※この作品はR-18です。

魂の座 四部 苺の季節   作:伊駒辰葉

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エロシーンの前哨戦? みたいな感じでしょうか。
ここにはエロシーンはありません。

TS警報です!!


鬼の居ぬ間になんとやら 1

 優一郎が部屋に戻ると水輝が当り前の顔で待ち構えていた。片手を上げてみせた水輝に苦笑し、優一郎はソファに近付いた。

 

「渚さんは、どうされますか?」

 

 優一郎は静かに水輝の向かいの席に腰掛けた。するとソファに寝そべっていた水輝が軽い掛け声をかけて身体を起こす。

 

「一旦は器を壊さないとまずいだろうが……その前に、だ!」

 

 膝を両手で叩いて水輝が指を一本立てる。

 

「抱かせろ」

 

 そう言って水輝が優一郎を指差す。何となく言われることは予測していた優一郎は苦笑して首を傾げてみせた。

 

「ではついて来てください」

 

 優一郎は立ち上がって水輝に手招きした。腰を上げた水輝が優一郎の後に続く。優一郎は部屋を出てエレベーターに向かった。廊下を歩く水輝の足音は不思議と静かだ。もしかしたらそういう歩き方をわざとしているのかも知れない。

 

 優一郎は水輝と共にエレベーターに乗り込んだ。一階層降りたところでエレベーターを降りる。地下三階にはホールの他に部屋が幾つか用意されている。その中の一つのドアの前で優一郎は足を止めた。金属製の頑丈な扉の前に立つとドアに設えた小さな硝子窓の中が光る。その後、ドアは音もなく開いた。

 

「へえ……個体識別が鍵になってるのか」

 

 感心したように言って水輝が優一郎の後に続いて部屋に入ってくる。広々とした間取りの部屋には生活出来るよう、調度品等は既に整えられている。簡易キッチンもあるため、茶をいれる程度のことは可能だ。

 

「ヒューマノイドの場合は複製が可能ですので、セキュリティチェックのたびにコネクトが必要ですけどね」

「へえ」

 

 珍しそうに水輝が部屋を見回している。この部屋は元々、予備の部屋として作ったものだ。が、機密に関わる事項を処理することを前提にセキュリティは万全に整えてある。おまけに城の最奥部として機能するため、上より更に強固な結界が張り巡らされているのだ。

 

「申し訳有りませんけどセックス中も立ち合わせていただきます。突発事故が起こらないとも限らないので」

 

 すらすらと告げた優一郎を水輝が訝りの目で見る。

 

「なに言ってるんだ? おれが抱かせろっつったのは、お前だぞ?」

 

 すらりと言われて優一郎は言葉を詰まらせた。あー、と笑って水輝が肩を竦める。硬直した優一郎を余所に水輝は椅子に腰を下ろした。

 

「えっと、あの、そのっ!」

 

 優一郎はうろたえて真っ赤になった。水輝が足を組んで肘杖をつき、にやにやと人の悪い笑い方をする。優一郎は引きつる頬を手で押さえ、困惑しつつ視線を落とした。

 

「何だ? 嫌なのか?」

 

 身体を起こして水輝が椅子に逆向きに腰掛けなおす。背もたれを抱えて笑う水輝を優一郎はちらりと見た。

 

「鬼の居ぬ間になんとやらって奴ですか?」

 

 そう告げた優一郎は自然と唇を尖らせていた。すると水輝がくすくすと笑い出す。

 

「おれは抱きたいと思ったらいつでも抱くし、別に他は気にしないけどな」

 

 水輝が椅子から立ち上がって優一郎に歩み寄る。優一郎は真っ赤になった顔を押さえて横を向いた。

 

「僕は気にします。嫉妬攻撃を受けるのは僕なんですからっ」

「ふーん。もしかしておれのこと嫌いか? 嫌なら無理強いはしないけど」

 

 首を傾げて水輝がじっと優一郎を見つめる。優一郎はしばし答えに窮して低く唸った。額を押さえてため息を吐く。

 

「だから、嫌いじゃありませんっていってるでしょう?」

「じゃ、いいんだな」

 

 真っ赤な顔で呟くように言った優一郎を水輝がにっこりと笑って見つめる。その表情を横目に見た優一郎は唇を引き結んで視線を逸らした。

 

「どうぞ」

 

 小声で言って優一郎は胸に指をあてがった。その手を潜らせようとした直前、水輝が手をつかむ。不思議に思って目を上げた優一郎の胸に、水輝が一気に手を突き立てた。その途端、激しい痛みが襲ってくる。呻いて反射的に身を屈めようとした優一郎の肩を水輝が片手につかむ。

 

「ちょっと中、見せてくれ。すぐに済む」

 

 緊張気味の声で水輝が告げる。優一郎はかたく瞼を閉じて息を殺した。遠慮のない力が器の中を這い回るたび、身体が酷く痛む。優一郎は必死で声を飲み込みながら薄く目を開けた。

 

 水輝の真剣な表情が見える。やがて水輝は優一郎の器にこめられた宝珠を手に取った。八色の龍宝珠を一つずつ水輝がつかんでは離す。

 

「……思った以上に進んでるな」

 

 そう呟いて水輝はもう一度、龍宝珠の一つをつかんだ。歯を食いしばって痛みを堪えながら身構えた瞬間、水輝の指が宝珠に潜る。痛みと快楽を同時に与えられた優一郎は声もなく仰け反った。

 

 身体が細くなり、髪が一気に伸びる。背を反らした優一郎の身体は女性のそれへと静かに変化した。床に崩れかけた優一郎の身体を水輝が両腕にしっかりと抱きとめる。

 

「何を確認していらしたんですか?」

 

 水輝の腕に抱え上げられたところで優一郎はそう訊ねた。水輝がベッドに向かいながら苦笑する。

 

「覚醒の度合いとか……まあ、その辺かな」

 

 曖昧に言葉を濁して水輝が足を止める。

 

「ごめんな。かなり痛かったろ?」

 

 そう言って水輝がゆっくりと優一郎をベッドに横たえる。

 

「あれくらい、平気です」

 

 にっこりと笑った優一郎の額に水輝が軽く口づける。優一郎はその感触に首を竦めた。ベッドに腰掛けて水輝が優しく優一郎の頭を撫でる。

 

「多輝とは大違いだな。あいつ、しょっぱなの時はすげえ痛がってたからなあ」

 

 きっとその時のことを思い出しているのだろう。どこか遠い目をして水輝がくすくすと笑う。今でも多輝は痛みにはとても弱い。もしかしたらその時のことがトラウマになっているのかも、と優一郎は考えを巡らせた。

 

「それでは服脱ぎますね」

 

 そう言って優一郎は白衣を取った。水輝がああ、と頷いて着ていたコートを取る。今日は手加減しないぞ、と笑う水輝に優一郎は苦笑してみせた。シャツのボタンを外そうとしていた優一郎の手をつかみ、水輝が慣れた手つきでボタンを外しだす。




実はこのエピソード、ずっと優一郎視点なのです(汗)
長かったので切り分けることにしました。
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