エロシーンはありません。裸になったり標準なんとかポーズをしたりしますけども。
シャワーですっきりと身体の汚れを落としてから要はバスルームを出た。控えていた周藤が要の身体を柔らかなバスタオルで丁寧に拭く。その傍らに立つ野木が要に一礼した。
「優一郎様がお呼びでございます。身支度を整えられ、部屋に来るようにと」
「判ったわ」
要は微笑を浮かべて野木に返事した。野木が失礼します、ともう一度礼をしてバスルームを出て行く。要の身体を拭いた周藤が、今度は下着をかごの中から取り上げる。要は周藤の手につかまれたショーツに足を通した。
「本日のブラジャーはいかがなさいますか?」
そう言いながら周藤が籠の中を指し示す。そうね、としばし考えを巡らせてから要は頷いた。
「ワイヤーのない絹地のものにしてちょうだい」
「畏まりました」
恭しく頭を下げて周藤が籠の中から丁重に一枚のブラジャーを取り上げる。要は周藤に服を着せてもらいながら今日の演習のことを思い出した。やはり蒼にはまだ勝てない。あれで全力でないというのだから、上には上がいるものだ。
が、次は絶対に勝つ! 要はそう決意しながら天井にこぶしを向けた。周藤が慣れた調子でするりと要のこぶしを避ける。要はひとしきり天井に向かって勝利宣言をしてから脱衣室を出た。
要の部屋はゆったりとした間取りになっている。そして要の趣味に合わせ、置かれた調度品は豪華だ。天井からはシャンデリアがぶら下がり、部屋の隅にはアンティークのステレオが設えられている。大きな真空管のスピーカーから流れているのはクラシック音楽だ。床には毛足の長いペルシャ絨毯が敷かれ、置かれたソファセットはフランス製だ。要はゆったりとソファに腰を下ろして息をついた。すかさず野木が要の傍に跪き、手にしたトレイを恭しく差し出す。要は出されたアイスティを笑顔で受け取った。
この部屋は優一郎の研究施設の地下一階にある。本来は研究室として作られていたこのスペースを要はメンテナンス用にと強引に借り受けたのだ。置かれた家具等は全て要が持ち込んだものだ。素気なかった壁や天井には内張りの別の内装を施してある。
だが要はこれとは別に地下二階にも部屋を与えられている。だがそこには野木と周藤は入ることは許されていない。地下二階は優一郎の関係者の中でも特に重要な位置を占める者しか入ることを許されていないのだ。
要はいつもはこの地下一階の部屋で過ごしている。地下二階にある要の部屋もそれなりに整ってはいるのだが、どうも居心地が悪いのだ。
ゆったりと茶を飲む要の髪を周藤が丁寧に乾かしていく。決して傷まないよう、注意深く髪のもつれを解いて櫛を入れる。要は安心して周藤に身支度を任せていた。周藤と野木に任せておけば間違いはない。そう思いながら要は空になったグラスを野木の差し出したトレイに乗せた。
いってらっしゃいませ、という二人の声に送られて要は地下二階に向かった。そのうち、この施設は地下三階を作るのだという。そのためにも地上の王である立城に粗相があってはならない。地を司る龍神の機嫌を損ねてしまったら、その地は不幸に見舞われる。
エレベーターを降りて要は静かに優一郎の部屋に向かった。ドアを軽くノックする。参りました、という要の声を受けて中から優一郎がどうぞと返事した。それを聞いてから要はそっとドアを開いた。
優一郎の部屋は要のものとは対照的にとても機能的だ。無駄なものは一切、置かれていない。要は部屋に入り、ドアを閉めて優一郎に笑みかけた。
「要さん、ごきげんよう」
にこやかに笑みを浮かべる優一郎に要はお辞儀をした。
「ごきげんよう、優一郎さま」
そう挨拶してから要はその場に腰を下ろした。とりあえずの挨拶ですわ。そう呟いて要はスカートをたくし上げてショーツをずり下げ、股間を露にしてみせた。標準的なポーズと教えられた格好をした要に優一郎が頷いてみせる。
「それでは、失礼」
要に近付いた優一郎が膝をつく。要の股間に顔を伏せた優一郎がクリトリスに口づける。要は軽く呻いて熱い息を漏らした。優一郎にそうして触れられただけで股間が熱くなる。要はうっとりとした眼差しをして優一郎の背中を撫でた。顔を上げた優一郎を熱のこもった眼差しで見つめる。
「新しい女性器ユニットはまだ不安定だと思います。申し訳有りません」
そう言って優一郎が伏目がちになる。要は小さく笑ってずれていたショーツを直した。スカートを戻したところで先に立っていた優一郎に手を差し出され、要はそれにつかまって腰を上げた。
「そんなことありませんわ。わたくし、この身体をとても気に入っておりますの」
そう答えて要は楚々と笑った。確かに以前に比べて多少、女性器ユニットは壊れやすくなっている。だが要の機体にはこれまでなかったものがこめられているのだ。それも当然だろう。
ちょっと長いのと、エピソードの半ばで雰囲気が変わるのでここで切りました。