デートをして、ホテルに泊まって、同じ部屋に二人きり。
それで何もないと信じられるほど、子供ではいられなかった。
期待、してなかったわけじゃない。
今日は土曜日で、明日も休み。
それでデートなんて言われたら、きっとそういう事にもなるんだろうと、下着はそれなりに良いものを用意したつもりだった。
初めてのホテル、知らない部屋。
パリッと仕立てられたベッドは、いかにも清潔で、そこに腰を下ろすのでさえ躊躇われる。
「いい部屋だね」
部屋に入って荷物を下ろす。慣れない部屋に少し緊張しながらも、ホテルに泊まるという特別感に、ソワソワと落ち着けず、自分の子供っぽい心境がちょっと恥ずかしい。
一休み、一息ついて身体を伸ばした後、窓辺に寄り添い外の景色を眺める。そこには、綺羅びやかにライトアップされた遊園地が美しく輝き、夜の街中を一層賑わせていた。
もう少し休んだら夜のイベントに言ってみようか? そんな話をしていると、半ば割り込むように彼に声を掛けられる。
「朝霧さん」
「なに、峯岸くん?」
夜景から目を逸らし、振り返るとすぐ側に彼がいた。
髪を撫でられ、頬に触れられる。そのまま顎を持ち上げられると、近づいてきた彼の顔にドキリとさせられた。
「遊園地…。夜のイベントは良いの?」
「僕には、こっちがメインイベントなんだ」
「デリカシー…。もう、イヤじゃないけど準備くらいさせてよ…」
彼を押しのけ、逃げ込むようにお風呂場に入る間にも、私の胸はこの後の期待で高鳴り続けていた。
でも…。
先にお風呂に入ったのは失敗だったかもしれない。
ホテルなんて非日常が私を少し大胆にもさせていた。
折角 選んできた可愛い下着も、見せる機会が無いというか…。どうせ脱がされるんだから、お風呂上がりに着替えるよりも、このまま出ちゃったほうが、彼の気を引けるかもしれない。
「…おまたせ」
悶々としたまま身体を洗い、準備をすませた後、結局は、バスタオルの一枚だけを身体に巻き付けてお風呂から上がる。
明るい所で晒す肌は、自分の体を嫌でも意識させてきて、貧相…とは言わないでも、豊満でもない自分の体型が悩ましい。
ここをもう少し、後少し、大きくなったらとか、言い出したらキリがない欲望は、だけど、食い入るような彼の視線を受けて少しは慰めになっていた。
「…脱いだ方が、良い?」
「うん、見たい」
一も二もなく頷いた彼の前で、私は巻き付けていたタオルに指をかけた。
それだけで、引っ掛けていただけだったタオルはスルリと解け、湯上がりで火照った自分の裸を頼りなく抱きしめる。
「…」
「…」
どうしよう。どうしたら良いだろう?
裸を晒したまでは良いものの、彼は私を見つめるばっかりで、何も言ってくれないのが気にかかる。
がっかりさせたなんてことは絶対にない。
今だって、私の裸を舐め回す彼の視線は、決して無関心なものなんかじゃなく、意識するほどその視線にくすぐったくさせられる。
普段、人に見せることのない部分までもさらけ出して、必要以上の羞恥心が私の肌を敏感にさせているみたいだった。
「ねぇ…私ばっかり、裸じゃ、なんか…やだ。峯岸くんも脱いでよ…」
「あ、うん。ごめん…」
衣擦れの音とベルトが重なる軽い金属音。
緊張と興奮が彼の手元を狂わせて、服を脱がせるのにも難儀させているみたいで、彼も私と一緒なんだと分かると、少しだけ安心する。
「じゃあ…こっちに?」
「うん。おじゃま…します」
裸同士の二人。年頃の男女が同じ部屋。
少し広めのベッドの上で寄り添い合うと、自然と二人の顔が近づいていく。
湿った唇の感触。
お風呂上がりの私とは違っていて、空調で冷やされたのか、彼の唇は少し冷たく、カサついていた。
けど、それも、一回、二回と触れ合わせている内に、お互いの唾液が乾いた肌を潤して、段々と水気を帯びていく。
ぴちゅ…ぴちゃ…ちゅぅ…。
触れるだけのキスから、より強く、より深くに唇を吸い合わせると、聞き慣れない水音も聞こえてくる。粘ついていて、絡みつくように、ともすれば嫌悪感を覚えかねない音も、今だけは私の興奮を強くしてくれた。
重ねた唇の隙間から入り込んでくる彼の舌先。薄く開いた唇から彼の舌受け入れると、私の舌が絡め取られていく。
まるで抱きしめられてるみたいに力強い。そのままじゅっと口の中を啜られると、私の唾液が彼の口の中へと吸い込まれていった。
「はぁ…はぁ…っ。んっ、えへへ、キスだけでも、ちょっとクラクラするね?」
「うん、こんなに良いとは思わなかった」
「なにそれ? 今まではそうでもなかったの? ちょっと傷つくんだけど…」
「ごめん、そうじゃなくて。改めて なずな が可愛いなって、僕」
可愛いなって、普段なら照れくさい言葉だったけど、それ以上に私の心に響いたのは、私の下の名前を彼が呼んでくれたことだった。
「あ…名前」
「ダメだった?」
「ううん。その、透…くん」
お互いに下の名前を呼び合って、照れ隠しのように唇を寄せていく。
酸欠か、過呼吸なのか。性的な興奮も手伝って、心臓が早鐘を打つと同時に、荒くなった呼吸が熱っぽくなる。胸が苦しい、頭がぼぅっとする。息を大きく吸い込みたいのに唇を離せない。
キス…。そうだね、私もこんなに良いとは思って無かった。
ただ唇を重ねるだけ。言ってしまえばそれだけの行為なのに。薄い肌の向こう側から、彼の好きが伝わってくるみたいで恋心が満たされる。
口の中に彼の舌を受け入れる。好きな人の体の一部が私に入ってくる、それは、どうしたってこれからの事を予感させて、グチャグチャと、口の中から聞こえる水音にいやらしいものを感じてしまう。
溢れた唾液が行き交い、混ざって、それがどちらのものでもなくなって、頬の裏に溜ったそれを、コクリコクリと飲み込むと、それがありもしない媚薬みたいに私の身体を熱くしてくれた。
「あ…んっ」
キスをされながら、彼の手が胸に重ねられる。湯上がりの湿った肌は、まるで磁石みたいに彼の指先に吸い付いて、指先の重さにその膨らみを沈めていった。
男の子の大きな手に包み込まれ、柔らかく形を変えられる私のおっぱい。
慣れない性感が刺激され、背筋をくすぐったくさせられると、それがだんだんと焦れったいものに変わってくる。
エッチだなとか、なにがそんなに良いんだろうって思う。
男の子はいつだって、おっぱいを追いかけてるみたいなイメージはあるものだけど。大きさや形が気にかかるのは私も同じで、それが自分の魅力に繋がる事は、踏ん切りがつかないでも頭の何処かでは分かっていた。
「ん、ちゅっ…はぁ。ねぇ、どうかな? 私の…その、おっぱい」
「どうって?」
「わかんないよ。けど、あるじゃん…大きさとか形とか、触り心地とか、なんか、そういうの、男の子の方が詳しいでしょ?」
それで、なんて答えて欲しかったのか。
ただ少しでも褒めてもらえれば、それで満足だったのかも知れない。
比較されるのが億劫で、でも気になって。
漫画や、グラビアの世界にみたいに、あんなにおっぱいが大きいと、女の子の自分でだって目がいってしまうし、現実で出会ったら圧倒されしまうことだろう。
敵わない。とは分かっていても、ただ一人だけでも良いから、自分の おっぱいを褒めて欲しいと思うのは、そんなに変なことでも無いはずだ。
「それじゃ僕が、遊びまくってるみたいじゃないか」
「思わないけど。見る機会は多いでしょ? なにとは言わないけど、色々さ?」
「まぁ…。じゃあ、もっと触って見ても良い?」
「それは…うん」
ただ触れるだけで、優しいとも違う触り方。胸に重なるだけだった彼の手の平が動き出すと、マッサージでもするみたいに確かな刺激に晒される。
繰り返される その刺激に、胸の膨らみから、じわり、じんわりと、くすぐったさの中に性感が混ざり込む。
「ね、ねぇ…それ、何か楽しいの?」
女の子からすれば、そんなの恥ずかしいばっかりで、なにか物足りない様な刺激は焦れったいものでしか無かった。
もっと、ちゃんと、して欲しい。
そう思えば思うほど、興奮は強くなり、知らず知らずに擦りあった太ももは、自分を慰めるように動いてしまっていた。
「いや、なんか、撫でてると気持ちいいじゃん? 犬とか猫とかみたいな?」
「酷いよ、それは…。だって、それじゃ私…ペットみたい」
「ごめん、冗談。だけど、僕にとっては、なずなのが一番だから、そんなに心配しないで欲しい」
「他の人の、見たりしない?」
「見るだけは、許して欲しいかな…」
「じゃあ…もっと触って? そしたら…その、私の方が良いなって思うよね? 触れる方が絶対、いいよね?」
何を言ってるんだろうとは思う。きっと、彼とエッチなことして、興奮しちゃって、それで変なテンションになってるだけ。
こんな事、自分がまるで えっちな女の子みたいで、普段なら絶対に言わないのに。
でも、実際はその通りでは合ったのかもしれない。
彼の手が私のおっぱいを包み込みながら、伸ばした五本の指を好き好きに動かしてくれる。揉まれる度に、指の間から押し出された柔肌が張り詰めると、その感触に性感を刺激された身体が揺れてしまう。
繰り返される胸への愛撫は、興奮へと繋がり、次第に私をその気にさせていた。
固くなり始めた乳首に気づいたのか、彼の指の間に乳首が挟まれる。
柔らかい指の腹に、挟まれ、擦られ、刺激を加えられると、ビクッと身体が震え、乳首から流れ出した甘い痺れが私に緩い快感を訴えてきた。
「はぁっ、あっ、ゃ、んっ…ふぁっ…ふぅ、ふぅ…はぁ…っ」
快感に、興奮が重なり、息が荒くなる。漏れ出す声に艶っぽいものが混ざりだし、それに気づいた私は慌てて唇を引き結んでいた。
「エッチな声。正直興奮する…もっと聞かせてほしいな?」
「バカっ…。そんな、触り方するから…んっ、ぁぁ…ダメって」
「そうかな? なずなが特別、おっぱいに弱いのかもしれないし?」
「うそっ。冗談ばっかり言わないで…」
だけど、どうしてだろう?
胸を揉まれながら、乳首を弄られる。ぞわりぞわりと、大きくなっていく性感に、背中の震えが止まらなくなっていく。それがどうしてか、気持ちいいと受け取るのに時間はかからず、その内にもっと触れて欲しいとまで思うようになっていた。
ああ、どうしよう。これ、私、なんか気持ちよくなってる…。
少しでも自覚してしまえば、身体の変化は早かった。
中途半端だった乳首の勃起は、それと分かるほどに固なる。
胸を揉まれる度に、おっぱいの中で性感が捏ね回されて、ふるふると、揺れる乳首から伝わる刺激が私を甘く痺れさせてくる。
「あっ、やだっ…そんな、エッチなの…」
「ダメなの?」
「それは…」
強くなる性感が怖くなり、反射的に彼の手を掴まえてしまっていた。
だけど、そこから先がどうにも辛い。刺激が緩み、高まっていた性感が遠のいていくと、今度はそれが欲しくなる。
もっと、もっとと、本能的な部分で求められれば、私なんかの理性じゃ、それを押し止めるには弱すぎた。
「透…くん。わたし、もしかして、我慢させちゃってる?」
「してないと言えば嘘だけど。なずなも、結構我慢してない?」
「私は…そんなエッチなんかじゃ」
「嘘だ」
「へ? あ、やだっ…そこは、まだ…んっ」
無意識にこすり合わせていた太ももは、緩い自慰を私に促していた。
おっぱいを愛撫されて、興奮して、気持ちよくなって、それは当然のように直接的な刺激を期待しまう。
太ももの内側は既に愛液で濡れていた。
そこに入り込んできた彼の指はスルリと滑り、隠していた筈の割れ目の方へ伸びてくる。
「グチャグチャじゃん? どれだけ期待してたんだよ」
「違うの…。これは、そういうんじゃなくって…」
どうにか変な誤解を解きたくて、言葉を並べても上手く形にはなってくれない。
とっくに私の身体は性的に興奮していて、慣れないながらも愛液を滲ませた女性器は、すでにエッチの準備を終えている。
期待されてたと言われてもしょうがない。
事実その通りでもある。
しょうがないはそうだけど、あんまりエッチな女の子だと思われるのは恥ずかしい。かと言って、消極的になり過ぎて、彼をがっかりさせたくもないし。その舵取りの辛さは、きっと男の子には分からない部分だったろう。
「じゃあ、いつなら良い?」
「いつって…」
「なずなが大丈夫になるまで、頑張るよ僕」
「んんぅぅっ、急にさわっちゃっやっ、はぁ…っ、はぁ…んっ、んっ!!」
さっきまでより強い刺激だった。
乳首を震わせていた甘い痺れ以上の性感は、確かな快感へと繋がり、心と身体を悦ばせてくる。
彼の指先が、私の女の子の部分に触れてくる。
ただ、入り口を撫でるだけで、それ以上は進まずに、行ったり来たりを繰り返された。
ゾクリ、ゾクリ…。股間から、何かが這い上がってくるような刺激だった。
その刺激に身体を浮かれさせ、甘い痺れに悦ぶと、次第に力が抜けていくみたいな感覚に襲われる。
行ったり、来たり、入り口を、割れ目の筋をなぞるだけ。
溢れた愛液が薄く広がり、くちゅり、くちゅりと、太ももの隙間から聞こえてくる いやらしい水音に顔を熱くさせられる。
感じてる。自分が思った以上に私の身体は快感に弱かった。
ただ、好きな人に触れられている。それだけで、期待が声になって喘いでしまう。
「ん、ひぅっ!? やっ、そこ…は…」
「ここなら良いと思ったけど」
「そこも、だめ…だから」
割れ目の入り口をなぞりながら、時折、からかうみたいにして彼の指先にクリトリスの表面をくすぐられる。
その度に、ビクッと身体を強く反応させられ、堪えていた嬌声が唇を艶めかせてしまっていた。
「なずなは我儘だな。それともやっぱり、おっぱい触られる方が嬉しい?」
「へ? あっ、やぁぁっ…!? あ、はぁっ…」
それもダメ、アレもダメと、余りの恥ずかしさに些細な抵抗を繰り返していると、不意打ち気味に乳首を摘まれた。快感に全身が震え上がり、かと思えば、膨らんだ風船から空気が抜けるみたいに力が抜けて、自分の身体なのに だんだんと自由が効かなくなっていく。
「と、透…くん。分かったから。もう、いいよ…私、だいじょう、ぶだから」
「良いって、何が?」
「デリカシー…。意地悪だよ…それは」
結局、先に堪らなくなったのは私の方。
もしかしたら彼が先に折れてくれるかもしれないという期待もあった。「ごめん」と謝りながらも押し倒されて、無理矢理エッチに持ち込まれる。
男の子だもの。私の準備もできてたし、それぐらい乱暴でも良かった。
でも、優しい。と言うよりは、彼は少し意地悪で。私の性感帯を刺激し続ける一方で先には進んでくれない。
胸を揉まれ、乳首をいじられ、割れ目とクリトリスを可愛がられる。
快感は大きくなり続けるだけで、一向に解消させてはもらえない。
水の溜まったコップにボールが落ちたみたい。一瞬、中身は溢れ返るけど、溢れかえった分だけコップは狭くなり、次の余裕を無くされる。
快感が広がり、身体が軽くなって、力が抜ける。
もどかしくて焦れったい。絶頂に達するわけでもなければ、ふわりと浮き上がるだけの快感は、良い所を前に引いていく。
そんな事を繰り返されると、私のほうがもうダメだった。
「えっち…エッチしていいから。透くんも…その、もう我慢しないで、ね?」
それが私の精一杯。それでも、どうにか続きを言おうとして彼の股間に目を向けると、既に大きくなっていた おちんちんに視線を奪われ、息を呑んでしまった。