※この作品はR-18です。

魂の座 四部 苺の季節   作:伊駒辰葉

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珍しくキレますw
エロシーンはありません。


さすがにキレる優一郎 1

 乱れたシーツの上にピンク色のローターが転がっている。優一郎は苦笑してそれを見つめた。渚にこんなものを使わせた覚えはない。優一郎はリモコンをつかんでそれを金属のトレイに入れた。それから改めて渚を見る。機体は正常な状態を維持はしているが、どうやら渚は眠りについているようだ。

 

「目覚めていたとは不覚でした。申し訳ありません」

 

 眠っていると知りつつも優一郎は渚に頭を下げた。本来なら渚には金龍神の宝珠が揃うまで眠っていてもらう予定だった。だがどうやら渚にかけた術の強度が足りなかったらしい。優一郎はベッドの脇の端末の電源を入れ、検査用のスティックを渚の膣内に挿入した。カメラは死んでいたが、渚の機体には現場の記録は残されている筈だ。そう優一郎が思った通り、渚のログは生きていた。渚が目で見たままの映像がモニタ画面に映し出される。

 

「区別がつかないほど追い詰められていたのか……」

 

 愕然と呟いて優一郎は額を覆った。椅子に腰掛けた優一郎はちらりとベッドに横たわる渚を見やった。渚は穏やかな寝息を立てている。だが水輝がこの部屋に現れた時にはもう、渚は追い詰められてしまっていたのだ。眠りから覚めていた渚が水輝と紫の婚約の件などを知っていたことは、ログを見れば明らかだ。

 

 画面に映っていた水輝の様子が唐突に変化する。優一郎は目を細めて映像を一時停止した。画面の中に映る水輝の髪が染まり変わっている。恐らくこの部屋に来た時の水輝の人格は元のままだったのだろう。だが渚と交わる内に別の何者かが水輝の意識を抑えこんでしまったのだ。

 

 渚が何故、頑なに水輝を拒んでいたのか。その理由を優一郎は何となく理解した。恐らく渚は水輝と交わればそうなることを知っていたのではないだろうか。水輝は渚と交わることでその人格が崩壊する。渚は言わば水輝にとってある意味では危険極まりない存在なのだ。

 

 だとすると、渚をヒューマノイドとして維持していくのはやはり無理だ。渚が心から愛しているのは水輝ただ一人だ。そんな渚のマスターを別の誰かに書き換える訳にはいかないし、何より渚がそれを受け入れられないだろう。そして水輝の側もどんなに好いていたとしても、渚を無防備に抱くことは出来ないのだ。

 

 優一郎は背もたれに深く身を預け、口許に指をあてがった。一時停止していた映像が再び動き始める。ぼんやりとそれを眺めながら優一郎は考えを巡らせた。

 

 この件をストレートに立城に伝える訳にはいかない。やっと精神的に落ち着いていたところにいきなり知らせてしまっては、またへそを曲げられかねない。かと言って何もありませんでしたとごまかせる相手でもないのは確かだ。何しろ奈月まで呼び寄せてしまっているのだ。優一郎が例え黙っていても立城は何かあったと勘付くだろう。

 

 どうするかな、と呟きながら優一郎はベッドの端に乗せていたトレイを何気なく取り上げた。ピンク色のローターは電池が切れたのか、リモコンのスイッチは入っているのに動いていない。じっとそれを見下ろしていた優一郎はやがてしかめっ面になった。

 

「母上はいったい何をやってるんだか」

 

 呆れたため息を吐いて優一郎は力なく首を横に振った。このローターは間違いなく立城が水輝に挿入したものだ。しかもご丁寧に自分が帰宅するまでそのままで、と立城は水輝に命令を残して去っている。結局、水輝は快楽を与え続けられたられたことにより、意識が飛んでしまったらしい。

 

 優一郎は渚に処置をしてから部屋に戻った。水輝の額に絞った小さなタオルを乗せていた奈月がおかえりなさい、と顔を上げる。優一郎はその声に応えてからベッドに歩み寄った。

 

 横たわった水輝の顔色はそれほど悪くはない。が、恐らく疲れきっているのだろう。熟睡しているようだ。そんな水輝の寝顔をしばし眺めてから優一郎はふと視線を動かした。奈月の握っていたパンフレットが水輝の脇に置いてある。

 

「奈月さん、お疲れ様です。母上のほうには僕から伝えておきますから」

 

 そう言って優一郎はにっこりと微笑んでみせた。水輝の横で心配そうな顔をしていた奈月が戸惑ったように優一郎を見上げる。

 

「母上にはゆっくり休んでいただいて、水輝さんと旅行でもしていただいたほうがいいと思うんですよ」

 

 優一郎はにっこりと笑って首を傾げてみせた。するとそれまで口を引き結んでいた奈月がぱっと明るい顔になる。一転して嬉しそうに微笑みながら奈月は水輝の脇に置いてあったパンフレットを取り上げた。

 

「そうですよね! このパンフレット、紫さんに渡していただけますか? わたし、今日いろいろ調べてきたんです!」

 

 そう言いながら奈月が優一郎に向けてパンフレットを開いてみせる。そこには『らぶらぶ新婚カップル 豪華客船七日間の旅』と大きな文字が入っていた。優一郎はまじまじとパンフレットと奈月とを見比べた。嬉しそうに微笑みながら奈月が優一郎の手にパンフレットを押し付ける。




滅多にキレないんですけどねー……。
違う意味ではキレキレですけどw
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