だいぶ前に書き上がってはいた作品。
色々間に合わなかったので、公開です。
正体不明の少年に捕まってしまったヒーローの少女は、徹底的な快楽責めに敗北してしまうの続編。
今回は耳郎ちゃんです。
では、どうぞ。
電車。
新聞をめくる者、イヤホンで音楽に浸る者、眠気と戦う学生、疲れたサラリーマン。
さまざまな人間が同じ空間に押し込められ、それぞれの時間を過ごしている。
その人混みの中に、一人だけ群れに紛れるように佇む影がある。
その影は帽子を深く被り、肩をすぼめるようにして、変装で正体を隠しながら、周囲に意識を巡らせていた。
(……う〜ん、聞こえないなぁ)
変装をしている少女の名は耳郎響香。
またの名をヒアヒーロー、イヤホン=ジャック。
雄英高校ヒーロー科に所属する彼女は今、個性、イヤホンジャックを使って、密かに車内の音を探っていた。
(今日も、外れかなぁ……)
響香が追っているのは、この路線に度々出没すると噂される集団痴漢だった。
本来ならば、この種の捜査は警察の管轄であり、ヒーローが立ち入ることはない。
だが今回のケースは違う。
現れることは分かっているのに、誰一人としてその姿を見た者がいない。
そんな証言ばかりが並んでいたのだ。
常識では考えられない異常な状況。
そこに個性が絡んでいるのは、ほぼ確実だった。
だからこそ、索敵に長けた響香に特例として協力要請が下された。
頼れるのは、彼女の耳。
現場はそう判断したのである。
(これで探し始めて3日……手がかりの一つも掴めやしない)
小さくため息が漏れ、無意識に肩も落ちる。
集団痴漢。
それは、同じ女として絶対に許せない悪。
だからこそ、彼女はこの捜査を引き受けたのだ。
だが三日経っても成果はゼロ。
ただ電車に乗り込み、耳を澄ませ、異常の兆しを探すだけの繰り返し。
使命感に燃えていたはずの響香も、さすがに焦りと苛立ちを覚え始めていた。
(う〜ん捜査がバレてる……? それか耳でも拾えない……とか……っ!?)
いくつもの可能性が頭をよぎる。
だが一つずつ冷静に考えようとしても、個性の幅はあまりに広すぎた。
警察は視覚で捉えられない敵と判断し、響香に協力を依頼したが、その前提すら誤りかもしれない。
もし音さえ遮られているのなら。そう思った瞬間だった。
響香の耳が、不意に一つの音を捉えた。
(短い息切れの音。さっきの駅で飛び込んだにしては……おかしい)
それは断続的に繰り返される呼吸音だった。
一見すれば、どこにでもあるありふれた音。
だが今のタイミングでは不自然だ。
列車が駅を出てから、すでに二分以上が経っている。
それなのに、ようやく今になって呼吸が耳に届いた。
つまり、この間ずっと聞こえていなかったということ。明らかに異常だった。
ともなれば、理由は、二つ。
(音が隠されてたか、今息切れする理由があるかだけ……!)
人の隙間を縫うように、響香は音の方角へと歩を進める。
三日間、何も掴めなかった自分にとって、やっと巡ってきた可能性だ。
ヒーローとしても、絶対に見逃すわけにはいかない。
けれど、その焦りが仇となるとは響香自身すら予想しなかった。
「なっ……!?」
調査中は声を出さないよう意識していた響香だったが、思わず口から漏れてしまう。
そんなことすら忘れてしまう光景が、彼女の前に広がっていたのだ。
「あっ♡あぁんっ♡だめぇ……♡こんな、とこで……♡♡」
そこに居たのは、下乳が大胆にも見えてしまっているコスチュームをさらに捲くられ、青みがかった巨乳を丸出しにされた女。
その胸を遠慮なく揉みしだき、レオタードのようなコスチュームの股間にまで指を這わせる男たち。
まさに、集団痴漢の現場だ。
だが、響香の息を詰まらせた理由は、それだけではなかった。
(バブルガール!?)
「あっ♡んんっ♡だれかに、みられちゃ……ああんっ♡」
痴漢されていたのは、センチピーダーの事務所に所属する、元ナイトアイ事務所のサイドキック――バブルガールだった。
まだ自身の事務所を持たないため知名度こそ高くないが、ヒーロー科に在籍する響香が見間違えるはずがない。
こんな所で痴漢に好き放題されているような女ではなかった。
「そこっ……♡あんっ♡あっ♡あっ♡あっ♡あっ♡」
「ってそんな場合じゃない……!」
痴漢行為がエスカレートするたびに、バブルガールの吐息はますます荒くなっていく。
その異常な光景に思考が止まりかけた響香だったが、ぐっと歯を食いしばった。
――今はヒーローとして。
迷いを振り切り、彼女は隠し持っていた音響増加装置にジャックを差し込み、一気に出力を上げる。
このまま痴漢たちを、まとめて吹き飛ばす……はずだった。
「え……!?」
だが、それは叶わない。
爆音の衝撃波の指向性を操作し、増幅する装置から衝撃波が出ていなかった。
それだけではない。
(音が……っ!)
さっきまで個性で騒がしく聞こえていた車内の音が、スッと遠ざかっていく。
それはまるで個性が使えない異界に足を踏み入れてしまったような感覚。
響香はその異常に気づき、一度距離を取ろうとする。
けれど、もう遅かった。
「おっと、これ以上先は通せないぜ?」
「ちょ……離せ! うわっ!?」
いつの間にか背後に立っていたサラリーマン風の男がふいに振り向き、響香の進路を塞いでくる。
そのまま伸びてきた手が彼女の腕をつかみ、力強くバブルガールから引き離す。
「へへへ……」
「ひひひ……」
(う、嘘でしょ……!?)
引っ張られてたどり着いた先は、バブルガールからそう遠くない。
けれど、そこは、最悪の場所だった。
男。男。男。
まるでこの一角だけが、朝の通勤ラッシュを切り取ったかのように、人でぎっしりと埋め尽くされている。
しかも、その人が全員男なのだから、響香が身震いするのも、当然だった。
「ウ、ウチに手ぇ出したら許さ……きゃあ!?」
まさかとは思いつつも、ヒーローとしての矜持だけは貫こうとする響香。
けれど、その強がりは一瞬で打ち砕かれた。
「はいはい。そういうの良いから」
「邪魔なものはとっちゃおうねぇ」
「や、やめ……ああっ!」
ひょいと小柄な体を持ち上げられた響香は、成す術もなく男たちの手に弄ばれる。
衣服は次々と剥ぎ取られ、音響装置ごと奪われていく。まるで山賊に囲まれた獲物のように。
今回は目立たぬようヒーローコスチュームではなく私服を選んだ、判断が仇となった。
頼りない布切れなど、今の彼女を守れるはずもなかった。
「貧相な嬢ちゃんだなぁ?」
「俺は好きだぜ? こういうのがいいんだよ」
「っ……あんたら……!」
響香は年齢に反してわりと小柄で、非常に発育が悪い。
それがコンプレックスになってる響香。
ほとんど裸同然の姿を晒しながらそんなことを言われると羞恥心が一気に押し寄せてきてしまう。
「そんな怖い顔しねぇで……楽しもうぜ? どうせ……ひとときの夢だからな」
「ひととき……? なに、いって……ひゃ!?♡」
意味のわからない言葉に響香は困惑する。
だがその意味を問いただす間もなく、ビリッ♡とした異様な感覚が身体を駆け抜けた。
「ほら、やっぱり触ったら柔らかいじゃねぇか!」
「本当だな。不思議な感触だ」
「こ、こら……ウチの胸に、触る……な……んんっ♡」
腕を押さえつけていた男の数人が、響香のほとんど膨らみのない胸に手を伸ばし、撫でるように弄び始める。
確かに胸の膨らみは心許ない。だが、男にはない柔らかさがそこにはあった。
そのわずかな弾力が男たちの興奮をかき立てる。
何度も撫でられ、揉まれるうちに、響香の胸に妙な痺れが走り、身体の奥に得体の知れない感覚が芽生えていく。
嫌悪と戸惑いが入り混じり、思わず吐息が震えた。
(な、なんで胸だけでこんなに……)
響香にも、自分で慰めた経験くらいはある。
けれど、それよりもずっと、撫でられているだけの胸のほうが気持ち良いなんて、ありえない。
否定しようとする意識とは裏腹に、響香の身体は、次第に抗えない流れへと呑まれていく。
「おっ、嬢ちゃん。もう乳首がピンッと勃ってきたぞ?」
「ちが……これは……んんっ♡」
「お〜いいねいいねぇ……その顔、そそるわ〜」
「くっ……んんんぅ……♡♡♡」
男たちが囃し立てる中、ついに響香の口から、堪えきれない甘い声がこぼれ始める。
だが、彼らの指先はあえて乳首には触れず、薄い乳肉だけをフニュフニュ♡と柔らかく、じっくり揉みしだく。
くすぐるような、濡れた泥がじわじわ染み込んでくるようなヌルい刺激が胸の奥。
いや、もっと深く、響香の感覚そのものに絡みついてくる。
それは、響香の身体を着実に蝕んでいた。
「そろそろ……そら」
「んんぅぅ……♡あひぃぃんっ!?♡♡♡」
そうして、じわじわと貯め込まれてきた熱が、一気に爆ぜた。
痴漢たちの指先が、不意に、まるで触れてほしいと訴えていたかのように充血して尖りきった乳首を、キュッ♡と摘まんだのだ。
その瞬間、全身を貫く最大級の刺激。
響香の身体はビクビクゥ♡と跳ねるように痙攣し、甘く砕けた声が喉の奥からこぼれ落ちた。
(う、うそ……♡ウチ、今……♡)
「ひひひ、今イッちまったな? 乳首でイクなんて、いやらしい嬢ちゃんだ」
「〜〜〜〜〜〜〜〜っ!?♡♡」
響香は、恥ずかしさに喉を詰まらせ、悲鳴すら声にならない。
せめてもの抵抗とばかりに顔を俯けるが、頬は熱く紅潮し、耳の先まで真っ赤だ。
まさか、自分が胸だけで絶頂させられるなんて、そんな現実、受け入れられるはずがなかった。
「見ろよ。下も、もうびしょびしょに濡れてやがるぜ」
「ほんとだな。淫乱なお嬢ちゃんだぜ」
「っ……や、やめろぉ……♡♡」
その声が届く暇もなく、次の責めが響香を襲った。
男たちは抱え上げていた彼女の両脚を掴むと、左右に大きく、わざと見せつけるように開いていく。
隠す術もないまま脚が開かれ、秘部からとろりと垂れるはしたない蜜が、ぬらりと光って晒されてしまう。
響香は羞恥に顔を赤く染め、必死に脚を閉じようとするが、がっちりと固定された太腿はびくとも動かない。
「こんな美味そうなまんこだ。ちょっと味見させてもらおうかね」
「ちょっ……馬鹿、やめ、ひゃあああん!?♡♡♡♡」
大股を開かされたままの響香の目の前に陣取った男は、ためらいもなく濡れそぼった膣口へ顔を寄せ、べろりと舐め上げた。
ぴちゃぴちゃと生々しい水音が響き、指先では触れていなかった小さな粒、クリトリスを、舌先で弾くように撫で回される。
瞬間、響香の腰ががくんと跳ね、脳天を貫くほどの快感が一気に突き上げた。
舌が触れるたびに痺れる刺激が全身を駆け巡り、膣口からはとろりと蜜が溢れ出す。
目を見開いたまま、理性も羞恥も押し流され、響香は快楽に引き裂かれるような悲鳴を上げた。
「ひっ!?♡♡ ひゃあああああ!?♡♡♡」
今までの人生で、一度も味わったことのない快感。
自慰では到底たどり着けなかった、未知の領域。
それを、逃げ場も与えられないまま、奥深くまで容赦なく貪られている。
圧倒的すぎる刺激が、思考より先に身体を捕らえ、響香の内側を一気に塗り潰す。
抵抗しようと力を込めるほど、快感だけが鮮明になり、身体はあっという間に呑み込まれていく。
「らめぇぇえええっ!!♡♡♡」
ピシャ♡ピシャアアア♡♡と、膣内の奥から突き上げるように潮が噴き上がる。
反射的に跳ねた腰と同時に、びくんっ♡と全身が痙攣し、理性がぶつりと切断される。
それは止めようもないほど強烈で、制御も拒絶も一切許されない。
何が起きたのかを理解する前に、響香の頭は真っ白に染め上げられ、舌をだらしなく突き出したまま、意味を失った喘ぎを零すことしかできなかった。
「お〜お〜潮吹きか。すげぇイキっぷりだな」
「本当にスケベなお嬢ちゃんだな」
「あぅ……♡うぅ……♡」
膣奥から吹き上がった絶頂の余韻が、まだ引く気配もなく響香の身体を内側から揺さぶり続けている。
ぴくり、ぴくりと小さく震える腰とは裏腹に、響香の意識は現実に追いつけず、虚ろな瞳が宙を彷徨うだけだった。
思考は霞み、言葉は形にならず、それでも快感の残滓だけが皮膚の裏から神経の奥までべったりと貼り付いて離れない。
個性は封じられ、力では抗えず、そして快感すらも自分の意思では止められない。
その感覚が、ヒーローとしての自尊心と、女としての矜持を、同時に深く抉っていた。
(まるで……悪夢、みたいだ……)
「そうだよ?」
「ぇ……?」
心の奥で呟いたはずの言葉に、即座に返事が重なった。
はっきりと耳に届いたのは、少し高めで、どこか無邪気さを帯びた若い声。
思考と現実の境目が曖昧になり、響香は反射的に身を強張らせる。
慌てて視線を巡らせるが、周囲にいるのは中年に近い男たちばかり。
その声の主らしき存在は、どこにも見当たらなかった。
(なに、なんなの……!?)
「あはっ、そんなぼんやりしてて、いいのかな? もう、入っちゃいそうだよ?」
「なっ……!?」
頭の中に直接響くような、その声。
誰のものかも、どこから聞こえたのかもわからない。
正体の知れない存在への不安が一気に膨れ上がるが、
その恐怖を整理する暇すら与えられず、現実は容赦なく動き出していた。
「んじゃ、一番乗り、いただかせてもらうぜ」
「え、あ、待っ……!?」
気づいた時には、一人の男が彼女の脚の間に割り込むように立ち上がっていた。
視界に映ったのは、濡れきった秘所へと押し当てられる肉棒の感触。
理解が追いつくより早く、身体が反射的に強張る。
必死に腰を捻り、逃れようと身をよじるが、
濡れて力の入らない身体は、わずかに抵抗の意思を示すだけで、もう、遅かった。
「あひっ!?♡ あーーーーーーーっ!?♡♡♡」
ズブブッ♡♡と下品な音を立て、怒張した肉棒が容赦なく響香の小さな膣内へと押し入ってくる。
散々に嬲られ、ぐちゅぐちゅに濡れきっていたとはいえ、そこはまだ咥え込むにはあまりにも狭く、きつい。
肉の壁が裂けるかのような侵入感。
敏感になりきった膣奥が、ぎゅうぎゅうと押し広げられる刺激に過剰に反応し、喉の奥が勝手に震え、息を吐くより早く悲鳴が溢れ出る。
けれど、男は止まらない。
「おいおいどうしたぁ? 入れただけで軽くイっちまったか?」
「まっ、まってぇ……♡動かない、れぇっ!♡♡」
あまりにも強烈な挿入感に、意識の方が完全に置き去りにされていく。
動かれているわけでもないのに、膣内の感覚だけが異様なほど鮮明で、ぎちぎちに塞がれた内側の圧が、じわじわと脳まで押し上がってくる。
視界が白く滲み、思考が追いつかない中で、響香は必死に声を絞り出す。
ただでさえ、これが初めてなのだ。
そんな身体に、容赦なく捻じ込まれた異様な太さの肉棒。
動かれなくても、きつさと密着感だけで感覚は限界に近く、思考も身体も噛み合わないまま、響香はただ一つの願いだけを口にしていた。
「悪いな。そいつは聞いてやれねぇ。それに全く痛くはないだろ!」
「やっ、やらぁぁああっ!♡♡ うごいちゃ、動かさないれぇぇえっ!♡♡」
だが、響香の懇願など意に介さず、男は欲望のまま腰を動かし始めた。
がっしりと腰を支えたまま、下から突き上げるように、重たい衝撃が打ち込まれる。
抱き上げられた身体が、突き上げに合わせて大きく跳ね、
無防備な膣奥が、逃げ場のないまま肉棒を丸ごと受け止めてしまう。
狭い内壁がぎちぎちに擦られ、奥まで叩き込まれるたび、腹の底がびくんっ♡と痙攣する。
衝撃に合わせて頭の中がかき乱され、意識がぐらりと揺れる。
それでも、そこに痛みは一切ない。
あるのは、きつく締め上げられた内側を突き崩される感覚と、
灼けるような快感だけが、突き上げと同時に全身へと走り抜けていく感触だった。
「なん、でっ♡こんなっ♡ウチ、初め、てのハズ、なの、にぃっ!♡♡ あっ♡あぁっ♡ふぁああっ!♡♡」
「……本当にそうか? ヒヒヒ!」
「なに、言って……んおぉぉおお!?♡♡♡」
一瞬だけ、男の言葉に妙な引っかかりを覚える。
初めてのはずなのに、身体がここまで激しく反応していることへの違和感。
まるで何か大切な前提を、うっかり見落としているような感覚だった。
だが、その疑問が形になるより早く、腰の動きが一段強まる。
突き上げられる衝撃と快感に、思考は簡単に押し流され、響香の意識は、再び快楽の波の中へと沈められていった。
「だめっ♡だめだめだめだめっ!♡♡ こんなのむりっ!♡♡ むりだからぁっ!♡♡」
パンッ♡パンッ♡と乾いた打音を立てながら、肉棒が大きなストロークで膣内を何度も擦り上げる。
強く突き上げられるたび、焼けつくような熱と鋭い快感が脊髄を一気に駆け上がり、響香の思考を沸騰させていく。
身体の奥を掻き回される感覚に、息は乱れ、視界が揺れる。
必死に拒絶の言葉を吐き出しているはずなのに、気づけば、響香の両腕は男の身体にぎゅっと縋りついていた。
「おーおー抱きついて甘えちゃって可愛いなぁ。オジサンともっと仲良くなろうぜ」
「ふざけっ……だれが、あんたなんかとぉっ……♡♡」
反射的に声を荒げて拒絶しようとしたが、その言葉は途中で力を失い、空中に溶けるように消えていった。
気持ちは拒んでいるはずなのに、言葉が最後までついてこない。
(違う……♡違うのに……♡)
ぐっと抱き寄せられた瞬間、肌に伝わる温もりに包まれ、思ったほどの嫌悪は浮かばなかった。
胸の奥に、理由の分からない落ち着きが、じんわりと広がっていく。
服は剥ぎ取られ、守るものなど何ひとつ残っていない。
それでも密着したまま犯され続ける身体は、逃げるより先に熱を帯び、抗いがたい火照りに染まっていった。
まるで、この男に抱かれていること自体が、当たり前であるかのように。
恋しているようだとすら感じてしまう、その錯覚が、何よりも恐ろしい。
そんなはずはない。
あってはならない。
それでも、身体がそう感じてしまっている事実を、もう響香は、完全には否定しきれなくなっていた。
(絶対になりかされてる……! 有り得ない有り得ない有り得ない!)
頭の奥で理性の声が鳴り続け、必死に否定を繰り返す。
響香は何度も首を振り、自分の感覚ごと振り払おうとした。
けれど、その動作さえ次第に鈍くなり、思考は薄く霞んでいく。
火照りきった身体だけが、取り残されるように昂ぶりを増し続けていた。
犯されているはずなのに、抱かれているような錯覚。
拒むより先に、腕も脚も自然な位置へ収まり、密着を受け入れてしまう。
まるで、幾度もこの男に抱かれてきたかのように。
初めてのはずの身体が、説明のつかないほど素直に馴染み、委ねてしまえば楽になると、どこかで理解してしまっている。
そんなはずはないと、理性でははっきり分かっている。
それでも、身体が、そう感じてしまっている事実だけは、もう否定できなかった。
「さぁそろそろ響香ちゃんの弱いとこ、ド突き回してあげるよ!」
「っ……!?」
これまでよりもやさしく抱き締められ、熱を帯びた吐息が耳元に這う。
囁くように落とされたその言葉が、脳裏に触れた瞬間だった。
ぞくり、と背筋を悪寒が走る。
まるで背骨を氷柱で貫かれたかのような感覚に、響香の身体がびくりと震えた。
「待って、名前、なんでっ」
「クスクスクス、なんででしょう? まぁ、そんなことどうでもいいだろう?」
「ひっ……!? や、やめ……んおぉおぉぉぉおおお!?♡♡♡」
疑問の声を上げかけた、その直後だった。
答えを待つ間すら与えられず、静止の声も聞かれないまま、ズドンッ♡と体重ごと肉棒が叩き込まれる。
その瞬間、響香の全神経が一斉に跳ね上がった。
ビリビリと焼き付くような衝撃が内側を駆け抜け、視界が一気に白く弾け飛ぶ。
まるで雷に撃ち抜かれたかのような閃光の直後、
身体の奥底から、抑えきれない快感の奔流が逆巻くように噴き上がった。
あまりの刺激に、息をすることすら忘れ、
一瞬、意識が遠のくほどだった。
「かっ……ひぃぃぃいぃぃ……!?♡♡♡」
何が起きたのか、理解できなかった。
ただ、全身を一気に貫いたのは、電撃のように鋭く、焼きつくほど強烈な快感。
息が詰まり、脳は完全に置き去りにされ、
感覚だけが、時間差で何度も跳ね返ってくる。
思考は真っ白に塗り潰され、
意味を持つ言葉も、拒む意志も、形になる前に消えていく。
残っているのは、震え続ける身体と、勝手に跳ね上がる神経の反応だけだった。
それが、あり得ないほど短い間隔で、何度も、何度も、絶頂へと叩き落とされている状態なのだと。
響香自身は、まだ気づけていない。
「まだまだこんなものじゃないよ。ほら、続きを始めようか」
「ほへ、あへぇええぇぇっ!?♡♡♡」
無慈悲な宣言と同時に、肉棒が再び躊躇なく突き動き始める。
止まる間も与えられず、ピストン運動が容赦なく続き、響香自身も知らなかった最奥の感覚を、執拗なストロークで叩き続けていく。
身体はがくがくと震え、支えを失ったまま揺さぶられる。
身体はガクガクと震え、絶頂直後で過敏になった内側が刺激を受けるたび、快感は限界を超え、もはや思考で受け止められるものではなくなっていった。
逃げられない。止まらない。抗えない。
響香は、ただその場で悶え狂いながら、なすすべもなく絶頂を繰り返していた。
「んほぉおおぉぉおお!?♡♡♡ こんにゃの、しらなっ、おくぅっ!♡♡ ああぁぁあああぁあ!♡♡」
「ほら、ここが響香ちゃんのイイところだろ? ここをたくさん擦ってあげるからねっ」
「んひぃぃいいいっ!♡♡♡ やらぁっ!♡♡ おぐっ、イギじぬぅううぅぅぅっ!!♡♡」
子宮の奥を抉るような一突きごとに、全身が跳ね上がり、声にならない叫びが、喉の奥から勝手に漏れ出す。
何が現実で、何が幻想なのか。その区別すら、もうつかない。
膣の奥、一番イイところを暴かれ、的確に、何度も何度も擦られるたび、思考の輪郭がぼやけていく。
快感がすべてを覆い尽くし、抵抗も羞恥も、もはや意味を成さない。
残っていた理性のかけらは、熱の中で静かに溶け崩れ、
響香の中に残された行動は、ただ一つだけだった。
ひたすら、イキ続けること。
それしか、なかった。
「あ゛ー♡♡あ゛ー♡♡」
「あははは! また漏らしちゃってる。本当に響香ちゃんは敏感だなぁ」
その悪夢の、外。
犯され続けていたはずの響香は、電車のボックス席で、だらしなく股を開いたまま座り込んでいた。
下着越しの秘所からは、びちゃびちゃ♡と淫らな水音を立てながら、愛液が止めどなく溢れ出ている。
口は半開きのまま、焦点の合わない瞳が虚空を映す。
言葉はもはや意味を成さず、ただ快楽の名残を垂れ流すその姿に、ヒーローとしての面影は、どこにも残っていなかった。
そして、そんな彼女の隣で、楽しげに笑っているのは、あの淫魔、アクラだった。
「暇つぶしに始めた悪夢の痴漢電車だったけど、まさか響香ちゃんが引っ掛かるとはねー。毎日可愛がってあげたから、イキまくっちゃって……可愛いなぁ」
そう、この路線にたびたび現れると噂されていた、集団痴漢の正体。
それは、アクラが電車内で作り出した、女を淫らに堕とすための悪夢そのものだった。
当然だが、いくら探しても見つかるはずがない。
最初から、痴漢という存在など、現実には存在していないのだから。
被害者も、証拠も、目撃者も、すべてが、現実には一つも残らない。
残るのは、ただ一つ。
魂と身体の奥深くに刻み込まれた、消えない快楽だけだった。
「あ゛お゛……♡♡♡」
「あ、また夢の中の俺に中出しされて、イッちゃってる。三日間も可愛がってあげると、敏感だなぁ……子宮も本当に敏感になったみたいだしね」
力なく痙攣しながら、びちゃびちゃ♡と愛液を吹き出す響香の身体。
その理由を、悪夢の本体であるアクラは、すべて正確に把握していた。
響香が捜査していたと思い込んでいる、この三日間。
実際にはその間ずっと、彼女は夢の中で、何度も、何十回も、
アクラに犯され続けていたのだ。
もはや響香の身体は、アクラの与える快楽に、逆らう術など持っていなかった。
「ふぁ……♡あ゛っ♡あっ♡あっ♡あっ♡あ゛ぁぁぁあ……♡♡」
「そろそろネタバラシしようかなぁ……痴漢を捕まえに来たのに、実はたっぷり調教されてたって分かったら、どんな顔するかな?」
現実の車内で、アクラは響香の耳元に顔を寄せ、舌を這わせるように、ねっとりと囁いた。
舌のぬめりと熱が耳から脳へと染み込み、思考を内側から溶かしていく。
さらに、服の上からでもはっきり分かるほど尖りきった乳首を、指先でそっとなぞると、たったそれだけの刺激に、響香の身体は過剰に反応し、またひとつ、甘い絶頂を迎えてしまっていた。
夢の中でも、現実でも。
今の響香にとって、快楽だけが唯一の現実になり果てている。
「……良し、こうしてみよっと」
そして、悪辣な淫魔は、嗤った。
***
「ハァ……ハァ……ハァ……」
ヒーローが存在するこの社会にも、性欲は確かに存在する。
それを満たすための場所もまた、例外ではない。
とある街にあるラブホテル、その一室の扉の前に、ひとりの怪しげな人物が立っていた。
「ハァ……ハァ……ハァ……」
真冬でもないのに、身体を覆うロングコート。
帽子を目深に被り、マスクにサングラス。
顔の大半は隠され、性別すら判別できない。
それでも、荒く漏れる息づかいだけが、やけに生々しく耳に残る。
手にはカードキー。
扉のセンサーへかざされる直前で、その動きは、ぴたりと止まっていた。
「ッ……!」
意を決したように、不審者はカードキーをかざした。
ピッ、という乾いた電子音。
次の瞬間、扉はゆっくりと、まるで中へ誘い込むかのように開いていく。
その奥で、奴が、待っていた。
「いらっしゃ〜い」
室内は、妙に明るかった。
空間全体が照明に照らされ、白く浮かび上がっているように見える。
その中心には、舞台の主役のようにベッドが置かれ、シーツの上に腰かけたアクラが、ゆったりと手を振っていた。
まるで、不審者がこの扉を開くことすら、最初から織り込み済みだったかのように。
その笑みは、心底うざったいほどに楽しげだった。
「暑そうだねぇ? 脱げば?」
「ッ……!」
ニヤニヤと笑うアクラの言葉に、不審者の気配が一変した。
それは怒り。静かな、しかし確実に燃え上がる激情の気配だった。
マスク。サングラス。帽子。
それらは順に、床へ叩きつけられるように脱ぎ捨てられる。
ためらいもなく、怒りそのものをぶつけるような乱暴な動作。
隠されていた素顔が、徐々に露わになっていく。
ロングコートだけを残し、彼女はアクラを睨みつける。
「アンタのせいだろうが……!」
不審者の正体。
それは、響香であった。
「えー? 俺はロングコートで来いとは言ってないよ?」
「っ〜〜〜〜!」
悪びれもせずニヤつくアクラに、響香の顔が怒りで染まる。
けれど、それだけじゃない。
その表情に混じる、ほんの僅かな熱。
アクラには、それが何か分かっていた。
電車内に残した、痴漢の正体が知りたければ、このホテルに来いという紙に彼女が従った時点で、すでに答えは出ていたのだから。
「ほら、早くそれも脱ぎなよ。それとも思い出させてあげた夢の中みたいに、強引に脱がされたいの?」
「なっ……!?」
まるで玉座のように照らされたベッドの上で、アクラは余裕たっぷりの笑みを浮かべていた。
命令とも、挑発ともつかない一言。
だが、その軽い口調の奥には、疑いようのない支配の意志が滲んでいる。
そして、それこそが、二人の関係を何より雄弁に物語っていた。
その証拠に、響香は絶句しながらも個性で痴漢の正体であるアクラを攻撃しようとはしていなかったのだから。
「……ぬ、脱げるわけ」
「脱げ」
「っ!?」
わずかに抵抗を滲ませた響香の声は、その一言でかき消された。
低く、短く、そして絶対的な命令。
そこには拒否という選択肢が、最初から存在していない。
震える指先で、響香はゆっくりとロングコートの前に手を掛ける。
呼吸が浅くなり、喉が小さく鳴った。
「っ……ぅ……」
躊躇しながらも、彼女の手は止まらない。
ゆっくりと、逃げ場を失うように、ロングコートの前が開かれていく。
なぜ彼女が、ここまで必死にそれを脱ごうとしなかったのか。
その理由が暴かれた。
「よしよし、その格好でちゃんと来たね」
「っ……♡」
下着すら身につけず、ロングコート一枚だけを羽織った、完全な全裸。
空気に晒された控えめな胸が、わずかに震え、ピンと立った乳首が、羞恥の証のように突き出している。
華奢なウエスト、細くしなやかな腰つき。
そして両脚の間にある秘所までもが、何ひとつ遮られることなく、無防備にさらけ出されていた。
俯いた顔は真っ赤に染まり、震える肩と足元が、
この状況がどれほど恥辱に満ちたものかを、雄弁に物語っている。
そう。
アクラが電車に残した、あの一枚の紙。
そこに書かれていたのは、ただホテルに来い、という指示だけではなかった。
全裸で来い。
そう、はっきりと書かれていたのだ。
「ハハッ、そんな恥ずかしい格好、よく出来たね。もしかして、そういう趣味?」
「ち、ちがっ……これはっ……♡」
「はいはい。わかってるよ。俺の出した条件に従っただけ……理由は、どうあれね」
あえてもう一度、からかうように問いを重ねるアクラ。
響香は言い返せず、頬を赤く染めたまま視線を逸らすしかなかった。
本来なら、こんな条件に従う理由など、どこにもない。
痴漢の正体を突き止めたいだけなら、仲間のヒーローに協力を仰ぎ、このラブホテルを制圧すれば、それで済む話だったはずだ。
だが、響香はそれを選ばなかった。
誰にも知らせず、助けも呼ばず、ただ一人で、ここまで来てしまった。
「ほら、おねだりの仕方は覚えてるだろう?」
「ッ……♡」
なぜなら正確に言えば、響香はここに、アクラを捕まえに来たわけではない。
「は、い……♡」
震える指先で、最後に残っていたロングコートを、そっと脱ぎ捨てる。
露わになった肌が室内の光を浴び、白く浮かび上がった。
羞恥と、否定しきれない悦びが入り混じった表情のまま、
彼女はゆっくりと、アクラのもとへ歩み寄っていく。
視線は伏せられ、けれど足取りだけは迷わない。
ただひたすらに、望むものを得るために。
彼女は、自分からおねだりを始めていた。
「ア、アクラさま……♡ウチを、貧相な身体の癖に、敏感でいやらしいウチの身体を、いっぱい、いっぱい犯してください♡ウチ、もう、アクラさまがいないとダメなんです♡」
一切のためらいも見せず、響香はガバッとガニ股に脚を開く。
そのまま腰を深く落とし、前後に動かしながら、秘所を強調するように突き出してみせる。
だらしなく開いた口元からは涎が垂れ、潤んだ瞳は焦点を失ったまま虚ろに見開かれていた。
これこそがアクラに教え込まれた、おねだりの作法。
夢の中で三日間、繰り返し叩き込まれた調教を思い出させられてしまった響香は、完全に堕ちてしまっていたのだ。
「良く出来ました。じゃあ響香ちゃん、いや響香の処女穴、捧げてもらおうか」
「は、はいぃ♡ありがとうございますぅぅぅっ!♡♡♡」
おねだりを受け入れられた響香は、歓喜の笑みを浮かべて自らアクラに飛びついた。
その姿はまるで、飼い主に甘える愛玩動物のよう。
もはや、自らをヒロインではなくヒーローと言い切って胸を張っていたあの少女の影はない。
今ここにいるのは、淫魔に飼い慣らされた一匹のメス。
主に愛されることだけを願い、尻尾を振るようにすり寄る従順なペットだった。
「んあぁあああああああッ!♡♡♡ ふっといちんぽ、はいってきたぁぁぁぁ!♡♡♡ しゅじょまんこぎもぢいいいぃぃぃぃ!!♡♡♡」
「ふふふ、また一匹、ゲット……ってね」
悪夢に支配されたわけでもなく、現実の中で、自ら大切なものを差し出してしまう。
そんなふうに、また一人、ヒーローとしての役目を捨て、ただのメスとして生きることを選んだ、その選択。
その結末を見届けながら、淫魔は、愉悦に歪んだ笑みを浮かべ続けていた。