今あった出来事に対し何を言うでもなく、彩芽はただ確認をした。
それが何に対するものなのか何も考えられず、小春はただ頷く。
「ぁ……」
彩芽の手が、小春の背後に回され、ぷつん、と何かを外した。
ふわり、と下着が浮く。その時点でようやく何を問われたのか理解した小春だったが、意味のある言葉を発する事が出来ず、小さな声を漏らす事しか出来ない。
肩紐が外され、ゆっくり、ゆっくりと、パステルピンクが小春の身体を離れていった。
小振りな胸が、直前までの情事で紅潮している胸が、顕になった。
仰向けになっていても形が崩れない、年頃らしいハリとツヤにあふれた乳房。
その頂にあるものは赤く染まっており、直接的な刺激を受けていないにも関わらずピンッとそそり立っていた。
「綺麗ですよ」
その言葉に、小春の胸が歓喜によって締め付けられる。彩芽から何を言われても全てが喜びに変換される。
羞恥心など無かった。もっと見て欲しいとさえ思った。
「んっ……」
だから、彩芽の手が胸に触れても、何も抵抗せずに受け入れた。
輪郭が確かめられるよう、胸が包まれる。そのままやわやわと微かな力で揉まれる、というよりは揺らされるような力加減で愛撫される。
「ふぁ……ぁ……んっ、ちゅぅ……」
その心地良さに浸ったのは一瞬の事。胸への愛撫と共に、また口吸いが再開された。
「ちゅむ……んっ、んっ、ちゅ……ぁっ……」
今度は小春からも積極的に舌を差し出す。舌同士が互いの中間でねぶり合い、その間も胸を優しく捏ねられては吐息に声が混ざり始める。
「は、ん……ちゅぷ……んぁっ、はぁん……」
あくまでも優しい愛撫なのに、普段自分で胸を触る時は殆ど快感を感じないのに、小春は乳悦というものが自分の内側に溜まっていくのを感じていた。
彩芽の手から伝わる熱が内部に浸透していく。切なさと気持ちいいの中間の感情が、胸から溢れていく。
「ちゅっ、ちゅむっ……ぁんっ……」
ふよふよと揺らされ、それと共に乳頭が揺らされる。
空気の流れさえ感じるほど敏感になっていた場所がその存在を思い出させられ、脳がジンジンとした痛みにも似た感覚を認識してしまった。
「んっ……せんぱ、ぃ……ぁっ、ゃ……」
そんな小春の感情などお見通しだったのだろう。口付け合っていたものが離され、彩芽は優しく微笑む。
その直後、頬にキスを落とされる。首筋にキスを落とされる。首元に、肩に、鎖骨に。だんだんと、彩芽がそこへ向かっていく。
「は、ぁ……は、んぅっ……」
胸の際に、両胸の中心に、心臓の上に。
小春は身を固くしてそれを期待する。身体から緊張なんて抜ける筈がない。只々それを、彩芽の行き着く先を想像して、訪れる衝撃に備える事しか出来ない。
「あっ!」
そして、彩芽がそこに辿り着いた。
「んっ……ぁっ……はっん……んっ……!」
ちゅっ、と唇に施していたような軽いキス。先端の先端が僅かに捉えられる、触れるだけのようなキス。
だがそのキスが落とされる度に、小春はぴくん、ぴくん、と反応した。
「んぅ……! ふぁ……ぁっ……あっ……!」
彩芽の唇が、だんだん深くそこを捉えていく。
小振りな胸に相応しい、小振りな乳首。その姿が接触の度にだんだんと大きく消えていく。
「はぁっ……! あっ……! んんっ……!」
ついには、根本まで吸われるようになった。
吸っては離され、姿が消えては現れ、ちゅっ、ちゅっ、と音を立てて小春の小さな乳首が啄まれる。
その一瞬毎にジンジンするものが解消されては再度生まれ、頭が狂ってしまうほどの切なさに襲われる。
「んあぁっ……!」
だから、彩芽は優しく吸い付いた。
いかに優しかろうと、それは小春に強烈な乳悦を与える。胸の奥に溜まっていた快感が放出されていくような感覚。その衝撃に、身体の横に揃えられていた両手がまたきゅっ、と握り締められる。
「はぁあっ……! んぅっ……! んんんっ……!」
何度も、何度も繰り返し深く吸われた。
もっと感じてください。もっと勃起させてください。とでも言うように、小春の乳首がどんどん育てられる。
そんな想いに応えるよう、一吸い毎に赤い蕾は素直に硬度を増していく。彩芽の唇に伝わる感触が、コリコリしたものへと変わっていく。
「んぁっ……! せんぱい、せんぱいっ……!」
もう硬くなりません。もう大っきくなりました。そう伝えるようにして彩芽を呼ぶ小春。
胸が、乳首が切なくて切なくて、泣いてしまいそうになるほどの乳悦だった。なんとかしてこれを解消してほしいのだと、小春は叫んだ。
「ふぁっ!」
だから彩芽は、ちろり、とカチカチになったものを舐め上げた。
「んぁあっ……! あんっ……! んっんっ……!」
柔らかいだけではない。ぬるぬるとした感触のものが、小春の乳首の表面を這う。
「んっぁっあっ……! ふぁぁあ……!」
ゾクゾクとした感覚が小春の全身を駆け巡る。
指では為し得ない感覚のそれは、未体験という前提があるにも関わらず強烈な快感だった。
「はぁあぅぅ……! んんっ、ぁんっ……!」
勝手に胸が反る。身体が彩芽に全てを差し出そうとして小振りな胸が突き出される。
されているのは乳首を下から上へ舐め上げられているだけ。それなのに、まるで乳首とはこう感じるものだ、とでもいうような未知の領域の快感が発生する。
「んぅぅっ……! は、ぁぁあ……!」
柔らかいもので硬いものが慰められる。緊張を解すように愛撫されているのに、そこはより硬くなっていく一方。
「あっ!」
そんな、乳首がねっとりとした感触に翻弄されている中、もう片方の乳首が彩芽の指により捉えられた。
「んぁ……っ! ゃ、んぅ……っ! ふぁ……っ!」
だがそれだけで何もない。二本の指先がそこを摘んでいるだけ。
小春が普段の自慰でする時にも乳首は弄っていた。クリクリと、カリカリと苛めるようにして強い刺激を与える事により僅かな快感を得ていた。
「あっ……! んんっ……! はぁあ……っ!」
なのに、軽く摘まれているだけなのに、そこから広がる気持ちいいが止まらない。
……彩芽は常に小春を見ていた。どのような感触が好きで、どれほどの強さが好きなのか。
故に、看破する。小春さえも知らない小春の好きな快感を与えていく。
「んぅ……っ! は、ぁんっ……! んんっ……!」
時折ほんの少しだけ、くにゅっ、と力が込められるだけで基本的には摘まれているだけ。それと同時にもう片方はねっとりと舐められているだけ。それだけなのに、身体が勝手にくなくなと揺れてしまうほどに小春は感じていた。
「あぅっ……! んぅっ! んぅぅっ……!」
舐め方が変わる。しこり上がった蕾だけを舐め上げていただけのものが、まるで乳首の形を教え込むようにして乳輪ごと乳頭の周囲をくるくると回り始める。
「ひぅっ! んんんっ……! あんっ……!」
小春は思わず胸を引いてしまった。ようやく慣れてきたところに別種の刺激、その変化に身体が着いていけず、新たな快感から逃げようとしてしまった。
「んんんぅぅぅううっ⁉︎」
だから彩芽はちゅぅぅっ、とぬるぬるになっていた乳首を優しく、強く吸い上げた。
「はぁっ……はあっ……あんっ……!」
そして息を整える暇もなく続けられる乳首への愛撫。
一度吸引されてしまってからはもう耐えられなかった。
「ふぁああっ……! あっ! んっんんぅっ……!」
小春の声が一段高くなる。
舐め上げられるたびに、舐め回されるたびに、摘まれるたびに、忘れた頃にまた吸引されるたびに、上半身がぴくん、ぴくん、と跳ねる。
乳首はカッチカチにそそり立っていた。真っ赤に染まっていた。これ以上ないくらい快感を主張していた。
「はっあああぁぁぁあっ……!」
そんな赤い蕾が乳輪ごと強めに吸われる。
だがそれだけではない。彩芽の口の中でにゅるにゅるとしたものが乳首を舐めしゃぶり、小春に甘い甘い快感が送られる。
「んんんんあっ! はっ……! はっ……!」
そのままずっとしてほしい。ずっと吸ってほしい。そんな思いを抱くほどの快感はそう長く続かなかった。
ちゅぽんっ、という音と共にてらてらとした乳首が姿を現す。
快感の残り香でジンジンと痛む。上下する胸の動きに合わせて彩芽に癒された場所がフルフルと震える。
「せんぱぃ……ふぁあああああっ⁉︎」
もっとください。そう言おうとした瞬間、今まで摘まれているだけだった乳首が、彩芽の口の中に消えた。
「はぁぁああぅぅっ! ああっ……! んあっ!」
今までと違い過ぎる感触に、脳の処理が追いつかない。
ちゅぷ、ちゅぷ、と優しく吸われ、優しく舐めしゃぶられる。痛みなど全くない。だが快感が一気に膨れ上がる。
「あっあっあっんっんんんぅぅっ!」
それと同時、今まで舐められ続けてぬるぬるになっていた乳首が、ぴんぴんぴんっと弾かれる。
限界まで張り詰めていたそこは、中にバネでも仕込まれているかのように上下に跳ね回った。乳首の側面を擦りあげながら根本から押し倒され、頂点に至った瞬間にぷるんっと解放され、それが反対方向からも繰り返される。
「んんんっ! あっあっぁっあっ! ぁんっ……!」
舐めしゃぶられるのも、弾かれるのも、強い刺激の筈なのに柔らかく優しい快感が生まれる。小春の乳首はもう蕩けていた。
彩芽のもう片方の手は、舌で愛撫している胸を優しく揉み上げ、違う種類の快感を常に送り続けている。
それぞれが小春に最適化された動き。それぞれが小春に合わせられた快感。
気持ち良過ぎる、物足りない、そういった感情は生まれない。ずっとそれをして欲しいという想いが小春の脳を支配する。
「あっ! んっゃっあっあんっ! ぁあっ……!」
だから彩芽はそれを続けた。
優しく揉みしだき、優しく吸い、優しく舐め回し、優しく弾き回し、慈愛さえ感じられるような柔らかい動きで小春に快感を送り続ける。
切なさと気持ちよさが絶妙に絡み合う。胸の奥どころかお腹の奥が熱くなっていく。いや、もう既に熱い。上半身どころか全身がくなくなと揺れ、ぴくぴくと小さく跳ねている。
何か縋るものが欲しい、と小春の両手がベッドシーツを掴む。
身を捩っても、快感が減る事も増える事もない。いや、増えている。増え続けて、何かが迫ってきている。
有り得ない事。知識としては知ってる。しかし自分でそうなるなんて思いもしなかった事。
だが実際、来ている。
胸から、その先端から快感が膨れ上がる。身体から何かが溢れようとしている。
くなくなと身体が揺れても愛撫は止まらない、変わらない、ずっと気持ちいいまま。
身体が勝手にその体勢になっていく。脚が勝手にピンと伸びていく。内腿が勝手に擦り合わされる。
そんな中、視界が歓喜と不安の涙で歪みながら見下ろせば、どこまでも優しい表情の彩芽。
気持ちいいですね。だから良いんですよ。どうぞ。
そんな声が聞こえた気がした。
だから、小春は安心してその感覚に身を委ねた。
「ぁっぁっぁっあっあっ! はぁあんんんっ……! んぅっ! ふぁああっ……! ああっ! あっんんんんっ……! んっんっんっあっあっ! はぁぁああんんんんんんっ……‼︎」
ぴくんっ、ぴくんっ、と小春の身体が少し大きく跳ねた。
キスの時よりも、少しだけ深いもの。
頭の中が気持ちいいだけで支配され、手足に勝手に力がこもる。
その間もふよふよと胸は揉まれ、コロコロと乳首は口の中で転がされ、ピンピンピンともう片方の乳首は弾かれ続ける。
どこまでも、どこまでも優しい快楽が続き、小さな波がどこまでも続いていく。
小春の上半身は、乳首は蕩けていた。感覚はそこにちゃんと残っている。だが快感に溶けて無くなってしまっていた。
そんな場所への愛撫が、ゆっくりと、弱まっていっている事さえ分からないほどゆっくりと時間をかけて弱まっていく。
「は……ぁぁ……んっ、は、あ……っ」
気持ちよかった。すごかった。気持ちよかった。荒川先輩、好き。好き。好き。
軽い絶頂が去った後、小春の脳はそれしか考えられなかった。