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静かに応接室を退室した要はドアを閉めて疲れた息をついた。どうした、と心配顔で白銀が告げる。もしかして心理攻撃かしら、と疑いながら要は何でもありませんわ、と笑顔で答えた。
白銀と共にグランドに出る。広々としたグランドの端にはたくさんのテントが建てられている。広いグランドの西の端に建てられた他より大き目のテントに要は向かった。このテントには四方を覆う形で布が被せられている。ロボットの状態をいち早く読み、要に的確に指示を出すための言わば作戦室だ。戦闘が始まったらこのテントのカバーはグランドに面した部分だけ取り払われることになっている。
「お待たせ致しましたわ」
そう告げて要はテントの中に控えていた優一郎に優雅に一礼した。そんな要の脇で白銀が会釈をする。
「要さん、お疲れ様です」
笑顔で告げた優一郎が軽く頭を下げる。要はとんでもない、と首を振った。
「優一郎様こそお疲れではないんですの? だって寝ていらっしゃらないのでしょう?」
要は優一郎に歩み寄って周囲の者達に聞こえないよう、潜めた声で告げた。すると優一郎が苦笑して首を傾げる。
「龍神として立ってから、そのあたりはかなり融通が利くようになりましたから、安心してください」
優一郎もやはり潜めた声でそう答える。要はなるほど、と頷いてちらりとテントの中を伺った。今日、ここには周藤と野木、ヒューマノイドの部員の他に木村重工の関係者もいる。彼らは龍神の存在すら知らない人間だ。
要はテントに詰めた人々を見やってから改めて優一郎に向き直った。そこで眉を寄せる。んー? と言いながら要はじっと優一郎の首筋を見つめた。優一郎の首にはうっすらと赤い痣が残っている。
「優一郎様? どうしましたの? これ」
小声で言いながら要は優一郎の首筋を指差した。その瞬間、優一郎が素早く首を手で押さえる。
「いえ、まあ、いろいろと」
珍しく動揺したように優一郎が声を上ずらせる。要は不思議に思いながら首を傾げた。要を始めとするヒューマノイドたちは、自分から優一郎に吸い付くような真似はしない。となると。要はしばし思案してからぽん、と手を打った。
「殿方には色々と事情がありますものねっ。判りましたわ! わたくし、口が裂けても他言しませんことよ!」
最初は小さかった要の声がせりふの後ろに向かって大きくなる。テントに詰めていた者たちが一斉に要を見る。
「か、要さん。それでは最終セッティングを開始しましょう」
どもりながら告げて優一郎が要の背を強く押す。そうですわね、と答えて要は優一郎に言われるままにテントを出た。隣に建つ別のテントに入り、要は優一郎を振り返った。このテントも先のものと同様、四方は布で覆われている。要は敷かれたシートに腰を下ろし、ショーツを手早く脱いだ。
「女性器ユニットの状態をチェックします。標準M字開脚のポーズをとって下さい」
そう言いながら優一郎もその場に膝をつく。要は言われるままに膝を折り曲げて腿を左右に大きく開いた。要の足元に膝をついた優一郎が白衣のポケットから取り出したスティックを膣内に挿入する。要は唇を噛んで快感に声が漏れそうになるのを堪えた。
「昨日、損傷を受けたにも関わらず完璧に整備されていますね。周藤さんと野木さんの整備士としての技量はかなりのものだ」
検査用スティックに接続された携帯端末の画面を見ながら優一郎が感心したように告げる。要はにっこりと笑ってありがとうございます、と答えた。
「要さん。ロボットの性能はほとんど全ての面で向こうのほうが上だと覚悟してください。ただ、反応能力だけはこちらのほうが有利です」
真剣な表情で優一郎が告げる。要も真面目な面持ちで頷いた。
「そうですわね。確かにデータを見る限り、あちらのロボットの性能は悪くないですわ」
要は絵美佳の作ったロボットのデータを諜報部を用いて探らせていた。詳しいところまでは判らなかったのだが、どうやら性能的にはこちらを上回っているらしいことだけは判った。が、要するに力がどんなにあってもそれを使うのは搭乗者だ。となると、最終的には搭乗者の技量に全てはかかってくる。
「反応速度があれば上等ですわっ」
要は力強くこぶしを握り、そう告げた。
「こちらから、仕掛けるのは不利です。相手の動作にリアクションする形で、カウンターを狙う戦法が有効だと思われます」
「所謂、受け流して反撃、若しくは避けて反撃ですわねっ」
優一郎の言葉に頷きながら要は言った。力んだ拍子に検査用スティックの脇から愛液がこぽりと音を立てて漏れる。あら、ごめんなさい、と呟いて要は持っていたハンカチで漏れた愛液を拭おうとした。だがそれより早く、優一郎が白衣のポケットから出したハンカチで丁寧に要の股間を拭う。
「相手の動きを上手く見切れば、かなりのダメージを与えられるはずです。健闘を祈ります」
そう言いながら優一郎が要に頷く。要はそれに頷き返してからふと思いつくままに訊ねた。
「そういえば今日は多輝はどこに居るんですの?」
首を傾げた要の膣から優一郎が静かにスティックを抜く。ハンカチで丁寧にそれを拭いながら優一郎は苦笑した。斎姫は先のテントに居たのは確認したが、多輝の姿がないのだ。要は不思議に思いながら首を傾げた。
「多輝には、ちょっとした余興をやってもらうことになっています。ロボットのセッティングが完了するまでにまだ間がありますからね」
「あら。何だか面白そうですわ」
でも、わたくしは多分、見られませんわね。少し残念な気分で要はそう答えた。それからショーツを穿いて立ち上がる。テントを出た要はグランドに佇んでいる巨大ロボットを見上げて腰に手を当てた。ギャラリーは徐々に集まりつつある。来賓用の大きなテントには客たちが現れ始めている。それを横目に要は天に向かって叫んだ。
「待ってなさい、吉良絵美佳! 今こそ、積年の恨み、晴らして差し上げてよ!」
そう言って要は声高らかに笑った。
透=絵美佳なのですが……。
この辺りを書く時、代名詞というか、名詞がごちゃってるんですよね(泣)
読みづらかったらすみません。