次は九章です。
「何で……僕なの……?」
切なそうに目を細め、立城が小声で言う。水輝は立城の首筋に舌を這わせながら小さく笑った。
「決まってんだろ。お前を愛してるからだ。欲しいって思っちゃいけないか?」
恥ずかしさを必死で堪えて水輝は言った。その瞬間、立城が息を飲んで目を見張る。あー、くそ、恥ずかしいなもう。照れ隠しにそうぼやいて水輝は手早く立城のショーツをパンティストッキングごと摺り下げた。
「嘘?」
まさかね。立城が弱々しくそう呟く。だー、と叫んで水輝はがばと顔を上げた。
「そこはかとなく、激しくまじだ! おれは! 大体、優一郎のこの城で半端な嘘が吐けると思うのかよ!?」
「だって僕を抱かなかったじゃないか!」
水輝の叫びに立城が引っくり返った声で喚き返す。半ばやけくそで水輝はそれに叫び返した。
「おれだってやりたかったんだよ! でも、下手に抱いたらまじ出ししちまうし、そしたらお前の器は耐えられそうになかったんだよ! 転換期がどれだけ危険か、てめえわかってねえだろ!?」
一気に叫んで水輝は上がった息を整えた。立城が呆気に取られた顔であんぐりと口を開ける。水輝の顔は真っ赤に染まっていた。立城がしばし呆然と水輝を見つめ、次いでくすくすと笑い出す。
「真っ赤だよ、水輝」
「あー、くそ。判ってんだよ、んなことは!」
やけくそで叫び返して水輝は剥き出しにされた立城の股間に指を這わせた。すると立城の唇から甘い声が漏れる。濡れたクリトリスを指先で探りながら水輝は深く立城に口づけた。互いの舌を絡めながらそっと指を膣口に入れる。潤みきった膣口は易々と水輝の指を飲み込んだ。
「あっ! んっ……水輝!」
掠れた声を上げて立城が水輝の首に腕を回す。その声を聞くだけで水輝の背にぞくりとしたものが伝った。だが夢中になるとまずい。先に器を剥がさなければならないのだ。懸命に自制しつつ、水輝は立城に囁いた。
「いいか? 出来るだけ抵抗するなよ。下手に抵抗したら怪我するからな」
そう言いながら水輝は手早くペニスを引っ張り出した。昂奮にかたく屹立したそれを根元までしっかりと剥き出しにしてから立城の腿に手をかける。判った、と頷いた立城が大人しく片方の腿を上げようとする。が、ショーツとストッキングが絡まって足が上がらない。水輝は苦笑して立城のショーツとストッキングを足から完全に抜き去った。それから改めて立城の片側の腿を持ち上げる。
「あ、待って」
挿入の直前に立城が小声で制止する。何事か、と眉を寄せた水輝を強く抱き寄せ、立城は囁いた。
「僕も水輝が好きだよ」
「うわっ! ばか、今言うな!」
照れくささに真っ赤になった水輝は動揺のあまりにそう叫んだ。うわー、と力ない声を漏らす水輝にお返し、と立城が笑う。くそ、と呟いて水輝は霧散した術を編みなおした。立城がゆらりと片腕を上げて編みかけていた術に介入する。
「この方が速いよ」
そう言って立城がぱちん、と指を鳴らした瞬間、編もうとしていた術は一気に出来上がった。うわ、と呟いた水輝に立城が微笑みかける。器用さにかけては立城の右に出る者はない。やれやれと苦笑して水輝は改めて立城を抱え上げた。壁に立城の背を預けて一気にペニスを膣に挿入する。
「くふっ! うっああんっ!」
艶やかな立城の声が狭いエレベーターの中で響く。水輝は深い息を吐いて腰を揺すり始めた。頭のどこかが溶けてしまいそうなほどの快感が襲ってくる。だがそれを必死で堪えて水輝は立城の腰を抱いた。多くの人間から吸い取った力を編んで自分の下腹部に移動させる。立城にペニスを突き入れながら術を編む水輝の額に自然と汗が浮き出す。
「あっ! んあっ! みずきぃ! ああんっ!」
「い、く時、コール、しろよ。ちょっ……とそっちまで読んで、られねえ」
荒く息を吐きながら水輝は途切れ途切れに告げた。立城が甘い声を上げながら懸命に何度も頷く。水輝はペニスを介して立城の器に力を少しずつ注ぎこんでいた。こみ上げてくる衝動を懸命に堪えて口の中で呪文を詠唱する。
我、青の鍵、沙耶が願う。全ての生きとし生ける者よ。時と狭間に生きる者、混沌の主の許に集いし、五つの魂よ。
呪文を詠唱し始めた水輝の髪と瞳が一気に染まり変わる。冴えた青色を纏って水輝は言葉を繋いでいった。
かの者、紫の錠、その魂の座を正しきものへと導かん。
次第に意識が朦朧としてくる。水輝は許容量ぎりぎりの高位呪文を唱えていた。本来ならこの術は水輝の力では完成することが出来ない。だが、吸い上げた女性達の処女血が水輝の力となって補助をしてくれる。水輝は汗だくになりながら腰を強く突き入れた。激しい水輝の抽迭に立城が悲鳴じみた声をあげる。
「ああっ! 水輝っ! いいっ……いくっ! いっちゃうっ!!」
立城の嬌声を聞き取った水輝は術を一気に展開し、衝動に任せて射精した。仰け反った立城の膣内に大量の精液が注がれ、同時に力が渦となって立城の器に吸い込まれていく。
ふわりと立城の身体が浮き上がる。水輝は荒い息を吐きながら腰を引き、立城の膣からペニスを抜いた。それから両手を掲げて立城の身体をそっと腕に抱き寄せる。立城の身体の輪郭がぶれ、やがて器は二つに分かたれた。ごとん、と音を立ててヒューマノイドの機体が転がる一方、水輝の腕には生身の立城の身体が納まる。水輝は脱力感によろけて立城を抱えてその場に座り込んだ。
唐突にエレベーターが軽い電子音を立てる。閉じていたエレベーターのドアが開き、その向こうに優一郎が姿を現した。ぐったりと脱力した立城を抱え、水輝は力なく笑いながら優一郎に片手を上げてみせた。
何とか成功しましたw