その日のヴェルは疲れ切っていた。連日の土木開発に、アマーリエとの逢瀬。毎日、瞬間移動も多用していた。あちこち出向き、エリーゼ達と過ごした後に、アマーリエと小屋で会うという生活。そして素知らぬ顔でエリーゼ達の元に戻る。常に頭の切替が要求される。ヴェルの素早い行動に、ヴェルの心や身体がついていけるとは限らない。
アマーリエとの逢瀬はヴェル自身が望んだ事ではあった。ただ、毎日続けるとなるとやはり大変だった。まだ少年期のヴェルの心にも身体にも、そして魔法力にも大きく負荷がかかっていたのだ。その疲れは、ヴェル自身も気がついていない間に蓄積していた。
アマーリエと小屋で相対して一緒に風呂に入っていても、ヴェルの男性器はピクリともしない。
「(もう、私の裸では興奮しないのかしら?)」
ヴェルの様子を見ているとアマーリエは不安になる。裸は、見慣れてしまえば効果なくなるという。なんといってもアマーリエは年上だ。ヴェルに飽きられても不思議ではないのかもしれない。
「(私は『あてがい女』として、こういう時ってどうすればいいの?)」
単にヴェルは回復する時間が足りず、連日の刺激と疲労が強すぎて神経がパンクしているだけなのだ。だが、アマーリエにはその男性の機微が分からなかった。女性としては「自分で興奮している」「自分で興奮していない」という状態でしか区別ができないのだ。
アマーリエがヴェルの身体を献身的に洗っても、ヴェルの男性器が項垂れたままでは面白くもなんともない。
「(もし私に全く興味がないのなら、エリーゼさん達のところへ行けば良いはずだけれど。)」
ヴェルが小屋を訪れるのはアマーリエに癒されることを求めてなのだという。ただ、アマーリエにはその表現は曖昧すぎた。ヴェルのいうその「癒し」とは、何であるのかは未だにアマーリエにはよく分からないままだった。
風呂上がり、天蓋付きの豪華なベットに2人で潜り込む。風呂で火照った身体に、冷えたシーツが心地よい。ただ、疲れ切ったヴェルはアマーリエに手を出す様子もない。
「(もう、本当にどうなっているの。)」
アマーリエはモヤモヤする。ヴェルが元気になる事があるのなら、アマーリエとしてはそれをして上げたい。アマーリエは必ずしも毎回ヴェルに抱いて欲しいという訳ではない。
「(もしそうなったら素敵だけれど、ヴェル君の身体に負担を掛けてまで、私が楽しむつもりではないわ。)」
求められたらいつでも応じる、その時はそうしたい、というアマーリエの気持ち。ただ今回のように、ヴェルが疲れ切っている状態でアマーリエの小屋を訪れた時など、まだ男女の恋愛の引き出しの少ないアマーリエは対応に困ってしまう。
ヴェルとしてもアマーリエを抱きたい。イチャイチャしたい気持ちがある。それで小屋に来た。だが今日は心と身体が疲れてしまっていた。なんというか、風呂に入って身体を洗ってもらい、ベッドに入るとそれだけでヴェルはもう満足、という気分になる。
「(アマーリエ義姉さんには悪いけど、今日は小屋でジッとしているだけでもいいかな。)」
ヴェルの過敏になった神経には、刺激されるよりも、隣にある人肌の温もりがわずかに伝わるような添い寝の状態が好ましかった。アマーリエ相手だと、つい自分の心地よさを優先してしまうところが今のヴェルにはある。
疲れているので口も重い。説明するのも辛い。結果として沈黙したままで過ごす。
小屋の中、それも天蓋付きのベッドの中という薄暗い中でジッとしていると、ヴェルのささくれだった神経が鎮まってくる。隣にいる裸のアマーリエの呼吸と体温が伝わる中、ヴェルの男性器が少し硬さを取り戻してきた。
それは全開のカチコチに比べると、少しふっくらしてきたかな?、くらいの平常時との僅かな違いだった。でもヴェルに関心の深いアマーリエには伝わる。ヴェルの男性器の先端が僅かに濡れているのも分かる。アマーリエが安心するのは、ヴェルがアマーリエの身体に興奮している事が伝わった為だ。
「ヴェル君、今日は無理しなくていいわ。毎日大変なのはわかっているもの。」
「すみません、今日はなんか動きたくなくて、アマーリエ義姉さんの横に横になってたい気分なんです。」
「そうね。誰かに、甘えたくなる時もあるものね。」
アマーリエが今日はすっかり諦めた気持ちになっていた時、ヴェルの男性器がだいぶ硬さを取り戻していた事に気づいた。大きくはなっているけれど、挿入には耐えれなさそうな硬さ、いわゆる半勃ちである。
「(どうしよう)」
アマーリエは思い悩んだ。もういいと言った以上、ここでヴェルを駆り立てて硬くして挿入まで導くのはちょっと難しい気がする。仮にここで失敗してしまうと、花嫁と初夜を迎えた際の障害になりかねない。
「(今日は、ヴェル君には大人しくしてもらう方がいいのかな。)」
ヴェルに求められない以上、アマーリエが進んで身体を投げ出すのは違う気がする。そこでアマーリエはヴェルの身体を刺激しすぎないように、柔らかく抱きしめる事にする。
ヴェルの男性器への直接的な刺激は含まないが、ヴェル自身の身体へのアプローチは含まれる。そして抱きしめるという行為は、もしかしたら心へのアプローチも含んでいるのかもしれない。
暗いベットの中でアマーリエに優しく抱かれていると、ヴェルの心が安らぐ。男性器の硬さも回復してきた。しかしながらいつもの全開には至らない。
「(もう。)」
アマーリエとしてはヴェルの男性器がどうしてこうも反応しているのか捉えにくい。もういい、と言った途端に硬くなるのは天邪鬼ではないのか?
ヴェルの心がアマーリエに対する義務や責任という枷を外れたが故、素直に刺激に反応するようになっているのだが、こういった心と身体の関係は、直接その場で相対していると男女の間柄ではなんとも伝わらない物だった。
遂にアマーリエは決心した。
「それじゃ手で、してあげるね。もしヴェル君がイケそうならイッて大丈夫だからね。」
ヴェルの横で身を起こし、ヴェルの男性器を手で刺激し始める。ヴェルの期待と身体の僅かな興奮が伝わる。
胸をヴェルに触らせる。ヴェルに胸を弄ばせたまま、アマーリエはヴェルの下半身を弄ぶ。
興奮したヴェルが叫ぶ。
「アマーリエ義姉さん、もうイキそうです。」
「ヴェル君、イッていいのよ。そのままそうっと出してしまいましょう。そう、上手ね。」
アマーリエは興奮したヴェルを上手な手つきで絶頂に導いた。ヴェルが射精し、アマーリエの手と胸に精子をぶち撒ける。それでもアマーリエはゆっくりと手を動かし、ヴェルの射精を促し続けた。
「ヴェル君、このまま少しお眠りなさい。私もずっとここにいるから。」
アマーリエがヴェルを促すと、ヴェルは微かに頷き、安心したかのように眠り始めた。アマーリエはヴェルを起こさないようにしながら、ヴェルの男性器を口で清め、タオルで手や胸に浴びた精子を拭き取る。
「(やはりヴェル君はお疲れなんだろうな)」
そうアマーリエは考える。
「(これからはヴェル君に可愛がってもらうより、むしろ私のところにいる時は、安心して寝てもらうようにする方が良いのかもしれないな。)」
ヴェルと激しく愛し合うより、安らぎを感じる時間を共にする方が良いのかもしれない。そのようにアマーリエも考えるようになっていた。
ヴェルはそのまま3時間ほど眠った。人の睡眠サイクルが90分とすれば、2サイクルほどの時間。普通の睡眠は6時間から8時間必要だが、3時間の睡眠でもヴェルの疲れた心と身体を解消するには十分だった。
気力の充実を感じて目を覚ます。ふと見ると、アマーリエがヴェルにもたれかかるように寝入っていた。
「(そうか、アマーリエ義姉さんに奉仕してもらってそのまま寝てしまったんだな。)」
ヴェルはそう気がついた。アマーリエと愛し合うといういつもの状態も嬉しいながら恥ずかしいものがあるのに、今回はアマーリエに一方的に奉仕させるだけになっていたのは、なんだか男としてちょっと情けない気がする。
「(男として、俺がアマーリエ義姉さんを満足させないといけないよな。)」
一眠りして回復した今なら、それも可能だと思った。身を起こすと、アマーリエにキスをする。アマーリエは寝入ったままで微かに刺激に反応する。そのままアマーリエの身体を寝かせると、アマーリエの胸を手と口で愛撫する。
うーんと唸りながら、夢半ばのアマーリエが反応を返す。指で確認すると秘所はしっとりと濡れていた。
「アマーリエ義姉さん、入れますね。」
アマーリエが寝ていると承知しながら、ヴェルはそう声に出してから、アマーリエの女性器に挿入する。
アマーリエが気がつくと、すっかり元気になったヴェルに挿入され、パンパンと激しく腰を打ちつけられている所だった。
「(あ、いつの間に)」
アマーリエは無理やり犯されたとは感じなかった、アマーリエはヴェルの『あてがい女』
なので、ヴェルには元々その権利があるのだ。それに行為の最中に2人とも寝てしまったのだから片方が起きたらこうした形で再開する事もあると考えていた。ただ大好きな挿入の瞬間を逃したのだけが、ちょっと悔しかった。
「ヴェル君、嬉しい」
アマーリエがヴェルに甘える。
「アマーリエ義姉さん、さっき俺がちゃんと出来なかったら。今度はちゃんとアマーリエ義姉さんに気持ち良くなって欲しくて。」
「うん、とっても気持ちいいよ、ヴェル君ありがとう。」
喘ぎながら、アマーリエはヴェルに笑顔を見せる。アマーリエの女性器がヴェルの男性器をキュッと優しく包み込む。ヴェルの身体が昂り、興奮で震える。先走りを纏ったヴェルの男性器がアマーリエの膣内で暴れる。アマーリエは熟れた腰つきで、ヴェルの動きに巧みに追従する。
「あ、あ、あ、いっちゃう。」
アマーリエが絶頂に至った時、収縮するアマーリエの膣に導かれてヴェルも絶頂に至って射精する。長々としたヴェルの射精を、アマーリエの女性器は全て優しく受け止めた。
「ヴェル君、疲れていない?大丈夫?」
「今日はアマーリエ義姉さんのお陰ですっかり回復できましたよ。」
心も身体もすっかり元気を取り戻したヴェルの様子に、嬉しくなったアマーリエは身をくねらせながらヴェルにキスをねだった。
ヴェルが立ち去った後の午後、アマーリエが小屋の後片付けをしているとひょっこりとマルレーネが訪ねてきた。
「本当に助かるよ、アマーリエさん」
ヴェルの用意した塩を入れた大甕にマルレーネは大喜びだった。
「領主ともなると、持ち出しが必要な塩の量も多いんだよ。」
「そうそう。馬にも塩が必要だって、ヴェル君が言ってました。」
「馬だけじゃなくて、家畜は塩をやる必要あるんだよ。牛とかね。今は開拓工事があるから人も馬も大勢いるし、領内で塩が足りない人がいたらウチも無理して融通しないといけないから、さ。」
マルレーネは、出来ればこのまま大甕ごと塩を持ち帰りたいのだという。
「大甕はお渡ししても大丈夫と言われています。でも、一頭の馬でそんなに運べるのですか?」
「今日は馬車で来ているから大丈夫だよー。倒れないように、瓶は抱えて帰る事になるかもしれないけれど。」
今日はヘルマンとヴェンデリンの母のヨハンナに会わせようと孫達を連れてきた関係で、馬車で来たそうだ。
「じゃあ行こうか」
「え?」
「お義母様がアマーリエさんに会いたがっているの。だから私が呼びにきたんだよ。」