用件の一件目、です。
エロシーンはないですが、機械的なアレシーンが若干あります。
視界が開けると見たことのある景色が見える。どうやら水輝は立城の屋敷にいるらしい。立城の執務室に出たところで優一郎は目の前に立っていた水輝ににっこりと笑って会釈をした。
「……随分と唐突だなあ」
どうやら誰かと電話をしていたらしい水輝が呆れたような声を優一郎に飛ばす。ちょっと待て、と言われて優一郎は大人しく頷いた。受話器を手で押さえていた水輝が唇に煙草を咥えながら低い声で言う。
「いいかげんにしろよ、てめえ。誰にも言うなっつったろうが! おれは!」
途中から水輝の声が怒鳴り声になる。優一郎は傍にいた渚に勧められるままにソファに腰を下ろした。水輝は苛々と室内を歩きながら電話器に向かって罵声を浴びせている。電話の相手はよく判らないが、どうやら水輝はかなり怒っているらしい。
「いいかげん、マスコミ抑えろ! 本気で畳むぞ、てめえ!」
それだけ言って、水輝が床に受話器を叩きつける。カーペットが敷かれているというのに、電話器は水輝に叩きつけられた途端にばらばらになってしまった。肩でしばし息をしてから水輝が優一郎のいる場所に寄る。
「あー……待たせた。それで? 用件は何だ?」
ふて腐れた顔で水輝が言う。優一郎は挨拶抜きで水輝に頷いた。
「二件あります」
「じゃあ、まず穏やかな方から聞こう。……渚。おれにも茶をくれ」
優一郎に茶を出した渚に水輝が声をかける。だが渚は水輝には返事をせず、知らん顔をしてその場から去った。うあ、やな女だな。水輝がそうぼやいて頭をかく。それから水輝は盛大な欠伸をしながら優一郎の正面に腰を下ろした。
「まず、渚さんの件です。渚さんは今回の事件で限界に達しています。早急にマスター登録をお願いします」
言いながら優一郎はトランクをソファに乗せ、蓋を開けた。水輝が怪訝そうな顔で優一郎を見る。
「マスター登録って何だ?」
それを聞いた優一郎はふと手を止めて水輝を見た。どうやら水輝は電話の応対に追われて疲れているらしい。まだ電話の相手に対する憤りが残っているのかも知れないが、それにしても随分と顔色が悪い。
「ヒューマノイドの精神安定に必用な処置です」
「まあ、よく判んないが了解した。渚にそれをすればいいんだな?」
そう言いながら水輝がまた欠伸をする。やれやれとため息をついた水輝が指を鳴らす。するとテーブルの上の空気が揺れ、優一郎のものとは別にティカップが現れた。だが中身は優一郎に出されているものとは違うようだ。水輝が渋い顔でその茶を啜る。
「それでは早速行いましょう」
優一郎は白衣のポケットから通信機を取り上げた。渚の番号をコールする。その後、優一郎は滑らかな口調で告げた。
「渚さん。命を与えます。ショーツを脱いだ後に今すぐこの場に来て水輝さんの前で標準M字開脚ポーズを取ってください。余計な事は喋らないように」
しばしの後、慌ただしい足音がして執務室のドアが開く。現れた渚は怒りを満面に現しつつも優一郎の命令に従って水輝の傍まで歩いてきた。歯軋りしながら水輝の隣に腰を下ろし、スカートをめくり上げる。渚が膝を折り曲げて股間を水輝に晒したところで優一郎はトランクからマスター登録用のスティックを取り上げた。
「これを渚さんの人工膣に挿入してください」
「どっち向きだ?」
優一郎からスティックを受け取った水輝が眉を寄せる。優一郎が使い方を簡単に説明すると水輝は判った、と頷いて渚に向き直った。
淡い空色のスティックが渚の膣に埋まっていく。ほどなく渚の顔から完全に表情が消えた。
「精神パターン認識。マスター登録完了しました」
感情のない声で告げた直後、渚が勢いよく立ち上がる。スカートの中に手を入れ、スティックを自分で抜いた渚がぎらりと水輝を睨みつける。その後、渚は愛液に濡れたスティックを水輝目掛けて投げつけた。
「最低!」
そう吐き捨てて渚がその場からかき消える。辛うじてスティックが顔に当たるのを腕で避けた水輝が渋面になって優一郎を見やる。短くなった煙草を灰皿に押し付けながら水輝はため息混じりに告げた。