ってみてね」

 

 僕はハクアにアイマスクをつける。これで、完璧に覗けない状態の出来上がりだ。

 

「じゃあ、僕もお風呂いただくね」

 

「ちょっと! これ解いてください! いくらなんでもひどいです!」

 

 僕は拘束状態のハクアを置いて、お風呂へ入った。

 

 入浴中、ハクアがもぞもぞと動いているのが見えた。視界も真っ暗な中、僕がシャワーを浴びる音だけが聴こえている状態。――もしかしたらちょっと興奮してるかもしれない。

 

 そして、20分後。バスローブを着てお風呂から上がる。

 

 そして、僕はハクアに馬乗りになり、アイマスクを取ってあげる。

 

「ねえ、ハクア」

 

「な、なんですか?」

 

「前回のクエストで行った罠屋敷の時のこと、覚えてる?」

 

「……」

 

「僕が壁に挟まれたらお尻触ってきたし、スライムに絡みつかれても楽しんで見てたよね?」

 

「……いやっ、ちょっ、それはっ!」

 

「それだけじゃないよね? 乳首弱いとかなんとか、ずいぶんとバカにしてくれたね?」

 

「……ご、ごめんなさい、許してください、レオンさん」

 

 僕は口角が上がるのを抑えられなかった。その様子に不吉なものを感じたのか、ハクアの表情がわずかに引き攣った。

 

 ――そう。

 

 最近、ハクアは調子に乗り過ぎた。だから……お仕置きの時間だ。

 

「ね、ハクア。いい思いさせてあげよっか?」

 

「……いい思い、ですか?」

 

 ハクアは怯えながらも、期待するような眼差しを向けてくる。

 

 僕はバスローブを、するりと脱いだ。中には何も着ていない。当然、上裸が露わになる。

 ――瞬間、ハクアの目がギンッギンに見開かれる。

 

「えっ!?!?!?!?!?」

 

「ほら、特別に、もっと見てもいいよ?」

 

「ま、マジでっ……!?!?!?」

 

 ハクアは僕の裸をガン見している。おっぱいをずーっと凝視している。性欲と下心だけのいやらしい視線が、僕の裸に注がれている。

 

「えッッッろッッッッ!!!」

 

「あははっ(笑)♡ すごい目してる~(笑)♡」

 

 僕はハクアに馬乗りになったまま、ゆっくりと前傾していく。そして、ハクアの顔面からわずかに離れたところで止まる。

 

「どう?」

 

「すっご!!! えッろッッッ!!!!」

 

 前の世界で例えるなら、Gカップ美女のおっぱいがすぐ目と鼻の先にある状態だ。まさしく絶景。天国の眺めだろう。

 

 だが――これはお仕置きなのだ。

 僕はおっぱいをハクアの顔面に近付けながらも、決して押し付けてあげずに、ギリギリで止める。

 

「あ、あのっ! レオンさんっ! もっと下ろしてくださいっ!」

 

「ふふっ(笑)♡ だ~め(笑)♡」

 

「そ、そんなっ!?!?!?!?」

 

 ハクアは頭を上げ、唇を限界まで突き出し、僕の乳首にしゃぶりつこうとする。が、わずかに届かない。

 

「うぅぅぅううううぅううッ!!!」

 

「ほら、もうちょっとだよ(笑)♡」

 

「ふッ! くッ! ふっ!」

 

 ハクアは脚を強くベッドに打ち付け、その反動で上体ごと起こして起き上がろうとする。が、それでも、ほんのわずかに届かない。

 

 興奮と、激しい動きで、ハクアの顔は今にも高血圧でぶっ倒れそうなくらい真っ赤だった。

 

「お願いしますッ! しゃぶらせてッ! おっぱい顔に押し付けてっ!」

 

「必死すぎ(笑)♡ だっさ~(笑)♡」

 

「うるさいっ!!! 早くっ!!!」

 

「じゃあ、僕のいうことを復唱してね?(笑)♡ 私は、陽キャリア充様がS○Xしてる間、1人でマ○コいじりしかできない負け組弱者女性です。未経験処女の癖にイキって、申し訳ありませんでした。はい、どーぞ(笑)♡」

 

「なっっっっ!?!?!?!?」

 

 翡翠色の瞳が見開かれる。

 

「い、言えるわけないでしょうそんなのッ!」

 

「じゃあずっとこのままね?」

 

「く゛ッ゛う゛ぅ゛ッ゛……!!!」

 

 僕はおっぱいを見せつけるように、ゆらゆらと身体を揺らす。ハクアの顔面に触れるか触れないかのところで、おっぱいを見せつけ続ける。

 

「う゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ッ゛!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 僕はさらに、ハクアの右耳に唇をぴったりくっつけて、あまあま囁き声を吹き込む。

 

「ほら(笑)♡ ほら(笑)♡ 言っちゃいなよ(笑)♡ ざぁこざぁこ(笑)♡」

 

「う゛ぁ゛ッ゛!?!?!? みっ、耳元で囁かないでッ!」

 

 今度は左耳にぴったりと唇をつけて、オタクに優しくないギャルのようなドスの利いた低い声で――。

 

「キッモ。マジ終わってるね。男の裸にもありつけない弱者女性って、ほんっとダサいね」

 

「ぐ゛ッ゛う゛ぅ゛ッ゛!!!」

 

 再び、右耳に、媚び媚びあまあま声で――。

 

「処女(笑)♡ 処女(笑)♡ しょ~じょ(笑)♡ はやくプライドなんて捨てちゃいなよ(笑)♡」

 

「ぐ゛ッ゛う゛ぅ゛ッ゛!!!!!! く゛ッ゛そ゛ぉ゛ッ゛!!!!!!」

 

 更に、左耳に、軽蔑ボイスで――。

 

「キッモ……。なに悶えてんの、ほんと女として終わってるね。生理的に無理なんだけど」

 

「う゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ッ゛!!!!!!!! その交互に囁くやつやめてッ!!!!! 脳味噌壊れるッ!!!!!!!」

 

「やだ(笑)♡ もっとやってあげるね?(笑)♡」

 

「や゛め゛て゛ッ゛!!!!! ほ゛ん゛と゛に゛こ゛わ゛れ゛る゛ッ!!!!!!」

 

「キッショ……お前が男と本気えっちするのとか一生ムリだから。一生ベッドの上でオ○ってろよ」

 

「ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ッ゛!」

 

 ――あまあま罵倒と、ガチ軽蔑罵倒を交互に繰り返し、その状態を10分くらい続けてあげると、ついにハクアが涙を流し始めた。

 

「ひぐッ……くそッ……!!!」

 

 涙がこぼれていく。屈辱と興奮のせいで、顔面がぐちゃぐちゃに歪んでいた。

 

「もう言っちゃったら?(笑)♡」

 

「な、なんて言えばいいんでしたっけ……?」

 

「私は、陽キャリア充様がS○Xしてる間、1人でマ○コいじりしかできない負け組弱者女性です。未経験処女の癖にイキって、申し訳ありませんでした。はい、ど~ぞ(笑)♡」

 

「わ、わたしはっ……! 陽キャリア充様が、S○Xしてる間っ、ひ、ひ、1人でマ○コいじりしかできないっ……! 負け組弱者女性ですっ……! 未経験しょ、処女の癖にイキって……申し訳ありませんでしたっ……!」

 

「あははっ!(笑)♡ ほんとに言った~(笑)♡ だっさ(笑)♡ きっしょ~(笑)♡」

 

「ち゛き゛し゛ょ゛お゛ッ゛ッ゛ッ゛ッ゛ッ゛ッ゛ッ゛ッ゛ッ゛ッ゛ッ゛ッ゛ッ゛ッ゛ッ゛ッ゛!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 ハクアは屈辱に震えながら吼えた。

 

「い、言ったんですからしゃぶらせてくださいッ! 早くッ!」

 

 ハクアは激怒の表情で叫ぶ。マ○イラが止まらないのか、バスローブ越しだというのに、腰を突き上げるように押し付けてくる。

 

「え? 別に言ったらしゃぶらせてあげるなんて言ってないよ?(笑)♡」

 

「はっ……はあっ!?!?!?!?!?!?!? ふざけないでくださいッ! ここまで言わせておいてそんなの通る訳ないでしょうッ!」

 

「ねえ、ハクア。僕のこと、チョロいからすぐヤれると思ってたでしょ?」

 

「いやっ、そ、そんなことはっ!」

 

「あるでしょ。残念だけど、そんな簡単に手に入るほど僕の身体は安くないよ?」

 

「あぅうううッ……!?」

 

 ハクアが悔し気に唸る。

 

「でも、素直になれたご褒美に、もっとたくさん罵倒してあげるね?(笑)♡」

 

「やめっ……やめてぇッ……!!!」

 

「ハクアは~(笑)♡ 未経験の~(笑)♡ おこちゃま処女~(笑)♡ 処女(笑)♡ 処女(笑)♡ 処女(笑)♡ 処女(笑)♡ しょ~じょ(笑)♡」

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ! お願いしますレオンさんッ! ヤらせてッ! ヤらせてくださいッ!」

 

「ふふっ(笑)♡ だ~め(笑)♡」

 

 僕はハクアの耳もとで、たっぷり1時間ほど罵倒し続けた。すると――。

 

「レオンさんっ! レオンさんっ! レオンさんっ! レオンさんっ! レオンさんっ!」

 

 ハクアは獣のように暴れながら、僕の名前を連呼する。

 極度の興奮と、自尊心をぐちゃぐちゃに掻き回されて、ハクアは少しおかしくなってしまった。

 

「お願いしますッ! せめてオ○ニーさせてッ! いじりたいッ! いじらせてッ!」

 

「だ~め(笑)♡ じゃあ、おやすみ~(笑)♡」

 

 僕はハクアの隣に横になり、目をつぶった。

 

「ちょっ……寝ないでっ!? こんな生殺しおかしくなるッ! ああああああああああああああああッッッ!」

 

*1
ボードゲームの一種。碁のようなもの




 『レオン』

 性別:男性
 種族:ヒューマン
 容姿:ブロンドヘア、スカイブルーの瞳。1000年に1人の巨乳(胸筋が膨らんでいるという意味)
 職業:Bランク冒険者
 備考:無事マウントを取り返せてすごく満足した。

 『ハクア』

 性別:女性
 種族:ヒューマン
 容姿:金髪、翡翠色の瞳。ぺったんこ。
 職業:Aランク冒険者
 備考:ちょっと性癖が歪んでしまった。

 『ルーシー』

 性別:女性
 種族:ヒューマン
 容姿:金髪、翡翠色の瞳。巨乳。
 職業:Aランク冒険者(別ギルド所属)
 備考:ハクアの妹。かつてハクアの好きだった男の子と恋人になった。
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