そこへ、メイドのドミニクが銀のトレイにマテ茶を載せて現れた。黒と白のメイド服は清楚だが、エリーゼに似た豊満な胸とくびれた腰が、抑えきれぬ魅力を放っていた。結婚して妻達を抱くと、どうしても年頃の女性の肉体は意識してしまう。それにヴェンデリンはエリーゼと共にドミニクを抱いたこともある。年頃の、しかも肉体関係がある女が近くにいて意識しない方が無理があった。
欲望が僅かに屹立するのを感じながら、ヴェンデリンは務めて冷静な声を出そうとしていた。昼の光で彼の元に近寄るドミニクには、どこか初々しい興奮を感じる。ドミニクはトレイを机に置くと、ヴェンデリンの思いを汲み取ったように彼の肩に手を置いた。メイドにしては親密すぎる仕草に驚くヴェンデリンの反応をまるで気にしないように、ドミニクは指先でヴェンデリンの胸を撫でた。野草の花のような甘い香りが漂った。
「お館様……女だって、したい時があるんです」
ドミニクの声は震え、瞳は潤んでいた。ヴェンデリンは頬に触れる彼女の熱い手に彼女の情欲を感じた。
「ドミニク、君……そんな気分なのか?」
「はい。」
ドミニクは書類の載せられていた机の上に腰をかけ、M字に脚を開く。メイド服の裾が滑り上がり、白い太ももと下着が露わになった。
「ホーエンハイム子爵様から、ご許可は頂いています。お館様がお望みなら、自由に抱かれて良いと。」
ヴェンデリンは耳で聞いたその言葉を、時間をかけてゆっくりと理解した。ホーエンハイム子爵はエリーゼの父親だ。そんな彼が、なぜドミニクにそう命じたのか。
「エリーゼ様の体調が悪くてお館様の夜のお相手が出来なくとも私がいる、そういう事です。」
ドミニクが立ち上がり、ヴェンデリンの視線を釘付けにしながらメイド服を脱ぐ。何か言いかけたヴェンデリンはドミニクに身惚れて、言葉を口に出すことを忘れた。
「それにもしかしたら、私がエリーゼ様の代わりに子供を産む役目だって果たすように、と。」
ヴェンデリンが状況を掴みかけて、頭の中の疑問をようやく口にする。
「しかし、ドミニク。君は結婚しているんじゃ。」
ヴェンデリンはドミニクを何度か抱いた事はある。それはエリーゼの体の負担が重い時に、予めヴェンデリンに抱かれて体の負担を和らげるという名目で行われた。それもホーエンハイム子爵でなくその妻でエリーゼの母のニーナの指示だった筈だ。結婚していると問うのは今更過ぎるのだが、エリーゼと関係しないからこそ確認しておきたかった。
「はい。でも夫はホーエンハイム子爵領の庭師。私はこちらにおります。長いお休みをお館様から頂がない限り、私が夫に抱かれる事はございません。」
ヴェンデリンはドミニクの言外の含みを理解した。偽装結婚というわけではないのだろう。しかしヴェンデリンとエリーゼの為に、ホーエンハイム子爵はどこまでも都合の良い相手をドミニクに娶らせたに違いない。ヴェンデリンは、その事が初めて理解出来た。
「どうして急に、こんな事を?」
ヴェンデリンが最後に絞り出した疑問はそれである。そもそも今日はエリーゼが当番の日ではない。それは昨日の事で、今日はヴィルマを抱く筈の日だった。
「だってヴェンデリン様がいつまでも手を出して下さらないから。奥様達ばかり抱かれて、ずるい……今は、わたくしを愛してください、お館様」
見せつけるように下着を脱ぎ捨てながら、そう言ってドミニクは薄く笑った。
メイドの情欲(ドミニク)
〜誘惑〜
ドミニクの手がヴェンデリンのシャツを外し、胸板を撫でた。彼女の指は熱く、肌を滑るたびに興奮が湧き立つ。
ドミニクはしなだれるようにして、ヴェンデリンに抱きつく。そして彼の首に腕を絡めた。つと伸ばされた手が、ヴェンデリンのズボンのこわばりを撫でる。
ヴェンデリンは思わず抱き返すような姿勢をとり、椅子から腰を浮かせた。ドミニクは慣れた仕草でそんな彼のズボンと下着をまとめて下ろしてしまう。そして硬く張り詰めたものを握る。
「ドミニク、君の手……熱すぎるよ」
彼女は彼のものを自分の入口に導き、誘うように腰を揺らした。秘部は蜜で溢れ、熱く脈打っていた。
「お館様、来てください……わたくしの中に……」
ヴェンデリンは開脚位でゆっくりと中へと押し入った。ドミニクの体は彼を受け入れ、挿入の瞬間に感情が爆発したようだった。抑制された誘惑の動きが薄れて、小さく叫ぶと机の縁を掴む。
「あっ……お館様、凄い……!」
ドミニクの秘部は彼を締め付ける。溢れた愛液机に滴り落ちた。慣れない状況と初めての体位で、ヴェンデリンの動きは初々しい。だが次第にコツを掴み、力強さを増す。大きなドミニクの乳房は揺れ、体は快楽に震えた。書斎には肉体がぶつかり合う音と、彼女の甘い喘ぎ声が響いた。今日は誰か家にいなかっただろうか?いや、いない。ドミニクは誰もいないのにヴェンデリンが書斎にいるからこそ、誘惑を強行したのだ。
「んっ……お館様、もっと……」
甘えながらそうねだるドミニクの腰は、どこまでもヴェンデリンのリズムに合わせようとする。そして待たされ続けて発情した肉体がさらに熱を帯びた。若きヴェンデリンは耐えられない。彼女の奥を突き、熱い奔流を放った。ドミニクは子宮に広がる熱を感じ、快楽の頂点に達した。全身を張り詰めさせて、びくんびくんと釣り上げられた魚のように震わせる。
「んぁっ……お館様、熱い……!」
机の上に体を投げ出したドミニクの秘部からは白濁が溢れた。机に滴り落ちる様子を眺めながら、ヴェンデリンはドミニクを落ち着かせるように撫でてやる。妻達を抱く時は違う、獲物を仕留めたような悪い感覚。女を餌食にするのは、これほどの快楽を生むのか。これまでドミニクを抱いた数度の体験は、あくまでエリーゼの添え物としてだ。エリーゼに内緒でというのは、興奮させられた。
ドミニクはエリーゼがいつもそうしてくれているように、彼の逸物に唇を寄せると舌で丁寧に清めた。
「ドミニク、君……本当にすごいよ」
「お館様、わたくし、失礼しました……でも、後悔はしていません」
彼女はメイド服を整え、書斎を後にした。その背中には、ドミニクこそが獲物を仕留めた側という確かな満足感を漂よわせていた。
〜手篭め〜
翌日、ヴェンデリンはなんとなくまた家に居残っていた。『提出する書類の仕上げがあるから。』
そう告げると、誰も不思議に思うものはいない。
そうと期待した訳ではなかったが、廊下でドミニクを見かけた。昨日の書斎での短い記憶が胸をざわつかせる。妻達との夜は楽しんでいる。誘えば今だって誰かを抱けるだろう。しかし、新鮮な獲物も良いものだ。今しか食べられない珍味を味わおうとするかのように、彼はドミニクに近づき腰に手を置いて引き寄せた。望む相手を好きな時に手込みにする。ホーエンハイム子爵は許可したとドミニクは語っていた。それが本当なのか、試すつもりだった。
「ドミニク、ちょっと話がある。こちらへ」
ヴェンデリンはドミニクを配膳室に連れ込んだ。そして背中を撫でながら自らの欲望をメイドの耳に囁いた。
「エリーゼは風邪気味なんだろう。今夜は君を抱きたい、ドミニク。」
ドミニクの耳が赤く染まる。
「お館様……お手伝いは致します。それでも、やはり今夜はエリーゼお嬢様を抱かれるべきではないでしょうか?」
だが、ヴェンデリンを見上げるドミニクの瞳は期待に潤んでいた。ヴェンデリンは彼女の臀部を撫で、微笑む。
「君だけでいい、ドミニク」
そしてヴェンデリンはドミニクを壁に押し付け、彼女の体を持ち上げた。抱きかかえ、彼女の太ももをしっかりと支えた。メイド服はたくし上げられ、下着は容赦なく脱がされる。ドミニクは、ヴェンデリンの手を止められずにただ羞恥して身悶えする。ヴェンデリンはドミニクの下腹部に指を這わせた。よく濡れたメイドの秘所は、まるで甘い香りを放つ果実であるかのように濃厚なフェロモンを放出している。ドミニクはヴェンデリンの肩にしがみつき、自らの発情の予感に震えた。
「んっ……お館様、こんなところで……」
ヴェンデリンは彼女の入口に自身の硬いものを当て、囁いた。
「ドミニク、君は俺を拒まないんだろう?」
「はい。わたくし……拒みません、お館様……」
ヴェンデリンは一気に腰を進め、ドミニクの中へと突き入れた。挿入の瞬間、ドミニクの身体は熱く発情する。待ちかねていたかのように、肉壁が彼を締め付けた。快感に浸るドミニクは小さく叫ぶ。全身が熱を帯びたかのように熱く、ヴェンデリンに抱かれる喜びに震える。
「あっ……お館様、刺激が強すぎます……!」
メイドが自らを喜んで受け入れて情欲で濡れている。その事に気を良くしたヴェンデリンの動きは力強い。ドミニクの体を壁に押し付けながら突き上げた。ドミニクの乳房は揺れ、愛液がヴェンデリンの逸物を潤す。ドミニクの身体が震えているのは激しい興奮と快楽の為で、発情した肉体がさらにヴェンデリンを求めている。
「ドミニク、君の体……たまらないよ」
「んっ……嬉しい、です……」
二人の動きは激しくなる。その中でもヴェンデリンより先にドミニクの体は快楽の頂点へと近づいた。収縮する膣の粘膜に、ヴェンデリン
は満足する。そしてドミニクを絶頂させた事に満足しながら、ヴェンデリンはドミニクの奥底に熱い子種を流し込んだ。ドミニクは子宮に広がる熱に幸福を感じながら、再び快楽の頂点に達して全身をびくんと震わせる。
「んぁっ……お館様、熱い……!」
なおも名残を惜しむように、そしてドミニクの奥底を楽しむようにヴェンデリンが腰を動かした。そして満足をして、ゆっくりとドミニクから逸物を引き抜く。解放された彼女の秘部からは白濁が溢れ、太ももを伝った。ヴェンデリンは彼女を下ろし、メイドを手篭めにした喜びに浸った。ドミニクは再びヴェンデリンの逸物をを丁寧に清めた。
「お館様の喜びが、わたくしの幸せです。今夜、楽しみにしております……」
〜代打〜
エリーゼが風邪で寝込む夜、彼女はベッドで微笑みながらドミニクに言った。
「ドミニク、ヴェンデリン様を今夜は頼んだわ。わたくし、休まなければならないから……あなたなら、ヴェンデリン様を満足させられるわね。わたくしの代わりを務めてちょうだい」
エリーゼは白いシルクのドレスを着るように指示を出す。清楚で高貴なそのドレスは、ドミニクのよく知っているエリーゼ秘蔵の品だ。聖女らしい気品と、身体の曲線を際立たせる繊細な刺繍が施されていた。
指示されるままに、ドミニクはそのドレスに着替えた。そして鏡の前で自らを見つめた。シルクは彼女の豊満な胸を包み、くびれた腰を強調し、エリーゼに似た良く似た魅惑的な姿を際立たせた。ドミニクの心は高揚する。秘部はすでに熱く疼いていた。
(お館様にこの姿で抱かれるなんて……わたくし、エリーゼ様に感謝しなきゃ)
ヴェンデリンの寝室の扉を開けると、彼がベッドに腰かけドミニクを待っていた。ドミニクは彼に近づき、そっと胸に手を置いた。彼女の指は彼のシャツを撫で、首筋を滑り、誘うように動く。エリーゼ自慢のシルクのドレスの裾が揺れ、彼女の白い肌が燭台の光に映えた。ドミニクの体臭と香水が合わさり、ヴェンデリンの鼻腔に甘い香りが漂った。
「お館様、エリーゼ様がおやすみになられました。本日はわたくしが代わりを務めます」
ドミニクの口上は短く、しかし歌い上げるような響きがあった。ヴェンデリンはドミニクの姿に息を呑み、微笑んだ。ドミニクはメイド姿で現れるとそう予想していたに違いなかった。
「ドミニク、綺麗だよ。エリーゼのドレスを着て……まるで君ももう一人の聖女のようだ。」
嬉しそうにそして少しはにかんで笑うドミニクを見て、初めてヴェンデリンはエリーゼドミニクドミニクは本当に似ているのかも知れないと考えた。立場が違うだけで、ドミニクもまたホーエンハイム子爵家で育てられた。だからドミニクは、エリーゼにとって最も近い相手なのは間違いない。きっとそれが理由なのだろう。
今夜のドミニクも積極的だった。ドミニクはヴェンデリンのシャツを外し、胸板を撫でながら唇を重ねてくる。メイドとして抱かれるのではなく、今夜の相手として正面から抱かれる喜び。今夜だけは、ドミニクはエリーゼの添え物ではない。ヴェンデリンの夜を彩る主菜なのだ。
ヴェンデリンの口の中で、ドミニクの舌が熱く蕩ける。ドミニクの甘い香りを楽しみながら、ヴェンデリンはシルクのドレスを剥いでいく。完全には脱がさず、ヴェンデリンはそのまま事に及ぼうとしていた。
ドレスを半分ほど脱がせると、ドミニクの豊満な乳房が燭台の光に照らされた。乳首は既に硬く尖り、桜のつぼみのように色づいている。ドミニクはベッドに仰向けになり、脚を開いてヴェンデリンを誘った。それでも恥ずかしそうに、両の手は秘所を隠すように股間に置かれている。
「んっ……お館様、見ないでください……」
恥じらうドミニクの声は短い。だがヴェンデリンがドミニクの手を剥がすと、秘部はすでに蜜で濡れそぼっていた。シルクのドレスが太ももに絡みついていた。ヴェンデリンは彼女の白い肌を撫で、彼女の耳元に囁いた。
「ドミニク、君は本当に美しい……まるでエリーゼのようだ」
賞賛の言葉を素直に喜ぶドミニク。ヴェンデリンはそんな彼女の秘部に指を滑らせ、熱い蜜を確かめる。ドミニクの体は震えていた。
ヴェンデリンは自身の硬いものを入口に当て、正常位でゆっくりと入った。挿入の瞬間、ドミニクの体は発情し、熱い肉壁が彼を締め付けた。彼女の腰は勝手に動き、まるで彼を飲み込むように蠢いた。
「あんっ……お館様」
ドミニクの震え声と共に、シルクドレスがシーツに擦れる音が響いた。それに応えるヴェンデリンの動きは穏やかだったが、次第に力強さを増す。寝室には肉体がぶつかり合う音と共に、ドミニクの放つ甘い喘ぎ声が響く。
ドレスの裾が乱れ、ヴェンデリンの背中に回されるドミニクの白い太ももが露わになった。ドミニクの指がヴェンデリンの背中に爪を立てた。彼女の示す淫らな反応が、ヴェンデリンを新たな快楽の深淵へと引きずり込む。腰を深く沈めるたび、喘ぐドミニクの声と反応が彼の興奮を煽る。情熱が、次第に二人の息を同期させていく。
「ドミニク、もう限界だ。」
ドミニクはヴェンデリンのリズムに自らの動きを合わせる。
「んっ……お館様、もっと……もっと。この体、すべてお館様のものにしてください……」
ヴェンデリンは耐えきれず、ドミニクの奥底に熱い奔流を放った。ドミニクは子宮に広がる熱を感じる。快楽よりも先に多幸感を感じながら、ドミニクは全身を震わせる。溢れ出る白濁はシルクのドレスを汚し、シーツに滴り落ちる。
よがるドミニクを組み伏せて子種を注ぎ込みながら、ヴェンデリンはドミニクを孕ませたいという強い衝動に駆られていた。それは雄として、自分を慕う雌に与えるべき最良の対価ではないのか。エリーゼの為に生きる彼女に自分の子を宿らせれば、ヴェンデリンとの絆もた永遠のものになる気がした。
「んぁっ……こんなに満たされて幸せです……」
ヴェンデリンは彼女を抱きしめ、同時にドミニクという女体を味わう喜びに浸った。ドミニクは再びヴェンデリンの逸物に舌を這わせる。そしてエリーゼや他の妻と変わらない仕草で、舌で丁寧に清めた。
休息の後、二人は再び体を重ねた。ドミニクは四つん這いになり、シルクのドレスをたくし上げる。ヴェンデリンはドミニクの臀部を撫で回すと、背後から一気に挿入した。そして力強い突きで彼女の奥を突き上げる。ドミニクの肉壁が熱く締め付ける。耐えきれず、ヴェンデリンは熱い奔流を子宮に注ぎ込んだ。
「あんっ……」
ドミニクは完全に発情していた。情欲と興奮がその目に宿る。ヴェンデリンに息を整える間も与えず、ドミニクはヴェンデリンを押し倒した。そして飛び乗るようにして、彼の上にまたがった。秘所が彼を根元まで飲み込む。豊満な乳房が上下に弾み、彼女の腰が妖艶に揺れ、蜜の音が響く。すぐにドミニクの動きが頂点に達し、ヴェンデリンは彼女の奥で再び熱い子種を放った。ドミニクは甘い叫びを上げ、びくんと震えて崩れ落ちた。体を投げ出した二人は互いを支えにしながら息を整えあった。最後に興奮を鎮めながら、ドミニクが声を漏らした。
「こんなに深く繋がれて……幸せで体が溶けそうです……」
ヴェンデリンも、ドミニクと同じ気持ちだった。
〜エピローグ〜
数ヶ月後、エリーゼとドミニクがヴェンデリンの書斎を訪れた。二人は互いの手を握り合い、喜びに満ちた視線を交わす。
「お館様……わたくし、妊娠いたしました」
ドミニクが静かに、しかし輝く声で言った。エリーゼがその手を優しく握りしめ、頷く。
「ドミニクのこの喜びを、わたくしも共に分かち合いたくて……お館様に、二人でお伝えしたのですわ」
ヴェンデリンは息を呑んだ。愛人となったドミニクが、彼の子を宿したらしい。領主として、血統を継ぐ子を得た喜びが体内を駆け巡る。だがその一方で心配もある。正妻であり嫡子を成すべきエリーゼはまだ妊娠していない。しかしドミニクが母親なら身分が低い。エリーゼの子への障害にはならないのかもしれない。
「本当か、ドミニク……それはきっと俺の子だな!」
だが、エリーゼが優しく私の手を制し、静かに首を振った。ドミニクもまた、穏やかな笑みを浮かべて視線を落とす。
「いやですわ、ヴェンデリン様。ドミニクに私の代理を頼んだ日からですと日数が合いません。ですからヴェンデリン様の種とは違いますわ。」
エリーゼの言葉に、ヴェンデリンは凍りついた。
「どういうことだ? 」
ドミニクが静かに口を染む。
「お館様、この子は、夫である庭師のものです。ホーエンハイム子爵領での短い帰省の夜に授かった子、とそういう事になります。」
エリーゼが優しく微笑み、付け加えた。
「私はヴェンデリン様と生まれてくる子供の名付け親となりたいのです。男の子ならクロフォード、女の子ならクロエと名付けましょう。私とドミニクの絆が、次の世代にも受け継がれるのですわ。」
事情を飲み込んだヴェンデリンの顔に笑みが浮かぶ。どうも名付け親になって欲しいと、最初からそういう話だったらしい。
「ああ、それがいいな。」
ヴェンデリンもエリーゼの案に同意したのを確認して、ドミニクが礼を述べる。
「光栄です、お館様、エリーゼ様。」
エリーゼは鷹揚に頷いた。
「いいのです。ドミニクが子供を産んでいれば、私も幸せです。それに、私がお館様の子を授かった時の不安がなくなります。」
「はい。その時はエリーゼ様の為にお仕えします。」
「ええ。よろしくね、ドミニク。」
感謝の言葉を述べるエリーゼに、ドミニクは微笑む。ヴェンデリンは頷いた。少し取り乱しはしたが、今はドミニクの妊娠を素直に喜ぶ気分になっている。
「私も夫との子を授かり安堵致しました。これで『家に戻れ』と催促されずに、エリーゼ様にお仕えする時間を増やせます。」
エリーゼとヴェンデリンを眺めるドミニクの視線、それにはどこか謎めいた笑みが浮かんでいた。
初夜の後を描いたヴェンデリンの新婚生活、最初のヒロインはドミニクとなりました。ヴェンデリンが妻以外に手を出す契機として、結婚前から続くアマーリエ義姉さんは例外でありエリーゼにも存在を認められています。
アマーリエ義姉さん以外にエリーゼが認めた例外であり、妻以外の女を抱く喜びを感じさせた存在としてドミニクが登場します。実際はエリーゼの代理としてこれまでも相手にしていた訳ですが、ある意味では昇格した訳ですね。そしてドミニク、エリーゼと出産する中で新たなヒロインをヴェンデリンが開拓する流れになる、のだと思います。
勢いで書いたので、多少の粗は許容頂けると助かります。ヴェンデリンは美しい妻達と新婚生活を営んでいる筈であり、きっとそれは初夜の興奮以上に相手が仕上がってくる満足感も加味したエロティックな関係なのだとおもいます。