何を(ry
薄暗い一室に、ベッドの軋む音が響く。
荒い息遣いは二人分で、猫魈として感覚が優れている分、その息遣いの細部までも感じ取ってしまう。
激しい息遣いは男性のもの。
そして、息遣いと――驚くほどに高い喘ぎ声は、自分のモノ。
最初は激しい痛みを伴っていた性交も、途中からは鈍痛となり、今では快楽を感じる余裕があった。
「は、っ――ぅ、ぁ…とお、とおるせんぱぃ」
口が上手く動かない。
喘ぎ疲れて声は枯れかけ、体力は自信があったのに、今ではもう男性の腰の動きに合わせて腰を震わせるのが限界だ。
もっと気持ち良くなってほしかった。
だというのに、初めての行為に緊張し、気持ち良くさせられるばかり。
薄い胸の上にある乳首は固く尖り、平時とは全く違う顔を見せている。
まるでグミのような弾力だと感じるのは、自分で揉んだから。
徹先輩に口に含まれ、指で扱かれたそこは、もう立派な性感帯へと変わっている。
注入の快感を更に高めれるよう、自分で右の乳首を扱く。
気持ち良い。
初めてなのに――私、初めてなのに。
「ぃい、いいです」
気持ちが良い、と口にする。
微かに鈍痛が残っているが、快感を感じていると言っても嘘ではない。
腰の律動に合わせて、自分が一番弱い所に愛しい人の肉棒を誘導する。
最初は私が上になって腰を動かしていたのに、気付いたら私が下になっている。
まるで征服されているようだ、と。
そう思うと、余計に快感が強まってしまう。
……私は、苛められるのが気持ち良いのかもしれない。
そう考えると、まるで変態のようだ。
最初にあった微かな余裕は、今はもうどこにも無い。
「ぃ、いきそう…です。徹先輩、私っ」
初めては痛いものだと教わった。そういう知識も持っている。
最初の性交で絶頂に至れないのは当たり前で、感じる方が稀だという。
だというのに――こんなに優しくされたら、感じてしまう。
薄い胸を執拗に揉まれ、乳首を扱かれ、痛みを伴わないように陰部を指で解される。
ゆっくりと、ゆっくりと、ゆっくりと――優しくされた。
恥ずかしくて固くなっていた心は緩まされ、いつの間にか喘ぎ声をあげていた。
最初は小さかったその声は、いつしか大きくなり、我慢できていたのに、我慢できなくなっていた。
多分、私は敏感なんだと思う。
そして、濡れやすい。
今では、徹先輩のベッドを、お漏らしをしてしまったかのように濡らしてしまっている。
汗の量も――。
「ぁ、ぁ……っ――んぅ」
男性に組み敷かれて、腰を震わせる。
胎内にあった肉棒を形が判るほどまでに締め付けてると、それと同時に、その肉棒以上の熱を感じてしまう。
荒い息を吐きながら、先輩が覆いかぶさってくる。
疲れた吐息が耳を擽る。
くすぐったくて、嬉しくて。身を捩るとまだ体内に残っている肉棒の感触と……愛しい人の精液の熱を感じてしまう。
それがとてつもなく恥ずかしくて、先輩の肩に顎を乗せる。
顔を見られたくなかった。
凄く恥ずかしいから。
「……ふふ」
笑顔を見られるのが、物凄く恥ずかしいから。
快感の余韻が引いていくと、僅かな鈍痛が蘇ってくる。
でも、その痛みも心地良い。
熱に浮かされていた思考が、その痛みによって冷めていく。
残ったのは、お互いの汗の匂いと、性交の残り香。
乳首が先輩の胸に擦れて、微かな快感が生まれる。
それが気持ち良くて、気付いたら自分の身体を先輩に摺り寄せている。
「気持ち、良いですか…?」
姉様達のように肉感的とはとても言えない。
貧相というべきだろう。
徹先輩は気にしないと言ってくれたけど、やっぱり女の子はそういうのを気にする。気にしてしまう。
だから少しでも気持ち良くなってほしくて、自分の身体の隅々までも使おうと思う。
身動ぎするたびに、お腹の奥の熱が疼く。
徹先輩の精液。
そして、一度精を放ったというのに、堅さを取り戻しつつある肉棒。
感じてくれている。
私の身体に、欲情してくれている。
そう感じられて、僅かな鈍痛などどうでもよくなってしまう。
「……ん、ぅ」
口付ける。
初めての時は、触れるだけだった。
今度は――。
「ん…ん、んぅ」
少し怖かったが、ぎこちなく唇を開くと徹先輩の舌を受け入れる。
舌の付け根や歯茎、口内の至る所に徹先輩の舌が触れてくる。
決して気持ち良い訳ではない。
くすぐったいとか、もどかしいとか。多分、そんな感情が強い。
唇を開けたままだと唾液を飲み込めなくて、次第にそちらを気にしてしまう。
それに、徹先輩が上になっているから、徹先輩の唾液も私の口内に入り込んでくる。
「ふ、――あ、ぁあ」
気にして、キスに集中できなくて――唾液を、喉を鳴らして呑み込む。
恥ずかしかったけど、そうする方法しか思い浮かばなかった。
自分にも聞こえるくらいに大きな音を鳴らして唾液を飲み込む。
そうやって呑み込んでいると、そんな私を徹先輩に見られている事に気付いた。
先輩の視線に気付かないくらいにキスに集中していたこと、唾液を飲み込んでいたことが恥ずかしくて視線を逸らす。
そうすると、先輩の手が鎖骨、胸、わき腹をゆっくりと撫でてくる。
「ぁ、ん」
くすぐったさと、確かな性感。
そして、もう片方の手は頬と耳を刺激してくる。
最初の時の激しい快感ではない、ゆっくりとした確かな快感。
もどかしいが、確かに身体が反応してしまう。
頬を撫でていた手が、唇をなぞる。
お腹の奥が反応する。徹先輩の肉棒は、既に完全に固くなっている。
それを柔らかく締め上げながら、小さく声を漏らしてしまう。
唇が、気持ち良い。
「ん、ぅん」
唇を撫でていた指に舌を伸ばすと、汗の味がした。
先輩の汗。
人差し指と中指を。
チロチロと僅かに伸ばした舌で嘗め上げる。
クス、と笑われた気がした。
多分それは気のせいなんだろうけど、恥ずかしい。
「……気持ち良いです」
聞かれた事に、正直に答える。
初めてなのに、確かな快感を感じている。絶頂を感じている。
それが恥ずかしくて、感じさせられている事が悔しくて、顔をそむける。
そうすると、首筋を舐められた。
声を上げるのはなんとか我慢したが、舌は首筋から上がり、頬、そして耳に。
「せ、先輩……汚い、です」
舌が耳を刺激し、空いた両手は胸を――。
自分でも薄いと思う。でも、徹先輩の手は執拗に胸を揉み、乳首を扱く。
指で挟んだり、扱いたり、押したり、引っ張ったり。
そのどれにも反応してしまう私の身体は、絶対に敏感だと思う。
刺激の度に痙攣し、甲高い声が漏れてしまう。
耳元では徹先輩の熱い吐息と、滑った舌の感触。
頭が変になりそうだ。
それとも――熱に浮かされて、もう変になっているのか。
刺激に耐えかねて腰を動かすと、お腹の中の熱を意識してしまう。
徹先輩の熱。
――男の熱。
いつの間にか、鈍痛は完全に消えていた。
「せ、んぱい……」
視線を向ける。
そして、すぐに逸らした。
「動いて、大丈夫ですから」
恥ずかしくて、目を瞑る。
同意の声は凄く優しくて、それだけで満たされてしまいそうになる。
でも――。
「ンっ」
胎内に埋まっていた肉棒が引かれる。
カリが膣内を刺激し、さっきまで処女だった其処は、それを逃すまいと強く締め付ける。
抜けていく。
それを確かに感じ――体内に残る物足りなさを、確かに感じた。
「んっ!」
唇を噛む。
嬌声を漏らすのが恥ずかしい。声を上げたくない。
その思いも、腰を力強く打ち付けられると唇の僅かな隙間から漏れてしまう。
髪が汗で顔に張り付く感触すら、敏感に感じてしまう。
身体が、まるで自分のモノじゃないみたい。
唇だけじゃなく、右手の人差し指を噛む。
表情を見られないように、顔を背ける。
だというのに――。
「ぁ、ん、ぅん」
声が抑えられない。恥ずかしさが止まらない。
大きな男の人の手が、表情を隠していた髪を指で払う。
噛んでいた指を、優しく握られる。
表情が露わになり、口が自由になる。
先輩には、私の顔はどう見えているだろう?
そう、想った。
でも――もう、隠せない。
「…見ないで」
綺麗だ、と言われた。
名前を呼ばれた。
しろね、と。
――――。
「ば、な――こんな時、にっ。ぁんッ」
固くなった乳首が人差し指で押し潰される。
刺激に確かな嬌声が漏れ、きっと目の前の男の人にも聞かれた。
淫熱に浮かされた顔が、もっと赤くなった気がした。
それと同時に、腰の動きも激しくなる。
「ばか、ばかっ――はずっ、恥ずかしい事っ、言わない、でッ」
綺麗だなんて初めて言われて、それが大好きな人で、身体を許した人で。
しかも名前を呼ばれて、いつもと違う呼び捨てで――。
頭の中が判らなくなる。
判らないまま子供のような悪態を吐くと、徹先輩の腰の動きが激しくなる。
ばか、ばか、と繰り返す事しかできない。
恥ずかしい。
恥ずかしくて――凄く嬉しい。
腰の動きに合わせて身体が揺れる。
私の小さな体は、男の人に押し潰されてしまいそう。
でも恐怖感は無くて……嬉しいと幸せだけが胸にある。
「ぁ、あっ!」
思考に霞がかかると同時に、肉棒が引き抜かれる。
お腹に熱いモノが掛けられた事を感じるが、それを気にも出来ずに荒い息を吐く。
それは徹先輩も同じで、私と先輩の荒い息が重なる。
先輩の体温が、気持ち良い。
ずっとこうしていたいと思うが――一度、体を起こす。
「中に、欲しかったです」
一度目は、中だった。
でも、二度目は私のお腹にべっとりと出されている。
それが、少しだけ物足りない。
「最初は中に出したじゃないですか」
ベッドの傍にあったティッシュでお腹を拭く。
そして、もう一枚で垂れてきたソレを…。
変な匂い、と。
そう言うと、苦笑された。
しょうがないではないか。初めて嗅いだのだから。
これを口に含んだり、飲んだりするらしいが……徹先輩は、喜んでくれるかな?
そんな事を考えながら、もう一度横になる。
徹先輩の胸に顔を埋めながら。
「き……」
その次の言葉が恥ずかしくて、一度止まる。
小さく息を吸って、吐く。
「……気持ち良かった、ですか?」
返事と共に、髪を梳かれる。
汗を吸って湿っているから、梳かれると気持ち良い。
先輩の指が何度か髪を撫で、次いで肩を撫でる。
「ん――すけべ」
そう言うと、開き直ったのか、強く抱きしめられる。
徹先輩の身体に密着すると、汗と――性交の匂いが一段と強くなる。
くらくらと、酔ってしまいそう。
そう思いながら、目を閉じる。
「また次、です」
次。
もう一度。
――自分で言って、恥ずかしくなる。
布団に潜り、先輩の胸ではなくお腹に顔を埋める。
「だいすきです、徹……さん」
先輩、とは呼びたくなかった。なんとなく。
だから。
「――はい」
好きだと言われて、白音と呼ばれて。
そこでようやく、私は“特別”になれたんだ、と。実感が湧いた。
IF1からとばしてるよね、猫姉妹。
猫ゆえに致し方無し。