私に種を蒔いて。 性暴力で孕まなくなったJKと慰めえっちする話 作:黒宮魚
「さえ、ぐさ」
コート越しでも肌を刺す十二月の寒さと、駅という都会の交差点を行きかう人たちの雑踏。それらがすっと遠ざかる。
真冬なのに、あの夏休みの日に戻ったようだった。儚げに、何かを取り繕うように微笑む三枝美咲。それは、資料室整理をして、深く触れ合って、二人で穏やかな時間を過ごした、あの時の三枝美咲だった。
「えっと、久しぶり」
白のトレンチコートを羽織った美咲は、ぎこちなく右手をあげてはにかんだ。その声には優一への親しみが込められていた。夏休みが終わってから見せていた、恐怖と拒絶はどこにもなかった。
「あ……久し、ぶり」
まとまらない思考のまま言葉を返す。それでも美咲は安心したような顔を見せた。
「奇遇だね。こんなところで会うなんて」
優一達の高校は都心であるここからは外れているから、言われてみれば珍しい。
「ああ……。っと、そうだな」
詰まりながらも相槌を打つ。
背後の自動ドアが空く。カフェの入り口前に突っ立ったままだったことに気づき、優一は慌ててそこをどいた。
「移動しよっか」と美咲が言い、二人でそこを離れた。
「誰かと待ち合わせ?」
並んで歩きながら美咲が聞いてくる。
「そう、だったんだけど、用事ができて来れなくなったって連絡があって」
「そっか。それは残念だったね」
気遣うように微笑みかけてくる美咲。前と変わらない長い黒髪がさらりと揺れた。声も表情も、あの時と何も違わない。
「三枝。……その、夏休みのことは覚えてるのか?」
躊躇う気持ちを押しのけて、優一はそう尋ねた。夏休みが終わってから何度も否定された言葉。
美咲の瞳が一瞬見開かれる。それから視線を前に落とし、迷いを振り切るように言った。
「──うん。覚えてる」
優一に顔を向けなおして、彼女は続ける。
「ほんとにごめん。君にあんな酷い態度取って、お兄ちゃんにもぶたれて……痛かった、よね」
いたわるように、美咲の左手が頬をさする。滑らかで優しいその感触に思わずどきりとした。
「俺は別に気にして──いや、それは嘘か。……怒ってるとか全然そういうのはないけどさ、なんでいきなりあんなに態度変わったのかはずっと気になってる」
あの時に優一の頭を埋めていたのは困惑だった。自分と過ごした時間をすべて忘れていたこと、徹底的に拒絶されたこと、全部訳が分からなかった。
「それ、は」
「あ、無理に言わなくても」
「ううん」
「ちゃんと話すよ」と前置きして、美咲は口を開いた。
「内田くんとのことさ、バレちゃったの。お父さんとお兄ちゃんに」
すう、と軽く息を吸ってから、美咲が告白を始める。
その最初の一言にどくんと心臓が鳴った。
「急に一日帰ってこなかったりしたから怪しまれて。それで、スマホの中身──内田くんとのやりとりとか全部見られて、それで全部バレたの」
二人のやり取りの中に、肉体関係を示すような直接的なものはない。だが、不自然に一日家を空けた事実と合わせれば、簡単に推測がついてしまうだろう。
「それからずっとお兄ちゃんとお父さんに監視されてて、君とも縁を切って、他人のふりしろって言われて。……だから、君にあんな態度取ってた。言い訳にも、なんないけどさ」
ぎり、と奥歯が軋む。「監視」という言葉が、オブラートに包まれたものであることは明白だった。
「俺も不用意だった。三枝がされてること考えれば、もっと気をつけなきゃいけなかったのに。ごめん」
「謝らないで。……だって、君としたことは全部私が望んだことだもの」
左手で髪を梳きながら美咲は俯く。
「今日はいいのか、俺と一緒にいて」
「うん、平気。最近はあんまり監視されてないんだ。時間も経ったし、君が霜月さんと付き合い始めたのもあるかな」
美咲の表情が和らぐ。
「知ってるんだ」
「そりゃ、ね。有名だもん」
驚いたが、考えてみれば当たり前のことだった。優一も沙織も悪い意味で有名な上に、一年生の頃は沙織と美咲は同じクラスだった。
「今日も、霜月さんと待ち合わせだったとか?」
くすりと笑いながら尋ねてくる彼女に、うん、と頷く。
「三枝は今日はどうしたんだ?」
「私は──あれ」
美咲が指さした先には、広告が流れているスクリーンがあった。
「あ……」
そこに映し出されているのは一本の映画の予告。暗いトーンの映像に、悲壮感の漂う字幕。
優一はその映画を知っている。テレビやSNSの広告で見たとかではない。鮮明な思い出が一つあった。
『──この監督の新しい映画がさ、冬に出るんだ。よかったら一緒に観に行かないか。』
『──うん、そうだね。行きたい』
レースカーテン越しに見える青空。洗いたての制服がエアコンの風で揺れる。テーブルの上の麦茶は氷が溶け切って薄い。そして隣には、優一のシャツを着た三枝美咲がいた。
あの夏の日。そんな何気ない口約束をしたのだ。
「内田くん」
美咲が足を止める。
同じように優一が立ち止まると、美咲の目が見つめてきた。長い睫毛に、黒真珠のような瞳。
「約束。私は、忘れてないよ?」
透明感のある美咲の声。雑踏にかき消されてしまいそうなその声は、蠟燭の炎のように微かな期待が込められていた。
「観よう。──約束だったからな」
「……うん」
優一にそれを断ることなんてできなかった。もう二度と会えないと思っていたあの時の三枝美咲がここにいて、一言二言の口約束を覚えてくれていたこと。息苦しさすら覚えるほど、それが嬉しかった。
駅からさほどかからない距離にあるビル。件の映画はそこで先行上映されていた。
クリスマスということもあって客は多い。エントランスも受付も、カップルや家族連れで賑わっていた。
そんな中、優一と美咲もチケットを買ってシアターに入る。話題作というほどではないからか、ほかの作品より入りは少なかった。
明かりが落ち、予告の後に本編が始まる。
アメリカの小さな街が舞台の映画だった。ある雨の日にホームレスの男が殺害されるという事件が起き、刑事である主人公はその捜査にあたる。
主人公たちを嘲笑うかのように二人、三人と被害者が続き、連続殺人事件に発展。必死の捜査の中、さらに主人公の妻までもが殺されてしまう。
復讐心に駆られるまま狂人のように犯人を追い求め、ついにその正体を突き止める。それは主人公の一人息子だった。
動機は、仕事人間である主人公にかまってほしかったからという単純な理由だった。彼と対峙した主人公は、苦悩の末彼を撃ち殺す。それが結末だった。
エンドロールまで見届けた後、二人は席を立った。
「結構よかったね」
他の客とともにシアターを出る途中、美咲が話しかけてきた。
「ああ、うん。そうだな」
「あれ、君はイマイチだった?」
気の抜けた返事をしてしまったから、すぐに見抜かれる。
「いや、良かったよ。犯人とか意外だったし。ただ、同じ監督のだったら他の作品のほうが好きかな」
「そうなんだ」
正直に話した優一に、美咲はなぜか安堵の息を吐いて笑った。
「実はさ、私も」
えへへ、と照れくさそうに笑う美咲。
「君の部屋で見たあのダンサーの映画のほうが私は好み」
並んで歩きながら、美咲は視線を上に向けた。いつかのことを思い出しているかのように。
「でも、ちゃんと君と観れてよかった。それだけで私は十分満足だよ」
美咲が優一に顔を向ける。小さく口角を上げて、穏やかな微笑を浮かべていた。
「……そっか」
とくん、と胸が鳴る。ときめいている自分から目を背けるように、優一は俯いた。
「雨、まだ降ってるね」
いつの間にか映画館の出口までついていた。ざあ、という冷たい雨の音が耳を叩く。見上げた夜空は星明かりひとつない。
二人はそれぞれ傘をさして、雨の下に出た。その足はもと来た駅へと向かっている。ぱしゃり、という水音が響く。
「内田くんさ、だいぶ変わったよね」
「変わった?」
そう、と美咲が頷く。黒い傘をくい、と傾けた彼女と目が合う。
「なんか、かっこよくなっちゃった」
ふふ、と悪戯をした子供のように笑う。
「なっちゃった、って。かっこ悪いほうがいいのか?」
「んー……そういうわけじゃないけど。君が遠くに行っちゃったみたいで寂しいかな」
どこか思わせぶりな言葉に面食らう優一。彼女のペースに乗せられてしまいそうだった優一は話を変えた。
「三枝は変わってないよな。前からずっと綺麗なままだ」
「綺麗なんかじゃ」
褒めたつもりが、美咲の表情が曇る。
「何も変わってないのは、ほんとだけど」
彼女の顔が傘に隠れる。その声は自嘲するような色だった。
優一は彼女の言葉の裏にあるものに感づいた。口にすべきか迷いつつも、美咲に尋ねる。
「三枝。……お兄さんとかからは、まだ」
「うん」
感情のない肯定が返ってくる。彼女の顔は傘で見えないまま。
「それは……辛い、な」
「うん」
同じ返事。
美咲が何を思っているのかわからない。不安になった優一はさりげなく彼女の顔を覗き込もうとした。
「今は……慰めてくれる人も、いないから」
不意にそう口にし、美咲から目線を合わせられる。心まで覗かれそうな彼女の黒い瞳。何かを訴えかけるような視線だった。
「内田くん」
美咲の小さな唇が動く。
「寒い。あっためて、くれないかな。……二人きりで」
どく、と心臓を針で刺されたような感覚。それを皮切りに脈が速くなる。
美咲の言葉が何を意味しているかなどわかる。そして、それに頷いてはいけないことも。
だが、彼女を放っておけない気持ちもあった。凌辱を受け続けている彼女を、きっと唯一事情を知っている自分が顔を背け続けるなんて、と。
「……わかっ、た」
気づけば、そう口に出していた。
ばたん、とドアが閉まる。一緒に入ったラブホテルの一室で、二人は手をつないでいた。
「あの、さ」
ドアの前に並んで立ったまま、美咲が呟く。
「今日は、私のわがままだから。君はそれに付き合ってくれただけ。……だから、何も負い目なんて感じないで、いいから」
美咲が優一に体を寄せる。そのまま、優一の胸に体をあずけてきた。
とす、と彼女の軽い体重と、柔らかい胸の感触が伝わる。繋がれていた手は、いつの間にか指と指を絡めあう恋人繋ぎに変わっていた。
「内田、くん」
美咲の瞳が見つめてくる。
「三、枝……」
吸い込まれるような目に釘付けになる。優一が呼び返すと、彼女の目がゆっくりと薄くなり、やがて閉じた。
まるで磁石に吸い寄せられるように、美咲の顔に近づいていく。その距離がゼロになる瞬間、ほんの僅かに震える彼女の呼吸を感じた。
「っん……」
唇が触れ合う。ぴと、と瑞々しい美咲の赤い粘膜の感触が流れ込んでくる。
ふわり、と彼女の匂いが誘惑する。それは、いつかの濃密な夜のことを思い出させた。
「ん、っン……む」
優一の手が美咲の背中に回される。そのまま抱き寄せ、唇がさらに密着する。ん、と彼女のくぐもった声と軽い鼻息が漏れる。
上唇はくっつけたまま一瞬口を開き、また塞ぐ。一瞬漏れた彼女の色っぽい吐息は香水のよう。
「んっ、は……ん、む……ぅ」
緊張なのか、美咲の動きはどこかぎこちない。顔を固定したまま、優一からのキスを受け入れているだけ。
優一は、そんな彼女の力を抜くように甘い口づけを繰り返す。はむ、と挟むように触れて、羽のような細やかさでほんの少し吸う。
くちゅ、と小さな水音とともに二つの唇が擦れ合う。僅かな刺激だが、柔らかで濡れた部分で交わす逢引は、それだけでぞくりとした快感を生む。
「っ、は……」
美咲の肩からようやく力が抜け始めたころ、そっと唇を離した。漏れ出す息が震えている。
「キス──上手になったんだね」
薄い朱を頬にさし、美咲が囁く。
「前は下手だったかな」
優一も囁き声で問うと、ううん、と美咲は首を振った。
「なんか、寂しいだけ」
映画館からの道と同じ言葉。困ったような表情で、美咲は目を細めた。
その寂しさをかき消すように、また彼女の唇を塞いだ。
「んっ、ぁ……ふ……」
顔を傾けて、さっきと違う角度で重ねあう。彼女の緊張も少しは解れたのか、あちら側からも吸いついてきた。
果実のように濡れたその触感が互いに押し付け合い、溶け合っているかのような感覚を生む。一度離してまた触れ合うと、また違う感触となって心地がいい。
「っ、あ……ん、れ……」
何度か浅い戯れを楽しんだ後、優一は舌をするりと差し込んだ。美咲に抵抗はなく、熱い口内に迎え入れられる。
「ん……っン、む……うちだ、く、ん……っ、んぅ、ぇ……」
美咲も待ち望んでいたのか、入れた瞬間に彼女の舌先が出迎えた。そのままちろちろと淡い触れ合いを繰り返す。
それだけの刺激でも、二人分の唾液と熱が絡まって気持ちがいい。ぞくぞくと背筋が震え、この先の淫らな行為を想起させられる。
「ちゅ、ンっ……ぁ、むっ、ん、っは……んぅ……っ」
互いにすぐ我慢ができなくなり、深く舌を絡めあった。ぐちゅ、と粘ついた水音が口内に響き、性的な快楽が顔を出す。
ぴた、と開けた唇を合わせ、そのナカでいやらしく舌を交わらせる。まるで種でもつけるように、お互いの味覚器官を唾液に染め上げながら。
「ぁむ……っ、ん、ぢゅ、んっ……ぇ、ろ……っ、ん、んむ……っ!」
あっという間に上品さもなくなり、本能的な舌使いで互いを愛撫する。唇の端からは唾液が垂れているが、二人ともそんなことはどうでもよかった。
優一の手が、美咲のコートのボタンに伸びる。それを手早く外し、ばさりとはだけさせた。軽い音を立ててそれが床に落ちた。
「ん、は……っ、ぁ……」
同時に唇が離れる。酔いそうなほどの熱気が溢れだし、口吸いの濃厚さを物語っていた。
「下、制服着てるんだ」
紺のスカートとブレザー。白のブラウスの襟元には赤いリボンが結ばれている。
「ん……うん、あんまり服持ってないから」
右手で髪を耳にかけて、美咲は微笑む。なんでもない仕草が、荒い吐息と紅潮した頬が色気を醸し出していた。
「……ねぇ、ベッド、行こ」
恥じらいながらもそう口にする美咲。頷いて、彼女の手を引いて部屋の奥のベッドへ。白いシーツが部屋の明かりで薄い桃色に染まっていた。
その上に、二人向き合う形で座った。脚を絡ませ、ほとんど抱き合う姿勢。
互いの息がかかるほどの距離。美咲の惚けた瞳が誘惑していた。
「三枝──」
誘われるまま口づけた。美咲の小さな声とともに二人の呼吸が絡まる。
ぬる、という感触。どちらともなく舌を絡めていた。唇を開け、恥じらいもなく粘膜を突き入れる。
下手な技巧もなく舌を動かすだけで快感にしびれる。情欲は高まる一方で、この行為への罪悪感すら塗りつぶしていく。
「んっ、む……っう、ン……っちゅ、うちだ、くん……っ、も、っと……っ」
切なさが混じる美咲の声。導かれるように、優一の両手が彼女の体に伸びる。
ブレザーのボタンを外したのを皮切りに、彼女の衣服を少しずつ剥いでいく。ブレザーがベッドに落とされたら、次はリボン、ブラウス。丁寧な手つきで、美咲の興奮を高めるためにゆっくりと。
「っは……」
唾液が糸を引く。ぷつ、と途切れたそれは、美咲の白い胸元に落ちた。
彼女の素肌を守っていた厚い布たちはほとんど脱がされ、あとは薄桃色のブラジャーだけ。手に余るほどの柔い胸の果実は、魅力的な谷間を形作っていた。
「三枝。どうしてほしい?」
「え……ぁ……」
優一がそう問いかけた瞬間、僅かながら美咲の体が震えた。ぞくん、と、内なる興奮がこぼれだすように。
「おっぱ、い……触って、ほしい」
頼りなく握った右手で口元を隠しながら、たどたどしい口調で答える美咲。従順な彼女の態度に、いけないと思いながら興奮を覚えてしまう。
いいよ、と答えて、その体を抱き寄せた。それと同時に、彼女の首筋に口づけた。
「ぁ……」
弱々しい声が震える。口づけを繰り返し落としていくと、段々とそこにも熱がこもり始める。
背中に回した右手は、慣れた手つきでホックを外す。流れるように肩ひもを緩めて、するりとブラが落とされた。
「ぁんっ……」
躊躇いもなしに、優一の両手が乳肉を鷲掴みにした。ずぶ、と五指が柔らかく沈み込む。その刺激で美咲の体がまた震えて、たゆん、と乳房が揺れる。
男の手では包み切れない大きさでありながら、決してだらしなくはない絶妙な豊満さ。張りのあるその乳房は、揉み解すとまるで悦んでいるように弾力が返ってくる。
「んっ、ぁ……内田、くん……ちくび、なめて……」
はぁ、と悩ましげな息を吐きながら美咲が見つめてくる。大した愛撫もしていないのに、彼女は雌の顔になっていた。
素直にうなずき、またその白い肌にキスを落とした。ちゅ、と羽のように淡い刺激を与えながら、ゆっくりと下っていく。首筋から鎖骨、そして胸の麓へ。
その間も、手で揉みほぐすことはやめない。興奮で敏感になった美咲は、それだけでびくっと何度も小さく跳ねていた。
「ひぁ……っ!」
そうして、優一の唇が桃色の突起に触れた。ソコはもう固くなっていて、軽く触れただけで美咲の口から嬌声がこぼれる。
完全に発情状態の彼女を前に、優一の我慢も効くはずがない。かぷ、と勃起した乳首を口に含み、ぺろぺろと舐め回す。
「んっ、ぁ、アっ! ぁ、はっ……ぁ、ちくび、あっ、アっ……もっとなめて、んっ、はぁ、あぅ……っ」
くた、と美咲の体から力が抜ける。彼女は後ろ手をついて、なんとか自らの体重を支えていた。空いた片手を背中に回して、優一も力を添える。
そんな優しさとは裏腹に、胸を愛撫する彼は野性的だった。片方の乳房はディープキスでもするかのように乳首を舌で愛撫し、もう片方はぐにゅぐにゅと好きに形を歪めている。
「っあ、はっ……ぁ、あー……これ、ぁ、だめ──アっ……きもち、ぁ、ぞくぞく、する……っ」
美咲の表情はだらしなく惚けていて、自らの胸に顔をうずめる優一を見つめている。半開きになった唇からは、とろとろと唾液が滴っていた。
「三枝、腰へこへこしてる。こっちもいじってほしい?」
「え? ぁ……」
物欲しそうに腰を振っていたことに、美咲はようやく気づいたようだった。
「うん……」
恥ずかしさより欲望が勝っているのか、美咲は素直に頷いた。力なく顔が傾いて、さらりと滑らかな黒髪が枝垂れる。
「じゃあ、下も脱がすよ」
「ン……」
まるで子供のように従う。
優一がスカートの中に手を入れて下着の端をつかむと、何も言わずとも腰を上げた。するするとそれを抜き取る。スカートから顔を出した淡いピンクのそれは、既にじんわりと染みが作られていた。
「ねぇ……内田くんのハダカも、見たい」
片脚にショーツを引っかけたところで、不意に美咲が呟く。
「あ……ごめん。三枝だけ脱がすの、不公平だよな」
ぷつ、と襟元のボタンを外す。手早く最後までほどいてからシャツを脱いだ。その下の肌着も。
優一がちらりと美咲に目をやると、彼女はじっとこちらを見つめていた。その目はまだ期待している。
その視線にどきりとしながらも、優一はベルトを外して下もすべて脱いだ。
「ふふ……体、がっしりしててかっこいい。ここは変わってなくて安心した」
美咲の細い手指が優一の腹筋に触れる。それをさすると、その感触に満足したようにはにかんだ。
「三枝も──」
「ねぇ」
綺麗だ、と口にしようとしたところで遮られた。
「私ね、ずっとこうしたかった。君とまたこんな風に幸せなえっちができるの、待ってた。……君とのこと、ずっと忘れられなかったから」
体に触れていた美咲の手が、優一の頬をさする。
懐かしむような目をした彼女から視線が離せなかった。ぞわ、と何かが上ってくるのを感じる。あの夏、三枝美咲に抱いていた憧れを。
「いいの。昔気まぐれで抱いた雌が、ただ勝手に浸ってるだけだって思ってよ」
しかし、美咲はそんな優一の気持ちを否定するようにそう口にした。
だが、それがかえって優一を焚きつけてしまった。
「三枝」
どさ、と美咲の体が押し倒される。ベッドが軽く軋む音。
優一は、彼女が何か言う前に右手をその濡れた秘部へと伸ばした。ぐちゅ、と愛液が漏れ出すそこに、中指を突き入れる。
「ンあっ……!」
のけぞる美咲の体。それに構わず根元まで指を挿入した。
膣ひだはにゅるりと絡みついてきて、もう完全に出来上がっていることを伝えていた。細い中指を生殖器と勘違いしているのか、ぎゅう、ときつく締め付けてくる。
「んっ、ぁ、あっ……! あ、あぅ……っは、うちだくんっ……ンぁ、あっ、はげし……っ!」
そのまま奥を小刻みに擦ってやると、美咲は簡単に乱れた。腰をがくがくと震わせながら、あられもない声を上げている。
蜜穴の奥からはだらだらと愛液があふれてきて、もっとしてとせがんでいるかのよう。特に一番奥をとん、と押すと、入口がよく締まって悦んでいる。
だが、これが限界でないことを優一は知っている。
「三枝、ココ──好きだったよな」
膣口から少し進んで指を折り曲げたざらついた部分。そこに触れた瞬間、がくんと腰が抜けたように美咲が跳ねた。
「ん、んっ……ぅん、ぁは……覚えてて、くれたんだ」
快楽に潤んだ瞳で優一を見つめながら、美咲は嬉しそうに目を細めた。
「いじって……内田くんの指でイかされたい」
囁きの中にはちきれそうなほどの色香を詰めて美咲が誘惑する。それに抗うことなど誰ができようか。
「んっ、アっ、あ、ぁ、ア──っ!」
ぞりっ、ぞりっ、と容赦のない愛撫が始まる。中指の腹で美咲の大好きな場所をとらえたまま、激しく擦りあげる。
それに合わせるように美咲も腰を動かし、際限なく快楽が高まっていく。
「あっ、ぁはっ……ぁ、イくっ……うちだくん、あっ、ンあっ、イク、イクっ……あっ、だめっ……!」
優一の背中に爪を立てながら抱きついてくる美咲。優一の指に犯されている秘所は、ベッドに染みができるほど涎を垂らしている。
緩んだ顔で甘い声を上げ続け、絶頂がせりあがってきているのがわかった。
「三枝──いいよ、イけっ……!」
「んっ、ぅあっ、ア──っ、イクっ、いぐ、イクぅっ……!!」
がくんっ、と美咲の腰が跳ね上がる。下半身が痙攣しているのか、彼女の尻は宙に浮いたまま返ってこない。
ぽたぽたと本気汁が垂れ流され、優一の手をべちょべちょに濡らしていく。そして、中指を包む膣肉は弱い締め付けの中に強い痙攣を混ぜて絶頂していた。
「っあ、ぁ、あ……ん、っン、あ……イって、る……っ、あ、おまんこ、すっごぃ……ぁ、ぁう……またイクっ……っあ──」
かくん、かくん、とはしたない腰使いで、美咲は快楽の余韻を貪っていた。その間、優一はゆっくりと指を動かしていた。
抜き差ししたりはせず、指の腹でゆったりと擦り合わせる。そうすると、美咲の口から甘い吐息が漏れてまた甘イキを繰り返す。それを何度も何度も続けていた。
「っは、はぁ……ぁ、すご……まだ、おまんこ、っは……じんじん、する……」
ようやく腰がベッドに降りてきた頃、呆然とした顔で美咲が呟く。
ゆっくりと指を引き抜くと、美咲の体がまた小さく震える。開放された優一の手は、中指だけでなく手のひらまで愛液で濡れていた。
「うちだ、くん……」
荒い吐息を繰り返しながら、焦点の定まらない目が優一に向けられる。
「交尾、しよ……」
どく、と心臓が暴れる。いつかの雨の夜と同じ言葉。
優一の心を見透かしたような笑みを浮かべ、美咲は続ける。
「覚えてる……? あの時、ぐっちゃぐちゃになるまで種蒔いてくれたよね」
「っ、覚えてるよ。……忘れられるわけない」
「ふふ、よかった」
安堵したように、だがどこか蠱惑的な表情だった。
「ごっこでいいから、さ──また私と子作り、シて……?」
ごろん、と体を返し、力の入り切っていない手足で四つん這いになる美咲。
わざとめくりあげられたスカートの下。肉付きのいいむっちりとした白い尻がむき出しになっている。
その割れ目には、すぼまった尻穴と、雌の入口。だらしなくひくつく彼女の生殖器は、ぽたぽたと愛液がベッドに滴り落ちている。
「わかっ、た。──今日は、絶対孕ませてやるから」
雄の本能をむき出しにした優一に、美咲は満足そうに笑った。
優一は膝立ちになって、彼女の尻に勃起したモノを這わせた。きめ細かな肌の感触が擦れるだけで気持ちがいい。きっと、この尻にこすりつけて射精するだけでも極上だろう。
「挿れる、ぞ」
「ぅ、ん……っあ──!」
紺色のスカートごと彼女の腰をつかみ、先端を突き入れた。まるで優一の肉棒のためだけに作られたように、簡単に飲み込まれる。
亀頭を飲み込んだ膣肉がむしゃぶりついてくる。それを擦りながら、ずぶぶ、と奥まで力強く挿入した。
「っあ……、ぁ、う……っ、す、ご……おちんぽ──子宮、までとどいて……っ、ぉ、あっ……」
数か月ぶりに味わった、三枝美咲の膣内の感触。きついのに柔らかい。矛盾した快感が支配する肉壺は、何度味わってものけ反りそうな感覚だった。
「さえ、ぐさ……我慢できない、から──動くぞ」
「ん、ぅん……いいよ、ンっ、犯して、いっぱい種蒔いて──」
本能のまま誘惑してくる美咲。発情期の雌のようなその言葉に突き動かされ、腰をゆっくりと引いた。
ずるる、と逃がすまいと柔肉が縋りついてくる。それだけでも十分気持ちがよかった。
そして、カリ首まで引き抜いた後、快楽を押し込むようにぐっと挿入した。
「ぉ、あ……っ」
子宮から押し上げられるような声が美咲の口から漏れ出る。
また同じように抜いて、挿れる単純な動きを繰り返すと、今度は子宮口がかぷりとかみついてきた。名残惜しく思いつつも再び長いストロークをすると、挿入した瞬間に膣穴全体が肉棒を抱きしめてきた。
「ぁ、あっ……あー……すっご──っは、あ、ぁン、うちだくん、の──ぁ、んぁ、はぁっ……おちんぽ、なっがい……あ、ぉ……」
緩慢な動きなのに、美咲の声は獣そのものだ。奥に突き入れると、膣肉と子宮口の出迎えとともにはしたない嬌声がこぼれる。
彼女のいやらしい反応をそうして堪能しながら、じっくりとその身体を味わう。膣の感触ももちろんたまらないが、白い柔肌も負けていない。
余分な肉のついていない細い背中は、子宮口を押し上げるたびに弓なりに反る。腰を受け止める尻にはむちむちとしていて、ぐりぐりと押し付けると確かな弾力が返ってくる。
「さえぐさ、これ……っ、すご──あんまもたない、かも」
「っあ、ぁ……っ、ん、はぁ……いい、よ……ぉ、射精したく、なったら──ンぁ、いつでも、っあ、ぅアん……っ、すきなだけ、だして──んぁ、はぁ、ンっ……」
長い時間その快楽を味わっていたいのに、身体はさらに強い刺激を求める。ひとりでに腰の動きは激しくなっていく。
愛液まみれの肉棒を引き抜き、ずぱんっ、と一気に挿入する。火花のように一瞬の強い快楽が全身を突き抜け、次はもっと強い刺激を、と繰り返す無間地獄。
「あっ、んぁ……っ、あっ、ア……っ、お……っ! あ、ぱんぱんって、はげしいの、すきっ……あっ、んぁ、あっ……うちだ、くんっ……もっと、ぁ、いっぱいシてっ……!」
高まっていく興奮をさらに加速させる、美咲の甘い言葉。本能のまま、優一は美咲の両腕に手を伸ばした。
そして両手でがっしりとつかむと、ぐい、とその華奢な状態を引き起こした。
「っ、あ……!?」
膝立ちにした美咲を、後ろから容赦なく犯す。びくびくと激しく痙攣するが、お構いなしとばかりに腰を叩きつける。
「あっ、ア、んぁ、あっ──!! あっ、お、っんオっ……これ、あっ、すっごい……っ、あっ、きみに、ぜんぶ──あっ、んぉ、あっ……ぜんぶ支配され、てっ……あっ、ぅあっ……!!」
がくがくと膝を震わせながらも、美咲は嬉しそうに淫らな嬌声を上げる。激しい動きにベッドは軋み、彼女の豊満な乳房はだぷだぷとはしたなく揺れている。
ナカは先走りと愛液でどろどろで、挿れるときも抜くときも淫らな水音が響く。子宮口を膨らんだ亀頭でえぐる度に膣肉が強く締め付けてきて、射精欲を一気に引き上げてくる。
「三枝、さえぐさっ……やばい、もう出るっ!」
「あっ、んぁ、あっ……! んっ、うんっ……ぉ、ほっ、いい、よ……っあっ、わたしも、イクっ、ぁ、イくからだしてっ……あっ、はぁ、ぅおっ……いっぱい、種付けしてっ……!!」
最後に思い切りピストンをして、限界のところで強く腰を叩きつけた。
「んおっ──!!」
ごちゅ、と子宮口に先端が入り込む。そのまま射精が始まった。
「あ、っあ、ぁあ……っ、すっご……っお、ぁ……ほぉ……っ、せーし、っお、ナカ、ぜんぶだされ、て……っ、あ、しゃせー、すっごい……」
どぷん、どぷん、と重々しい吐精が繰り返される。鈴口が子宮口にぴったりとはまり、美咲の一番大事な部屋に直接子種が注ぎ込まれる。
どぽ、と白濁の塊が彼女の子宮の壁を撃ち抜くたび、びっくん、と美咲の身体が反る。彼女は、射精の脈動ごとに絶頂を繰り返していた。
「あ、ぅあ……ぁ……ん、うちだ、くん……っん、ぁ、もっと、たねづけ、してっ……ぁ、オ……っ、にんしん、させて……っ」
「は、ぁ……ああ、もっと出るっ……う、全部、出すからっ……」
ぐい、と彼女の体を引き寄せ、さらに奥まで入り込む。その刺激でまた射精する。どびゅん、とどろどろに濁った精液が美咲の子宮を満たしていく。
無限に続くかと錯覚する絶頂の渦。二人は甘い声を漏らしながら、快楽の波が引くまで一つに溶け合っていた。
──コトが終わった後、二人は衣服を着てそそくさとホテルを後にした。気まずさもあったが、あまり遅くなってはまた美咲が怪しまれてしまう。優一もそれだけは避けたかった。
「それじゃあ」
駅のホーム。到着した列車の前で優一に振り向き、美咲は軽く手を挙げた。
先ほどの行為の気恥ずかしさのせいか、あまり目を合わせてこなかった。
「えっと、うん。気を付けて」
ん、と美咲はうなずいて、列車に乗り込んだ。
本当は優一も同じ列車に乗れば帰れるのだが、一緒にいるところを見られるのはお互いにまずかった。
「ドアが閉まります。ご注意ください」
アナウンスが流れて、ドアがスライドして閉まった。美咲は窓越しに優一を見ていた。
そして、ゆっくりと鉄道が動き出す。その瞬間、美咲の口元が動いた。
『またね』
そう口にしたように見えた。