翌朝、朝食後にエリーゼに恐る恐る相談すると、カールの『あてがい女』については細かい内容を聞かずに、このような返事をしてくれた。
「わたくしはヴェンデリン様にお任せすると言いました。あまり時間をかけないでくださいね。その上で、夜は順番通りきちんと私達を愛してくださるのなら。」
ローデリヒから事情を聞いたのだろうか。あるいはカルラ嬢を待合室で応接したメイドや昨日のうちにアマーリエ義姉さんから報告があったのだろうか。短期間ながら、俺はカルラ嬢をトレーニングする許可をエリーゼから得た。よし、これで正妻公認の間柄だ。
「もしあの方と本気になるようでしたら、早めに教えてくださいね、あなた。」
部屋を立ち去る際、背後から浴びせられるエリーゼの一言にどきりとさせられる。ただその口ぶりから、エリーゼもカルラ嬢に同情しており、ある程度その存在を許容する空気を俺は敏感に感じ取った。俺は振り返りエリーゼに尋ねる。
「いいの、かな?」
「はい。カルラさんの事は昔からわたくしも知らない方ではありません。ヴェンデリン様はお優しいから、見捨てられないでしょう。だから仕方がないとも思います。でもそうなった時には、エルヴィンさんにはあなたからちゃんと説明してくださいね。」
表情が顔に貼りついたような笑顔を浮かべるエリーゼからは、なんだかとてつもない圧を感じた。でもカルラ嬢の事を認められた喜びが勝った。
「(でもヴェンデリン様は、カルラさんにはもう『あなた』と呼ばせているのでしょう?)」
エリーゼが何か呟いたようだ。よく聞き取れなかった俺は聞き返す。
「ん、何か言ったかな、エリーゼ?」
「いいえ、なんでもないわ、あなた。」
俺は笑顔のエリーゼに部屋から送り出された。戸を閉める勢いがいつもより少し乱暴だった気がしたが、それはきっと窓から風が吹き込んだせいだろう。
エリーゼの部屋から立ち去った俺は、ホールミア辺境伯について探りを入れる事にした。カルラ嬢が話した一連の経緯を疑った訳ではない。でも何か裏があると思った。もしそうならこの先を考える上で俺は知っておく必要がある。
魔道通信機で王都のエーリッヒ兄さんに連絡を取る。エーリッヒ兄さんは『伝手を使って色々調べてみる』とそう約束してくれた。
エリーゼの許可を得た俺は、引き続き小屋でカルラ嬢に特訓を施す事にした。意外にもカルラ嬢がこの講習にとても前向きだった。カルラ嬢の容姿はもう完全に回復しつつある。出会った頃のように綺麗で可憐なままだが、講習を進めるうちにどこか肉食獣めいた大人の女性の気配を感じさせるようになった気さえする。
カルラ嬢と一戦交えてから、ベットの上で語り合う。
「バウマイスター伯爵様は、私のどんな点に性的な魅力を感じられるのですか?」
「カルラ、『あなた』でしょ」
「あなたは、私のどこが好き?」
「カルラは綺麗で上品なで滑らかな肌をしているのに、性欲に溺れるところ」
「欲望に忠実なのは、あなたが私をそうしたからですよ」
カルラが俺にしなだれかかる。
「私もう独り身では生きていかれないわ」
俺はそっとカルラ嬢の体を撫でる。カルラ嬢の滑らかな肌はどこを触っても気持ちがいい。
「いつまでもこうして俺と暮らせばいい」
「駄目よ、私にはあなたに頂いたお役目がありますもの。これでも真面目にお役目のために努力を重ねているのです。」
実際、カルラ嬢は日に日に美しくなっているような気がする。栄養ある食事をとっている事、精神面の不安が解消された事、美容に力を入れている事、そした満ち足りた性生活を送る方が彼女に潤いを与えていた。
カールは俺たちよりずっと若い。同年代のイヴァンカに惚れ込んでいる。そこに割って入るとなると、努力が必要とカルラ嬢も感じているのだろう。
「カルラ、カールの所に行かなくていい。いつまでも一緒に暮らそう」
冗談に見せかけて本心を告げ、抱き寄せる。
「悪い人ね、そうやって女を騙そうとして」
「そんなことはないさ、僕は出会った頃からカルラに夢中さ」
カルラ嬢にキスをするも抵抗されてしまった。
「私は知っているの、あなたは親友に私を譲るつもりだったじゃない」
本心ではないのだろうが、少し怒った様子を見せる。いや、これこそが彼女の本心なのだろう。
確かに俺は以前、カルラ嬢をエルに譲る決心をしていた。
「すまない。あの時の俺は君に惹かれながらも、エリーゼを蔑ろに出来なかったんだ。」
俺の正妻はエリーゼと決まっていて、エリーゼが婚約者達をまとめ上げていた。そしてエリーゼはとても大切な婚約者だったのだ。
でもカルラ嬢と知り合ったのは、婚約期間中で婚姻前だった。結婚するまでは妻の序列の変更が可能だったのだ。そして貴族の序列は辺境伯、伯爵、子爵の順である。
エリーゼは正妻との間の子供とはいえ子爵令嬢。カルラ嬢はブロワ辺境伯が愛人に産ませた子供とはいえ、母親が騎士爵家。カルラ嬢はエリーゼの正妻の座を脅かしかねない地位にいた。
エリーゼもカルラ嬢に脅威を感じていたのだろう。知り合いのはずなのに、カルラ嬢に対してはどこか終始よそよそしかった。
ブロワ辺境伯家と正式な和解の上で婚姻関係を結べば、カルラ嬢が正妻となるようブロワ辺境伯家に申し入れてくる可能性があった。そこを蹴るとなると更なる譲歩を強いられただろう。
「それは分かっていました。私も、バウマイスター伯爵様と結ばれたら、身内がご迷惑をおかけする立場でしたし。それに私は、やはりあの人達の、ブロワ辺境伯家の利益になる行動は取りたくなかった。」
俺を責めてしまった事を心苦しそうにカルラ嬢が告白する。
「もう少しだけ、あなたがあの時にもう少しだけ私に対する本気を見せてくれていたら、私もあなたを選べたかもしれない。」
確かに、あの時の俺はエリーゼやエルに気兼ねして受け身だった。前世の経験もあったとはいえ、性体験も今よりずっと乏しい。あの頃は性的な関係を過小評価していたとさえ言える。
俺を導いてくれたのはアマーリエ義姉さんとの邂逅だった。あの時の俺がアマーリエ義姉さんとの初体験をもう済ませていたら、きっと無理してでもカルラ嬢を引き留めた筈だ。
「どちらも相手を待ち過ぎていたのかもしれないね。あの時の俺は、君が望めば結婚をするつもりでいたし。」
「私が望めばあなたが結婚してくれるだろうと、それは分かっていました。でもそれじゃ悔しかったの。私は自分を一番に見てくれる相手が良かった、だからカミラと結婚したのです。」
それは事実なのだろうと思う。そしてあの時のカミラとカルナ嬢の夫婦は本心から幸せそうだったのだ。エリーゼも俺も、それだから2人を祝福していたのだが。
「あの時、結婚する相手を高望みして無理をしてはいけないと思ったわ。でも、あなたと結婚していたらこんな夢のような経験を味わえたのですね。」
「そうだね」
自然と俺達の身体が重なり合う。
「入れるよ」
「はい、嬉しいわ」
俺の男性器が背後からカルラ嬢を貫く。カルラ嬢は喜んで俺を受け入れてくれる。クチュクチュと濡れた水音が響いた。
「ああ、気持ちいい」
「動くよ」
「それは素敵、ん、あん。」
ゆっくり腰を使うとカルラ嬢が可愛らしく喘ぐ。
「カルラは敏感だね」
カルラ嬢が締め付ける、本気で俺を搾り取りにかかる。
「あなたが私をこうしたのです。」
「いくよ、カルラ」
「はい、はい、ん、気持ちいい」
俺はそこから更にカルラ嬢を散々喘がせてから、彼女の中に精を解き放った。
過去の経験も影響しているのだろう。カルラ嬢は膣内射精された瞬間に最も興奮するようだった。反応がまるで違うのだ。瞳孔が開き、快感も倍増するようだった。
「それは、早く子供を産みたいから。」
その点を指摘すると、そう恥ずかしそうに彼女はいう。
「俺の子供を産むかい?」
冗談めかして俺はまた本心を吐露する。
「私はカール様のお相手をしないといけないでしょう?でも、あなたが良い子にしていたら、カール様の次の候補に考えてあげても良いのですよ。」
俺を見つめるカルラ嬢の瞳が、俺のことを扇情的に誘う。
「カルラ、したい。もっといっぱいしよう」
俺は精力回復を使うと、カルラ嬢に再び挑みかかった。
「駄目よ、そんなに興奮なさっては駄目。今度は私が下になります。だから落ち着いてなさって」
カルラ嬢を組み伏せて、尻を持ち上げさせると俺は一気に彼女を貫く。俺の精子と彼女の愛液が混ざり合って濡れた彼女の女性器の中に、再び俺の男性器が入り込む。
「あ、あ、あ」
素早くカルラ嬢が上りつめる。口を半開きにして、涎を垂らしながらも快楽に浸りきる彼女は美しかった。俺はもっとカルラ嬢に悦びを与えてようと必死で腰を振る。
「いいの、とても良いのよ。あなた。」
「カルラ。もう我慢できないから。」
「はい、来て、来ていいのですよ」
射精予告するとカルラ嬢の締め付けが更に増す。俺はカルラ嬢の中に更に精子を撒き散らした。
「うふふ。私これで妊娠してしまったかも。」
お腹をさすりながら満足そうにカルラ嬢が言う。
「もし俺との間に子供が出来たら、カルラはどうしたいの?」
「まもなく私は月の物が訪れます。私のは、とても規則正しいのです。もし月の物が来なければ、私はきっとあなたの子供を妊娠してしまっているでしょうね。」
「もし月の物が来たら?」
「長くても1週間で収まります。そしたら、私はカール様の訪れを待つ事になると思いますわ。」
「そうか。じゃあ俺もそうならないように全力を尽くすよ。」
「はい、そうして頂けると、私の修行も進みます。とても嬉しいわ、あなた。」
俺は再びカルラ嬢を抱き寄せると、俺は彼女を種付けする作業に耽溺した。