私に種を蒔いて。 性暴力で孕まなくなったJKと慰めえっちする話 作:黒宮魚
雑踏と信号機の規則的な音が交錯する都心。夏休みが本格的に始まった七月下旬の昼は、学生やサラリーマン、海外の旅行客やらであふれていた。
文明の繁栄を象徴するように立ち並んでいるビル群のうちの一つ。玄関上にロゴが据えられている。さらにその上に据え付けられた大型スクリーンには、そこで上映されているであろう映画の予告映像が流れている。
その入口から幾人かの客に混ざって出てくる一人の少年、内田優一の姿があった。ビルの影から出てきた彼は、放射されてきた日差しに目を細めた。
「あっつ……」
上映前に買ったコーラの飲み残しをずず、とすすった。氷がほぼ溶けて薄くなっているが、なけなしの冷たさが幾ばくかの清涼感を与えた。
それでも肌を焼くような暑さは拭えない。やはり夏は外に出るもんじゃないな、と優一は一つ息を吐いた。
基本インドア派な彼がわざわざ家から離れた都心に来たのにはもちろん理由があった。今しがた出てきた映画館。そこで先行上映されていた一本の映画が目的だ。
優一が好きな海外の映画監督が作った映画だ。日本ではそこまで有名ではないが、優一が暑さと人ごみを我慢してでも見に来るほどには気に入っている。
そして、今作も期待通りの出来で、優一の足取りもいつもより軽い。後は帰って同じ監督の過去作でも見ようかと思案していた。その時だった。
「兄さん」
幼げでありながら、落ち着いた声だった。
映画館を出てすぐの通り。帰りの駅に向かって歩き出したところで、優一は後ろから声をかけられた。
振り向くと、そこには優一とさほど背格好の変わらない男子が立っていた。身長は優一よりこぶし一つ分ほど低く、髪は短めに整えている。そして顔立ちは、優一の面影があった。
「──康介」
優一は、その少年の名を口にした。どこか気まずそうな表情を浮かべながら。
康介と呼ばれた彼は、優一の実の弟だった。ラフな恰好をした優一とは対照的に、ワイシャツと黒のスラックスを身に着けていた。
「久しぶりだね」
好青年そうな笑みを浮かべて、康介はそう挨拶をした。だが、どこかビジネスライクなものを感じさせる笑い方だった。
「……ああ、久しぶり。珍しいな、こんなところで会うなんて」
「それはこっちのセリフだよ。兄さんの家から結構遠いじゃん、ここ」
優一の隣にすたすたと歩いてきて、そのまま先へ行く。一緒に歩こう、という意思表示だ。優一も彼に合わせて歩き出した。
「映画観に来たんだよ、あれ」
壁に並んだいくつかの映画のポスター。そのうちの一つを指さした。
ああ、と納得したように康介は頷いた。
「相変わらず映画好きなんだね」
「まぁ。それよりお前は何してるんだよ」
「僕? 僕はこれから塾だよ。暇な兄さんと違って勉強しないといけないからね」
親しみのある口調ではあったが、優一を見上げる目には冷ややかなものがあった。
「含みのある言い方する奴だな」
「別にいいじゃん。兄弟だし」
悪びれもせずに康介は笑った。
もともと、二人の兄弟仲は悪いわけではない。今のような軽い言い合いなど数えきれないほどしている。
「兄さん、よく授業サボってるんだって?」
「……それがどうした」
康介の視線から逃げるように、優一は車道へ目を向けた。車やバイクが目まぐるしく行きかっている。
「何でそんなことしてるのかなって」
「そりゃ……授業に興味ないから」
「ふーん、そっか。そうだよね。兄さん、頭良いんだもんね。学校の授業なんか退屈だよね」
はは、と演技臭い笑い方をしながら康介はそう口にした。
「バカにしてんのか」
「まさか。兄さんは僕の目標だったんだよ。小中の頃とか『神童』なんて呼ばれててさ──」
「昔の話はやめろ」
優一の語気が強くなった。道路に向けていた目が康介を睨んでいる。
だが、彼はそんな視線を軽く受け流しながら言葉を続けた。
「本当の事じゃん。……まぁ今は全然違うみたいだけど」
「ああ、今じゃ神童はお前だからな」
目前の信号が青点滅から赤に変わる。足を止めた二人の前を、排気ガスをまきながら車が幾台も通過する。
周りの歩行者達も一様に足を止め、スマホをいじりだしたり雑談を始めたりしている。都会的で蕪雑な空気の中、二人の間だけは張り詰めた雰囲気があった。
「別にそんなことないよ。僕、今の高校で一番じゃないし」
だが、康介が通う私立高校は、優一が在籍する公立高校とは段違いのレベルだ。その事実が、優一を内心イラつかせた。
「兄さんに聞きたかったことがあるんだよ」
「なんだよ」
ぶっきらぼうに優一が返事をすると、康介は真剣な目をして言った。
「なんで勉強やめたの?」
鋭い目線だった。それに気圧されて優一が答えられずにいると、畳みかけるように康介は続けた。
「高校落ちたから?」
どきん、と胸が鳴った。
あまり思い出したくない記憶が呼び起される。
康介が言う通り、優一は幼少期から優秀な成績を修めていた。少なくとも中学生までは。それが変わってしまったのは、高校受験が近づいてきた頃だった。
単純に内容が難しくなって成績が僅かに落ちたことと、康介が優一に追いつかんばかりに優秀さを発揮したことが焦りに繋がった。結果、志望していた高校には受からなかった。
それに追い打ちをかけるように、一年後には康介がその高校に合格。それが決定的となって、優一は家を出た。
「別に……勉強が全部じゃないだろ」
絞り出すように優一は口にした。それは、彼が時々自分にする言い訳の言葉だった。
「じゃあ兄さんは今は何してるの?」
「そんなことどうだっていいだろ」
「そう。まぁ何でもいいけど」
本当にどうでもよさそうに言って、康介はため息を吐いた。
赤だった信号が青に変わる。周囲の人間と同じように、二人は歩き出した。
「兄さん、僕は医者になりたい。医者としてたくさんの人の役に立ちたいんだよ。そのために勉強してる」
康介は目の前を見据えながらそう口にした。まるで決意表明のような言葉。
優一はそんな彼を一瞥してまた目をそらす。
「そりゃ立派だな。いいことだよ」
「お世辞はいいよ」
優一の言葉を一蹴し、康介は優一に目を向けた。
「兄さんは誰かの役に立ってるの?」
二人の目が合う。
康介は優一を見定めるような目をしていた。一緒に暮らしていた頃には見ることのなかった目だ。
「……さあ。お前よりは役立たずなんじゃねぇの」
「そうだね。授業はサボって好きなことして、休みの日は映画観に行って──」
冷徹な声だった。そのまま、彼は突きつけるような言葉を放った。
「僕が好きだった兄さんはどこ行ったんだよ」
失望、という言葉が似合う、そんな表情をしていた。
「人は変わるもんだろ」
「そうかもしれないね。でも僕には、今の兄さんはただ逃げてるだけみたいに見えるよ」
苦し紛れの優一の言葉。その向こうの本意を見透かしたように康介は言った。
優一は何も言えなかった。そのまま無言になり、少しもしないうちに優一が乗る地下鉄の入口へ着いた。
「それじゃあ。一人で好きなように過ごすのも悪いことじゃないと思うよ。僕はそうはなりたくないけど」
康介は足を止め、愛想笑いを浮かべながらそう言った。
「そうだな。お互い好きにやればいいだろ」
じゃあな、と優一が片手をあげる。康介はそれに返事もせず、背を向けて歩いて行った。
「嫌味な奴に育ったな」
その姿を見送りながら、優一は一人呟いた。
空を見上げると、優一の心境とは真逆の青が広がっている。遠くには分厚い入道雲が見える。なんとなく、それをしばらく見つめていた。
かち、かち、と規則正しい音が響く。明かりを落とされた部屋の壁掛け時計は夜の十一時を指し示していた。
その部屋で一人ベッドに体を横たえながら、優一は天井を見つめていた。外は激しい雨が降っている。彼が帰宅した夕方頃から、強く地面を雨粒が叩き続けていた。
優一は頭を抑えながら重い溜息を吐いた。帰ってきてから彼は抜け殻のようだ。映画を観る気も起きず、食事とトイレ以外はベッドの上で寝転がっているだけだ。
昼間の康介との一件で、今まで考えないようにしていたことが頭を埋めている。
優一とて、子供の頃は人の役に立つ人間になりたいと強く思っていた。警察官の父と国家公務員の母の思想の影響を強く受けていたのは事実だが、その想いは本物だった。
だが、高校受験の失敗と弟への劣等感から、いつしかそれは心に染みついた泥のように変わっていた。それが今、優一の精神にどす黒い影を落とし、死にたくなるほどの自己嫌悪を生んでいる。
「ん」
それに嫌気がさし、無理やりにでも気分転換をしようとスマホに手を伸ばした時だった。
家の中にインターホンの間の抜けた音が鳴り響いた。相手に心当たりはない。
どうせ酔っぱらった隣人あたりだろうと、優一は枕元のイヤホンを手に取った。両耳にそれを突っ込んで、スマホで適当な動画を再生する。
だが、呼び鈴は二回、三回としつこく鳴らされる。いい加減頭にきた優一は、相手を確かめることにした。
「誰だよ……」
ぼりぼりと頭を掻きながら、玄関の覗き窓に目を近づけた。
歪んだ夜景と黒い人影。暗くてよく見えなかったが、目を凝らしてみると長い髪の毛が見えた。
女性だ、と思った。それも見覚えのある姿だった。
「三、枝」
同級生の女子生徒、三枝美咲。それがわかった瞬間、何故ここにいるのかなど考える前にドアを開けていた。
「────」
地面を叩く雨の音が飛び込んでくる。じめっとした湿っぽい空気と一緒に。
玄関前に立っている美咲は、全身ずぶ濡れだった。いつもの制服姿で、傘も持っていない。俯いているのか、長い黒髪が前に垂れていた。
「三枝……」
ぽつりと呟くと、伏せられた彼女の頭がぴくりと動いた。いつもは整えられている艶のある黒髪が濡れて乱れている。ぽたぽたと雨粒が伝っていた。
しばし、お互いに何も言えないまま時間が過ぎる。激しい雨音と濡れた路面を車が通過する音が満たす。
「内田くん」
彼女が顔を上げる。水が滴る前髪の隙間から、黒い瞳が優一を見ていた。
「入れてくれる?」
ただ一言、美咲はそう呟いた。その声は不思議と落ち着きがある。だが、状況にそぐわない声に、優一は不気味さを覚えた。
「あ、ああ……」
やっとの思いで優一が答えると、美咲は「ありがと」と小さく口にして、足を前に進めた。優一が後ずさりすると同時に、彼女が玄関に入ってくる。
美咲が後ろ手でドアを閉めて、外の音が遠くなる。ぴちゃん、ぴちゃん、と彼女から滴る雨粒が玄関に落ちる音がしていた。
「ねぇ、内田くん」
美咲の目が優一を見つめている。どこか無感情な瞳で。
「私はさ、何か悪いことしたのかな」
彼女は笑っていた。全てを諦めたような、乾いた笑みだった。
突然の問いかけに、優一は答えられない。だが、元より答えなど求めていないかのように、美咲は構わず続けた。
「今日さ、お父さんにホテルに連れてかれて」
平坦な口調で美咲は語りだす。
優一はその言葉に否応なしに身構えた。そして、その先をなんとなく察してしまった。
「そしたら、お父さんの仕事仲間だって人たちがいて」
滔々と美咲は続ける。優一は口を挟むことなどできなかった。
「──輪姦されてたの」
その言葉だけは、微かに震えていた。美咲の顔は引きつった笑みが張り付いている。暗闇で優一には見えなかったが、彼女はそれを隠すように顔を伏せた。
「なんか、私でお金儲けしてたのかな。終わった後にお父さんがお金もらってた。……そんなことどうでもいいけど」
吐き捨てるように美咲は言った。
「私は……あんなことされるくらい、悪いことしたのかな」
美咲がまた顔を上げる。困ったように、あるいは壊れたように笑っている。
優一の頭の中はぐちゃぐちゃだった。吐き気がするほどの暴力を目の前の華奢な少女が受けていた事実に、まるで理解が追いつかなかった。
「っ、さえぐさ、は……」
それでも、一縷の救いを求めるような美咲へ一つ一つ言葉を繋ぐ。
「三枝は、悪いことなんてしてない。──もししてたとしても、そんな酷いことされていいはずがない」
その言葉を聞いた瞬間、美咲の顔からふっと緊張が消えた。
「そっか」
安心したように、あるいは何かを諦めたように力の抜けた声だった。そのまま体の力まで抜けてしまったように、美咲は優一へ体を預けてきた。
とさ、と彼女の軽い体重が優一にかかる。長い間雨に打たれていたのか、美咲の体は冷たかった。
透けるほど濡れた服が、彼女の肢体の柔らかさを強く優一へ伝えている。吸いつくような感覚が、否応なしに優一をどきりとさせた。
「うちだ、くん」
湿った髪が絡みつく耳元で、美咲が囁いた。
「ヤれそう、って思ってる?」
優一の内面を覗くように彼女はそう口にした。
また心臓が跳ねる。当然ながらそれは美咲にも伝わってしまう。
優一自身、彼女が言ったようなことを考えていたわけではない。だが、その一言で意識してしまったのは事実だった。
「そんなこと──」
「どっちでもいいよ」
否定の言葉を口にしようとした優一だが、美咲がそれを遮った。
「別にいいの。慰めてほしい気分だから」
美咲は優一の背中に両手を回した。ぎゅ、と強く力が込められる。そのまま、美咲は顔を上げて優一と向き合った。
どちらかが顔を近づければ口づけられる距離。彼女の冷たい身体とは反対に、吐く息は熱かった。
「──セックス、しよ」
優一が何か言おうと開いた口を濡れたものが塞いだ。それが美咲の唇だと優一が理解する頃には、彼女の舌が口内に侵入していた。
ぐちゅ、と濡れた音が口内に響く。唾液に塗れた彼女の粘膜が優一のを絡め取っていた。そして、それを貪欲に擦り合わせられる。
「んっ……っちゅ、ぅん、ん、ンっ……ぢゅ、ぅ……!」
劣情をそのままぶつけるようなキス。いや、キスなどと上品なものではなく、生殖行為を舌で真似るような具合だ。
がたん、と音が鳴る。優一が思わずよろめいて、壁にぶつかった音だ。
だが、構わず美咲は優一を貪り続ける。舌を絡め、唾液を吸い、熱と快楽を求めるだけの行為。
ふーふーと互いの吐息がぶつかり合って、むわりとした熱気が充満する。むせ返るようなその色香に当てられて、優一の股間に血液が集まってしまう。
「っは……っは、ぁ、はぁ──は……うちだ、くん──」
口の周りが唾液でべとべとになった頃にようやく解放される。
お互いの顔はまだ近いまま。美咲の頬は、興奮なのか紅潮している。だが、両眼の美しい瞳は濁っているようにも見え、雫が僅かに浮かんでいた。
「どう? はぁ、は……君が教えてくれたえろいキス──興奮してくれた? っは……してるよね? ここ──おっきいもん」
まくしたてるように言って、美咲は優一の股間の膨らみをさすった。直接的な刺激に、ソレがびくんと反応する。美咲はそれを感じてくすりと笑った。
「ほら、元気。もう挿れよ?」
「ま、待てよ三枝! 冷静になれって!」
「私はちゃんと冷静だよ」
声を上げた優一に、美咲は落ち着いた声でそう言った。息は荒いものの、その瞳は据わっていた。
「いいじゃない。君だってキモチよくなれるんだから」
「俺のことなんかどうでもいい。三枝、さっきまで酷いことされてたんだろ。それと同じようなことなんて俺は──」
「同じじゃない」
鋭く、強い口調だった。思わず優一は押し黙った。
「同じじゃないよ。君は」
独り言のように美咲は呟いた。静かで落ち着いたその声にはどこか寂しさがあった。
雨に濡れた前髪の隙間から、美咲の目が優一を覗き込む。
「全部さ、忘れさせてよ」
ぽた、ぽた、とフローリングに雫が落ちていく。雨粒か、それ以外か、それは誰にもわからなかった。
乾いた笑いを浮かべた美咲の顔には、どこか哀願じみたものがあった。
「んぅ──っ!」
優一はそれで冷静さを失った。というより、捨てた。
美咲の身体を抱きしめ、身を翻す。そして逆に彼女を壁に押し付けて唇を奪った。
どん、という強い音が響く。だが、美咲はそれを意に介さず──というより悦ぶように優一の首の後ろに手を回した。
「んっ、ちゅ、じゅるっ……! っは、ん、ンっ……ぅむ、っン……!」
先ほどよりもさらに激しく唇を求め合う。乱暴にお互いの口に舌を突っ込んで、好きなように絡める。味覚器官が淫蕩な色に染まり、二人の興奮を一気に引き上げる。
先に動いたのは美咲だった。優一の短パンに両手を伸ばし、強引に引きずり降ろそうとしてきた。優一も片手でそれをずりおろすと、すとん、とパンツごと床に落とされる。
次にすることなど決まっている。優一は美咲のスカートの中に遠慮もなく両手を入れて、彼女の下着に手をかけた。雨でぐしょぐしょに濡れている。優一は気づかなかったが、その中にはわずかなぬめりもあった。
それを、引きちぎってしまいそうなくらい乱暴に脱がす。美咲も優一の首に両手を回したまま、片脚を上げてそれを助ける。乱雑ながらもなんとか片脚から引き抜き、美咲の下着も床に落とされた。
そうして露になったお互いの生殖器官。あとは何も考えることなどなかった。
「んアっ!」
ずぷり、と美咲の中に優一が押し入る。こらえきれなかったのか、美咲は唇を離して嬌声を上げた。
「ん……はやく、奥まで入れて?」
快楽に潤んだ瞳で美咲が懇願する。それに頷く代わりに、優一は腰の力を入れた。
ずぶぶ、と一気に奥まで挿入する。まるで優一のカタチを覚えているかのように、簡単に最奥まで挿入された。
「三枝、動くよ」
「うん──アっ! あっ、んっ、んンっ……!」
優一に遠慮はなかった。自らの情欲をぶつけるように、激しく腰を動かし始めた。
ずぷ、ずぷ、と美咲の中に何度も抜き差しをする。奥へ入れるたびに膣肉全体が肉棒を締め付け、彼女の身体もそれを歓迎しているかのようだった。
「んっ、ぁンっ、あっ、アっ──! んっ、いいっ……きもちいいっ、あっ、あん、アはっ……! もっと──もっとっ、あっ、アんっ、いっぱいシて……っ!」
懇願するように喘ぎながら、美咲は優一を強く抱きしめる。まるで優一に縋りつくように。
優一はそれに応えるように、彼女の片脚に手をかけた。それをぐい、と持ち上げると同時に、強く押し上げた。
「ひぁあっ!」
こつ、と先端が強く子宮口を押したのがわかった。それを何度も味わうように、下からずこずこと突き上げる。
「あ、アっ、あっ、あ……っ!! すっご……っ、はぁ、ぁんっ、それ、すごい……っ、ぅあっ、あんっ──おちんぽ、つきあがるの、んっ、アっ……すっごい──!」
荒い吐息を漏らしながら、優一の耳元で美咲がよがっている。
それに突き動かされるように、優一は彼女の体を貪る。壁に押し付けて彼女のナカを何度も犯しながら、片手でブラウスのボタンを外す。
乱暴な手つきで外し終えたら、すぐさまその中に手を突っ込んだ。まだブラジャーに包まれたままの、美咲の柔らかな二つの果実。男を誘惑するそれを鷲掴みにした。
「ンあっ! あっ、あは……っ、いいよ、んっ、ぁんっ、好きなだけ私のカラダ、さわって──は、ぁんっ!」
その言葉に誘われるまま、優一はその下着の下へ手を滑り込ませた。そして、ぐい、と持ち上げて素肌を露にする。
だぷん、と重い肉感とともに彼女の乳房が晒された。それを目一杯に広げた手で揉みしだく。
「あっ、ンっ、んん……! ぁ、きもち、ぃいっ……もっとシて──っ、んっ、あ、んはっ、アっ──おっぱいもおまんこも全部ぐちゃぐちゃにシてっ……!」
理性を捨てて、肉欲だけになったような美咲の声。それは優一も同じ気持ちだ。
右手は美咲の太ももを強く握ってその股を開かせる。そして、だらしなく蜜が溢れる花びらを、何度も陰茎で犯しつくす。空いた左手は美咲の乳房を愛撫し、お互いの興奮を高めている。
荒い吐息と淫猥な熱気が狭い玄関を満たし、際限なく二人を昂らせていく。
「三枝っ、出る、もう出すよ──」
「んっ、うんっ、ぁ、アっ! わたしも、ア、あっ……イクっ、いくから、だして……っ、あ、はぁっ、アっ、一番奥で出してっ──!」
どくどくと優一の下腹部からその瞬間が昇ってくる。それを我慢しようとなどせず、さらに激しく腰を振る。ずちゅずちゅと、彼女の尻を壁で押しつぶしてしまいそうなほど。
だが、美咲はそれすら嬉しそうに声を上げる。もっと、もっとして、だして、と。ぎゅう、と優一を強く抱きしめながら。
「っく、出る出るっ、三枝、イクっ!」
「あっ、んぁっ、イックっ、あっ、あっ……イクイクっ、あっ、ひぁああっ!!」
そしてすぐにその瞬間が来た。優一は子宮口にねじ込むように突き上げながら、そして美咲はそれを迎え入れるように彼を抱き寄せながら。
どくん、と心臓が止まってしまいそうなほどの衝撃が走る。それを皮切りに、優一の先端から何度も白濁液が吐き出される。
「っあ……んっ、ぁ、あっ……すごっ……びゅるびゅるって──っあ、ん……せーしそそがれて、る……っ」
ぞくぞくと絶頂感が美咲の体を震わせている。それがナカの肉棒にも伝わって心地の良い感覚を生む。
それに促されるまま精液を美咲の中に放出する。子宮口に亀頭をくっつけたまま、どぷどぷと。
初めて味わう中出しの快楽に頭の中を白紙にしながら、優一は自分の体が求めるまま吐精し続けた。
「ん……ぁ、射精、おわっちゃった?」
絶頂の波が引いた後、荒い吐息を整えながら美咲がつぶやく。
優一は思わず体の力が抜け、後ろにふらりと倒れそうになる。踏みとどまったが、ずるりとソレが抜けて二人の繋がりは解けてしまった。
はぁ、はぁ、と事後の余韻を引きずるような息が互いに漏れている。ぼた、ぼた、という重い水音も。それは、美咲のナカから垂れてきた精液だった。
「あ、ごめ……中に」
それを見て、優一は幾ばくかの冷静さを取り戻した。いくら美咲が求めていたとはいえ、避妊なしで中に出すなど、と。
「え? ……ああ、いいよ。そんなの」
しかし、美咲はほとんど意に介さずにそう口にした。
たら、とまた彼女の入口から白濁が垂れる。美咲はそれを指ですくって口に含んだ。
「どうせ──」
舐めとったあと、口を離した美咲は優一から目線を外して何かを言いかけた。
そして、思案するように人差し指で唇を何度かなぞる。幾度か繰り返したのち、美咲はゆっくりと口を開いた。
「内田くん、私ね──妊娠してるんだ、何回も」
美咲はまるで雑談をするかのように普遍的な口調でそう告げた。
その目は優一を見ていない。斜め下、玄関に脱ぎ捨てた自らの靴にでも視線を送っているようだった。
「お父さんか、お兄ちゃんか……どっちの子かわかんないけど」
そのまま美咲は続ける。
「でもその度に堕ろされて」
美咲はそこでほんの少し言葉を区切った。その先を言うべきか迷っているかのようにも見えた。
しかし、美咲は俯いていた顔を上げて言った。
「そしたらさ──デキなくなっちゃったの」
美咲は笑っていた。何も面白いことなどないのに。
優一は何も言えない。凍り付いた表情のまま、美咲の言葉を一つ一つ理解することがやっとだった。
「雌として終わってるんだ、私」
さす、と自分の下腹部をなぞりながら、美咲は自嘲するような笑みを浮かべた。
「だからいいよ。好きなだけ中に出して」
僅かに美咲の声が沈む。
そして、もう一度の行為をせがむように、優一の首に腕を回す。
「っ……できるわけないだろ。そんなこと言われて」
ようやくまともに回るようになってきた頭でそう返した。
「あ……ごめん。こんな話されたら萎えちゃうよね」
しかし、どこかずれた答えを返す美咲。優一はそんな彼女に軽い恐怖すら覚えた。
「そういう問題じゃない。……だって三枝だってホントは嫌なんだろ、こんなことするの」
「嫌、ね。──なんかもう、そういうの思わなくなっちゃったよ」
困ったような顔で美咲はそう答えた。
優一は彼女に悲痛なものを抱いた。だが、なんと言葉を返したら良いのかわからなかった。
「……でも。でも、君とするのは少し違うかな。君とするエッチは気持ちいいから。こんなの、初めてだったから」
美咲の顔が僅かに近づく。寂しく微笑むその顔は見ていられなかった。
だが、目をそらすことを許さないとばかりに二つの瞳が見つめている。
「だから、ここに来たんだよ」
さらに彼女の顔が近づく。美咲の息遣いが微かに揺れている。
吸い込まれそうな美咲の眼は、助けを求めているようにも見えた。
「ほら、続きシよ。私のこと好きに使っていいから」
それ以上、二人の言葉はなかった。美咲が優一の唇に蓋をしたから。ん、と毛ほどの息が漏れる。
彼女はすぐに舌を入れてきた。だが、先のように強引に貪ってくることはなかった。
優一の舌にゆっくりと擦り寄ると、二枚の粘膜をただ重ねるように触れ合わせてきた。唾液に濡れたそれらは、そうするだけで吸い付く。
「ん、ぇろ……っ、は……ん──」
優一が美咲を迎え入れるように舌を擦り合わせると、彼女もそれに応えた。ぬちゅ、と粘液を混ぜ合わせるように、緩慢な動きで絡め合う。
まるで甘えてくるような舌使いだ。好きに使って、という言葉が彼女の本意だとはとても思えなかった。
優一は、今は美咲を受け入れると決めた。彼女の絶望は、優一がどうこうした所で拭えるものではない。ならば、こうして彼女の求めるまま快楽と熱に身を委ねることくらいしか、優一にできることはないのだ。
「ん……っ」
優一の腕が彼女を強く抱く。ぶる、と美咲の濡れた身体が震えた。それを皮切りに、さらに舌と唇で甘えるように吸い付いてくる。
そうして深いキスを交わしたまま足を動かす。どん、どん、と壁や家具に何度もぶつけながら、おぼつかない足取りで居間へ。
部屋の隅、二人が初めて体を重ねたベッド。そこへ辿り着くと、美咲は優一を押し倒すように体重をかけた。
「っは……」
ぼす、と倒れこむようにベッドの上へ。その衝撃で思わず二人の唇が離れた。こぼれた唾液の雫がシーツに染みを作った。
寝具の上、仰向けに倒れこんだ優一と、それにまたがる美咲。優一を見下ろす彼女の瞳が妖しく揺れていた。
「シよっか──」
彼女の口元が歪む。高揚感と、悲壮感。それらが同居しているように見えた。
どちらにせよ、することは一つだ。美咲は、半脱ぎになったブラウスと下着を、身に絡みついた茨を払うかのように乱雑に脱ぎ捨てた。床にそれらが落ちると同時に、彼女の腰が浮く。
「おちんぽ、挿れるね──っん……」
一度射精したことなど関係なしに固くいきり立つ優一の陰茎。それを片手で支えると、その先端へ腰が落とされた。
「っん……ぁんっ!」
彼女に躊躇はなかった。一刻も早く優一との繋がりを求めるように、一気に挿入した。亀頭から竿の根本まで、迸る閃光のような快感が突き抜ける。
彼女の膣内は先ほどの行為よりも濡れていた。だらしなく分泌される愛液と、優一が注ぎ込んだ精液。そのカクテルで満たされた膣内は、動かせば絶対気持ちがいいと確約されている。
「っ三枝……ナカ、きっつい」
「ん……ぁは、君のはすっごいがちがち」
優一が上体を起こして二人向き合う。絡まる視線は劣情に駆られていた。それに引っ張られるように口づけ合った。
当然ディープキス。互いの色で染め上げるように、ぐちょぐちょと舌を絡ませる。
「ん……っぢゅ、んっ……!」
そのまま、美咲は腰を動かし始めた。腰を持ち上げ、全体重を乗せて再度挿入する。その繰り返し。
我慢が効かないのか、その抜き差しは激しい。ぱんっぱんっ、と乾いた音を絶え間なく立てながら性器を擦り合わせている。
「っは、っあ、あっ、アっ……! んっ、あっ、きもち、いいっ──んっ、あっ、おまんこのおくっ、ぅあっ、はぁっ……ンあっ、あっ、ごちゅってするの、すっごい好きっ……!」
たまらないのか、美咲は口を離して声を上げだした。下腹部から与えられる快楽に自ら溺れていくように。
優一はそんな彼女を繋ぎとめるように、背中に腕を回して抱きしめる。密着するカラダ。雨と汗に濡れた美咲の体は、じっとりと肌に吸いついてくる。それに不快感はなく、溶け合うような一体感が心地いい。
「三枝──やっばい、っく、激しすぎ……っ」
「あっ、アっ──だって、っん、んはっ、アっ……だって、止まんないからぁ──っ! っんっ、ぁんっ、あっ……ぱんぱんするのっ、ぅあっ、はぁんっ──がまん、できないんだもん……っ、あっ、ふぁっ、あっ……!!」
美咲は心も体も快楽に支配されているかのように喘ぎ狂っている。もう十分乱れているのに、もっともっとと腰を振りながら。
優一もそれを止める気などない。焼ききれそうな快感に頭が侵され、美咲への情欲で狂ってしまいそうだ。
二人の結合部は、ずちゅずちゅと擦れるたびに淫液が飛び散っている。美咲の膣穴が陰茎のでっぱりまで引き抜かれたと思えば、次の瞬間には根元までずぷりと飲み込んでいる。それが壊れそうなほど激しく、気でも違ったかのように何度も繰り返されている。
「三枝っ、もうイクっ──もう出るからっ!」
「んっ、あっ、ァんっ……いいよ、いつでも──んっ、あぅ、アっ! すきなだけ、っく、はっ、アっ……好きなだけナカに出してっ……!!」
二回目の情動が睾丸からずくずくと上がってくる。それを留めることなど何もない。むしろ、早く出せとせがむように彼女の腰がさらに激しさを増す。
美咲も絶頂が近づいてきたのか、優一に抱きついて腰の動きに集中し始めた。陶然とした目をしながら、ばちゅばちゅと抜き差しを繰り返している。
「っいく、イック──三枝、出るっ!!」
「あっ、ぁ、あ、アっ、んあっ……私もイクっ……いく、イクイグ、イッグぅ、イっく──!!」
二人が限界まで昂った瞬間、美咲の腰が強く叩きつけられる。ぱんっ、と乾いた音を立て、その動きが止まった。
そのまま互いの腰をがくがくと震わせながら絶頂が始まる。優一は両手で彼女の尻を自らに押し付けながら、そこへ容赦なく射精する。
「っあ、ぁ、うあ……ん、あ──すっご……なか、あっついのでてる……っ、あ、ン……」
どくんっ、どくんっ、と半固形になった精液が吐き出される。尿道をこすり上げながら出ていく瞬間、気絶しそうなほどの快感に全身が震える。
それを促すように、膣肉がきゅんきゅんと痙攣しながら吸いついてくる。そして、放出される精液を一滴も逃すまいと、子宮口がかぷりと亀頭を飲み込んでいる。
「っ……さえぐさ、まだ出る……あっ、ぐ──やっばい、めちゃくちゃ出る……」
「ん……っ、ぁ、ぁは……っ、いい、んだよ……っ、あたままっしろにして……っあ、きもちよくなろ……っ」
耳元で熱い吐息を漏らしながら美咲は甘やかすように誘惑してくる。
その言葉通り吐精を続ける。少しずつ勢いが弱まりながらも、彼女を我が物にせんとばかりに白濁で満たしていく。
美咲もそれが心底心地よいのか、ふるふると全身を震わせている。色香の孕んだ声を何度も漏らしながら。
「っは……ぁ、あ……あ、すっご……おなかあっつい──」
全部出し終わった後、美咲が幸せそうな声で呟いた。
しかし、彼女の腰はくいくいとまだ動いている。それに刺激されて、入れている肉棒がびくんと反応する。
「うちだ、くん……」
美咲が腕を緩めて向かい合う。彼女の瞳は快感に緩みながらも、奥底の悲しみは消えていない。
まだこんなのじゃ足りない。言葉にせずともそう伝えていた。
「三枝、次は俺が動くから」
乱れた呼吸を整えながら優一がそう告げると、美咲が安心したように笑う。そして、うん、と小さく頷いた。
「ん……」
美咲を抱いたまま身体を転がす。今度は優一が上になった。
そして、優一はベッドに膝立ちになると、美咲の両脚を持ち上げた。
「ぅ、あっ……」
ぴくん、と美咲の身体が跳ねる。優一を期待に満ちた目で見つめながら。
そのまま優一は腰を動かし始めた。ずぷん、ずぷん、とどろどろの蜜穴に男根がまた抜き差しされていく。そして、美咲もそれを歓迎するように淫らな声をあげる。
交わりあう二人はさながら快楽に堕ちたケダモノのよう。その欲望に果てなど無いかのように求め合う。
時計の針はようやっと頂点を回ったばかり。心の傷を体で舐めあうような、二人の濃密な夜はどこまでも続いていく。