※この作品はR-18です。

黒井あさひの嘘   作:夏芽沙夜

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呆れる程に紳士的な彼の痴態

ちょっと無理矢理だったけど、勇気をだしてお泊りにさせたのは大成功だったな、と思いながら私はニヤニヤと浮かれていた。

家族全員が今日の夜家を空ける、その話を聞いたときに私はこの計画を実行しようと誓いを立てていた。

何か理由をつけて一緒に帰り、テスト期間が近いことを理由に一緒に勉強して、日が落ちるタイミングでご飯にでも誘おう、と本当は大袈裟に計画を練っていた。

ただ、この計画は殆ど実行されなかった。

数日前に学区内で不審者が出たという事件があり、部活で遅くなった私をゆうき君は心配して待ってくれていた。これだけでそこそこ遅い時間に帰路を辿ることになったのですんなりと夕飯に誘うことができてしまった。ゆうき君のお母さんに話を通すことも想定以上に簡単だった。

不審者登場の影響、恐るべし。

私は脱衣場を繋ぐドアの横で、壁に持たれながらその時を待っている。

扉一枚を隔てた向こう側でゆうき君はお風呂に入る準備をしている。彼が浴槽に入ると同時に私は脱衣場に突入して、彼の退路を断つ。恐らく、浴槽に一歩足を踏み入れた彼が足元の巨大ビール(の浮き輪マット)に意表を突かれて大きな声を上げるだろうから、そこに勢いよく駆けつけた私は彼の全裸をこの目にしかと焼き付けることになる。その光景に照れた私は慌てて手に持った謎のバスグッズ(のようなローション)を落として滑り、なぜかシャワー栓を開けてずぶ濡れになり制服の下のえっろい下着がスケスケになる。それを見たゆうき君はいてもたってもいられなくなり、という計画だ。

沖縄旅行のときに謎のセンスを光らせたパパが、ビール型の浮き輪を買ってきた時は浮かれすぎて頭おかしくなったのかなと思ったけれど、今となってはグッジョブでしかない。巨大なビニールマットの上でやることといえば一つしかない……ハズ、たぶん。だって調べたときにそう出てきてたし、ビール型じゃなくてシンプルなデザインだったけど。

初見のものをスマホで簡単に調べられるのは便利だな、と同時にえっちだなと思った。どんなものが検索に引っかかるか分からないから、本当に慌ててしまったのは誰にも教えられない黒歴史だ。

やがて浴室のドアが開かれる音が聞こえてきたので、私は努めて冷静かつ迅速に脱衣場に侵入する。既に物の準備は出来ている。さぁ、来い!

…………と、待つこと30秒弱。

反応は何もない。

浴室の摺りガラス加工された扉の向こうで、彼が取り敢えず棒立ちしているような輪郭だけは薄っすら見える。

ゆうき君はこんな程度のことでは動揺しないと、そういうことなんだろう。私は所見でこれを見せられたときに普段使わないような汚い言葉が出てきてしまったというのに。

仕方ない。気を取り直して、私は制服を脱ぐことにした。この気合だらけの可愛いブラショーツのセットは夜改めて見てもらえばいい。それよりも先に多分裸を見ることになると思うけど。裸より下着姿の方がえろかわでエモだと思うので一旦棚に上げておくことにする。

ローションの蓋は取り敢えずしっかりと締めておく。滑って転ぶ必要は既になくなっている。

タオルは巻かずに前を隠す程度にして、ゆうき君を狼狽えさせる機会を作れる余地は残しておこう。

私は今日、彼を私のものにする。

そのつもりなのだから、そのためなら何でもやる。

男子からの言葉や行動を待つだけの清楚な女の子のほうがウケはいいのかもしれない。

けど、男子からのアプローチに流された結果がいいものだけとは限らない。私の意志が置き去りにされて、失敗する……うん、経験はないけど私にはわかる。

少し考え込んでいるうちに、ゆうき君はビールの上に座り込んでシャワーを浴び始めていた。

私は意を決して、浴槽の扉を開けて一歩踏み出す。

そして、お湯で濡れたビールに足を滑らせた私は……背後からゆうき君に身体を洗ってもらおうとその瞬間を待っている、という状況にあった。

 

「ねぇ、まだ?普通に手で洗っちゃっていいよ?」

 

普通にはと言うものの、ぶっちゃけるとタオルもスポンジも普段は使っている。そうしないと首の後ろや背中は綺麗に洗えない。だからタオルもスポンジもないというはまぁ、ブラフというもので、私が普段使っているものはお風呂の用意をした時に片付けている。

 

「手、お手、手……」

 

ゆうき君はかなり動揺している、言葉だけでそれがわかる。

彼は、かなり顔が整っていて背もそれなりにあって、他の男子と比べても明らかにルックスがいい。一見した限り、女の子とのやり取りなんて慣れている印象を受ける。

そんな見た目をしているのに、初心なリアクションを見せつけてくれるのが本当に堪らなく可愛らしい。

後ろを向いていて良かった、さっきからずっと彼の初心でえっちなリアクションにずっと私はニヤニヤし続けていた。別に私が経験豊富、というわけではないけど。むしろ、多分同級生よりもそういう知識には本当に疎い。話についていけないことのほうが多いぐらいで。

 

「あ、じゃあ……さ、わる……よ?」

 

ゆうき君は、遂に意を決したように確認の合図を送ってきた。

 

「ん、どーぞー」

 

私は敢えて両手を上げてバンザイした。好きにしていいよ、というアピールのつもりだ。

彼が私のどこから洗うのか、気になって気になって仕方ない。

早く、してほしい。

心臓の鼓動が速くなっていくのを感じる。

ゆうき君はボディソープを手に取って泡立てると、それをゆっくりと手首から下へ塗りたくっていく。

脇の下を通ったとき、くすぐったくて少し声が漏れた。自分でも驚くぐらい上擦っていて、どきりとした。

ゆうき君も、そんな私の声を聞いているはずだ。でも彼は、ほんの一瞬手を止めただけで、無言のまま手を動かし続けていた。

多分必死に我慢しているんじゃないだろうか。

肘、二の腕、肩と順番に泡の跡を残してきた彼の手が、遂に胸元に近づいてくる。

緊張で震える指先が、私の胸にちょこんと触れた。

そのまま、円を描くようにして撫ぜるように優しく触れられる。

おっぱいを触られるのは初めてじゃない。友達とふざけて揉み合ったり、水着姿を褒められたりして、何回も他人に触れられたことがある。

だけど、彼に、ゆうき君に、初めて触られたと思うと、恥ずかしさでどうにかなりそうだった。さっきまでノリノリで胸を背中に押し付け、彼の全身を隈なく洗おうとしていた自分は別人、別の人格だったのかもしれない。私は、そう思ってしまうほどにしおらしくなっていた。彼の手つきはとても心地良く、変な下心も感じない丁寧で柔らかな優しさすら感じられる。

ゆうき君は、呆れるほどに紳士的で下心を感じさせない。というか、感じさせてくれないから少し面白くない。

私は、彼の手が私の胸を、たどたどしく優しさを感じさせながら洗ってるうちに少し意地悪を仕掛けることにした。

彼が繊細かつ慎重に、胸の中心に触れないようにしているだろうことを承知の上で、敢えて嬌声を上げて胸を揺れさせることにした。

 

「……ん、っぁ」

 

不可抗力で感じたと見えるように少し背中を反らし、慌てたように姿勢を戻した。

厭らしさは一切なかったけど、彼の優しすぎる胸の触り方は焦らされているようなもの。

左右の乳首はどちらもしっかりと勃起してしまっている。

私がわざと胸を上下に揺らしたことで、硬くなった先端はどちらも、彼の指に触れた。

 

「んぁぁあぁ!」

 

焦らされた乳首はボディソープで覆われ、滑りの良くなった指との接触にとても悦んでいた。

自分で触った時と比べられない程の、強烈な衝撃が全身を駆け回る。

一秒、視界が真っ白に染まり息が詰まる。

さっきよりも背中が大きく反れ、おしりが跳ねた。

腰の周りがゾクゾクして、吐息が乱れる。

自分で演じた時よりも、圧倒的にわざとらしく見えるほどオーバーなリアクションをしてしまい、無性に恥ずかしくなった。

強い余韻で腰を何度も揺らしてしまったけど、彼の両手は既に背後に引っ込んでいたのでこれ以上乳首が責められることはなかった。

 

「っ、ぅ……ごめ……」

 

驚かせてしまったと思う。

流石に謝ろうとして反射的に後ろを振り向こうとする。

 

「あっ…っ、まっ、て!」

 

でも、ゆうき君は私の両肩をがしっ、と掴んだことで私は後ろに振り向けずに固定されてしまった。

 

「ちょっと、えっ、なに?」

 

かなり強めに肩を抑えられていて、私は身体を動かせなかった。

ゆうき君からこんな強い力をかけられたことは、今までに一度だってない。

あまりのことに、私は少し驚いてしまっていた。怖いと思うほどではないけど、その力強さからゆうき君は女子ではないんだなと思い知らされた。

 

「……ごめん、なんでもない」

 

そういうと、肩を掴んでいた両手はスッと離れていった。強めに掴まれたせいか、まだ少し熱が残っている気がする。

 

「……続けても、平気なのか?」

 

「えっ、あ……うん、大丈夫、なんかごめん」

 

私は振り向くのをやめて、そのまま前を向き直した。

また、後ろから2本の腕が伸びてくる。その手はもう胸を触ろうとせずにお腹を目指していた。

恐る恐る、彼の指先が私の肌に触れる。感触を確かめているようだった。胸じゃないかどうか確認しているのだろう。

無事に胸でないことがわかったのか、泡でいっぱいの手のひらが広がり私の肌にピタリと張り付く。

彼の手は、さっきよりも熱くなっている気がした。

そして、また塗り広げるように、彼の手が私の肌の上をゆっくりと滑る。両手の動きはシンメトリーになっていて、私の全身が彼の手に包まれ丁寧に撫でられているような気分になる。

 

「……ふぅ、なんか気持ちいい……」

 

「えっ!?」

 

吐息と共に小さく漏れた呟きは、彼の精神を動揺させてしまった。

彼の勘違いを正すように私は、はっきりと言い直す。

 

「心地良いってこと、ゆうき君の触り方優しいし、暖かいし」

 

「そういうこと、ね……驚かすなよ」

 

細い声で彼は、呟いたあと手の動きを再開させる。

脇腹からおへそに、おへそから脇腹に。肋骨の上から、下腹部まで。両手の動きを往復させながら、ゆっくりと下っていく。

私はその手の動きをじっと見つめていた。

大きくて、日焼けした、男子の手。手の甲には血管が浮いていて、皮膚の薄さがわかる。柔らかさを感じない私とは正反対の手だ。

でも私の肌を触る感触はとても繊細で見た目とのギャップが凄い。

 

「じゃあ、背中洗うよ」

 

真っ白になったお腹から両手が離れ、肩に手が置かれる。

スリスリと揉み込むように手のひらが滑って洗われていくのを感じていた。

 

「……あさひ、肩凝ってない?」

 

「あ、そうなの?」

 

私にはそんな自覚、全くなかった。

そもそも肩の凝りという感覚がわからなくてピンとこない。

 

「ここの筋、めっちゃ張ってる、すげー硬いんだけど、辛くないの?」

 

首の側面中心から真っ直ぐ指が降りてきて、ちょうど角のところに手が止まる。彼はそこをクイと押してきた。

 

「あ゛っ……ちょっと痛い、かも」

 

「やっぱそうだよな」

 

彼はそう言って少し力を抜いた指で肩の筋肉をほぐし始めた。絶妙な力加減の指圧をうけた私は、喉の奥から吃ったような低い音を口から漏らす。

 

「ぅ゛っ、ぁ゛っ……ぃ゛っ…………ぅあ゛……痛いけど、なんかいいかも……痛気持ちいい……?」

 

彼の指が器用に動き、私の肩に溜まった疲れを紐解いていく。それまで感じていなかった肩の強張りがなくなり、気持ち軽くなったような感覚が生まれていた。

肩の頂点から背後に回り込んだ指が、肩甲骨と背骨の間で止まる。感触を確かめるように軽く押したあと、ググと指がめり込みそのまま中身を押し出すように上に登っていく。

ゴリっと、太めの筋を無理矢理転がすような感覚があった。

 

「い゛ぃ゛っっ゛!!」

 

肩から眼球にビリビリとした重めの刺激が飛んでくる。すごく痛い。痛すぎて吐きそうだ。

 

「うーわ、想像より凝ってる……これ痛かったな、ごめん」

 

今度は殆ど力が抜けた指で、同じところを撫でるように動き出した。

これならまだ痛くない。痛くないけど、感覚が飛んでしまっているのか心地よさも感じなかった。

 

「うん、こっちは重症だな」

 

「怖いこと言わないでよ……」

 

後ろに回っていた指が、肩から前に伸びてくる。鎖骨の出っ張りを越えて、その直ぐ下を押した。

 

「ぐぉ゛ぅ゛」

 

さっきよりも酷い声が出た。

めっちゃ痛い。痛すぎて後頭部にまで痛みが伝わってきてじんじんする。

 

「え、そんなに……?なんで…………あ」

 

私があまりにも痛がることが不思議だったのだろう。ただ、すぐに何かに思い至ったようで彼は鎖骨の下を押す指の力を弱めた。

 

「えっ、なになに、ほんと怖いって」

 

「いや、うん、こっちは大丈夫、たぶん普通」

 

「めっちゃ痛かったけど……?」

 

「普通普通、たぶんね」

 

そう言って彼は肩のマッサージをやめてしまった。気持ちよかったのでとても惜しくなった。後でまたお願いしようかな、と思った。

彼はボディソープを2、3プッシュして手のひらの泡を補充すると、再び肩甲骨のところに手を当てて、また手のひらを滑らせていった。

普段手が届きにくいところを手で洗われるのは割と新鮮味がある。

肩甲骨、背中、腰、と徐々に下に降りていって、そこで不意に止まる。かと思ったけど、そのまま彼は更に手のひらを下に進めていった。

おしりの膨らみに彼の手のひらが触れて、そのまま撫でるように動く。

そこで私は初めて、おしりが意外と丸見えになっていたことに気づいた。結構の範囲に触られている感触がある。おしりの割れ目にも指が掠るので、もしかしたらおしりの穴が見えていてもおかしくないかもしれない。

急にぞわぞわと全身の毛穴が蠢くのを感じた。恥ずかしい、なんで気づかなかったんだろう。ちゃんと毛の処理はしてたはずだけど、見えていたらどうしようと焦りがとまらない。

ただ、彼の手の動きは一旦そこで止まり、おしりから手が離れていった。おしりの間に指を通されたら、と思ったけどそこまでは触られなかった。それはそれで寂しい。もっときてほしい。来ないとは思うけど。

 

「あの……」

 

ゆうき君の声には焦りとも動揺とも取れない困ったような響きが含まれていた。

 

「あと、どうすんの……脚、とか、前……とか……」

 

「え?やってほしいけど」

 

私は即答した。

そして身体を後ろに進める。

 

「ほら、近づいたら脚にも手が届かない?」

 

グイグイと後ろに進行する私のおしり。ボディソープがビールの上にかなり落ちているので、とても滑る、抵抗なくスイスイ動いた。

 

「あ、おい、まっ……」

 

ひどく慌てるようなゆうき君の声を無視して背中を彼のお腹にぴたっとくっつけようとしたところ、その前に何か別のものが当たる感触があった。

 

「ぅくっ……」

 

彼の小さな悲鳴にもならない喉がなる音が聞こえて私は進行を止めた。

 

「……ぅ、ん……ん?」

 

触れるところはぷにぷにとしていて人肌よりもございました少し高めの温度を感じる。ただ、押したときの感触がゴツい。芯が硬いような……と考えたところで思い至る。この正体に私は確信を持った。

 

「……ぁーなるほど、ね」

 

ちょっと意地が悪い私は、ぷにぷにとしたそれを後進して少し押し返す。

硬く、伸びの悪い感触が強くなって返ってきた。

 

「あさひ、やめ……」

 

女の子のような声色でゆうき君は抵抗の意志を見せる。これ以上やると収集がつかなくなってしまうので私は進行を止めた。

 

「これだけ近かったら膝ぐらいまでは届くよね」

 

そう言って膝を離して体育座りをした。前に鏡があれば、全部写って見えてしまうだろう。

 

「え、えぇ…………まぁ、わかったよ」

 

何か観念したような口ぶりだったことに納得いかないけど、彼は私にもう少しだけ近づいて両膝にそれぞれ泡まみれの手のひらを置いた。

私の腰には硬いものがぐっ、と押し付けられた。それを悪いだなんて思わない。それどころか嬉しいぐらいだ。えへへ、とニヤニヤしている。でもこの表情は彼には絶対に見えないのでいくらでも表情を歪ませることができる。

 

「そのまま、手の届く範囲は全部洗っちゃってよ」

 

「う…………ん、ん?」

 

生返事をした彼の動きが止まる。太ももの外側で静止した彼の手が、このあとどこに向かわないと行けないのか冷静に察したのだろう。

私の背中に触れているものがびく、と震え硬くなるのがわかった。どく、どく、どく、と脈を打ちながら動いていた。

 

「え、と…………」

 

彼の手は私の太腿の外側をくるくると往復し始めた。内腿の方に指は一切進もうとしてこない。

 

「もー」

 

私は迷子になっている彼の手を掴み、内腿に無理やり触らせた。

 

「次はこっちも」

 

肩を少し軽くなったからか、少し勢いをつけすぎたかもしれない。

ゆうき君の手の甲は、内腿の肌を軽快に滑り降りていった。

 

「あ」

 

と声を上げたのは私だった。

彼の手の側面が私の股間にぶつかる。その弾みで小指の先が不規則的な運動を見せた。

両脚を開いたことでぱっくりと開いてしまった割れ目。その下から上へ、小指の先がスイングして、最大の弱点と言えるところを弾いてしまった。

 

「っ!!?ひゃああああっ!!やめ、だめぇ!!」

 

ビクビクと腰を跳ねさせて、私は軽く達してしまった。

 

「あ、あ、あ、あ……」

 

頭を真っ白にした私は、ビクビクと腰を痙攣させる。

その後ろから泣きそうな悲鳴が聞こえてきた。

 

「あさひ、お願い……腰、止めて、あぁっ……止め……も…………で、ぅう」

 

「……えっ?」

 

不意に背中熱い感触があった。

1回だけじゃない、2回、3回と何度も立て続けに。

背中から、腰にかけて飛びかかってきたそれらは、肌に張り付いたあと重力に負けて線を引きながら流れていく。

イったあとで敏感になっている私の肌を這うような感触は、フェザータッチのようでゾクゾクと身体を震わせた。

それと同時に、また熱い感触が腰のあたりに広がった。

イってしまった私は、全然気づかなかったけど、腰に押し当たっていたものが、びくんっ、びくんっ、と大きく跳ね上がっていた。

やがて、後ろから荒い息遣いが聞こえ始める。

 

「ゆう…………き、くん……?」

 

私は何が起こったのか見えていない。

見えていないけど、何と無く、わかってしまった。

私が泡まみれにして、限界までイタズラした男性器は萎えることなく手を離すまでビクビクと震えていた。

彼は、あの後今はどこも洗わないでと言っていた。

その時既に、本当の限界ギリギリだったのかもしれない。

そこに私の腰が密着する。それだけなら良かったのに、私がイったことで腰が跳ねてズリズリと小さく痙攣しながら擦った、のだと思う。

 

「うっ……ふぅ……っく……ぁ……」

 

びく、びく、まだ震えている。

腰が触れている肌に、ボディソープではないねっとりした何かがこすりつけられている感覚があった。

やがてその痙攣が止まると、ゆうき君の腕がびくん、と大きく震えた。

 

「…………ぁぁ、もう……」

 

今にも泣き出しそうな声をしていた。

気持ちよくて、という感じではない。どちらかというと、酷く悔しそうで自分を責めているような気がした。

 

「…………ごめん、ちゃんと………洗う、から」

 

「あ、えと…………うん」

 

私はこれ以上は何も言えなかった。

彼から目を閉じるように言われたので素直に従い、彼の言うことを聞いて、前の洗い残しを隅から隅まで、そして背中をもう一度綺麗に手洗いしてもらった。

そのあと、全身をシャワーで流してもらう。

目を開けていいよ、と言われるまで私は目を開くことができなかった。ぎゅっと瞼に力を入れることに集中していた。

そうでもしないと、平然を装えないと思った。

自分の顔が緩み、惚けて、うっとり、彼の恥ずかしがる顔を見つめて、その表情にきっとドキドキが止まらなくて。

私はまた別人に入れ替わるように、心の底に眠っているスイッチのようなものが入ってしまうのではないかと、そう思ったからだ。

そうなると、好きが止まらなくなる。

彼が、ゆうき君のことが、好きで、好きで、堪らなく、どうしようもなく愛しくて、収まらなくなる。

イタズラじゃ済まなくなる。

それは、きっと今じゃない。

ゆうき君に、自分の気持ちを押し付けるのは今じゃない。

こんな雰囲気ではダメ、きっと良くない。

直感的にそう感じた。

だから、私は必死に私を抑えて、抑えて、深呼吸して。

ただ、彼の手が私の身体を優しく撫でるのを感じることにした。

彼の手の動きに躊躇いはなく、股間の割れ目をおしりの穴まで優しく撫でるように泡立て、丁寧に洗浄していった。

その感触を味わうことに意識を全て向けた。雰囲気も何もなくなってしまったけど、彼の手付きを全身で受け止められることがとても嬉しくて心地よかった。

 

だから。

目を開けていいよ、と言ってくれた彼のとても申し訳なさそうで今にも泣きそうな表情を見つめて、一言告げた。

 

「優しく洗ってくれて、嬉しい、ありがと」

 

私はその後、彼がしてくれたことをなぞるようにして、全く同じように全身洗ってあげた。ついでに髪もきれいさっぱり洗ってあげた。私が普段使っているシャンプーをたっぷり使って、いつも部活で汗まみれになっている頭をしっかりと泡立てて流してあげた。リンスもついでにしてあげた。

彼も私と同じように、何も言わずに言われたとおりされるがままだった。

でも、目を開けて私の顔を見た時の言葉だけは違っていた。

本当に小さな声で「ごめん」と一言だけ。

 

「なんのことかわからないなー、あ、急に肩を強く掴んできたことかなー?」

 

と、私は適当に誤魔化した。

もちろん、二人ともそれがウソだとわからないわけはない。

でもそれで話が通るのが、付き合いの長さの賜物だな、と思った。

 

「ね、浸かろ?先に入って」

 

「ん、わかった」

 

ゆうき君は静かに浴槽に身体を沈めた。水位が過ごし上がるけど、まだ溢れるほどではない。

 

「私も入るねー」

 

声をかける頃にはもう、彼は目を閉じていた。

本当は向き合ってお風呂に浸かりたかったけど、彼はきっと目を閉じたまま開こうとしないし、それは申し訳ないな、と思う。

何よりフェアじゃないなーと何となく思った。

私は彼に背中を預けるようにして浴槽に浸かる。彼の胸板に私の肩が触れる頃には、湯船からお湯が溢れてでていた。

 

「ふ、ぅ、はぁ〜〜〜〜」

 

私は大きく息を吐いて、肩の力を抜いた。

少し沈んだ背中を、ゆうき君は優しく受け止めてくれる。

 

「極楽だぁ…………ね、良くない?この匂い」

 

「そうだなー、いい匂いがする」

 

「でしょ、これお気に入りなんだよね」

 

ゆっくりと全身を温めて、気持ちのわだかまりと一緒に緊張を解く。

この一瞬が本当に心地よくて、彼とこの時間をどうしても共有したかった。だから、浸かることだけは外したくなかった。

 

「あさひのセンスが光ってるな」

 

彼の声はとても穏やかに聞こえた。

広角が少し上がる。

 

「でしょ、もっと褒めて、頭撫でてくれてもいいよ」

 

「撫でられたいだけだろ、それ」

 

そう言いながら、ぽん、ぽん、と頭のてっぺんに温かい手のひらが降りてきて、緩やかに弾んだ。

 

「そうじゃないけど……まぁ、そうとも言えるかも」

 

ただ嫌だと言われないだけで私は嬉しい、それを感じたかったわけで。

 

「でも、なんだかんだ撫でてくれるよね」

 

「減るものじゃないしな」

 

「確かに」

 

私達はしっかりと温まったあと、湯船から上がり、シャワーで軽く入浴剤を流した。

私は彼の身体を拭いてあげた。彼も私の身体をしっかりと拭いてくれた。

彼は、私に先に出るように促した。

本当に紳士的で困る、好きだ。

ドライヤーは部屋に持っていくことにした。なんなら、ゆうき君に乾かして貰おうかな、と考えていた。そしたら、私も彼の髪を乾かしてあげよう、同じシャンプーを使ったから、きっと私と同じ匂いがするだろう。

私は彼にドライヤーをかけながら、ニヤニヤするんだろうなぁ、きっと。

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