「つまりレズ風俗って事ですか先輩⁉︎」
「わ、私はレズではありませんが、だいたい合っています」
「神よ……!」
何が何だか一切分からなかった小春だったが、彩芽の説明を受けて全てを完全に理解した。
「うひょー! うっひょー!」
「あはは……」
故に、歓喜した。超歓喜した。憧れのレズセックスが出来ると、これ以上ないくらい歓喜していた。
「それで小春ちゃん、どうしますか?」
「どうって……はっ!」
即ちコース選択。
正直全て気になっていた。
ソフトコースで様子見するのも良し、ハードコースであひんあひん言わせてもらうのも良し、開発コースで未だ知らぬ快感を教えてもらうのも良し、逆転コースも良い、荒川先輩のドスケベボディを弄れるとかもう最高じゃん。
などと、思考が目まぐるしく動いていた。
「……荒川先輩。ねっとりコースって、ねっとりねちょねちょって言ってましたけど」
だがしかし、その中で一際気になるコースがあった。
「はい。そうですね」
「もうちょっと具体的に、どんなコースなんですか?」
全身を、と説明は受けたものの、それ以上の詳しい説明は無い。
「んー……端的に言いますと」
「はい」
「セックスのような」
「それでお願いします‼︎」
即決だった。即断だった。
なにせ小春はレズセックスに尋常でなく憧れを抱いている。故に迷う事など何も無かった。
「よ、よろしいのですか?」
「はい! 憧れのレズセックスが出来るなんて感動もんですよ!」
「……憧れの?」
「あっはい。自分レズなんで」
どう考えてもレズそのものなコースのオンパレードに影響を受け、小春は己の性癖を一切隠す事なく答える。彩芽がレズではないなど微塵も信じていなかった。
「だから紹介されたのですね。ようやく合点がいきました」
彩芽に紹介されるのは何かしら問題を抱えている女子が多い。故にその問題がハッキリして納得がいった。
……中にはただ性的快感を求めている女子も多いのだが。というか今ではそっちの比率が多い。
「うえへへへへ。どど、どうすれば良いですか荒川先輩。脱げばいいんですか脱げばいいんですよね⁉︎」
「お、落ち着いてください小春ちゃん」
小春はもう辛抱たまらなかった。処女、いや童貞丸出しである。
「それでも良いのですが、小春ちゃん、キスって大丈」
「したいですっ!」
「……ですよね」
食い気味に反応する小春に彩芽は苦笑する。小春はもうやる気まんまんである。
「ではまずベッドに」
「はいっ!」
「こ、行動が早いですね。……では私も」
そんな小春の様子に早速ねっとりコースを開始しようとする彩芽だったが、想像を上回る迅速さに少し面食らう。
が、それはそれ。彩芽は靴を脱ぎ、小春の待つベッドの上へ乗ると、ギシッと僅かに軋んだ。
小春は歓喜していた。これからソレが始まるのだと、心臓が破裂しそうになるほど歓喜していた。
「ぬぬぬ、脱げばいいですかっ!」
「小春ちゃん、落ち着いてください」
「だ、だって……!」
これ以上待てなかった。餌を目の前にちらつかせられて、もう興奮が限界だった。
「脱がせてさしあげますから」
「っ!」
だがその瞬間、小春に電流が走った。
知ってる。そのプレイ知ってる。確かにそれ興奮する。超良い。
「よろしくお願いしますっ!」
故に、ババン、と両手を広げて彩芽を誘った。
「……で、では失礼しますね?」
その様に彩芽は少々呆気にとられる。
……ねっとりコースを選ぶ女子は元々少ない。女同士で身体を重ね合う、という事に忌避感を覚える子は多々いる。
選んだ子も大概は興味半分という事が多く、小春のように最初からノリノリで、という事は稀であった。というか初めてであった。
故に、ちょっと、ちょっとだけ彩芽はやりにくかった。
が、それはそれとして、彩芽はもうプロと言っても差し支えがない。
「……っ!」
小春のブレザーのボタンに、彩芽の手がかけられた。
ぷち、ぷち、と一つずつ外され、数の少ないそれはあっさりと全てが解放される。
彩芽はそのまま上着を脱ぐように促し、するり、と両腕から紺色が抜き去られた。
その内側には白のブラウスと赤のリボンタイ。
その間、小春は彩芽の指先をガン見していた。そこから目を離せなかった。これから自分を抱いてくれるだろうその白魚のような指先に視線が固定されていた。
「小春ちゃん」
「ひゃわっ⁉︎ は、はいっ!」
「キス、しますね?」
その瞬間、ドクン、と小春の胸が高鳴った。
キス。唇同士のセックス。ファーストキス。
「は、ぃ……」
顔が一気に紅潮する。興奮で頭に血が一気に昇る。
小春の目の前には優しい表情の彩芽。宣言する必要など無いのに、確かめてきてくれる優しい先輩。
そんな優しさに、感情が一気に爆発しそうになりながら、小春は目を開きながら、それを受け入れる体勢を整えた。
「ちゅ……」
重なり合う唇と唇。その想像以上の柔らかさに小春は思わず目を見開く。
「ちゅ……んっ……ちゅ……」
触れ合ったのは数瞬。だが離されて寂しいと思った次の瞬間にはまた触れ合い、軽いキスが何度も何度も繰り返される。
「ん……ちゅっ……ちゅっ……」
啄むようなキス。一瞬触れ合う毎に小春の頭が沸騰していく。だがその感情とはうらはらに、身体が硬直して動かない。そんな小春を解きほぐすようにして、彩芽は肩や腕を撫でる。
……小春とて他人から触られる事くらいはある。だが、このような状況下で触れられるその感覚は今までに経験した事のないもので、唇から、彩芽から触れられた箇所から熱が身体中に広がっていく。
「は……んっ……ん、ちゅ……」
キスするとしたら舌同士を絡め合わせるような、深い、貪るようなキスをしたいと小春は思っていたし、妄想していた。
だが現実は違った。軽いキスだけで、頭がどうにかなってしまいそうだった。ディープキスなんてしてしまったら、泣いてしまうほどにメチャクチャになってしまうのではないかとさえ思った。
「ちゅぅっ……ん、は……んっちゅ……」
唇が吸われる。身体が撫でられる。
彩芽は小春の想い人というわけではない。だが、このキスだけで、小春はもう彩芽の事しか考えられなくなった。
「ぁ……んぅっ」
「ちゅ……ちゅ……」
キスはそのままに、しゅるり、とリボンタイが抜き去られる。
思わず小さく声をもらす小春であったが、こちらに集中してください、とでも言うように彩芽はキスを続ける。
「んっ……んっ……んぅっ……」
「ちゅっ……ん……ちゅぅ……」
唇が甘い感覚に浸かったまま、ぷち、ぷち、とブラウスのボタンが外されていく。
一つ外される毎に、小春の中にある熱が更に高まる。心臓が張り裂けそうになるほど鼓動が早くなる。
脱がされて恥ずかしい、なんて考える余裕など無い。小春の思考はもうぐちゃぐちゃになっていて、もう何も考えられない。
「ん……は……っ」
「ちゅ……ふふっ」
目が潤んでいた小春に対し、優しく微笑む彩芽。
唇が離され、とてつもない寂しさを覚える中、ゆっくりと、小春の前がくつろげられる。
現れたのはパステルピンクの下着。小春が今彩芽に対して抱いている感情を表しているような、淡い桃色。
「可愛いですよ」
「ぅ……」
その一言に嬉しいという感情が爆発して、小春は何も言えない。
そんな下級生の心情を理解してか、彩芽は耳元で可愛い、可愛い、と囁きながら白いブラウスを脱がせていく。
「ぁっ……」
白が全て無くなった頃、とさり、と小春はベッドに優しく押し倒された。
身体が硬直する。セックスの時はこうしよう、ああしよう、そんな妄想が一切役に立たない。
ただただ、今も優しい表情で近付いてくる彩芽に、唇を差し出す事しか出来ない。
「んんっ⁉︎」
だが、また唇を吸ってくれるという予想は裏切られた。
「ちゅぷ……んっ、ちゅぅぅ……」
「んんっ! んっ! んんんっ!」
唇が、柔らかいもので割られた。小春の中に、彩芽が入り込んできた。
とろん、と蕩けていた目が、再度見開かれる。だが視界に入ってくるのはどこまでも優しい目。
「ちゅむ……っは、ちゅっぷ……」
「んぅ……! は、んんっ……!」
だから、安心して受け入れた。心だけを暴れさせながら、その優しく深いキスを受け入れた。
彩芽の舌が、小春の中を探る。
これ以上驚かせないように、安心して受け入れてください、と伝えながら口の中が犯される。
「ちゅぷ……」
「んぅ……!」
ねっとりとしたものが、引っ込んでしまっていた小春の舌に触れた。
「じゅる……ちゅっ、ちゅむ……」
「んぅっ! んっ、んぅっ……!」
出ておいで、怖くないよ、とでも言うように、ちょんちょん、と触れられ、おずおずと舌を差し出した瞬間、交尾が始まった。
舌同士が絡み合う。彩芽が小春のものを捉え、どこまでも優しく愛撫する。
それは先程までの軽いキスなどとは別次元。小春の味覚が快感に染まっていく。
「ちゅ……んっちゅぅぅ……ちゅむ、んっ……」
「んぅっ……んんんんっ! んんっ、ん……!」
舌の先端が舐められ、吸われ、また絡み合う。
初めてのキスで、小春は尋常じゃない快感を味わっていた。キスの良し悪しなんて分からない。分からないが、これはとても気持ちいいのだと理解させられた。
だが強張った身体から力が抜けない。力の抜き方を忘れてしまった。
「ちゅっぷ……っは、ちゅぅぅ……」
「んむぅっ……ぁ、んぅぅっ……!」
そんな下級生を安心させるかのように、彩芽はまた小春の身体を撫で始める。
髪を、肩を、腕を、鎖骨を。露出している肌という肌を撫で、私に身を任せてください、と伝えていく。
「ちゅむ……じゅるっ……ちゅ、ぷ……」
「んぅ……んんんっ! はっ、ん……!」
唇だけじゃない。舌だけじゃない。彩芽から触れられているところ全てが心地良過ぎて、心の熱暴走が止まらない。
否、止まらないのはそれだけじゃない。快感が、舌と唇からの快感が膨れ上がっていく。
頭が真っ白になるような感覚。
身体が浮き上がっていくような感覚。
切なくて、気持ちよくて、どうにかなってしまいそうな感覚。
その感覚を、小春は知っていた。
「ちゅぷ……ちゅちゅっ、じゅるっ……ちゅむ、ちゅむ、ちゅ、ちゅぅぅ……」
「んんっ……んっ、んっ……んんっ! んっ! んんっ! んっんんぅぅぅっ‼︎」
それを認識した瞬間、舌を絡め合わせたままに小春の手がぎゅっと握りしめられた。
くちゅ、くちゅ、と小さな水音が小春の脳に浸透していく。
舌が快感に痺れ、甘味しか感じない。それ以外の味覚が無い。
小春とて、普段の自慰で
「ちゅ……っ」
そして、唇が離された。
つぅー、と微かな透明な橋が互いの舌を繋ぎ、ふっと消える。
見つめ合う二人。片方の目は驚きと快感に染まっており、もう片方の目は慈愛に染まっている。
「脱がせますね?」
「……は、ぃ」