※この作品はR-18です。

魂の座 四部 苺の季節   作:伊駒辰葉

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ちょっとスカートめくるシーンはありますが、エロシーンはありません。


わたくしの学校に何の用ですの!? 2

「それではどうぞ」

 

 要の声に頷いた彼らが扉をくぐる。要は彼らの後ろからついて歩いた。とりあえず案内するなら地下一階の空いた部屋だ。そんなことを考えていた要の耳に不意に甲高い声が飛び込む。

 

「きぃゃあああああああああああああああああ!」

 

 盛大な声を上げた女性が腕に抱えていた立城を放り出して走り出す。

 

「うお!」

 

 焦った声を上げて水輝が花束を放り、宙に放られた立城を受け止める。タイミングよく奈月が手を伸ばし、花束をキャッチする。要は思わずお見事、と呟いた。

 

「きゃあああ! 可愛い可愛い可愛いわ!」

 

 悲鳴だか歓声だかを上げて女性が通りかかったメイドタイプのヒューマノイドの一人に抱きついている。それを見た要は眉を寄せた。どうも見たところ、あれはおかまのようなのだが、何故、女性型のヒューマノイドに嬉しそうに抱きついているのだろう。

 

「あー……忘れてた」

 

 立城を抱えて歩きながら水輝が低く呻く。なんですの、と要が問うと水輝はため息をつきながら言った。

 

「学は無類の可愛いもの好きなんだ」

「なるほど。あの人は学と言う名なのね」

 

 ふむ、と頷いてから要は学を見た。抱きつかれたヒューマノイドは困惑した面持ちをしている。しばし頬擦りをしていた学がまた歓声を上げる。今度は別のヒューマノイドに抱きついて学はその場で飛び跳ねた。

 

「すごいわすごいわ! ここって可愛い子ばっかりだわ!」

 

 嬉しそうに言いながら学がにっこりと笑う。それを見た要はなるほど、と呟いた。どうやら学はおかまではあるが、ヒューマノイドがとても好きらしい。そう理解して要は頷いた。

 

「お気に召しましたか?」

 

 ふと聞き覚えのある声がする。要は廊下の向こうから歩いてきた保美を見止めてごきげんよう、と会釈した。すると保美もお辞儀してごきげんよう、と答える。

 

「んまぁあああ! あなたもチャーミングよ!」

 

 抱きしめていたヒューマノイドを解放し、学が嬉しそうに微笑みながら保美の手を取る。ありがとうございます、と保美がにっこりと笑う。

 

「それでは皆様、少々手狭ですが、空いたお部屋にご案内致します」

 

 優雅に礼をして保美が歩き出す。要は何となく面白い物が見れそうで彼らについて歩いた。学というおかまの反応も面白いが、それを見ている水輝の反応もいつもと違って面白い。ついでに言うと、それをはらはらと見つめている鈴も面白いし、一人静かに微笑んでいる奈月も不思議な気がする。

 

「ねえねえ! ここにいるコってみんな奈月ちゃんと同じなの?」

 

 物珍しそうに周囲を見回しながら学が言う。それを聞いた要はほう、と感嘆の声を漏らした。水輝が驚いたように目を見張っているから、恐らく学にはこの施設のことは何も説明していなかったのだろう。二度ほど抱きついただけでそれを見抜くとは、学は只者ではないのかも知れない。

 

「厳密に言うと違います」

 

 にっこりと笑って保美が答える。確かに奈月はヒューマノイドではない。奈月には要たちのように人間の脳が組み込まれている訳ではないという。だとすると奈月はロボットと言い表すほかはない。

 

 空き部屋に案内された要たちのところに一人のメイドタイプのヒューマノイドが現れる。保美と入れ替わりに部屋に入ってきた少女はちょこん、とお辞儀をした。確か、学が二番目に抱きついた少女だ。少女は頬を赤らめて言う。

 

「こちらの責任者の吉良優一郎より、笹原学様にコールが入っています」

 

 それから少女はいそいそとスカートをたくし上げた。

 

「あら、アタシに?」

 

 学が目を丸くして自分を指差す。立城をベッドに乗せた水輝が息をついて頷く。

 

「そうなんだろ。通信を受ける時はクリトリスをつまんで回せばいいんだ」

 

 そう言ってから水輝が少女に顎をしゃくる。

 

「あらあらまあまあ。アタシが触ってもいいのかしら?」

 

 嬉しそうに笑ってから学が足取りも軽く少女に近付く。小さく頷いた少女にごめんなさいね、と詫びてから学はその場に膝をついた。学が指先で少女のクリトリスをつまむ。少女は軽く眉を寄せて小さく身震いした。

 

『ようこそ笹原さん。初めまして。この施設の長を務める吉良優一郎と申します』

「ご丁寧にありがとうございます。アタシは笹原学、ねねこ食堂の支配人……なのかしら?」

 

 優一郎の挨拶に応えてから、学が首を傾げる。そう言えばこんな風に名乗ったことはなかったわ。学がそう言って口許に手をあてがって楚々と笑う。仕草も喋り方も、果ては声すらも女性らしいのに、骨格がねえ。要は惜しい気分で内心で呟いた。

 

『僕の製作したヒューマノイドを気に入っていただけたようで、とても嬉しいです』

 

 穏やかな優一郎の声が響く。すると学は跪いたまま、こぶしを天井に突き上げた。

 

「カワイコちゃんばっかりね、ここは! まさに桃源郷!」

「いや、そりゃ力みすぎだ」

 

 学が叫んだ直後、水輝が疲れたように言う。だが学が聞いていないことを悟ったのだろう。水輝は壁に立てかけてあったパイプ椅子を幾つか開き、立ちっ放しになっていた奈月と鈴、そして要の傍に椅子を運んだ。要はありがたく礼を言って椅子に腰掛けた。最後に一脚、椅子を開いて水輝が腰を下ろす。




学は出すと色々やらかしてくれるキャラクタです……。
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