※この作品はR-18です。

魂の座 四部 苺の季節   作:伊駒辰葉

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エピタイ通りですw
エロシーンはありません。


結局は嫉妬というか愚痴?w 1

「僕、帰っていい? 水輝が戻ったら直接、話にくれば済むことだし」

 

 俯いて立城は小声で言った。

 

「いえ。ここで待ってください」

 

 約束したし、と優一郎が告げる。立城は深々とため息を吐いて額を覆った。頭痛がどんどん酷くなる。痛みを堪えて顔をしかめ、立城はのろのろと頭を上げた。綺麗に表情を変えて優一郎に笑みかける。

 

「そういえば斎姫さんと婚約するのはやめたんだって?」

 

 笑顔で問い掛けて立城はまたティカップを取った。半分ほど残っていた紅茶を啜る。

 

「はい。斎姫や多輝と話し合って決めました」

「ふうん。そう。好きだからプロポーズしたって言ってたのに」

 

 紅茶のカップを両手に包み、立城は薄い笑みを浮かべて告げた。

 

「斎姫のことは愛していますよ。でもそれ以上に多輝の事が好きなんです」

「そうか」

 

 じゃあ、おめでとうと言うべきかな。立城はそっとカップの中に呟いた。残っていた紅茶を飲み干してカップをテーブルにそっとのせる。それから立城は膝の上に肘杖をつき、横を向いた。

 

「母上は、今でも父上の事を最も愛してらっしゃるのですか?」

 

 静かに優一郎が訊ねる。立城はぼんやりと部屋の中を見つめてため息をついた。

 

「よく……判らない」

 

 呟くように答えて立城は微かに目を細めた。頭痛がより一層酷くなる。

 

「母上は、水輝さんのことを、本当に愛してらっしゃるのですか?」

 

 更に優一郎が問う。立城は横目に優一郎を見つめ、苦笑した。

 

「訊いてどうするの? そんなこと」

 

 どうせ僕の意志なんて関係ないのに。そう続けてから立城はまた横を向いた。

 

「自分の意志だけで決められることなんて、世の中にはほとんどありませんよ。これは誰でも同じです」

 

 母上だけが特別なわけではありません。そう続けた優一郎に立城は小さく笑った。それからため息混じりに告げる。

 

「だから聞いたところで無駄でしょ? 僕が何を思い、どう考えているかなんて関係なく世界は動いているんだから」

 

 立城は肘杖をついた手で強くこめかみを押さえた。頭痛は酷くなる一方だ。

 

「だからといって、意志が無関係なわけでもありません」

「だからなに?」

 

 横を向いたままで立城は低い声でそう訊ねた。どうせ全ては夢物語だ。こんな風に破れるくらいなら、儚い夢のままであって欲しかった。そんなことを思いながら立城は何気なく肘杖を解いて正面を見た。いつの間にか優一郎は真剣な顔で立城を見つめている。

 

「母上は、どうなさりたいのですか?」

「それは僕の希望を訊ねているの?」

 

 足を組んでソファに寄りかかりながら立城は訊ねた。力を抜いて背もたれに身体を預けるとほんの少しだけ頭痛が和らぐ。

 

「そうです。母上は水輝さんに何を望んでいるのですか? また、僕に何か望むことはありますか?」

「なにも」

 

 立城は即答した。もう、何も望んでなどいない。夢は散ってしまった後だ。立城はそう答えて淡い笑みを口許に浮かべた。ほんの少し、せめて一欠片でも自身の意義を確かめられれば良かったのに。誰かの子を孕んで産み落とす。それ以外の自身の意味を全く見出せなかった。

 

「僕や水輝さんでは母上のお役には立てないと、そういう事ですか?」

「僕の役に立つという意味かどうかは知らないけれど、とりあえず君たちには僕を孕ませることは出来るらしいね」

 

 ああ、彼もか。そう付け足して立城は苦笑した。一匹のメスになれと言っていた順を思い出す。順も恐らく孕ませることの出来る一人だ。そうでなければ興味など抱かなかっただろう。

 

「水輝さんとの間に子を為すことが、そんなに嫌なのですか?」

「僕の意志など関係ないだろう」

 

 訊いてどうする。立城は低い声でそう続けて目を細めた。腕組みをして優一郎を見つめてみる。

 

「関係があるから訊いています。どうしても嫌なものを無理強いするのは酷だと思いますから」

「僕の意志を尊重してくれるということ?」

 

 そう言って立城は小さく笑った。真剣な面持ちをした優一郎に笑みかけて立城はため息を吐いて俯いた。

 

「心がないのに孕まされるのは……ちょっとね」

 

 だって好かれていないもの。立城は呟くように言った。

 

「そう、ですか……」

 

 優一郎がそう答えて思案顔になる。立城はそれを見てああ、と苦笑した。

 

「いいよ別に。気にしなくて。……でも渚さんは気にするかな」

 

 立城はそう告げて疲れた顔で笑った。すると優一郎が困惑気味に告げる。

 

「渚さんのところに転移したことが、そんなにショックだったんですか? あの時、水輝さんは違う意志に乗っ取られていたんですよ?」

 

 伺うような優一郎の顔を見つめ、立城は肩を竦めた。

 

「どうしてそう断言できる? あれが水輝の本心だったらどうするの?」

 

 ローターに残った記憶を読んだ立城の目には水輝が誰かに乗っ取られたようには見えなかった。確かに快楽に狂った状態ではあったが、渚の元に跳んだ時、水輝は間違いなく本人だった。

 

「実際に対しましたから」

「……紫翠?」

 

 少し潜めた声で答えた優一郎に立城はそう訊ねた。優一郎が静かに頷いてみせる。立城はため息をついて弱々しく頭を振った。頭痛はどんどん強くなりつつある。痛みに眉を寄せて立城はこめかみを指で強く押さえた。




ぐるぐるしすぎだと思うのですが、これまでの水輝の所業を考えると仕方ない気が……。
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