感想会
守護者達は興奮気味にディアーの戦いについて語っていた。
デミウルゴス「いやはや…やられましたね。まさか、幻術によって最初から虚像を作り出していたとは」
アルベド「えぇ、全くだわ。これが幻術特化の魔法詠唱師、敵に回したくないわね」
ナザリックの知恵者であるデミウルゴスとアルベドすらも欺くディアーは、至高の四十一人とまでは行かなくとも、守護者達の間で高く評価されていた。
ここで皆が思っていた疑問をアウラが切り出す。
アウラ「でも、幻術で虚像を作り出したとしても、その虚像が実際に質量を持つことはないよね?」
当然の疑問であった。幻術とは相手に何かを誤認させるもの。その誤認と言うのは、基本的に視覚に訴えかけるものが多い。幻術に質量を持たせることは基本できないのだ。
シャルティア「確かにそうでありんすね。あの様子だと虚像は質量を持っていんした。それに加えて、あの虚像は魔法まで使っていんしたよ?」
マーレ「た、確かに…幻術で作り出された虚像が魔法を打つなんて…き、聞いたことがな、無いですね…」
デミウルゴスとアルベドが悪魔的な笑みを浮かべ、皆に語りかける。
デミウルゴス「確かに、それは私も考えた。なぜ虚像が魔法を使い、質量を持つのか、とね。しかし、その答えは…」
アルベド「アインズ様が持っていらっしゃるわ」
アインズ(チャンス!!)
アインズは心の中でガッツポーズをした。実の所、アインズは知っているのである。なぜ、虚像が質量を持っているのかを。そして、アインズがガッツポーズをした理由は、守護者達の知らない知識を出すことで、守護者達に支配者らしい態度が取れると考えたからだ。
デミウルゴス「アインズ様は最初から虚像を使っていたと分かっていらっしゃったのだよ。その証拠に…」
アルベド「同盟者殿が倒された時に、我々が動揺し、声を上げる中、アインズ様だけは何も言わずにその状況を見守っていらっしゃたのよ。これは最初から分かってないと出来ないことだわ」
守護者達から感嘆の声が上がる。
アインズ(よしよし!いいぞ。ここで俺が知識をビシッと叩きつけたら、皆は関心するだろう。俺は中々支配者らしい態度が取れないからな。こういうところでいい感じにカッコつけとかないと!)
そして、アインズの待っていた質問が飛んできた。
シャルティア「では、アインズ様、なぜ同盟者殿の虚像は質量を持ち、魔法を使ったのでありんすか?」
アインズは喉の調子を整え、軽く回答の内容を頭の中で整理して答えた。
アインズ「それはな、シャルティ」
デミウルゴス「シャルティア…それは今、質問すべきことでは無いよ」
デミウルゴスがシャルティアに話す。アインズは頭からいくつものハテナが生まれた
アインズ(ん?どうしたんだ?なんで止める?)
それに続けてアウラもシャルティアに話し始める
アウラ「シャールティーアー、アインズ様のお考えをもう忘れたの?」
アインズ(え?なんのこと?)
アインズは更にハテナが生まれた。デミウルゴスだけでなく、アウラまでもシャルティアを止めた。全く理解できない。何かシャルティアに至らぬ点があったのだろうか、とアインズは考える
デミウルゴス「シャルティア、アインズ様は今回の同盟者殿を行かせた理由として、我々への学習の機会を与える為、と私が最初に説明したね?ここまで言ったら、守護者たる君なら分かると思うのだが…」
シャルティア「あ…」
アインズ(あ…)
アインズは今回、そう言うことになっていることを忘れていて、シャルティアと全く同じ反応を取ってしまう─声は出てないが─
シャルティア「も、申し訳ありません!主君のお考えを失念するなど…どうかこの愚か者に罰を…」
アインズ「い、いや!良いのだ、シャルティアよ」
アインズ自身も忘れていたので、責めることなど出来るはずも無い。もし、ここで自分のことを棚に上げて相手を叱るなどするようなら、それはダメ上司を超えて人格破綻者である。
デミウルゴス「しかし、アインズ様…これは流石に…」
アインズ「いや!良い!良いのだ!誰にだって間違いはあるし、忘れることもある。私だって話したこと全てを覚えている訳では無いのだからな。ここで忘れたことを責めるのは少々、酷だろう」
デミウルゴスは感嘆に満ち溢れた吐息を吐くと、アインズに一礼をして、話し出す。
デミウルゴス「なんと慈悲深い…このデミウルゴス感服致しました。では、皆、先の戦いについて少し我々だけで考えてみようか」
アウラ「はーい!」
マーレ「は、はい」
コキュートス「承知シタ」
シャルティア「必ず、答えを出してみせるでありんす!」
アインズ「う、うむ」
支配者らしい態度をとる絶好のチャンスを逃したアインズは心の中で肩をガクっと落とした。
アインズ(なんで俺に説明させてくれないんだよぉぉぉぉ)
戦闘後ディアー
ディアーはナイウーア領からの撤退後、天空の森の自室に帰っていた。
ディアー「はぁぁぁぁぁぁぁ!ひっさびさにやったなぁぁぁ…こっちに来てから、全く演技してなかったから出来るか不安だったよォォォォ」
ディアーは現実の方では俳優をやっており、レギュラーのドラマも持っている程の人気俳優なのである。
そして、ディアーは悪役としての演技が業界でもトップクラスに上手いため、レギュラードラマでも悪役をやっている。
特に、ディアーは俳優であり、マジシャンでもある為、マジシャン役や、奇術師と言った役を演じることが多く、レギュラードラマでは巧みにトリックを扱う悪役になっている。
その為、ディアーは戦闘では、相手を騙す奇術師らしい戦いをすることが得意なのだ。
ディアー「てか、役に入り込み過ぎて、途中から住民を逃がさなきゃなの忘れてたな…アインズさんがあそこで撤退命令を出してくれなかったら皆殺しにするところだった…」
ディアーは心でアインズに感謝を伝えていると、扉のノック音が聞こえた。
ディアー「どうぞ」
ディアーが入室の許可を出すと、扉を開けたレヴィンはドンドンと足音を鳴らしながらディアーの元に歩み寄る
ディアー「あ、レヴィン、警備おつかれs」
ガタン!
レヴィンが近寄ると机を強く叩いた。ディアーは肩を震わせ、レヴィンを見る。
レヴィン「お疲れ様じゃないですよ!」
ディアーは引きつった笑顔を見せながら、レヴィンに答える
ディアー「いやぁぁーウォスクには同盟のことを伝えておいたんだけど、もしかしてレヴィンに伝わってなかった?」
レヴィンはドン、ドン、と机を叩きながらディアーを睨みつけた。
レヴィン「そうじゃ!ありません!同盟のことはウォスクから聞いてます!…数日前から帰って来なかったじゃないですか…ここに…連絡も無しにぃ!」
レヴィンから鼻水をすする音が聞こえた。そして、顔を上げたレヴィンを見て、ディアーは深く後悔した。レヴィン達はディアーが帰って来ないのでは無いかと心配していたのだ。ディアーはウォスク達に天空の森の警護を任せて、ナザリックに行っていた。警護を任せているから、と連絡をしていなかったのだ。
レヴィン「本当に…心配…したんですよ…?」
レヴィンは震えた声でディアーにそう言うと、ディアーにしがみついたまま泣き崩れてしまった。
子供のように泣き喚くレヴィンを見て、ディアーは鼓動する心臓が貫かれるような痛みを感じた。
ディアー(なぜ俺は忘れてしまっていたのだろうか。仲間が居なくなることの怖さを)
ディアーは自分の感じた、仲間が帰ってこなくなることの怖さを知っていたはずなのに、仲間に同じ思いをさせてしまった。なぜ忘れていたのだろうか。なぜレヴィン達が心配する、と考えが至らなかったのだろうか。なぜ自分はレヴィン達なら心配しないなどと思い込んでいたのだろうか。
王国殲滅で忙しかったとはいえ、「帰りが遅くなる」等の連絡くらいはしておくべきだった、と深く反省した。
そんなことに考えていると、ドアが勢いよく開いた。ウォスクが走って来たようだ。
ウォスク「ディアー様!!お戻りになられたのですね。連絡がなかったので、従者一同心配しておりました…」
ウォスクは跪き、深々と頭を下げる。
ディアー「本当に…すまない。心配をかけたな。次からはしっかり連絡するようにするよ」
ウォスク「我々に気遣いなど…いえ、しかし…そうですね。していただけるのであれば、我々は安心できます」
ウォスクはディアーに笑みを浮かべた。
しかし、ウォスクはレヴィンを見るとその笑みは一瞬で消え、からかうような表情になり、レヴィンに質問する。
ウォスク「ところでレヴィン…お前はなぜ、ディアー様に抱きついているのだ?それに、その顔……もしや!泣いていたのかぁ?クスクス」
レヴィンはディアーから手を離し、ムスッとした表情を向けて答える。
レヴィン「な、泣いてないよ!違う!」
ウォスクの表情がさらに意地悪なものへと変わる。ここまで来れば分かると思うが、ウォスクはレヴィンをいじるのが大好きなのである。レヴィンはお世辞にも頭が良いとは言えないので、頭の切れるウォスクに毎回言い負かされているのだ。
ウォスク「ほぉー?それにしては目元が赤いようだが?」
レヴィンは焦って目を擦る
レヴィン「ち、違うもん!ちょっと目にゴミが入っただけ!」
ウォスクはクスクスと笑いながらレヴィンをからかう。
ウォスク「そうかそうか、だからディアー様に抱きついて、ディアー様の服で目を拭こうとしたわけか。不敬にも程があるんじゃないか?レヴィン、それでは他の従者達に示しがつかんなぁ」
レヴィンはとうとう言い訳が出来なくなり、怒ってポコポコとウォスクの叩き始めた。レヴィンは中遠距離戦に長けた魔法詠唱師なので、接近戦特化のウォスクにダメージが通るわけがなく、傍から見たらただの兄と妹の喧嘩のように見える。─種族が違うので似ても似つかないのだが─
ここで、ディアーは頭に浮かんだ純粋な疑問をぶつけた
ディアー「そう言えばお前ら、付き合ってるの?」
ウォスクとレヴィンはポカーンとした表情を見せたあと、大きな声でディアーに答えた
レヴィン&ウォスク「付き合ってません!!」
ディアー「お、おう」
あまりにも強く否定されたので、ディアーはたじろいでしまう
レヴィン「私はディアー様一筋ですから!」
ウォスク「私もディアー様一筋でございます!」
レヴィンは可愛い女の子だからいいが、ウォスクは男なので正直嬉しくない。そんなことを思いつつ、ディアーは話を逸らそうと頑張って話題を探す。そうしていると、レヴィンから質問が飛んできた
レヴィン「そう言えば、先程まで何をしておられたのですか?」
ディアーは話が逸れたことを喜びつつ質問に答えた。
ディアー「あぁ、ちょっと現地の人と戦ってきた!」
数秒の静寂の後、2人が大声で叫ぶ
レヴィン「はぁぁぁぁぁぁ?!」
ウォスク「えぇぇぇぇぇぇ?!」
ディアー「えっ?どうしたの?」
想像より大きな反応に困っているとレヴィンがまくし立ててきた。
レヴィン「いや、王国殲滅のことについては知ってましたけど、軽い補助をする程度って言ってませんでした?!戦うなんて聞いてませんよ!?」
ディアー「あぁ、ごめ」
レヴィン「ごめんじゃありませんよ!」
それから、レヴィンとウォスク─主にレヴィンから─からめちゃくちゃに叱られたことは言うまでもない
今回は息抜きのつもりで書いたんですけど、2本立てにしたせいで本編1本あげるより労力がかかってしまうと言う、まさに本末転倒なことをしてしまいました。マジで疲れた((ボソッ
次回は本編を上げるつもりです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!