※この作品はR-18です。

とある神器持ちの日記IF   作:ウメ種

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やっぱりSSを書かないと落ち着かない辺り、どうしようもないな、と思ったり。
げーむも大事だけど、作品を投稿して感想をもらうのも大事。


白猫 IFー2

 ふわふわと、揺れている。

 水面で踊る綿毛のように、風に攫われた木の葉のように。

 ふわふわと、ふわふわと――。

 暖かな温もりに包まれて。

 幸せな香りに包まれて。

 確かな感触に包まれて。

 ふわふわと、ふわふわと。

 揺れる。

 揺れる。

 ――揺れる。

 

 

 

 

 目を開けると、すぐ傍に思いをよせる男性の顔があった。

 けどどうしてか、それを当たり前に思い、驚くよりも安心を感じてしまう。

 視線が重なった。

 ああ、私は今まで眠っていたのか、と。

 そんな事をぼんやりと考えながら――。

 

「おはようございます」

 

 寝惚けた頭で、何も考えずに挨拶を交わす。

 そのまま、愛しい人の裸の胸に頬を擦りつける。

 獣がマーキングをする様に。ここは、私の場所だと主張する様に。

 ぐりぐりと、ぐりぐりと。

 徹さんが困ったように苦笑して、でも私の頭を撫でてくれる。

 髪を梳く様に、いつの間にか現れてしまっている猫の耳を擽ってくれる。

 優しく撫でてくれる。

 それがとても気持ち良くて、私はもっと彼の胸に頬を擦りつける。

 ずっとそれの繰り返し。

 徹さんに私の匂いを沁み込ませる。

 徹さんの手は大きくて、温かくて、気持ち良い。

 初めて撫でてもらった時からずっと、私はこの人に撫でられるのが癖になってしまっている。

 どうしようもないのだ。

 どうしようもないほどに――この人に撫でられると、とても気持ち良い。

 それがとても大事な事のように思えて――。

 

「―――――」

 

 今何時だろうか。

 そこまで考えて、思考が凍った。

 いや。

 いやいやいや。

 

「…………え?」

 

 どういう状況だというのか、コレは。

 どうして自分は、徹先輩の胸に頬を擦りつけてるのか。

 中途半端な体勢で止まった私を訝しんで、徹先輩が声を掛けてくる。

 名前を呼んでくれる。

 今までのような「白音さん」ではなくて、「白音」と。

 それが少しくすぐったくて、でも凄く嬉しくて、混乱した頭なのに心臓は高鳴ってしまう。

 その声に反応し、視線を上げる。

 すぐ傍に、大好きな人の顔。

 心配そうな――ではない。

 楽しそうな、嬉しそうな……面白そうな、そんな表情。

 それが何を意味するのか――判らないほど、私も馬鹿ではない。

 寝惚けていた。

 寝惚けて……徹先輩に甘えていた。

 その事実が脳に届くと、同時に頬が熱くなってくる。

 

「……おはよ、う……ございまぅ」

 

 そのまま視線を逸らし、赤い顔を見られないようにゆっくりと毛布に潜る。

 思い出した。

 昨日の夜。

 私は、この人に“初めて”を捧げたのだ。

 初めてなのに、痛かったのに、気持ち良くて、甘えてしまったのだ。

 

「ぅぁー……」

 

 思考が灼熱する。

 ついでに、頬も灼熱する。

 毛布で顔を隠し、徹先輩に背中を向ける。

 よく考えると、あのまま寝てしまっているから私は裸のままだ。

 ……そして、徹先輩も。

 昨日の度胸はどこへ行ったのか、裸を見せるのも、裸を見るのも、恥ずかしい。

 と言うよりも、無理だ。

 そう考えている間も、徹先輩の手は私の耳を撫でている。

 優しく、優しく、撫でてくれている。

 それが気持ち良くて、毛布に隠していた頭を上げてしまう。

 もっと撫でてほしい、と思ってしまったから。

 猫の耳がピクピクと、私の意志に反して動いてしまう。

 背を向けたまま、徹先輩の身体に密着しそうになってしまう。

 裸同士だから、きっと暖かくて気持ち良いんだろうなぁ、とまで考えて、いやいやと首を振る。

 ……私の思考よりも、身体の方が正直だ。

 認めないが。

 認めたら……なんだか色々と負けのような気がした。

 

「――むこう、向いてて下さい」

 

 背中に風があたる。

 ……裸なんだし、肌と毛布の間に隙間があれば風も入る。

 それはつまり、私の背中は、徹先輩に見られているという事。

 お尻まで風の流れを感じているのは、お尻まで見られているという事。

 ――耳が現れているなら、きっと尻尾もだ。

 そんな後姿を見て、徹先輩はどう思っているだろう。

 そう考えていたら、衣擦れの音が耳に届いた。

 そして、むこうを向いたという徹先輩の声。

 その声を聞いて、恐る恐る振り返ると、徹先輩は確かに私に背中を向けていた。

 ……それはそれでどうかと思うが。

 自分が言ったのだが……もっと私の裸を見てくれても、と少しでも思ってしまったのは変な事だろうか。

 吐いた息は、少しだけ重い。

 それは呆れか、残念か、それとももう少し違う感情か――。

 いやいや、と首を振って起き上がる。

 

「――」

 

 下腹部に、鈍い痛み。

 それは、昨夜の事が夢ではなかった事。

 私は昨日の夜、この人の――愛しい男性の女になったという事。

 痛いのに、嬉しくて、お腹を撫でる。

 ベッドを見ると、赤い血の跡もあった。

 

「――どうしよ」

 

 多分、洗濯するのはレイナーレだろう。姉様かもしれない。ロスヴァイセの可能性もある。

 だから、どうしよう、と悩む。

 知られてるだろうし、きっと何も言われない。

 それこそ祝福されても、皆の性格なら、と思う。

 でも――。

 だからといって、恥ずかしさが無くなるわけではない。

 さっきとは別の理由で、頬が熱くなる。

 はぁ、と小さく溜息。

 嬉しくて、幸せで――そして、とても恥ずかしい。

 そんな事を考えながら、着替えを済ませる為に動き出す。

 床に落ちている白い下着を手に取り、身に付ける。

 と……視線を感じた。

 振り返ると――慌てて目を逸らされる。……まったく。

 

「すけべ」

 

 枕を投げると、そのまま後頭部に当ってしまう。

 徹先輩の言い訳を聞きながら、服を身に付ける。

 服を着ながら……自分でも成長がよろしくないと思う胸に視線が行ってしまう。

 溜息しか出ない。もう少し大きければ、と思ってしまう。

 でも、徹先輩は……あんまり気にしない、のかな。

 さっきも、私の着替えを見てたから――少なくとも、悪くは思われてない……と思いたい。

 昨日の夜も――。

 どうしよう。

 ……恥ずかしさよりも嬉しさの方が強い。

 ドキドキしてる。

 それはとても暖かな感情。

 胸の奥が、満たされる。ポカポカする。

 その感情を感じるだけで、不思議と笑顔になれる気がする。

 振り返ると、少し遅れて服を身に付け始めてる徹先輩が居る。

 その後ろ姿を見ていると、胸の奥の温もりが、じんわりと身体全体に広がっていくような感じがした。

 トクン、トクン、と。

 穏やかに、緩やかに、ココロが鳴る。

 その暖かな感情の赴くままに、私に背を向けている愛しい人に抱きつく。

 首に手を回し、耳に唇を近づける。

 驚いた声が心地良い。

 ああ――この人を好きになって良かった。

 そう、心から……心の底から、思えた。

 

「大好き、徹さん」

 

 私達二人しかいない部屋だけど、誰にも聞かれないように小さな声で紡ぐ。

 首に回した腕に、少しだけ力を込める。

 香るのは、汗の匂い。徹さんの匂い。

 それを胸一杯に吸いこみ、目を閉じる。

 ――幸せだなぁ。

 こんなに幸せでいいのかな、とすら思ってしまう。

 そう思いながら……万感の想いを込めて、その頬に唇を寄せた。

 

 




白音さん可愛い。
もっとベタベタさせたいです。
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