苺が出てきます。
「多輝!? 大丈夫かい?」
「うう」
慌てたように飛んできた優一郎に頷いて多輝はのろのろと立ち上がった。まだ痛みは残っている。が、動けないほどではない。痛む頭を押さえて多輝はそのままバスルームのドアを開けようとした。だがその手を優一郎がやんわりと押さえる。
「すぐに検査するから」
そう言って優一郎は多輝を素早く抱き上げた。身体が浮いた多輝の背中の翼が自然と床に向く。多輝は慌てて優一郎の腕から降りようとした。
「いや、あの! ちょっと待てっ! 服は先に脱いでからだな!」
必死で言いながら多輝は優一郎の胸を押した。だが優一郎は多輝を抱える腕に更に力をこめる。
「多輝、安静にして。これは命令」
静かな口調で優一郎が告げた途端、多輝は身動き出来なくなった。どんなに腕に力を入れようとしてもぴくりとも動かない。そうしている間に優一郎は足早にベッドに近づいた。
静かにベッドに横たえられる。多輝はそれでもまだ往生際悪く抵抗しようとした。が、どうやっても身体が自由に動かせない。多輝の背中の翼はベッドに横たわると同時にシーツに吸い込まれるようにして姿を消した。が、完全に消えた訳ではない。物を透過してしまうから見えなくなっているだけだ。
多輝は慌てて優一郎を見た。優一郎が当然のような顔で由梨佳の腹に手を伸ばす。多輝が息を飲む間もなく、優一郎は由梨佳の電源スイッチを入れた。
「宇田川さん。起きてください」
優一郎が静かに由梨佳に声をかける。多輝は必死で腕を動かそうとした。が、どうしても動けない。
「ま、待て」
掠れた声で多輝は言った。が、願いも空しく由梨佳がそっと目を開く。その途端、酷い罪悪感が多輝の胸にこみ上げてきた。
「宇田川さん。多輝の服を脱がせていただけますか? 頭を酷く打ったので検査したいんです」
身を起こした由梨佳が隣に横たわる多輝を見つめる。
「はい。了解しました」
素直にそう返事した由梨佳が多輝の服に手をかける。多輝は止せ、と思わず口走った。すると由梨佳がぴたりと手を止める。困惑した面持ちで由梨佳は多輝と優一郎とを見比べた。正反対の命令に混乱しているのだ。
「僕に見られるのが、嫌なのかな……。ちょっと席を外すよ」
消沈した表情で優一郎が告げる。多輝は慌ててそれを引きとめた。
「待て! 違う! 別に裸を見られるのはいいんだ!」
焦った多輝は思わず正直に言った。ベッドから離れかけていた優一郎が不思議そうな顔をして多輝を見る。多輝は真っ赤になって目を閉じ、判ったよ、と喚いた。
「それでは宇田川さん、続けてください」
「はい」
まるで何事もなかったかのように優一郎が告げ、由梨佳がそれに頷く。多輝はやけくそで目をかたく閉じ、そっぽを向いた。由梨佳の手がするすると多輝の服を解いていく。エプロンを取られ、ワンピースのファスナーを外す。多輝は時折、由梨佳の手の動きを感じ取って微かに呻いた。緊張感と焦りなどが重なって身体が酷く熱っぽい。ワンピースを取り去られたところで多輝は真っ赤になった。多輝の股間を愛らしい苺模様のショーツが覆っている。それが露にされた瞬間、優一郎が吹き出すのが聞こえ、多輝は泣きそうな顔で目を開けた。
「わっ、笑うことないだろ!」
せめて女性の身体の時くらいは可愛いものを身に着けてみたい。そんな多輝の趣味は下着にまで及んでいた。由梨佳が穏やかな笑みを浮かべて多輝のブラウスを剥ぎ取る。そこで多輝はしまった、と唇を噛んだ。今度はショーツと揃いの柄のブラジャーが露にされている。多輝は反射で下着をコーディネートしてしまったのだ。
「そういえば、苺パフェとか苺ショートとか好物だったね。君は」
やっぱり女の子だなあ。そう言いながら優一郎がくすくすと笑う。多輝は真っ赤になったまま優一郎を睨んだ。
「別に苺に特に思い入れがある訳じゃなくて! これは、その……ええと」
だが上手い言い訳を思いつけない。多輝は涙目になって唇を尖らせそっぽを向いた。由梨佳が静かに多輝のブラジャーとショーツを剥がし取る。裸にされたところで多輝は安堵の息をついた。これで笑われることはないだろう。そう思いながら何気なく由梨佳を見やる。由梨佳はだが手に抱えたブラジャーとショーツとをじっと見下ろしている。
「あ、の、由梨佳先生?」
不安を覚えて多輝は由梨佳に声をかけた。
「そういえば、多輝様は屋敷に居たころは、苺柄のネグリジェを着ていらっしゃいましたよね」
そう言って由梨佳がにっこりと笑う。多輝は力なく声を漏らして由梨佳に言うな、と首を振って見せようとした。が、思うように身体が動かず、多輝の首はぎこちなく揺れただけだった。
「女の子らしくて、可愛い好みだと思うけど」
笑みを浮かべて優一郎が言う。多輝はわなわなと震えて目にいっぱいの涙を溜めた。情けなさと恥ずかしさが同時にこみ上げてくる。
「ほら! さっさと検査しろよ!」
半泣きで多輝は優一郎に怒鳴りつけた。由梨佳が多輝の服を一まとめにしてベッドを降りる。入れ替わりの格好で優一郎が多輝に近付いた。
「女性器ユニットの感覚を切るよ?」
そう言いながら優一郎がベッドに乗り、多輝の両の腿を押し上げる。膝を曲げて股間を晒した格好にされた多輝は目で頷いた。ほどなく股間の感覚が切れる。優一郎は顔を上げて傍に立っていた由梨佳に声をかけた。
「宇田川さん、コネクトスティックの準備をお願いします」
それを受けた由梨佳がはい、と返事して一旦、バスルームに姿を消す。多輝の服を洗濯用のかごに入れたのだろう。戻ってきた由梨佳の手からは服はなくなっていた。そのまま由梨佳が部屋の隅に設えられた小さな木作りの棚に寄る。多輝はぼんやりと天井を見上げてそっと息をついた。
「宇田川さん、そちらの挿入は完了しましたか?」
優一郎の問いに由梨佳が頷く。
「はい」
答えて由梨佳はコードで繋がった二本のスティックの片側を優一郎に手渡した。コードの長さに合わせて由梨佳がベッドに乗る。正座した由梨佳の黒いドレスの裾からはコードが伸び、その先端が優一郎の握るスティックに繋がっている。その様を見た多輝の胸にどきりとするものがこみ上げた。
かつて由梨佳は優一郎の母として存在していた。が、いまはもう二人の間に親子関係らしいものは一切ない。多輝はぼんやりと二人を見つめて小さく息をついた。本当にこれで良かったのだろうか。おれはやっぱり間違っていたんじゃないだろうか。そんな思いが込み上げてくる。
「多輝、挿入するよ」
「ああ」
女性器そのものの感覚はない。だが多輝は優一郎の言葉を受けて出来るだけ下半身の力を抜いた。優一郎が手にしたスティックを静かに多輝の膣内に進める。スティックに押されて漏れた愛液が肌を伝って肛門まで流れる。その感触に多輝は思わず身震いした。
「宇田川さん、検査を始めてください」
優一郎が隣に座る由梨佳に声をかける。由梨佳は頷いて目を閉じた。多輝は深い息をついて身体の力を抜いた。いつの間にか身体のあちこちに力がこもっていたらしい。脱力した多輝の身体は深くベッドに沈んだ。目を閉じた多輝の意識が次第にぼやけていく。多輝はそれに逆らわず、自然と意識は闇に沈んでいった。
機械的にはメンテナンスなのでエロといえばエロ……。
あれ? ショーツ脱いで、足を開いてるのでエロですかね?