※この作品はR-18です。

魂の座 四部 苺の季節   作:伊駒辰葉

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エロシーンはありません。
某キャプターないちごな感じです!


カードキャ○ターいちご? 1

「ここの石を変えれば出来るかなあ……。あー、ここのもあれに変えて」

 

 多輝の動揺には全く気付かないのか、水輝は訳の判らない独り言を言っている。

 

「水輝さん、どうですか?」

「ああ。何とかなりそうだな」

 

 優一郎の質問に答えて水輝が顔を上げる。外せ、と言われて多輝は慌ててネックレスのチェーンを首から外した。それを手にした水輝が少しカウンターから離れる。

 

「おい、苺。お前、カードも持ってるだろ? 出せ」

「えっ!?」

 

 嫌に真剣な顔で言った水輝に多輝は慌てた声を返した。確かに梨恵からはアイテムとして何枚かのカードを預かってはいる。でも何故、水輝はそんなことまで知っているのだろう。多輝はカードの入ったスカートのポケットを押さえ、困惑の目で優一郎を見た。

 

「水輝さんに預けてみて」

 

 笑顔のまま優一郎が言う。多輝は恐る恐るポケットからカードを取り出し、それと優一郎とを見比べた。梨恵が一つずつ手で描いたのか、カードの表面には愛らしいイラストがある。

 

「で、でも、これってトランプみたいなもんだろ?」

 

 戸惑った多輝の声にああ、と優一郎が声を返す。

 

「そうか、多輝はこのビデオは見てなかった?」

「み、みてない」

 

 動揺のままに答えて多輝はちらりと水輝を見た。水輝は黙って手の中のペンダントを見つめている。その横顔は多輝がこれまで目にしたことがないほど真剣だ。

 

「ライブラリにあるはずだから、見ておくといいよ」

 

 紅茶を啜りつつ優一郎が言う。その口許には柔らかな笑みが浮かんでいる。多輝は曖昧に答えてから手の中のカードを見下ろした。カードは全部で二十枚。裏側は印刷してあるのか全て同じ柄だが、表の絵は一枚ずつそれぞれ違う。多輝は戸惑いながらカードから目を上げ、水輝を見た。

 

「ほら、さっさと寄越せ」

「……判った」

 

 とても嫌な予感がするが、仕方がない。優一郎が言うのだからと多輝はスツールを降りた。水輝にカードを渡す。それから多輝はカウンターの席に戻ろうと踵を返した。

 

 不意に何かが手をつかむ。焦って振り返ると水輝がいつの間にか多輝の手をつかんでいた。

 

「そのままそこに立ってろ」

「何でおれが!」

 

 多輝は思わず水輝の手を振り払って怒鳴った。すると間をおかずに優一郎が言う。

 

「多輝、水輝さんの言うとおりに」

「うっ」

 

 にこやかに言われ、多輝は思わず言葉に詰まった。渋々、水輝と向かい合った位置に立つ。よし、と頷いてから、何を思ったのか水輝は手にしたカードを天井に向かって放り投げた。

 

「何すんだ!」

 

 そう多輝が叫んだ瞬間、水輝の髪と瞳が一気に染まり変わった。よく見ると水輝が淡い青の光に包まれているのが判る。天井に向かって放られたカードが風もないのにゆらりと動き、一枚一枚に分かれて宙に静止する。多輝は仰天して口を開け放し、優一郎を焦って見返った。優一郎も相当、驚いたのか目を見張って宙に浮かんだカードを見つめている。一人、由梨佳だけがいつもと変わらない表情で座っている。多輝は慌てて水輝に向き直った。

 

「感謝しろよ、苺。おれがここまでサービスするのは稀なんだ」

 

 そう言って水輝がにやりと嗤う。待て、と言いかけて多輝は慌てて口を噤んだ。間近にいるのに水輝との間には深く広い距離感がある気がするのだ。何故だろう。今、口を挟んではいけない気がする。

 

「おい、優一郎。一応、こっちは結界張るが、そっちも保険の意味でかけといてくれ」

 

 のんびりとした声で水輝が言う。それまで驚きの顔でカードを見上げていた優一郎が慌てたように頷く。多輝はおいおい、と心の中で呟いた。そんな大技使うならここじゃなくて試験室でやれ。そう、胸中で多輝が呟いた瞬間、水輝がぱちんと指を鳴らす。

 

「そうか。ここは確かに狭いからな。じゃ、全員、闘技場にご招待」

 

 水輝が言った瞬間、多輝の視界が弾けた。その直後、一気に視界が晴れる。気付くと多輝は見慣れた吉良瀬の屋敷の敷地内にいた。蒼とよく使っていた闘技場の様子はあの時と変わっていない。多輝は慌てて振り返ってそこに優一郎と由梨佳がいるのを確認してほっと息を吐いた。

 

 畳張りの広々とした闘技場の真ん中に水輝が歩み出る。水輝の周辺にはカードが浮かんだままだ。

 

「二十枚あるからって、全部アニメ通りにする意味はないな。使えなきゃ無意味だし」

 

 そう呟く水輝に多輝は大股で近付いた。おい、いいかげんにしろ。そう多輝が言いかけた時、水輝は俯き加減だった顔を上げ、おもむろに由梨佳に声をかけた。

 

「由梨佳さん。男の時のこいつってコスプレはしないんだろ?」

 

 そう言いながら水輝が多輝を指差す。多輝は慌てて由梨佳を見た。由梨佳は畳に腰を下ろしてのんびりと茶を啜っている。その隣では優一郎が興味深そうな目で中央に立つ二人を見ている。二人とも完全に観客に徹するつもりらしい。

 

「あっ、はい。水輝く……様」

 

 それまでのんびりとしていた由梨佳が焦ったように告げる。それを見た多輝は訝りに眉を寄せた。水輝が苦笑して首を傾げる。




二次創作枠でしょうか、これ。
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