※この作品はR-18です。

魂の座 四部 苺の季節   作:伊駒辰葉

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とうとう、アレまで出てきます。
エロシーンはありません。


エピローグ 6

「何でお前がこんなところに居る! 白はどーした!」

 

 少女を指差しながら水輝が喚く。その場にいた多輝を除く全員が少女を見つめ唖然となっている。多輝は不思議に思いながら首を傾げた。割り込んできた少女の面立ちは何となく水輝に似ているような気がする。

 

「だって、上って退屈なんだもん。あんたたち見てるのもちょっと飽きたし」

 

 言いながら少女がどれどれ、とテーブルに乗った紙を覗き込む。

 

「ツインギターにするという手もありますけどね」

 

 いち早く正気に戻ったらしい優一郎がそう言って鉛筆の尻で頭をかく。ふむ、と少女が腕組みをしてからぱちんと指を鳴らした。

 

「ああ! 銀いるじゃない! あいつ混ぜないの?」

 

 ラッパ吹かせたら上手いわよ。そう少女が言ってにっこりと笑う。そこで多輝はおずおずと挙手した。

 

「あーのー。ところで、あんた誰?」

 

 そう言いながら多輝は少女を指差した。すると少女がえっ、と息を飲む。

 

「何で知らないの?」

 

 逆に問い返されてしまう。多輝は眉間にしわを寄せてテーブルを囲む面々を見た。一番、優しそうな奈月に目で問い掛けてみる。

 

「天輝さんです」

 

 奈月が口許に手をあてがってぎりぎりまで潜めた声で言う。ふうん、と呟いて多輝は首を傾げた。

 

「多輝と水輝と天輝って、えらく似た名前が集まったもんだな」

「あー、そうだな! ネーミングセンスにちょっと問題ありだよなっ」

 

 もの凄く嫌そうに顔をしかめて水輝が言う。何だよ、と多輝は勢いに思わず身を引いて訊ねた。だが水輝はそっぽを向いているし、天輝という名の少女は憮然としている。その横で一人、紫が声を殺して笑っている。

 

「これだけ人数いるなら二組にわけて勝負という手もありますよね」

 

 笑い混じりに優一郎が言う。面白そうだなあ、と順が即座に言う。が、すぐに順は困ったように眉を寄せた。

 

「卒業式のどさくさに紛れて演る訳だから、そう時間は取れないんじゃないかなあ」

「プログラムならどうとでもなりますよ。そういう学校ですから」

 

 そう言って優一郎がにっこりと笑う。おっ、自信満々だねえ。と順が茶化す。だが確かに清陵高校なら何とでもなりそうだ。多輝はうん、と腕組みをして優一郎の言葉に頷いた。

 

「じゃああみだか何かで分けるか?」

 

 そう言いながら水輝がテーブルを離れ、カウンターの中から新しい紙を持ってくる。テーブルに乗せられたそれに優一郎が線を引いていく。

 

「結局、何人なの?」

 

 背を向けて笑い続けていた紫が目尻を指で拭いながら言う。指折り数えた渚が九人じゃないかしら、と言う。優一郎は渚の言葉に頷いて九本の線を入れた。そこで水輝があっ、と声をあげる。

 

「待て待て。まだメンツいるかも知れないぞ」

 

 そう言って水輝が優一郎に目配せする。その場にしゃがんでテーブルに顎を乗せていた順が呑気に笑う。

 

「じゃあ、全員に打診して、改めて二組に分ける?」

「後から文句を言われたら逆に面倒ですからね」

 

 優一郎が笑い混じりに言う。すると順がよし、と言って立ち上がった。

 

「とりあえず……えーと。とーるくんには打診しとくね、オレが。で、天輝ちゃんは今日は泊まるトコあんの?」

 

 なければウチに来るといいよ。そう言って順がへらへらと笑う。すると天輝はとてつもなく嫌そうな顔をした。

 

「ざーんねんでした。あたしはメンテも兼ねて降りてきてんのっ。……というわけで、優一郎くん、お願いできる?」

 

 一転してしおらしい顔になって天輝が上目遣いで優一郎を見る。口許に手を組み合わせて目を潤ませる天輝を見て、多輝は思わず顔をしかめた。だがそんな多輝を余所に優一郎が微笑みを浮かべる。

 

「了解しました。きっちりオーバーホールしますね」

 

 優一郎が頷くと天輝がやったね、と満面の笑顔になる。その横で水輝が頭をかいて呟くように言う。

 

「栄子はおれがつかまえて訊いてくる。ちょっと用もあるし」

「用?」

 

 水輝の言った後に紫と渚の声が重なる。すると水輝はあー、と間延びした声を漏らしてそっぽを向いた。

 

「あら、水輝。私が行ってきてもいいわよ?」

「何ならわたしが打診しましょうか?」

 

 渚と紫が交互に言ってにっこりと笑う。すると水輝はいそいそとエプロンを外して奈月に手渡した。それじゃ、と言い残して水輝が脱兎の如く店を駆け出してしまう。そこで順がだらしない笑みを浮かべて言う。

 

「だから紫ちゃんはオレにしとけって言ってるじゃーん」

「絶対にお断りです」

 

 順の申し出をにべもなく紫が却下する。やれやれと笑って順はテーブルに紙幣を乗せて片手を上げた。

 

「じゃ、全員分の意見が揃ったら連絡してね」

 

 それじゃあねえ、と笑って順が黒田と共に店を出て行く。多輝はそれを目で見送ってから正面を向いた。いつの間にか水輝のエプロンをかけた奈月がカウンターで働き始めている。

 

「ご注文はありますか?」

 

 多輝と視線を合わせた奈月がにっこりと笑う。多輝はしばし考えてから試しにホットレモンを注文した。はい、と笑顔で答えた奈月がいそいそと冷蔵庫からレモンを取り上げる。それを見た多輝はおお、と感嘆の声を上げた。どうやらインスタントではないらしい。




そうだね! 似た名前が大量にあるね!(泣きそう
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