「なずな、ちょっとしゃがんで」
「あ…」
足から力が抜けた。目線が一気に下がると、教室の床の上で膝立ちにさせられる。
おかしい。だって変。今までみたいな違和感は何もないのに、私の意思を無視してまで、彼の言葉で身体が動く。
それは、今までのほうがマシだと思うくらいの恐怖だった。
仕方ないと、イヤイヤでも、半ば洗脳に近くても、彼の言葉に従っていたのは私自身。だけど、今はもう、その私ですら必要にされてないみたいで心が竦む。
体の良い人形、欲望を解消する為だけのオモチャ。
彼にとっての私は、ただのクラスメイトですらなくなっていた。
「これ、舐めて?」
「これって。え? だって、それ、は…」
ズボンのファスナーが下がっていく。
ベルトが外れ、下着が落ち、飛び出すような勢いで顔を出した男の子のモノ。
初めてな訳がない。もう何度も目にしたし、何度も酷い目に合わされてきた。
だって、言うのに…。
彼のモノを目にした途端に心臓が跳ねた。
ドキン、ドキンと、鼓動が強く刻まれる。
緊張からだと思いたかった。恐怖からだって信じたかった。
その先端に視線が釘付けにされて、見ているだけで頬を熱くさせられる。
「やだっ。あ、ぃゃっ、みせないで、そんなの…」
逃げ出したい。なのに身体は動かない。
それどころか、頬を熱くさせていたものが全身に回りだすと、下腹部が確かな熱を孕み始め、太ももの隙間が落ち着かなくなる。
「そんなのって、酷いな。もう何度も愛し合ったじゃないか、これでさ?」
「バカなこと言わないでっ。あなたの事なんて愛してなんか、全然っ」
でも、私の身体は覚えていた。口ではどれだけ否定出来ても、沸き立つ性感が抑えられない。
彼に抱かれた初めての夜。触れ合って、抱き合って、深い所までも許して、心まで繋がりあった幸せな夜を、私は未だに拭いきれないでいた。
それに、カラオケの個室で強引に犯された時の衝撃も、未だに心に残ったままだ。
恋人が隣の部屋にいる中で、感じさせられて、声を上げさせられて、訳も分からないまま絶頂させられ、大量の精液を受け入れる。
その全部の快感は、身体の深い所にまで刻まれていた。
ふとした瞬間、それと意識した途端に溶け出してくる甘い毒は、私の身体に快楽の熱を思い起こさせるには十分だった。
「でも、舐めたいだろ? 上手に出来たらまた気持ちよくしてあげるよ? なずな? 君の恋人が、してくれない分までさ?」
「なっ! アナタなんかが、彼のことを言わないでっ」
恋人の名前を出されて反射的に心が動く。
強い視線で睨みつけて、強張っていた身体が一瞬だけ浮き上がると、でも、それだけだった。
「彼は、アナタなんかと違って…っ、あ、やだ…っ、近づけないで」
彼のモノがグイと差し向けられる。すぐに触れられる程の距離。こぼした吐息に反応したのか、眼の前で跳ねたソレの先が唇を掠めていった。
「僕と違って、どうだって言うのさ? 君が、彼の、何を分かってるって? 一度だって抱かれた事も無かったんだろう?」
「それ、は…だって、アナタが。だって、だって…抱き合うだけが、全部じゃないから、だからっ」
それが悲しかった。初めてを恋人に託せなかった事。
そろそろかなって、お互い意識し始めてて。付かず離れず、そんな空気になった事もあったけど、結局キスを重ねるだけで終わってて。
こんな事になるんだったら、もっと早くにしてればよかった。
後悔したって私の処女は戻らない。後悔してる暇さえも貰えなかった。
「ま、良かったじゃない? フェラの練習までさせてあげようって言うんだし。これで、初めてする時もリードして上げられるんじゃないか?」
「良いわけないっ。誰がアナタのモノなんかっ」
「僕の、何? 言ってみて、なずな?」
「だからっ、アナタの…あ、くっ、ぁぁ…ぃゃ」
勢いで口走ろうとした言葉を慌てて飲み込む。
だけど、付いた勢いよりも手を引かれる力は強い。一度閉じた唇は、わなわなと震えながらも、喉の奥に引っかかっていた言葉が引き出される。
「ぉ…。おちん、ちん。いやっ、言わせないでっ、こんな…こんなのって」
「あははっ。おちんちんか、可愛い言い方をするんだな、なずなは」
「黙ってよっ。もう、やめて…私がアナタに何をしたって」
もう、懇願するしか出来なかった。
こんな風になるくらいなら、前みたいに心までも奪われてる方が幾らかマシだった。悪夢みたいな現実よりも、現実みたいな悪夢の方が、まだ耐えられた。
夢から覚める。たった1つの希望さえ奪われて。
「じゃあ、僕と勝負だね、なずな」
「勝負って…なに?」
「アプリも消えたんだ。後は君次第だろう? 頑張って抵抗すれば逃げられるかも知れないよ?」
「それ、は…」
「だからさ、なずな。舐めてよ、僕のおちんちんを、恋人みたいにさ?」
「いや、言わないでよ…そんなこと。私に、命令しないで…お願いだからぁ」
彼の言うことに逆らえない。
違う。逆らってるつもりでも、突き出された おちんちんに指先が勝手に引き寄せられていく。恋人みたいにと言われただけで頬が熱くなり、その熱さと固さ、指先に感じる凹凸の一つ一つまでもが愛おしく、丸みを帯びた亀頭でさえ可愛らしく思えてくる。
自分から、唇を近づけていった。
自分から、唇を開いていった。
まるで恋人にするみたいに、私は自から進んで、彼のおちんちんに口づけをした。
「いや、いやぁぁ…やだぁぁ…ん、ちゅっ…はぁ、あ、ちゅっ、ぺろ…」
嗚咽と、すすり泣き。勃起した おちんちんを前にして、私は泣きながら、その亀頭に唇を捧げてしまう。
肌に感じる熱い塊。ビクビクと蠢くそれは、私の手の中で身動ぎを繰り返す。
汚い、気持ち悪い。こんなのが自分の中に挿っていたなんて吐き気がする。
だって言うのに。
感じて、喘がされていた記憶も確かにあって、思い出す度に、ゾワリゾワリと下腹部から染み出す性感に、身体を落ち着かなくさせられる。
わなわなと震える唇。抵抗したくても身体が思うように動かない。
ちゅっ、と。おちんちんの先端にキスをした。
ぺろっ、と。舌先でそれを舐めあげた。
その匂いと、味と、感触に触れ、えづきそうでも吐けなくて、私の舌先は、おちんちんへの愛おしさに奉仕を繰り返してしまう。
「あはははっ。上手だよ、なずな。僕の気持ちいい所、ちゃんとわかってるじゃないか。やっぱり、相性いいんじゃない? 僕たち」
「うっ、んっ…ちゅっ…はぁ、ちが、そんな…ぁぁ…っ」
笑いながら、笑われながら、髪を撫でられる。振り払いたいのにそれも出来ない。
否定の言葉を紡ぐはずの舌と唇は、おちんちんへの奉仕に囚われたまま、涙を流すことでしか、自分を守る事が出来なかった。
その匂いと、味と、感触と。
その全部が、私を興奮させてくる。
先端から滲む先走り。その奥に感じる精液の気配に、頭がくらりと揺れる。
褒められて、頭を撫でられると妙な達成感さえも感じて、おちんちんへの奉仕が嬉しくもなっていた。
「はぁっ、くっ、なずな、もっと強くして? ほら、口の中に挿れるよ」
「んふっ、ちゅっ、れろ…へ? あ、やっ、んちゅっ…んぅぅぅっ!?」
撫でられていた髪を掴まれる。
そのまま ぐいと突き出された おちんちんが、口の中を埋め尽くし、喉の入り口にまでその先端を届かせた。
「んっ、はぁっ、つっ、やぁ、だ、だして、んちゅ、ちゅっ…あふぅ…はぁ」
「出してって? もう精液欲しくなったの? いいよ、僕もそろそろ…」
「ちがっ、あっ…ゃぁ、んぅ…れろ、あ、はぁっ」
喉が支えて息苦しい。なのに、私の舌はそれでも おちんちんへの奉仕を繰り返そうと、入ってきた太い塊に舌を這わせてしまう。
両手で頭を抑えられ、自分から逃がすことさえ許されない。
本当に、ただ使われているだけ。
私の口を女性器の代わりにして、道具みたいに扱われる事が、ただただ悲しい。
同じレイプをされるなら、まだ自分を求められていた方がよかった。
私にはそれだけの価値があるって、嫌でも、女扱いされていた方がマシに思う。
「なずなっ、だすよっ。全部…くぅぅっ、のんでっ、ほら、ほらぁぁっ!!」
「え、んっ、んぅぅぅぅ、ゃっ、ぁ、んっ、んっ、ぅっ!!」
口の中でおちんちんが大きく膨らんだ。
ビクビクと震えながら、流れ出る先走りの量が増え始める。それは、混ざった涎と一緒にグチャグチャと響き、頭の中にまで嫌な水音が伝わってくる。
喉にまで届いた おちんちんの先端が、さらに奥へと落ちていき、逃げ出そうとしても、抑えられた頭は動かせない。振り払おうと首を振っても、奥にまで入れられた おちんちんが抜け出る訳も無く、射精の瞬間、私に許されたのは、ただ、口を開き、それを飲み込む事だけだった。
「んっ!? ん、ぁっ、つっ、んくっ…ん、んっ、んくぅ…うぁ、ぁぁぁっ」
吐き出せない。
おちんちんが震えて、弾けて、喉の奥に直接精液が流し込まれてる。
胃の中に落ちる熱い塊、喉にへばりつく気味の悪い感触。
ドロドロ、ダラダラ…。
溢れた精液が、口の中にまで逆流してくる。舌に精液の苦味を感じると、鼻の奥から すえた匂いが抜け出していった。
「けほっ、かっ…ぁぁぁっ、のんで、私…いやぁぁぁっ、ぇっ、かはっ」
射精の終えた おちんちんが口から引き抜かれ、私はその場に崩れ落ちた。
えづいて、吐き出して、精液の飛沫を床にばら撒きながら、咳き込む度に、その匂いと味にむせ返ってしまう。
それの、何が一番辛かったって…。
ゾクリと、身体が震えてしまっていた。
それはまるで、初めて抱かれた時と同じ、期待の色によく似ていた。
口辱の嫌悪よりも興奮が勝り、心臓が痛いほどに高鳴りだす。
ドキドキして、ゾクゾクさせられて、それは性感を抱えていた私の下腹部に強い快感を招くと、自分の女性器から嫌でも熱いものが染みてくる。
「なずな。服を脱いで、裸になって。あ、でも、リボンと靴下はそのままでも良いかな?」
「…っ」
その指示に肩が震える。抵抗しようとして竦んだ身体は、だけどそれだけだった。