「もう! もういいからぁっ!」
「だめよ」
力なく身体を揺すってそれから逃げようとする彩芽。
だが、お尻を振るその姿は誘っているようにしか見えない。
「これから、荒川さんのアナルを犯すわ」
だから奏は強く宣言する。言い聞かせる。自覚させる。
「いっぱい、いっぱいイったからぁ……!」
だから彩芽は懇願する。
「黒瀬さんっ! 黒瀬さ、ぁぁぁぁあ……っ!」
だから、つぷぅ、と彩芽のお尻の中へと指が侵入した。
「だめ……ほんとにだめだからぁ……!」
「何言ってるの」
根本まで、指が埋まる。
愛液と潮に濡れた指とお尻の穴。一切の抵抗なく彩芽のそこはそれを受け入れた。
「荒川さんの一番好きな場所、ここでしょ?」
「んぁああああああああっ!」
ぬちゅぬちゅぬちゅっ!と指が高速で動き出す。
その瞬間、彩芽は叫んだ。
「はぁぁあああんんんっ! んんんぅぅぅぅっ!」
だがそれは、どう聞いても歓喜の叫びだった。
「ぁぁぁぁぁぁもうだめぇぇぇぇえええっ‼︎」
何も入れていない筈のおまんこがひくひくと開閉する。
絶頂していた。
僅か数往復で彩芽は絶頂していた。
「あああぁあぅぅっ‼︎ んんんんんんんんっ‼︎」
食い千切られるのではないかと思うほど指が強く締め付けられる。
引き抜く度に尻肉が捲り上がる。
挿入する度に尻肉が沈み込む。
その度に彩芽は啼き、どちらも気持ちよくて仕方ないと歓喜の声を絞り出させられる。
「やぁぁああああっ‼︎ はぁあああぅうううっ‼︎」
開発コース、それは利用者にだけされていたものではない。
逆転コースを選んだ者達が時間をかけて、ゆっくりと彩芽のそこを開発し続けていた。
元から素質はあった。撫でるだけでスイッチが入ってしまうほど敏感なお尻だった。
今ではもうおまんこ並に、もしくはそれ以上に感じる場所と化してしまっていた。
「んんんんんんんっ‼︎ んんんんんぅぅぅぅっ‼︎」
それでいて今までの連続絶頂。
イく事に身体が慣れて一切の抵抗が無くなったところのアナル。
たまらなかった。全身がゾクゾクするような、だが明確な快感が彩芽の身体を駆け巡る。本来は感じる場所なんかじゃないと脳が混乱しているのに、脳が快感しか享受しない。
だから、彩芽はイき続ける。
「ああぁぁぁあっ‼︎ もうむりいぃぃいっ‼︎」
身体がびくびくと痙攣し続けている。背が反ったり丸まったり、身体の制御が全く出来なくなっている。
奏からは見えないものの、その顔は快感の涙でぐしゃぐしゃになっていた。
「んぅっ⁉︎」
追い討ちがかけられる。
「あああぁぁぁぁあああああっ‼︎」
クリトリスが、ギンッギンになっていたクリトリスが、優しく優しく撫で転がされ始めた。
「はぁああんんんっ‼︎ んんっ‼︎ んああああっ‼︎」
強烈な快感の中に、優しい快感が混ざる。
唯一触られていないおまんこが歓喜に打ち震え、くぱくぱと開閉しながらこぷこぷと愛液を吐き出し続け、いろんな液体で濡れていた下半身にまた新たな筋道が形成される。
「んぁああああっ‼︎ あっぁああああああっ‼︎」
ぬぷぬぷぬぷっとアナルが掘削される。
ころころとクリトリスが転がされる。
もはや彩芽の意志とは無関係に身体は暴れ、もっとして、とばかりにお尻が勝手に奏へと突き出される。
「だめだめだめそれだめええぇぇぇええっ‼︎」
だから奏は右の中指をより激しく動かした。
引き抜く時は入口を少しでも刺激する形で、突き込む時は膣壁越しにポルチオに触れる形で、挿入の一往復で最上の快感を与えられるよう、常に彩芽の好きなやり方を実践する。
「ああっ‼︎ ああっ‼︎ ああっ‼︎ あああっ‼︎」
それがもたらした効果は絶大。
手付きは少ししか変わっていないのに、快感は違い過ぎるとばかりに連続で絶頂する。
「ああああだめだからぁぁぁぁあああっ‼︎」
優しい普段の様子からは全く想像できないほどの乱れよう。お尻をほじほじされて、涙が止まらない程に感じ続けている彩芽。
そんな、気が狂う程の快感の中与えられるクリトリスへの愛撫。女の子はここで感じるのが正しいんです、とでも言うような快感が彩芽をギリギリ現実に留め、だからこそ正気と狂気の間を行ったり来たりして頭が壊れてしまいそうだった。
「はぁうぅうううう‼︎ ああぁぁあああっ‼︎」
何度も何度も愛液が練られ、後ろの穴の周りが白濁していく。
膣口からは激感の証明が垂れ下がり、クリトリスを撫で続けている奏の手の平に淫猥な水溜りが形成されていく。
腰が、身体が暴れ回る。枕を必死に抱き締めながら、膝を立てていられるのが奇跡と思えるほどに全身が不規則に大きく上下する。
ベッド上の湿度が半端ではない。部屋の中に淫らな水蒸気が満ちているかのような錯覚を抱く。
室内を嬌声が支配する。彩芽の淫らな喜悦の声が鳴り響く。
「ぁぁぁぁくるっ‼︎ おっきいのくるぅうううっ‼︎」
止まらない。快感が止まらない。
彩芽の視界がバチバチと明滅する。
強烈過ぎる快感に身体が悲鳴をあげる。
激烈すぎる快感に脳が限界だと訴える。
暴れ回っていた身体が硬直する。
背を反らせる。
お尻を高々と突き上げる。
足先を伸ばしきる。
その瞬間に備え、精一杯の抵抗をする。
お尻からの快感が暴れ回る。
クリトリスからの快感が走り抜ける。
止められない。快感を止められない。
それが、更なる一線を越えた。
「んっあああぅううううっ‼︎ はあっ‼︎ ああっ‼︎ ああっ‼︎ はぁあああぅうううううっ‼︎ だめっ‼︎ おしりだめぇぇえええっ‼︎ ぁぁぁぁぁぁいくっ‼︎ いくのぉぉぉおおおっ‼︎ んあっ‼︎ あっあっあっ‼︎ んんんんんぁぁぁぁあああああああああっ‼︎」
びぐんっ!びぐんっ!と発作を起こしたかのように彩芽の身体が暴れた。
その拍子にとうとう四つん這いの姿勢が崩れ、うつ伏せにベッドに沈み込む。
「あああっ‼︎ ああっ‼︎ はあっ‼︎ んあっ‼︎」
ちゅぽんっ!とお尻から指が抜け、クリトリスからも指が外れるが、絶頂は残り続ける。
あまりにも滞留し続けていた快感がまだ彩芽を灼き続ける。
ビクビクと痙攣は続き、腰もガクガクと上下に跳ね回っている。
お尻の穴も、おまんこも絶えずくぱくぱと開閉しており、前の穴からは粘度の高い愛液が垂れ流しになっている。
身体の制御など出来る筈もない。あまりにも巨大な絶頂の波に押し流され、脳内には気持ちいいという感情すら残らない。
そんな彩芽を癒すように奏はお尻を撫でるも、それすら絶頂のトリガーとなってしまうような状況。
「はあっ! はあっ! はあっ! はあっ!」
嬌声が呼吸に変わるまで、暫くの時間を要した。
体を大きく上下させ、彩芽は必死に酸素を取り入れる。
「ふあっ⁉︎」
そんな彼女を奏は転がし、仰向けにさせる。
そこにあったのは泣き顔だった。
快楽で、終わらない快楽で泣き腫らした顔。見る者を発情させるような顔。
「ごめんね、んっ……」
「んぅっ⁉︎ ちゅ……ちゅ……ちゅっ……!」
だから、一言謝った上で、奏は思わず唇を触れ合わせていた。
「ちゅむ……っ⁉︎ ちゅぅっ⁉︎ んんんんっ⁉︎」
「ちゅぅぅっ! じゅるっ! んちゅぅっ!」
が、次の瞬間、奏は目を白黒させた。
彩芽が首に腕を回し、熱烈に奏の唇を吸い始めた。
いや、吸うなんて可愛らしいものではない。貪り始めた。
「っぷぁ! んむぅ⁉︎ んんっ! んんんっ!」
「っは! ちゅっちゅっ! じゅちゅぅぅっ!」
逃がさない、とでも言うように奏の舌が絡め取られる。
両者の距離がゼロのままに、互いの中央で艶かしく柔らかいもの同士が交尾、いや彩芽に一方的に搾取されて、奏は一気に脳へ快感が送りつけられる。
「荒川さっんんっ! ちょ、ま、んむぅぅっ!」
「んっはっちゅっ! くろせさんっちゅぅっ!」
激しい快楽の後に訪れた柔らかい感触に彩芽は夢中だった。
もっと、もっと。これをもっとしたいとばかりに口吸いが止まらない。
「はっ! ぁ、ちょ、もうっ!」
「あんっ!」
だが奏が終わらせる。彩芽の乳首をきゅっと抓り、拘束が緩んだ一瞬の隙を突いて彩芽の拘束を逃れた。
「はあっ……はあっ……主導権を与えた途端一気に持っていかれる……!」
唇を押さえ、恐れ慄く奏。
茹だりきっても、いや、茹だりきっているからこそ彩芽の技巧はとてつもなく、一瞬にして脳が蕩けそうになっていた。
「くろせさぁん……」
「くっ! かわいい……!」
舌足らずに奏を呼ぶ彩芽。その両手は今まで自分を苛めていた者へと力無く伸ばされており、そんな甘えるような姿に奏は思わず飛び込んでしまいそうになる。
「……荒川さん」
「なぁに……?」
「くっ!」
……いつもの口調とは違い過ぎる、どこか幼げな口調に胸を撃たれ、よろめく奏。
「……今度は、一緒に気持ちよくなるわよ」
「ぅん……? あ、ちょ、待ってください⁉︎」
「待たない」
その発言の意味を理解するや否や正気に戻る彩芽。
だがそれを良い事に奏は断ずる。
「あのっ、もうちょっとそのっ、休憩をっ」
あたふたと慌てる彩芽をよそに、奏は自らのスカートの中に手を入れた。
そこから現れたのは、花を彷彿させるようなレースに彩られた純白の下着。
両端は紐で結ばれており、中央には黒のリボンが白の中で主張している。
だがその可憐な下着の一点は、クロッチ部分は暗い染みが広がっており、スカートの中に透明な糸が繋がっていた。
それが、半ば乱雑に脱ぎ捨てられる。
「言ったでしょ」
「な、何をでしょう」
「最後に貝合わせするって」
「ぁぅ」
そう言って奏は下の方へ移動し、彩芽の片脚を持ち上げた。
「……あの」
「なによ」
おまんこがはっきりと晒される。
今までの情事で興奮しきった、今もなお愛液を溢し続けているおまんこ。ひくひくと未だ開閉し続けているおまんこ。
そんな秘密の場所が空気に触れて、ぶるっ、と身体を震わせる彩芽であったが、ぽそり、と口を開いた。
「……優しくが、いいです」
潤んだ瞳で、奏を見つめる彩芽。
気持ち良過ぎる、激し過ぎる快感ではなく、優しく気持ちよくなりたいのだと訴える。
「……煽ってんの?」
「ちっ、違いますよっ⁉︎」
が、逆効果だった。どう考えても、激しくしても良い、という風にしか捉えられなかった。
「……まぁ、いいわ」
だが、その願いを奏は受け入れた。必死に自制して、今すぐ滅茶苦茶にしてやりたいと思いながら、なんとか受け入れた。
「ぁ……」
故に、彩芽の脚の間に入るようにして、片脚を抱えながら、ぐちょぐちょのおまんこに、濡れたぎったおまんこを近付け、
「ぁんっ……!」
優しく、くちゅ、と接触させた。
「……分かっていたけど、どろどろね」
「誰のせいですかぁ……っ」
「主に私ね」
「全面的に黒瀬さんのせいですよっ⁉︎」
「なによ。激しくしちゃうわよ」
「ひぅっ」
「……冗談よ」
「ぁっ……!」
先程までとは違う意味で涙目になりながら訴えてくる彩芽を揶揄いつつ、奏は僅かに腰を動かす。
「優しく、気持ちよくしてあげる」
「……はぃ」
劣情に駆られていた表情を消し、安心させるよう奏は微笑み、それを受けて彩芽は、また瞳を閉じた。
「んっ……んっ……んっ……」
「ぁっ……んぅ……あっ……!」
ゆるゆると、奏の腰が揺らめく。
そんな小さな、優しい動きの筈なのに、くちゅくちゅと淫らな音がすぐさま鳴り始める。
「は、ぁ……ぁん……んっ……」
「んんっ……あっ……はあっ……!」
度重なる愛撫を受け、度重なる興奮を通し、互いのおまんこは既にとろとろになっていた。
故に、おまんことおまんこが接触した瞬間から癒着する。それぞれの愛液が接着剤となり、ぴたりとくっ付いて離れない。
「荒川、さん……気持ち、いい……?」
「は、ぃ……ぁんっ……! いい、です……っ!」
そんなおまんこ同士の擦れ合いは、堪らない快感を生み出した。
陰唇が陰唇を捕食する。どちらがどちらを、などもう分からない。互いが互いを求めて、秘密の場所が秘密の場所によって隠される。
「ぁ……私も、気持ちいい……っ」
「んぅ……よかった、です……んっ……!」
にゅるにゅるとおまんこが滑る。
潤滑剤に満ち満ちたそこは何の抵抗もなく、それぞれの秘所を刺激し合い、お腹の奥に優しい快楽が溜まっていく。
「これも、ぁっ……好き、よね……っ」
「うぅ……んっ……! 知りま、せん……っ」
もう何度目か分からないが、瞳を閉じたままにまたぷいっと顔を背ける彩芽。
そんな彼女に苦笑しつつ、奏は腰の動きを少し変えた。
「ぁんっ……!」
「んあっ!」
角度が、変えられた。
おまんこ同士を擦り合わせていたものが、クリトリスごと絡み合うような角度に変えられた。
「はっ……んっ……んぅっ……んっ……!」
「んんっ……! ぁっ……! あっ……!」
おまんこの入口だけでなく、陰唇だけでなく、クリトリスまでもが癒着する。
柔らかなもので包まれていた感触の中に、一点だけ硬い突起が混ざり、おまんこえっちの中に少しだけアクセントが加えられた。
「あっ……んっんっんっ……あっ……!」
「ふぁぁ……! んぅっ、んぅっ……!」
コリコリしたものが、おまんこの筋を割る。
ふわふわしたものが、クリトリスを包む。
思わず震えてしまうような快感が二人に生まれ、お腹の奥に溜まってきていた熱が全身に広がっていく。
「ぁんっ……んっ……あっ、ぁぁ……っ!」
「はぁあんんっ……! んんぅぅっ……!」
くちゅ、くちゅ、くちゅ、と先程までとは比べ物にならないくらい慎ましやかな音。
けれど彩芽と奏は、これ以上ないくらいに満たされていた。この優しいセックスに、夢中になっていた。
故に、奏の腰が勝手に早まっていく。
故に、彩芽の腰が勝手に揺らめき始める。
「あっ……! は、ぁっ……! んっ……!」
「んっ! あんっ! あっ、んあぁっ……!」
互いの陰唇は既に開ききっていた。膣口同士が重なり合い、とくとくと相手に愛液を送りつけている。
クリトリス同士は擦れ合い、柔らかくも硬いものが互いの形を変え、互いに皮を剥き合っている。
「はっ、あぅっ……! 荒川、さんっ……!」
「あっぁっあぁっ! くろせ、さんっ……!」
彩芽の目がゆっくり開かれる。最後の瞬間は相手の事を見つめていたい、と涙を零しながら優しい笑みを浮かべる。
そんな彼女を奏は見つめ返す。いつもの彩芽だ、やはりその笑顔が似合っている、と思いながら蕩けつつも真剣な表情で彩芽を射抜く。
「んっぁっあっあっあっあっ……!」
「あっ! んっんっあっぁっあっ!」
僅かに腰の動きが速くなる。動きが最適解に辿り着く。
互いに腰を浮かせつつ、おまんこ同士を圧着させ、クリトリスが一番絡み合う体勢へと自然に変わっていく。
彩芽は度重なる絶頂で既に準備は出来ていた。
奏は度重なる興奮で既に準備は出来ていた。
静かに、静かに高まっていく。
ぬちゅぬちゅと粘液を練り合わせ、おまんこを重ね合わせ、クリトリスを絡め合わせ、女の子えっちの最適解を選んでいく。
互いの吐息と互いの嬌声が同期し始める。同じ快感を味わっているという合図が更に互いを高めていく。
彩芽と奏の視線が交差する。
何も纏っていない身体。ブレザーに包まれた身体。
違いはあれど、優しい快楽に蕩けた表情。快楽に染まりきった目は同じ。
通じ合う。
もうそこに至ると無言の会話がなされる。
どうぞ、と小さな声が聞こえた気がした。
「荒川、さん……! あっ、あっ、あっ! んんっ! もうっ! イ、くぅ……‼︎」
「くろせさんっ……! はぁあんんっ! あぁぁっ! あっ、ああっ、んんぅっ……‼︎」
静かな絶頂だった。
互いの身体が、小刻みにぷるぷると震える。
おまんこを強く相手に押し付け、クリトリスを潰し合い、それが一番気持ちいいとでも言うように、その姿勢から動かない。
おまんこは開ききった状態で、とろとろと愛液を漏らし、相手の愛液と混ざり合って溢れていく。
クリトリスはもう裸になっていて、ぷるぷるの真っ赤な小粒同士が寄り添うようにしながら、とくん、とくん、と相手に鼓動を送っている。
熱い息を吐きながら、指を絡め合わせたまま互いを見つめ、気持ちよかった、という感情を交換し合う。
離れたくない。この瞬間を終わらせたくない。
「んぅっ……!」
「は、ぁ……!」
だが終わりは来る。
ぶるっ、と同時に身体が勝手に大きく震え、快感の残り火が強制的に逃される。
甘い絶頂で僅かに強張っていた身体から力が抜けていき、そんな様子に彩芽と奏は互いにくすくすと笑い合った。
「んっ……」
「ちゅ……」
だから最後に、折り重なるようにして優しく甘いキスをした。
――――――
「あー、気持ちよかった」
「いや黒瀬さんが気持ちよかったの最後だけじゃないですか……」
どろどろでぐちゃぐちゃのベッドはさておき、奏は彩芽が体を拭くのを手伝っていた。
「何言ってんの。えっちな荒川さん見てるの超気持ちよかったわよ」
「趣味が悪いです……」
が、あそこやお尻を拭く時は彩芽はめっちゃ抵抗した。
「うぅ……あんなに……お尻までされるなんて……」
そしてへこんでいた。
乱れに乱れまくった自分が恥ずかしくて仕方ないとばかりに顔を覆っていた。
「でもさ、荒川さん」
「なんですかぁ……?」
「そう言う割には、後ろの準備ちゃんとしてたじゃない」
「うっ」
後ろをスる時は何かと用意が必要なのである。
何故かは分からないが彩芽はちゃんと準備していたのである。
「そんなにお尻が好きなのかなぁー?」
「うぅぅぅぅ」
何故かは分からないのである。
「まぁいいわ。あーこれで今月もバイト頑張れるー」
「……いいかげん他の事にお金使いましょうよぉ」
「イヤよ」
「……はぁ」
何を言っても無駄、という空気を出す奏。
「……勉強もちゃんとしないと、ですよ?」
「ちゃんとしてるし宿題だってしてるわ」
「生活にゆとりはあるのですか……?」
「今この瞬間がそれよ」
「……はぁ」
そんな彼女に対し、もう何も通じまい、と彩芽は溜息を吐いた。
「たまには黒瀬さんを癒してさしあげたいのですが」
「次も逆転コースね」
「たまには黒瀬さんを癒してさしあげたいのですが」
「次も逆転コースね」
「たまには黒瀬さんを癒してさしあげたいのですが」
「次も逆転コースね」
「たまには」
「諦めなさい」
「うぅぅ……」
このコースを掲げている以上、彩芽は断れないのである。
いっその事、奏さえも払えないほど高額のコースにしてしまえばいいものを、善良で義理堅い彼女にそれが出来る筈もない。
故に、次もまたあひんあひん言わされるのは確定である。
「あ」
「どうしました?」
そんな折、奏は短く声をあげた。
「二穴責めするの忘れた……!」
「しなくていいです」
彩芽は恐れ慄いた。
「荒川さん」
「もう時間切れです」
「ダメ?」
「ダメです」
「じゃあ次は最初からそれね」
「うっ」
「ちゃんと準備しておくのよ」
「うぅ……」
彩芽は義理堅いのである。
――――――
「奏ー」
「なに」
「昨日どうだった?」
「控えめに言って最高だったわ」
彩芽が項垂れながら色々約束した次の日の昼休み。奏はいつもの友人と一緒にお弁当をつついていた。
「どのコースどのコース?」
「言わないわよ」
「えぇぇぇぇ」
そんな二人をよそに、教室の一角は賑わっていた。
「荒川さーん。一緒にお昼食べよー」
「はい。ご一緒しましょう」
「荒川さん。お菓子焼いてきた、食べて」
「すごく美味しいですっ」
「荒川さーん……料理教えてぇ……」
「あはは、今度一緒に作りましょう」
「荒川さん! 宿題写させて!」
「ダメですってば」
「ごめん荒川さんいるー? 運動着貸してー?」
「流石に貸しませんよっ⁉︎」
「荒川さんっ、今日空いて、ない、よね」
「んー……あ。空いてます」
「なっ⁉︎」
「えっ⁉︎」
「はあっ⁉︎」
「ちょっ⁉︎」
「うぇっ⁉︎」
大人気だった。
「ちょっと行ってくるっ!」
「……はいはい」
彩芽の周りではジャンケン大会が開催されていた。何のためのジャンケンかは分からない、分からないが皆真剣である。
そんな盛り上がる女子達を、男子達は不思議そうに眺めていた。
「…………」
黙々とお昼ごはんを食べる奏。
だが内心燃えていた。
絶対次もあんあん泣かせて鳴かせて啼かせる、と短く切り揃えられてよく磨かれた爪に視線を落としながら、固くそう決心していた。