あさひの意識が徐々に戻りはじめた。
しかし、目が開かない。瞼全体がピッタリと覆われ動かなかった。
手足は開かれた状態で、そこから動かせなかった。二の腕も動かない。膝が少し曲がっているが、太腿も同じだった。両手首は外に向けて引っ張れるような感覚があり動かせない。足は接地しているようだが、よくわからない。ただ動かせないことだけは理解できた。
さらに、音もまともに聞こえない。閉塞感があり、無音を聞かされているようだった。だが、耳に何かで塞がれている感覚はない。
「動けない、助けて」と、思わず声をあげようとしたが、口が開かない。口呼吸もできなかった。しかも口の中にも何か異物が入り込んでいて舌が思うように動かせなかった。
頭がぼんやりとした状態で目覚めたあさひは、あまりの状況に理解できずパニックに陥った。
もう一度手足を動かそうとするが、手錠が手首と足首で固定されていて全く身動きが取れない。足を閉じることもできない。
唯一自由に動かせる首を左右に振るが後頭部が何かに擦れる感覚が伝わるだけで何も情報は得られなかった。
不意に息ができなくなった。吸込めなくなった。鼻が摘まれた感触があった。
背筋が冷たくなっていく。恐怖を覚え、反射的に思考が止まる。
そして酸素が不足し始めた。恐怖が本能的な死へのものに切り替わる。
(死ぬ……あ、そっか、私……)
突然の感覚遮断で思考の余地もなかったが、先程までの自分が置かれている状況を冷静に思い返すことができた。
途端に諦めの気持ちが湧き上がり、先程まえまで動かない手足に力を入れて藻掻いていたが、その動きもピタリと止めた。
が、鼻が開放されたことで、反射的に呼吸を再開した。
本当の意味で今の自分に自由なんてない、ということを思い知らされる。
生きたまま社会的な死による辱めを死ぬまで受けるか、生きたまま奴隷のような扱いを受けるか。間接的にあさひは後者を選ぶことを強要される。
あさひは虚しさと悔しさに押し潰された。
もう何も考えたくない。開かない瞼の隙間から涙が滲み溢れでた。
不意にあさひの右耳から閉塞感が消える。
聞き慣れたくなかった声が聞こえた。
「よぉ」
カラオケであさひを襲った男の声が聞こえた。
「思った通りの反応で楽しかったぜ」
あさひはこの男にただ踊らせているだけでしかなかった。
その事実に怒りを覚えるが、どうすることも出来ない。
「あの二人から聞いたぜ、トイレでサキュバスになったんだって?たっぷりザーメン搾り取ったんだってな」
そんなつもりはない、という言葉も出せなかった。
だが、あさひは意識を失う直前の自分が何をしていたのかを思い出す。
膣とアナルの両方を責められ続け、何度も絶頂したあさひは、快楽に呑まれ、ペニスをひたすら求め続けた。
貪欲に快楽を求め続けたあさひの姿を、あの二人はサキュバスのように感じたのだろう。
先程までの八方塞がりの絶望に諦観した自分と、そのことを忘れて快楽に溺れ欲のままに痴態を晒す自分。
あさひはどちらも受け入れられなかった。
受け入れたくもなかった。
そんな姿は私じゃない。
「素質がないとそこまでのド淫乱には中々なれないぞ」
違う、絶対に違う。
自分はそうじゃない。そういうことを強要されたからだ。
この男の言葉を否定して、自分にいい聞かせないと頭が狂いそうになっていた。
「あさひちゃんはド変態だったんだな、心のどこかでちんぽ欲しがってる発情したただの雌ってことだ」
そんなことない、そんなことは、絶対に。
「じゃないとこんなにマン汁垂らしたりしないもんな、まだ何もされてないのになぁ?」
「ーーッ!!!ゥッ!ゥゥゥゥゥ!!」
激しい唸り声を上げてあさひは否定する。喋れないため言葉にはなっていないが、意志だけは明確に表現されており、男にも伝わっていた。
「否定すんのか?こんなにびしょ濡れのマンコ丸出しで?笑えるな」
男はあさひの秘部に指を入れ、軽く掻き回す。膣奥に溜まっていた愛液が膣口からとろり、とろりと溢れ出た。
止めどなく溢れる愛液を掬い、視界の塞がれているあさひの頬に擦り付けた。
「ほらよ、べっとべとだ」
あさひは否定するように、勢いよく顔を背けた。
男の言う通り、あさひの股間は洪水でも起きたかのように濡れそぼっていた。
男は見せつけるように秘裂を広げる。大量の透明な粘液が堰を切ったように流れだした。
肛門を伝い、ホテルのフローリングにぽた、ぽたと糸を引いて滴り落ちた。
おしりが湿る感触に嫌でも気付かされる。
「言っとくが、着替えさせる前に一通り拭いてるからな。証拠のつもりはないが、写真もあるぜ?」
衣服の感触があったため、乱れた服は全身戻されていると思っていた。下半身も何か着用している感覚があった。しかし、下着は身に着けておらず露出されているようだった。
そもそも今日はジーンズを履いていた。パンツスタイルの私服は珍しいため、太ももに触れる布の感触で勝手に勘違いをしていた。
着替えさせたということは、これはスカートで間違いない。
「てか、さっき適当に弄っただけでイッただろ?」
そういいながら男があさひの太ももを撫でると、それに合わせて身体が小さく跳ね上がる。
男の言葉に対して、あさひは敢えて何も反応をしなかった。
図星だった。
イクときにどうしても腹筋が軽く痙攣する。必死に何もないフリをしていたが、バレていたらしい。
あさひは、身体が勝手に反応してしまうことに苛立ちを覚えた。
「虚勢を張るならいいぜ?今から一度もイカず、潮も吹かずに耐えきったら家に帰してやるよ。今日までのデータ全部消して自首する、約束だ」
男の声は落ち着いていた。
「ただし、耐えきれなかったときは、終わりだからな」
男がそう告げたあと、不意に右耳に何かが入り閉塞感に包まれた。再び無音を聞かされるような感覚になる。
男はあさひの膣口に人差し指を当て、前後に動かし始めた。
くちゃくちゃ、と粘っこい音が響く。
「でもなぁ」
膣口のすぐ上の陰核は既に皮が剥け、クリトリスとして自己主張していた。
「ド淫乱のあさひちゃんは、たぶん耐えれねぇと思うけどな?」
固く勃起したクリトリスに何か冷たい感触を当てる。
びく、とあさひの全身が勝手に震えたあと、何かかのスイッチが入る音がした。
ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ!!
「ん゛ん゛ん゛んんんんんんんっっ!!!んっっんーーーーー!!!!」
口が開けないあさひはただ喉を震わせた。
前に一度だけ電マを使われたことがあった。
その時の、あまりに強すぎる刺激に苦手意識を覚えて以来、一度も使わせなかった。自分で買おうともしなかった。恥ずかしさではなく、本当にこれは慣れないなとあさひは思っていた。それに、これはなんとなく慣れたらダメだとも思っている。
それを今は使われている。
「あさひちゃんどうかなぁ?すぐにイクんじゃないかなぁ?」
そう言いながら、男はあさひの秘部を容赦なく責め立てる。
「んんっ!んんっ!んんんんんっっっっっ」
あさひは喉が悲鳴をあげる。叫びながらも首を大きく横に振り、否定の意志を見せた。
ただ、あさひの意志とは反して子宮は酷く悦び、大きく蠢動して体液の分泌を加速させていた。
電マが剥き出しの陰核に押し当てられている。それだけであさひの意思とは関係なく膣内から大量の愛液が溢れ出した。
数少ない自由を与えられた腰が浮き上がり、無意識のうちに快楽を逃がそうとする。
その動きが余計に膣内の振動を激しくさせ、あさひを苦しめた。
口を塞がれたまま絶叫するあさひは、鼻呼吸だけでは酸素が追いつかなくなっていた。
(ぅぅ、やばい、苦しい……)
なんとか声を抑えて目一杯空気を吸込もうとする。しかし声が我慢しきれず、喉を震わせてしまう。その度に呼吸が止まり、息苦しさが強くなってきた。同時に意識がふわふわと揺れ始める。
(や、ばい……ほんと、やば……)
あさひには首締めセックスの経験はない。だが、なぜ首締めセックスなんていう一見危なさそうなものを大学の友だちが勧めてくるのか今までわからなかった。
それが理解ってしまった。
(イっちゃ、だめ……イっちゃ……だ……め……)
酸欠が進み浮かび上がる感覚が強くなり、苦しさよりも気持ちよさが強くなっていった。痛覚も狂い出し、電マによるクリトリスへの強すぎる摩擦も感じなくなる。それどころか、熱を帯びて感度が上がっていた。ピリピリとした強く擦られ震えた陰核は真っ赤に充血して腫れ上がる。
イったらだめイったら終わり、とあさひは頭の中で何度も繰り返すが、狂った脳がより強い快楽を伝えてしまうことには抗いようがない。
陰唇がひき攣き、膣口がだらしなく開く。その奥でぐぽぐぽと肉壁が糸を引きながら蠢いていた。性感が増したことで血が巡り、入り口からもわかるほど色味が濃くなっていた。
「そんなに腰ヘコヘコさせて下から涎垂れ流してイクつもりなんじゃねぇのか?え?」
そんなつもりはまったくない。
けれど、酸素が不足して狂った脳が、血管の隅々ひまで快楽物質をばら撒いている。
浮き上がる腰を押さえつけようとしているはずなのに、快楽に溺れ始めた脳は逆に浮かせた腰を大きく振り求愛させていた。
あさひは身体に裏切られていた。
(ぁ…………、っ……だ…………め…………)
身体が勝手に快楽受け入れている。ここ数日の激しい性行為により、心より先にあさひの身体が壊れてしまっていた。
「…………あ、滑った」
脈絡もなく突然だった。
股の振動がなくなり、性器が責め苦から開放される。浮き上がっていた腰の力が抜け、ストンと落ち、衝撃で下腹部が一瞬小さく凹んだ。
本当にイク寸前だった。腰を落とした衝撃で少し甘イキしてしまったほどギリギリだった。
電マから開放されたことで、あさひには少し余裕が生まれていた。呼吸を整え、酸欠を何とか抑えようとする。
「あーぁ、あさひちゃんが腰振ってマン汁ばら撒くから滑って電マ落としたわ」
落下した電マは、丸い振動部分で床を攻撃しながら、その衝撃でガタガタガタガタと煩く小刻みに跳ねていた。男はよっこらせ、と呟きながら電マを持ち上げ再び手にとった。
「1回拭くか……ま……っ、た落としそうだわ」
電マ責めの再開が遅いことで、あさひは調子をかなり取り戻していた。
正直全く自信はなかったが、耐えれるかもしれないと根拠はないがそう考えていた。
「…………ぁー、口のテープ外しとくか、酸欠で死なれても困るしな」
粘り気の取れた電マを握り直し、男はあさひに近づいた。あさひの顔に手を伸ばし、口元を覆うテープを勢いよく引き剥がした。
「いっ、あぁぁぁ!」
貼り付いていたらしいテープから開放され、あさひの唇が開くようになった。ただ、口内に異物が残っているため言葉はまともに話せず、痛いと言う単語も。
「折角だしな、それはこいつと交換だ」
口の中の異物が取り出されたかと思えば、また別のものが押し込まれた。
モサモサとした、布っぽい何かだ。さっきよりも口の中が圧迫される。テープで留められていないため、比較的に楽に感じられる。
ただ、さっきよりも異様に匂いが強い。呼吸する度に、嗅いだ覚えがあるような、吐き気のする臭さが口内に広がる。ギリギリ我慢できる程度ではあった。
息を吸う時に襲われる酷い臭気に、あさひは噎せて何度も咳き込む。咳によって喉を鳴らしていたためか、いつの間にか低音が聞こえいたことに気づかなかった。
聴力検査の時に聞くような、一定の低音が鳴り続けていた。間違いなく、耳にイヤホンがつけられていることをあさひは確証した。雑音が聞こえなくなる高性能なイヤホンだろう、けれど口内の臭いに比べれば何の影響もない。むしろ、息も楽になり、臭さで気が紛れるためさっきよりも耐えれるだろうとおもっていた。
「んじゃ再開っと」
小刻みに激しく振動する丸い頭が再度陰核に押し当てられる。先程と違い、今度は陰核だけでなく膣の入り口付近を重点的に責められた。
膣口を擦り上げられる度、膣壁が収縮し愛液が漏れ出す。
「んぅぅぅぅぅぅぅ!!ふぅぅぅ!ふぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」
陰核は勃起したままで、陰唇もぱっくりと開きっぱなしになっていた。
電マが左右に動く度に陰唇が捲れ上がり、赤く充血した粘膜が顔を出す。
(まだ大丈夫……)
激しく叫びながらも、まだあさひには余裕があった。
気を紛らわせるためになるべく深呼吸を繰り返す。平常心を誘うと共に、酷い臭いが喉奥まで広がることで性感は更に遠のいていた。時間が開いたことで、クリトリスの感覚も麻痺して若干鈍くなっているようだった。
あさひの反応が少し鈍くなったのが面白くないのか、男は電マを左手に持ち替えて右手を自由にする。愛液でたっぷりと潤った膣口にそのまま中指と人差し指を滑り込ませ、Gスポをグリグリと責め立てた。
「んっ!?んーーーーーー!!!!」
膣内で2本の指が激しく暴れ回る。膣壁をゴリゴリと削りながら奥へ奥へと入り込んでくる。
膣壁を擦られ、膣奥を突かれる。膣壁越しに子宮を押し上げられ、あさひは一瞬意識が飛びそうになった。
「俺の手マン気持ちいいだろ?」
「んっ、ぐっ……んっっ」
あさひは首を横に振る。
「強情だなぁ」
膣壁を掻きながら入り口付近まで引き抜かれた指が、再び最奥を目指して突き刺された。
「ぐっっっっっっっっっっっっ!!!」
あさひの身体がビクンッとはね上がる。
「あ、今イった?」
「んんっ、んんんっ」
あさひは何度も首を横に振り、違うと示す。
「なんてな、ギリギリイけてないのはわかってたんだよ悪い悪い」
男はそう言うと、陰核を押しつぶすように電マをぐりぐりと押し付けた。
「つーか、そんな簡単にイかれても面白くねぇわ」
あさひは身体を震わせて悶絶した。
快楽から逃れようとするが、強すぎる快楽のせいで腰に力が入らずうまく逃げられない。
腰を振って、電マから少しでも逃れようと試みるが、それも無駄に終わる。腰を振る度に電マの角度がズレて緩急がつき、逆効果となった。
「ふっ、ぅあっ、はぅっ、っくぁ」
更に膣壁を刺激する指の動きが激しくなる。腰が引けて勝手に動きまわり、電マの振動に変化がついてしまう。想定外の刺激が増えていき、あさひはじわじわと追い込まれていった。
「フーーー!フーーー!」
大きく息を吸い込んで意識を何とか外に向けようとした。だが思っていたほどの効果はなかった。嗅覚が臭いに慣れたのか潰されたのか、臭気が薄くなっていた。
(だめだめだめだめ)
下腹部が熱く、重くなっていくのを感じていた。びくん、と跳ね上がる腰の動きが強くなる。
お腹の力みも緩められず、外から子宮を抑え込むように臍の回りが深く凹むようになっていた。
(やだ、やだ、やだ、やだやだやだ)
必死に耐えようとするが、身体が言うことを効かない。力を緩めてもすぐに膣内がぎゅうぎゅうと締まる。指の形がわかるほどの締めつけが子宮への圧を更に強めていく。
(…………ぅあ、だめなのに、やだよぉっ)
泣きそうになりながらも、あさひは着実に上り詰めていく。一段ずつ、絶頂に迫っていた。
(ぁ…………だめ、だ……ぃ……、っぁ)
腰が細かく震えだして、抑えられそうにない。一番気持ちいいのが、もうキてしまう。
最後の力みで達する、とあさひが諦めた時にクリトリスへの刺激が唐突に止まる。
「ぁーれー?コンセント抜けたぁ?」
またしてもあさひは寸前で逃れられた。腰はビクビクビクビク、と何度か大きく震えるものの、絶頂にまでは至れなかった。
男の指がズルりと抜ける。
「ハァ…………、ハァ…………、っぁ……………」
下腹部の奥底に熱が溜まっていた。噴火を迎えようとしていた火山のような感覚。
達したい、と本能的な意識がチラつく。二度目の寸止めで下半身に集中した血液が力強く脈動していた。中の収縮が止まらない。膣壁がヒダが、まるで別の生き物のようにうねり、蠢いていた。
あさひは荒げた息を落ち着かせながらも、無意識に腰を持ち上げていた。ぐい、ぐい、と何も考えずに無心に腰を浮かせていた。
頭がぼーっとして、腰以外の力が抜ける。顎の力も緩み、首力なく横を向いたことで口の中の異物がぽろりと落ちた。詰め込まれた何かは叫び舌が何度も動いたことで自然に押し出されていたようだ。
口内の圧迫感がなくなったことで、ふとあさひは我に返る。そして自分から、絶頂を求めて無意識に腰を振っていたことに気がついた。
羞恥心と恐怖にあさひは身体を震わせる。耐えきれなかった時は終わりだと、そう告げた男の声が脳裏にチラつく。動画を流された上で男の奴隷か、便器として過ごすことになるのか。それ以上は考えられなかった。
「いやーーーーいいところでコンセント抜けるなんてツイてないなー、イク寸前だったろうにな、惜しい惜しい」
軽快に話す男の表情は言葉とは裏腹にとても愉快そうに見える。ただそれをあさひが目にすることはできない。
手足の自由はなく。
視界は奪われたままで。
聴力も殆ど機能していない。
だからあさひは、この違和感に気づくことはできなかった。
初めから仕組まれていることも、自分がどうなるのかも。
予感することもないまま、貶されるというのに。