※この作品はR-18です。

魂の座 四部 苺の季節   作:伊駒辰葉

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実は、みたいな感じのとこにあるんですよねーw
エロシーンはありません。
やっとこのエピソードを分割できました(汗)


金龍神の宝珠の行方

 やれやれと苦笑して水輝はシガレットケースに手を伸ばした。煙草を抜こうとして眉を寄せる。ケースの中は空になっている。

 

「残りは機会を見て揃えてやる。一度によこせとか言うなよ。さすがにおれでもそれはちょっと無理だからな」

「言わないよ、そんなこと」

 

 俯いたままで立城が静かに答える。だがその声にはまだ震えが残っている。水輝は肩を竦めてから優一郎に目を戻した。

 

「それで? 渚はどうするんだ? 寝かせて放置か?」

「普通のヒューマノイドならそれも可能ですけど、渚さんの場合は眠りにつかせておけるのは一週間くらいかと」

 

 訊ねた水輝に優一郎が思案顔で告げる。そうか、と答えて水輝は唐突に話を切り替えた。

 

「ところでさ。煙草吸う奴っている?」

「あの、ここは一応学校の施設内でほとんど未成年なので」

 

 困ったように笑いながら優一郎が言う。なんだ、と呟いて水輝は背もたれに深く寄りかかった。買いに行くのも面倒だな。そう水輝がぼやいた時、それまでじっとしていた立城がいきなり立ち上がった。俯いたままで部屋の中を横切り、壁際に置かれていたテーブルの上から何かを取り上げる。立城はそのままソファまで戻って手にしていたそれを水輝の前に置いた。

 

「……もしかしてこれ、おれにか?」

 

 包装紙に包まれたそれを指差して水輝は立城に声をかけた。立城が無言で頷いてから席に戻る。水輝はどうも、と口の中で礼を言ってからそれを取り上げた。テープをきれいに剥がして中身を見る。するとそこには煙草とライターのセットが入っていた。透明なケースに入ったライターは銀色の細身のものだ。水輝は驚いて手の中のそれと立城とを見比べた。立城はまだ俯いたままだ。

 

「お土産。君ならそういうのがいいと思ったから」

「いや、まあ……ありがと」

 

 水輝は小声で言ってからケースから煙草とライターを取り出した。ご丁寧に煙草の銘柄はいつも水輝が吸っているものだ。水輝はありがたく煙草の封を切った。一本、咥えて火を点ける。水輝が煙を吐き出したところで立城が小声で言った。

 

「一つだけ聞かせて」

「んあ?」

 

 久しぶりの味に顔をほころばせていた水輝は瞬きを数度ほどして立城を見た。立城が顔を手の甲で拭ってから頭を上げる。立城の目は真っ赤になっている。泣きすぎだな、と苦笑して水輝は促す意味で顎をしゃくった。

 

「あの時に死んだのは本当に紫翠だったの?」

 

 静かな声音で立城が問う。それを聞いた水輝は煙草を咥えてさあて、と呟いた。

 

「それはおれも知りたいところでな」

 

 立城はまだ胸にしっかりと紫宝珠を抱えている。その横では戸惑ったように優一郎が二人の顔を見比べている。水輝は冷えた紅茶に手を伸ばし、乾いた喉を潤した。

 

「紫翠さんは死んでいない可能性があると?」

 

 疑問を覚えたのだろう。優一郎が慎重に言う。水輝はそんな優一郎と立城を見つめた。立城はじっと水輝を真っ直ぐに見つめている。

 

「少なくとも紫翠という名の龍神はあの時に死んだな。おれが殺したんだから間違いはない」

 

 刀で貫いた時の感触も覚えている。そう呟いて水輝は目を落とした。煙草を挟んだ右手を見つめる。

 

「すみません」

 

 消沈した声で優一郎が言う。いや、と苦笑して水輝は顔を上げた。

 

「別に詫びなくていい。思い出した程度では暴走したりはしないさ」

 

 そう答えて水輝は優一郎に笑みかけた。次いで、立城を見る。立城は水輝を見つめたままだ。

 

「紫翠は化け物じみてたっつっただろ。あの時に生きていた龍神の中で、紫翠の影響を受けていなかった者は一人もいなかった」

 

 だがその影響は代を経るごとに薄まってはきている。だからこうして立城や優一郎のように本来とは少し異なるケースで生まれる者が出ているのだ。そのことを水輝は言葉を選びながら説明した。

 

 渚がひた隠しにしていた理由がどこかにある。渚は紫翠の記憶を持っていた。だが、渚はそれを盗み見ただけで全貌を知る訳ではない。それでも渚は口を噤んでいたのだ。まだ裏には何かがあるはずだ。

 

「渚……さんか……」

「金龍神の属性は本質を見極めるところにある。真実を見つめ、物事を知る。その使命からは逃れられない」

 

 呟いた優一郎に水輝は淡々と答えた。それまで黙していた立城が目を細めて言う。

 

「君の中に記憶はあるでしょ? 何なら封印を解く?」

「それも危険だ。下手をすれば狂いかねない」

 

 恐らく紫翠は情報を小出しにするつもりだ。そして水輝が全てを知った時、止められる何らかの方法が生まれているだろう。例え立城が本気で水輝に刃を向けても、一度暴走を始めてしまった水輝を絶対に止められるとは言い切れない。

 

「とりあえず、様子をみるしかないのではないでしょうか? 綻びが生じた時に一気に動くしかないと思います」

 

 優一郎が頷いてそう言う。だろうな、と水輝が同意したところで立城が軽く右手を上げた。

 

「あの」

「何だ」

 

 水輝は煙草をふかしながら低い声で促した。すると立城が眉を寄せて手の中の宝珠を見つめる。だがすぐに立城は目を上げた。

 

「……金龍神の残りの宝珠は……吉良瀬の宝物庫にあるよ」

 

 苦しそうに顔を歪めて立城が言う。水輝は目を見張って立城を凝視した。




立城は隠しておきたかったのですけども。
まあ、無理ですよね!w
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