娘から届いた手紙を読んだマインバッハ卿は、家宰に意見を求めた。
「バウマイスター伯爵からカールに分与される土地の開発事業を我がマインバッハ騎士爵家で進めて良いと。こんな幸運は信じられん。何やら良いことばかり書いてあるが、アマーリエが『ヴェンデリン様の結婚に向けた準備をお手伝いしました』とあるのは、これはどういう事かな。」
横に立つ家宰は手紙を一瞥し、マインバッハ卿に返答する。
「これは恐らく、アマーリエ様がバウマイスター伯爵の『あてがい女』を務められたという意味かと。アマーリエ様がその身を捧げでもしなければ、これほどの好条件にはなりますまい。」
家宰は考える。
「(アマーリエ様は可愛い容姿ではあったかもしれないが、綺麗というほどでもない平凡な騎士爵家の娘でしかなかった。どうしてそこまでバウマイスター伯爵に気に入られたのだろうか。しかしこれほど迄の高待遇、アマーリエ様がバウマイスター伯爵のご寵愛を受けていること、まず間違いはなかろう。よほど夜の奉仕ぶりが気に入られたのだろうな。)」
「ふむ。クルトの馬鹿があの事件を引き起こして我が家も家名に痛手を受けた。夫の暗殺未遂事件の贖罪として妻がバウマイスター伯爵に身を捧げたという形なら、我が家の家名にもアマーリエの名誉にもこれ以上傷はつかんな。」
娘のアマーリエも2人の孫も可愛くないわけではないが、クルトの引き起こした事件ではマインバッハ騎士爵家は大いに痛手を受けた。もしアマーリエが事件の首謀者の嫁としてバウマイスター家から放り出されていたら、マインバッハ騎士爵家で庇護することは到底出来なかった。
クルトの事件は下手に手出しをすれば、マインバッハ騎士爵家など簡単に吹き飛ぶ程の大事件。3人を庇護するどころか、アマーリエと2人の子供を差し出して助かるものなら、マインバッハ卿は3人の命を差し出して、クルトを恨む貴族達に懸命に命乞いをしていたはずだ。
「はい、これでマインバッハ騎士爵家の誠意が伝わり、ご当家への風当たりが和らぐかと」
クルトの関係者への復讐に燃える事件の被害者遺族には、大身の貴族が揃っている。とはいえ今をときめくバウマイスター伯爵の庇護を受けたら、アマーリエとその2人の子供にはもう手出し出来ないだろう。
アマーリエ自身がその身をバウマイスター伯爵に捧げて贖罪をしているという点を合わせると、強引な報復をすれば政治的に糾弾されるのは自分達の側という展開もあり得る。
何より開発利権の絡むバウマイスター伯爵の強固な人脈を相手に、無理を押し通そうと企む馬鹿はいない。バウマイスター伯爵本人が竜殺しと称される英雄的な魔法使いである点を考えると、それはもうハッキリ無理と断言できる。
「全くアマーリエは良い手を思いつき、上手くやりおったわ。しかしなんだな、『ヴェンデリン様をお慕いしておりますので心配なさらないでください。』とあるのに『ヴェンデリン様には5人の婚約者がいらっしゃるので、私がヴェンデリン様と結ばれる可能性はありません。』とあるのはどういう意味かな。まさかバウマイスター伯爵は、短期間の『あてがい女』の為に、これほどの領地をくださるまいが。」
「アマーリエ様は無理強いされた訳ではなく、ご本人の意思で『あてがい女』になられたと。だから心配には及びませんと。」
「それはそうであろうな、アマーリエの立場なら子供の安全の為にも、進んでその身を捧げてバウマイスター伯爵の庇護を受けるべきであろう。」
「これは...恐らくバウマイスター伯爵は、相当アマーリエ様に熱を上げられていますね。既に5人もの婚約者がいなければアマーリエ様と結ばれていた。アマーリエ様が妻と選ばれてもおかしくない間柄という意味かと。
つまり結婚を控えた身であり、かつまた正妻の許可がいるので今すぐ妻と迎えられる間柄ではないが、バウマイスター伯爵としては妻に迎える事を考えてもおかしくはない程にアマーリエ様を気に入られているのでしょう。だから、分与されるご領地がこれ程までの好条件となっているのですな、つまりご寵愛の証という訳です。
アマーリエ様もバウマイスター伯爵を『お慕いしている』とハッキリ述べられています。結婚についても、バウマイスター伯爵の妻になりたいので、敢えてその点に触れられているのですな。つまりお2人は思いあっていると、後半の下りはおそらくそういう意味でしょうな。」
「アマーリエとバウマイスター伯爵は、かなり年齢が離れているのではなかったかな」
「アマーリエ様は27歳、バウマイスター伯爵はまだ15歳かと。」
「アマーリエが嫁入りしたのは18歳の時だから、バウマイスター伯爵はまだ6歳だった訳か。そんな子供の頃からうまく手懐けていたのだな。我が娘ながらなんと抜け目のない事よ。」
「はい、お館様。アマーリエ様は大物を射止められましたな。この好機逃すべからずです。」
「ほう?」
「バウマイスター伯爵がアマーリエ様に入れ上げているなら、アマーリエ様はバウマイスター伯爵の側近くに置いておくに限ります。既にアマーリエ様との間に身体の関係はあるようですし、アマーリエ様もバウマイスター伯爵もまだお若い。初体験を済ませ、憎からず思っている相手が手の届く所にいれば....。」
「今はまだ妻でなくとも、そのうち妻達の目を盗んでバウマイスター伯爵のお手がつき、アマーリエがバウマイスター伯爵の子を宿す事もあるやもしれんな。」
「はい、もしそうなれば。」
「バウマイスター伯爵の子を産みさえすれば、当然アマーリエも側室の扱い、もちろん妻の1人として数えられる事になるであろうな。」
「マインバッハ騎士爵家も、今をときめくバウマイスター伯爵家の後ろ盾を得られる事になります。そうなれば怖いものなどありません。ご当家の行末は磐石なものとなるかと。」
「ふむ、是非そのようにせねばなるまい。何としてでもバウマイスター伯爵には、アマーリエを懇ろに可愛がって頂くようにせねば。」
「その為には、アマーリエ様の2人のお子をご当家で引き取り養育されるのが宜しいかと。アマーリエ様のお子のカール様はマインバッハの名字を受け継ぎ、ご当家が家臣団と領民を用意した領地を治められるのです。母親たるアマーリエ様のお父上、祖父に当たるお館様が引き取られ、領主として相応しい男となるよう養育されても何も不思議はありません。」
「2人の子と引き離され、バウマイスター伯爵しか頼る相手のいないアマーリエ。そしてバウマイスター伯爵が本当にアマーリエを憎からず思っているのなら、お手がつく機会も増えるというものであろうな。」
欲に目の眩んだアマーリエの父親のマインバッハ卿とその家宰は、バウマイスター伯爵の結婚後もバウマイスター伯爵にアマーリエを差し出す算段をつけると、悪い笑みを交わし合った。
昨日も幸福な1日だったな、とアマーリエは振り返る。ヴェルに小屋まで送り届けて貰った後、分与される土地を見聞した興奮も冷めやらぬ内に一気に父親への手紙を書き上げていた。
「(お父様は、この手紙に必ず喜んで下さるはず。)」
父とはもう何年も顔を合わせていない。そして、クルトの事件では大変な心労をかけた。この領地開発の話がうまく進めば、きっと良い親孝行になるだろう。
「(これも、みんなヴェル君のおかげね。)」
アマーリエはうっとりと考える。でも『あてがい女』でいられるのは、ヴェルの結婚するまでの間だ。その先については、少しだけ可能性があるような気がする。未来があると期待したい気持ちもある。
「(せめて今は、ヴェル君の『女』でもいられる事を楽しみましょう。)」
昨日は昼を挟んでそれなりに時間がかかってしまった。
「(今日は、もう流石にヴェル君は来ないでしょうね。)」
アマーリエは考える。ヴェル君の訪れがあまりに連日過ぎる気がしていた。
「(何も言われていないって事は、今日は何もなしって事なんだわ。ヴェル君もお疲れ様だったみたいだし。)」
アマーリエは貯まっていた子供達の家事を進める事にする。小屋の設備を使えば、洗濯も早く進む。水は蛇口をひねればすぐに出てくるし、お湯を使うと汚れの落ち方が違う気がする。小屋の掃除も出来るし一石二鳥ではないかしら。
「アマーリエさん!」
小屋の外で洗濯物を干している時に誰かに呼ばれた気がした。この小屋には誰も近づかないように領民はパウルに言われているはず。誰だろう、ヴェル君の声ではない。
振り返るとバウマイスター家の次男ヘルマンの妻、マルレーネの姿がそこにあった。
「え。マルレーネさん?」
「アマーリエさん、聞いたよー。大丈夫? 辛くないかい。」
どうしてマルレーネさんがここにいるのだろう。アマーリエには理解できなかった。
「ヘルマンからアマーリエさんの事を聞いたんだ。無理してない?心配したのよ。」
この人は自分を心配してくれているのだ、アマーリエはようやく理解した。マルレーネは声を声をひそめながら、アマーリエを問いただす。
「男共にヴェンデリンの、その『あてがい女』にされたんでしょう。もしアマーリエさんが苦しんでいるなら、私からヴェンデリンに言ってやるわ。」
アマーリエはサッと頬を赤らめた。ヴェルの『あてがい女』を務めていると、同性のマルレーネに知られたのは恥ずかしい。
「無理強いされてるんでしょう?嫌ならウチに連れて帰ってあげる。」
マルレーネに肩を掴まれる。
「ち、違うの。私、その、進んで『あてがい女』になったのよ。最初は確かに2人の子供に騎士爵領を分与して欲しかったのが理由だったわ。約束が守られないかもって心配だったの。それでお義父様から持ちかけられたこの話を承諾したの。」
だけど、そうアマーリエは言葉を繋いで本心を吐露する。父親への手紙に『ヴェンデリン様をお慕いしています』ともう書いてしまった。内心を誰かに告げるのにもう躊躇いはない。
「だけど今は、ちゃんと本心からヴェル君の事を愛しています。だから心配しないでください。」
スッーと、マルレーネの肩の力が抜けた。
「なんだ良かった。上手くいっていたのね。年齢差もあるし、私心配したんだから。」
「ありがとう、心配してくださって。でも本当に大丈夫なの、私はヴェル君に愛されているこの関係が嬉しいのよ。」
微かにアマーリエが惚気る。
「その、立ち話もなんだから、中にお入りになって。」
「確かに、外でする話じゃなかったわね。」
マルレーネとアマーリエの関係は複雑だった。立場としては長男の嫁と次男の嫁だった。だが年齢はマルレーネさんの方が少し年上だと思う。アマーリエはクルトより7歳歳下の妻だった。ヘルマンはクルトの2歳下で、マルレーネも似たような年代だ。少なく見てもアマーリエの4-5歳は上ではないだろうか。
少し年齢差があるとはいえ長男クルトと次男ヘルマンの子供は従兄弟同士になるし、本来はもう少し仲良く交流していておかしくない。
クルトが本家、そしてヘルマンが分家である従士長の家を継いだ。そしてこの分家は本家のせいで男衆が全滅するほどの被害を出していた。その為に本家と分家の関係性が悪く、分家の女衆代表のマルレーネは本家次期当主のクルトを激しく嫌っていた。
そんな関係だったから、交流はほとんどない。交流しようとしてもクルトがいい顔をしなかった。マルレーネとクルトの関係がとにかく悪かったのだ。
「なんて贅沢な部屋なの。度肝を抜かれたわ。」
マルレーネが驚いていた。抜け目なく箪笥の中身もチェックしている。マルレーネも今では領主の奥方様のはずなのだが。改装工事後に、この小屋を訪れるのはヴェルを除いてはマルレーネが初めてだ。確かに開拓地の小屋の中に、風呂とトイレを備えて壁紙まで貼られた貴族の居住空間が用意されていたら驚くだろう。
でもヴェル君の部屋は実はもっと凄い。ただマルレーネさんにわざわざそれは伝える必要はないだろう。
ヴェルが持ち込んだ豪奢な椅子にマルレーネを誘う。手早くお茶の支度をして、机の上に2人分並べた。
「それで?、ここが2人の愛の巣って訳ね。」
アマーリエの顔を観察して、少しニヤニヤしながら、マルレーネは用意されたマテ茶に手を伸ばす。
「愛の巣だなんて、そんな。」
アマーリエが顔を赤らめる。
「いいのよ、本当の事じゃない。ヴェル君の事が好きなんでしょう?」
「は、はい。」
「それを聞いて安心したわ。この話を聞いた時は、私もカッーと頭に血が上って。正直言って、はらわたが煮えくりかえったの。ヴァンデリンはバウマイスターの男共の中で1番まともだと思っていたのに、権力をかさにして女に手を出すような奴かー!って。」
慌ててアマーリエが否定する。
「違うのよ。権力をかさに乱暴された訳じゃないのよ、マルレーネさん。」
「うん、この小屋の様子や、あの箪笥に用意されたドレスを見たら、私にも分かったわ。もっとボロボロの小屋で、汚い身なりをして、男の気の向いた時だけ相手をさせられて、毎日泣きながら暮らしていると思ったんだもの。」
「(確かに最初に『あてがい女』の関係を覚悟した時、小屋を初めて見た時はそんな奴隷のような扱いも覚悟していたかも。)」
「でもアマーリエさん、ヴェル君にちゃんと愛されているなって。」
「愛されているだなんて、そんな。」
思わずアマーリエは照れる。密やかな関係だけに、誰かにヴァルとの関係を話題に出されると身の置き所のないような気恥ずかしさに襲われる。
確かに最初は小屋の中ははみすぼらしかった。アマーリエの服装もみすぼらしくなっていたと思う。この小屋を最初に訪れた時、アマーリエももっと悲壮な覚悟をしていたのも事実だ。当時からヴェルの事を嫌っていた訳ではないか、こんな風に愛し愛されるようになるとまでは考えていなかった。
「気がついてる?アマーリエさん、前よりずっと綺麗になってるんだよ。いいのよー、ヴェル君カッコいいし、お金持ってる大貴族だし。独占できる機会なんてもうないだろうし。
•••私もヘルマンが居なかったらヴェル君に抱かれていたかもー。」
マルレーネが冗談を言う。
「確かにウチはヴェル君にはお世話になってる。アマーリエさんには悪い事をしたけれど、クルトの代わりにウチが元々のバウマイスター騎士爵領を引き継いだ。先祖伝来の土地よ。バウマイスター伯爵家の新たなる分家って形だけどね。
ヘルマンは次男で今は最年長だから、他の分家より優遇して爵位を更に上げるなんて話まで出てる。領民にも人気なのよ。『長男のクルトと違って弟に言う事を聞かせられる兄貴だ』って。そしてヴェル君の協力で開発も一気に進んだわ。
近隣には同じバウマイスター家の分家の領地が複数出来て、山脈のこちら側で魔道飛行船の運行も始まった。他の開拓地もこれからどんどん開発されて人も増える。交流も進んでる。それもあってウチを中心に領内が結束できて、もう物凄く雰囲気も良くなった。」
捲し立てると喉が渇いたのだろう、マルレーネは一気にお茶を飲み干した。かつて暮らしていた土地の事をマルレーネが話すのを、アマーリエは複雑な気持ちで聞く。
「でもね、やり方が気に入らなかったのは本当。開拓地の小屋にアマーリエさんを引き込んで、ヴェルが連日訪れてるって聞いた時には本当に腹が立ったの。アマーリエさんは、もっとちゃんとした扱いをされるべきなのにって。」
「ヴェル君と私のこと、そんなに領内で噂になっているんですか?」
「あ、ううん、違うのよ。私はヘルマンから聞いただけ。ヘルマンはパウルから聞いたみたいね。ヘルマンは分家の中で最年長だし、パウルにとって兄貴だからきっと伝えておく必要があると思ったんだろうな。」
パウルは元々この件に関わっていた。この小屋のかつてのみすぼらしさも把握しているはずだ。そこからヴェンデリンの男兄弟にこの話は伝わると考えたはいたが、実際噂になっていたと知るとアマーリエには凄く気恥ずかしい。魔道通信機があると、噂の伝達速度は予想以上に速い。
「やっぱり、男兄弟の間では噂になっているのね。」
「そりゃねー。アマーリエさん若くて綺麗だし、クルトが死んで独り身なんだ。安易に手を出そうなんて考える奴はいないだろうけど、ヴェンデリンの『あてがい女』になって、連日小屋で一緒に寝てるって話が出れば、男共は騒ぐって。」
あっけらかんとマルレーネはいう。
「それでどうなの、ヴェル君との関係。1日何回くらいするの?」
「さ、最近は毎日2回かな。」
「えーいいなー。ヴェル君若いものね。私なんかヘルマンが開拓で疲れてるから、3日に1回がいいところだなー。どう、やっぱりヴェル君のアソコ、具合はいい?」
「はい。いつも、ちゃんとイクまで愛してもらっています。」
「まるで新婚さんみたいね。」
「はい、そうなの。私もまた女として見られて嬉しいなって。」
「クルトって、他所に女作っていたでしょ。それ、アマーリエさんも知っていたよね。」
「はい。」
「だから私もアマーリエさんには同情してたんだ。クルトって子供の頃から本当に小さい男でさ、私大嫌いだった。だからいいんだよ、クルトの事を忘れてアマーリエさんが自由に生きてさ。」
「はい、マルレーネさん。」
「でもね、私エリーゼさんのことも好き。イーナちゃんやルイーゼちゃん、ヴィルマちゃんの事も、ヴェル君は大事にするべきだと思ってる。」
「•••やっぱりそう、ですよね。」
「あ、勘違いしないでね。私ちゃんとアマーリエさんの事を応援しているの。今回だって、別にアマーリエさんがヴェル君を誘惑して始まった事だなんて思ってない。アマーリエさんは巻き込まれた被害者だって思うし、上手くいっているなら幸せになって欲しい。アマーリエさんが幸せになる権利はあると思ってる。
でもね。正妻のエリーゼさんより先にアマーリエさんが妊娠したら、確実に揉めるよ。」
マルレーネの視線が、鋭くアマーリエに突き刺さる。
「先に子供が出来たらアマーリエさんの存在が大きくなりすぎて、エリーゼさんの家の脅威になりすぎちゃう。正室の地位が脅かされる、そしてお家騒動ってやつに繋がる。
正直、単なるお役目の相手にしては、今でもちょっとヤバいくらいヴェル君が入れ込んでるって思った。そしてそんなに頻繁にヴェル君と愛し合っていたら、アマーリエさんがすぐに妊娠しちゃうかもしれない。」
このマルレーネの指摘は最もだった。アマーリエも少し目を背けていたけれど、今1番心配するべきはその点かもしれない。
「はい、私ももしヴェル君の結婚前に私が子供を授かったらどうしようって。年上の私がちゃんとしないといけないのに。」
最後は声が消え入りそうになる。もしそうなったら、2度とヴェルと会えないように2人は引き離されるに決まっている。産んだ子を自分が育てる事も無理になるだろう。悪い想像が膨らむ。
生まれた子はよくて養子に出され、悪くすれば殺される。騎士爵家分与の話も立ち消えになってしまうかもしれない。そうなったらどうしよう、アマーリエは不安に駆られて涙ぐむ。
「男って自分が勝手しておいて責任取る事なんて考えもしないからね。ヴェル君にしたってアマーリエさんに子供ができる可能性なんて考えていないと思う。
でも大丈夫だよ。今日はアマーリエさんを連れて帰れなかったら、これを渡そうと思っていたの。」
優しくそういったマルレーネが、何か袋を取り出す。
「分家の女の煎じ薬よ。聞いた事ない?先代のアルトゥルさんは、領内の女に手を出しまくったって話。」
「薄々、そんなような話は。レイラさんも、お義父様よりはだいぶ年下ですものね。」
「『領内の女達が奔放だったからだー』って女のせいにしてたんだけどね。人妻に手を出しまくってたんだよ、あのおっさん。でも、領主のご落胤がポンポンそこらの人妻から産まれても困るじゃない。領民との関係がおかしくなる。
まぁ、当時から十分おかしかったみたいだけどね。で、領内の良い女はその煎じ薬で自衛したの。それを飲むとかなり妊娠しづらくなるから。」
「まぁ、そんなものが」
「私も効果はよく知ってる。ヘルマンがいたからそんなに使った事がある訳じゃないんだけどね。まぁ、ヘルマンに愛されすぎちゃって、そんなすぐポンポン妊娠しても困るなって時に使うくらいだったけど。」
マルレーネはさりげなく夫婦仲を自慢する。ヘルマンとマルレーネがおしどり夫婦なのは有名だった。もっぱらヘルマンが尻に敷かれているとの評判だったが。そして人が減った当時の分家は何より子供を増やす事に熱心だったとアマーリエも聞いている。
「だからヴェルに意に沿わない相手をさせられて。妊娠までさせられてエリーゼさん達から目の敵にされて。そのままヴェル君に捨てられて、いよいよ身の置き所がなくなるなんて、もしそんな事になったら不幸すぎる。だから、そうならないようにこれを持ってきたんだよ。」
アマーリエの視線が煎じ薬に引き込まれる。欲しい、これは今のアマーリエが切実に必要としているものだ。『あてがい女』の役割には、必須の品ではないだろうか。
「上げるよ。足りなくなる頃にはまた持ってきてあげる。男達には内緒だよ。これは分家の女に伝わる秘薬。女の身を守る物。男達が女に好き勝手して責任を取らないものじゃないから、男達に絶対にその存在を知らせては駄目。
だからこれを使ってアマーリエさんがちゃんと自衛して欲しい。ヴェル君の『あてがい女』でいる間、エリーゼさん達より先に妊娠なんかしたらダメだよ。」
「はい、勿論そうします。マルレーネさん、本当にありがとう。」
アマーリエは今度は感激のあまり目を潤ませる。
「大丈夫、エリーゼさん達も悪い子じゃない。順番さえ守れば、アマーリエさんの居場所くらいあけてくれさ。•••それにね。」
マルレーネはアマーリエに囁く。
「この薬は飲まなくなると反動で物凄く妊娠しやすくなるの。アマーリエさん、これだけヴェル君に愛されているなら、結婚後にも多分関係が続くと思う。いいの、誤魔化さなくたって。私にはちゃんと分かっちゃうんだから。
奥さん達全員に子供が出来て、もう大丈夫だなってなったら、その薬を飲むのをやめるといいよ。
ヴェル君はすっかり油断して、いつもの通り子供が出来るなんて考えもせずにアマーリエさんを抱きに来る日があるはず。そしたら多分1発で妊娠できるからね。そしたらアマーリエさんも奥様って呼ばれる立場になれるよ。」
マルレーネの言葉にすっかり赤面させられて、耳まで赤くなったアマーリエはしばらく顔を上げる事が出来なかった。
マルレーネの話では、今日はパウルの領地にはヘルマンと2人で馬で来たという事だった。ヘルマンはパウルの所に両親の顔を見に行ったらしい。
「街道が整備されたから、だいぶ行き来がしやすくなったね。」
流石に心配だからヘルマンについて来てもらったそうだが、街道が整備されており、馬だとかなり快適に行き来できるようになっているらしかった。
「これからもアマーリエさんの顔を見にくるからね、ここはパウルの領地だけど、今となってはヘルマンの実家でもあるし。クルトがいる時は領主館には近寄りたくもなかったけど、私もヘルマンの嫁としてお義母様には会いにこないと。たまには孫の顔を見せてあげたいし。」
恐らくバウマイスター家の男代表である、アルトゥルの地位はマルレーネの中で著しく低いのだろう。会いに行くべき対象として話題にも上がらなかった。
「じゃ、またね」
「はい、マルレーネさんありがとう。」
お互いの立場を理解して、わだかまりの消えたマルレーネとアマーリエは抱き合う。これからは前よりもっと助けあう、良い関係でいられるだろう。
アマーリエの小屋を去ると、マルレーネはヘルマンとの待ち合わせ場所に向かった。ヘルマンはもう到着してマルレーネを待っていた。
「アマーリエさんは、大丈夫だった」
軽くヘルマンに報告する。2人で1頭の馬に相乗りし、家路を辿る。
「アマーリエさん、ちゃんとヴェル君に大事にされてたよー。小屋の中は立派に改装されていたし、こーんな大きな箪笥にいっぱい綺麗なドレスを買ってもらってた。」
「な、ヴェルはクルト兄さんとは違うから、大丈夫だって言ったろ。」
「うん、そうだった。怒鳴り込むつもりだったけど今日はやめておいた。」
「特殊な状況なのは分かるけど、マルレーネも心配しすぎだったんだよ。」
「そうでもないよー。アマーリエさんは大事に育てられた箱入りのお嬢さんで次期領主の正妻だったんだよ。だからこれまでは知らずに済んだ事を、周りが教えてあげないといけない事もあるの。今日はちゃんとアマーリエさんの悩みを聞いて来たからさ。これからもたまに顔を見に寄るよ。」
「そうか、ここまでは馬で来れるし、俺も母さんの顔を見たいものな。」
「アマーリエさん、1日に2回はヴェル君に愛されてるって言ってた。さて、ウチは何回だったかなー?」
「開拓で疲れてるんだからさ。あんまり虐めないでくれよ。俺もまだまだ頑張るからさ。」
「ちゃんと可愛がってくれないと、私もヴェル君の『あてがい女』に立候補しちゃうぞ。そしたら私も綺麗なドレスを買ってもらって、素敵な小屋に住めるものねー。」
「おいおい、滅多な事を言うもんじゃない。それにヴェルだって子持ちの年増は嫌だろう。」
背中の後ろでケラケラと笑うマルレーネを、ヘルマンがたしなめる。
「残念でしたー。そんな事はないよ、私とアマーリエさんはそんなに歳は変わらないじゃない。2人とも子持ちの年増だよ。」
ヘルマンがムッとする。
「俺だって領主になったんだ、今は魔道飛行船もある。マルレーネを連れて王都にドレスを買いに行くくらいしてやれるさ。だからヴェルと浮気するだなんて冗談でも言うなよな。」
「心配しなくても大丈夫、ヘルマンが生きている限り、私はヘルマンだけのものだよ。だからね。」
マルレーネはヘルマンの背にしがみついて甘える。
「私より先に死んだら駄目だよ。ヘルマンには長生きして私をいっぱい可愛がってもらいたいから。」
「分かってる、マルレーネの事は大事にするさ。」
「このままヘルマンが出世したら、新しい奥さんを貰えって言われるかもしれない。ううん、この先、多分絶対にそういう話が来るよ」
「大丈夫、俺にはマルレーネだけだから。ちゃんと断るよ。」
「偉い人から言われたら断りきれないよ。私ね、今日アマーリエさんと話して分かった。日陰の身はとても辛いんだよ。」
「ああ、そうだよな。」
「ヘルマンが新しい奥さんを貰ったら、それはもう物凄く嫉妬する。ヘルマンには手加減出来ないかもしれない。でも、新しい奥さんにこちらから酷い事はしないよ。だから、どうしようもない時が来たらちゃんとその相手を奥さんにしてあげて。都合の良い関係で終わらせたりしないでね。私は自分がそうなるのも、自分のせいで誰かがそうなるのもいや。だからもしそうなったら、その時は相手をヘルマンの奥さんにしてあげて欲しい。」
「マルレーネは、本当にそれでいいのかよ?」
「良くないよ。でも万が一、そういう時が来たら、それは仕方ないって考えて上げない事もないかな。でも、私の扱いが絶対に1番じゃないと駄目だからね。」
「分かってる、ちゃんとするよ」
「あ!これはもう新しい女を作る気だな。万が一の時って言ったでしょっ!」
「そんな事、考えていないよ。」
「嘘、嘘! アマーリエさんの事でだって絶対ヴェル君の事を羨ましいと思っていた癖に。」
「それはアマーリエさん綺麗だし、確かにヴェルがちょっと羨ましいなと思ったけど。」
「ああっ!?認めたなー?」
行きよりも遥かにゆったりとした速度で、まるで2人きりの時間を楽しむかのように、ヘルマンとマルレーネは2人きりで相乗りした馬を走らせた。
ヴェルからアマーリエに通話が来たのは午後も遅い時間だった。小屋にいたアマーリエはすぐ応答する。もしマルレーネが来ていなかったら、この日はもう小屋を後にしていただろう。
『今から会えますか?、アマーリエ義姉さん』
「大丈夫よ、ヴェル君。私は今、小屋にいるから。」
『良かった、今すぐ向かいますね。』
通話を切って少しして、大きな包みを抱えたヴェルが瞬間移動で小屋に到着した。腕に包みを抱えている。
「ヴェル君、それはなぁに?」
アマーリエは無邪気にヴェルに尋ねた。ニンマリとヴェルがいやらしい笑い方をする。
「プレゼントというか、俺に取ってのプレゼントというか。とにかくアマーリエ義姉さんに着て欲しい衣装を持って来ました!」
「あら、何かしら。だいぶ布が小さくない?」
「これはこういう物なんです。」
『あてがい女』であるアマーリエに拒否する資格はない。汗をかいたヴェルが先に風呂を済ませるというので、ヴェルが風呂を済ませる間にアマーリエが着ておく事になった。
王都に行った際、試着した店でこんな服を作って欲しいと発注をしていたらしい。遂に、今日完成して取りに行ったそうだ。
「(でもこれ、ドレスのお店ではなくて、下着のお店の方で作った衣装よね。)」
完成した姿を鏡で眺めながら、アマーリエは当惑する。いつにも増してヴェルの変態的なところが衣装によく表れている気がする。
「うわぁ、よく似合ってますよ、アマーリエ義姉さん!」
風呂から出たヴェルが歓声を上げる。ヴェルにとって前世からの夢、バニーガールがそこにいた。
「もう、これ恥ずかしいわ、ヴェル君。」
アマーリエは羞恥のあまりモジモジする。肩出しのボディースーツは大きなスリットの入っていて股間に食い込みが入り、足が大きくむき出しになっている。足が隠せないのも恥ずかしいし、股間の食い込みもキツくて恥ずかしい。とにかく落ち着かない。お尻のところにはウサギの尻尾を形どったフワフワの尻尾飾りがついており、蝶ネクタイ付きの付け襟とカフスがそれぞれ独立した衣装として素肌に身につけるようになっている。極めつきは兎の耳を形どった耳飾りで、このヘアバンドの耳の具合を再現するのは大変だったらしい。
「お尻の尻尾と、耳が倒れないように、ピンと留めるのが拘りの点です」
嬉しそうにヴェル君がいう。こんな変態衣装にヴェルは幾らお金を費やしたのだろう。
「これって変態貴族が、愛人に着せて楽しむ衣装じゃないの!?」
アマーリエは思わずこぼす。
「はい、俺という変態貴族が、アマーリエ義姉さんに着せたくて作った衣装ですから。」
嬉々としてヴェルが認める。
「でも私とヴェル君の関係というよりは、中年男が若い女の子に着せて喜ぶ衣装って感じじゃない?」
「俺は貴族の当主ですし、アマーリエ義姉さんはまだ若いですよ。何も問題ありません。むしろ恥ずかしがってるアマーリエ義姉さんが可愛いらしいです。」
「もう。」
アマーリエは身の置き所のない感情にドギマギする。自分は嬉しいのか、それともこれは怒ってい良いのか。ともあれすっかりヴェルのペースに載せられてしまう。アマーリエの剥き出しの太ももも撫ですさりながらヴェルがいう。
「さ、俺はベッドに寝そべってアマーリエ義姉さんをよく眺めますから。横に立ってその姿をよく見せてください。」
「こ、これでいいのかな。」
アマーリエは恥ずかしそうに寝転ぶヴェルの傍に立つ。
「ダメですよ、アマーリエ義姉さん。手で股間を隠しちゃ。手は髪をかき上げたり、頭を洗う時のような感じで頭の横に添えて、そうそう、そうです。」
「こうかしら」
腕を上げると胸が引っ張り上げられて、より主張している気がする。本当にこれが、正しいポーズなのだろうか。
「足は軽く交差させるようにしましょう。その方が足首が綺麗に見えます。少し回転すると、お尻の尻尾が綺麗に見えますね。そうそう、そこです。」
ヴェルはベストポジションを見つけたらしい。股間の男性器をすっかり大きくしている。
「アマーリエ義姉さん、今日はこのまま、服を脱がずにご奉仕してもらえませんか?」
「これで良いのかしら?」
アマーリエはヴェルの上に移動すると、屹立するヴェルの男性器を口に含む。軽いご挨拶のつもりで、舌で舐めているとヴェルが意外な注文をしてくる。
「アマーリエ義姉さん、このまま口の中でイカせてください。」
「(あら、そんなにこの衣装が気に入ったのかしら?)」
アマーリエは頷くと、ヴェルの男性器を口に含んで大きく動かし始める。女性器が男性器を受け入れる時のイメージで、口の窄まりでヴェルを刺激する。そこに舌の動きを加えると、熱いヴェルの男性器が脈動するのを感じた。
「イク、行きます、アマーリエ義姉さん。」
口を離すわけにはいかないので、無言のままヴェルを刺激し続けると、口の中に熱いヴェルの精子が解き放たれるのを感じた。舌先で綺麗にしながら、ヴェルの精子を嚥下する。この方法、アマーリエにとっては手順が少なくお手軽だが、膣内にヴェルを受け入れられずアマーリエには少し物足りない。
「主様、今日も気持ちよかったですか?」
「アマーリエ義姉さん、今日も最高でした。」
ヴェルの返事にアマーリエが頷く。でもアマーリエは心の中で考えていた。
「(この衣装はヴェル君が興奮しすぎちゃって、ダメじゃない。私は恥ずかしいばっかりでちっとも良くなかったわ。)」
アマーリエが立ち上がりかけた所で、ヴェルに腰を掴まれた。
「アマーリエ義姉さん、愛し合うのはこれからです。」
ヴェルはそう宣言すると、アマーリエと体勢を入れ替える。アマーリエはベッドに押し倒された。顔の前には屹立したヴェルの逸物がある。
「(ヴェル君、こないだは男性は連続で出来ないって言ったのに、今日はもうこんなに硬くしてる。)」
アマーリエはヴェルの興奮ぶりに、ついうっとりとしてしまう。
「下げますね。」
ヴェルがボディースーツを下ろして、押さえ込まれていたアマーリエの胸をポロリと露出させる。こぼれた乳房がヴェルの両手で蹂躙され、ヴェルに吸われる。
「い、いや、恥ずかしい。」
「アマーリエ義姉さんは綺麗だから恥ずかしがらなくて大丈夫。俺には全部見せて。」
「う、うん。あ、あ、ヴェル君気持ちいい。」
ボディースーツで胸の動きが妨げられるからだろうか。いつもより胸が前に張り出している気がする。そこをヴェルに狙われ、アマーリエの胸はヴェルに弄ばされる。
「ね、は、早く、早く入れて欲しいな。」
アマーリエは自身が濡れそぼつ事を自覚して、ヴェルに挿入をおねだりする。今日は一度は挿入を諦めていただけに、もう我慢が出来そうにない。ヴェルはアマーリエの股間に手を伸ばすと、隠しポケットを探り当てた。止金を外し、布を開く。この衣装は女性が装着したまま挿入可能なようにデザインされていた。
「アマーリエ義姉さん、このままここから挿入しますね。」
「え、え、ええ!?」
そんな所から股間を晒されると思っていなかったアマーリエは狼狽する。ヴェルの指がアマーリエの女性器の具合を素早く確認する。その後、ヴェルが男性器を押し当てて、アマーリエの膣内に挿入を果たすまでは一瞬だった。
「え、え。あ、あん、気持ちいいっ。」
アマーリエの膣内がヴェルの逸物を温かく迎えていれる。服を身につけたままの交わりに、アマーリエは混乱する。でも膣内に挿入されたヴェルの男性器の感触はいつものままで心地いい。
戸惑いながらもアマーリエは巧みにヴェルの腰の動きに応じた。ヴェルはアマーリエの膣内を堪能する。いつものように狭く熱く絡みつかれる感覚。アマーリエの衣装までデザインした事で、全てがヴェルの為に用意された、ヴェル専用になった満足を感じる。
「アマーリエ義姉さんは、俺のものだから。」
「うん、うん。分かってる、あ、あん。私はヴェル君の物。ヴェル君の『あてがい女』です。」
喘ぎ声を交えながらアマーリエは返答する。ヴェルがこんなに執着と所有欲を見せるのは初めてかもしれない。アマーリエは戸惑いと嬉しさを隠せない。そんなアマーリエの反応を満足げに確かめながらヴェルは腰の動きを早めた。
「いくね、アマーリエ義姉さん、今日もいっぱい出すよ。だってアマーリエ義姉さんは俺の物だもの。」
「うん、うん、ヴェル君、そうよ。ヴェル君の為に私がいるの。だから来てね。いっぱいして。」
「うん、いく、いくよ」
「ああ」
アマーリエの膣内に熱いヴェルの精子が放たれる。ガクガクと興奮に身体を震わせながら、アマーリエは巧みな腰の動きで、ヴェルの放つ精子を残らず吸い尽くそうと足掻いた。力を使い果たしたヴェルが、アマーリエの胸に倒され込む。息を荒くしながら、今日も2人は抱き合い、ゆっくりとキスを交わした。
「(もうヴェル君たら激しすぎるわ、私はそのうち壊れてしまうんじゃないかしら)」
アマーリエはヴェルと抱き合うと、ゆっくりと目を閉じた。