王国城内では、青の薔薇とラナー王女、そして付き人としてブレイン・アングラウスとクライムが同席した上で茶会を開いていた。
ブレインがティーポットとカップを持って部屋に入ると、三文芝居のような声が聞こえてきた。
青の薔薇の面々が何か画策しているようだ。
イビルアイ「あぁ、私は茶が飲みたい。どうしようもなく喉が渇いているんだ。なぁ、お前だってそう思わないか?ガガーラン」
ガガーラン「おう。そりゃもうガブガブ飲みたいね。2Lは飲みたいかな。おっ!色男、茶は2L用意しているか?」
ガガーランがこちらに気づき、声をかけてきた。
色男とはどうやらブレインのことを言っているようだ。
当然のごとく、2Lなんて量は用意しておらず、ティーポットの中身を全て飲ませても2Lには到底足りない。
ブレイン「悪いが、2Lなんて量は用意していないな」
ラキュース「えぇ?!ちょ、ちょっと!みんなお茶飲みたいの?」
ラキュースは普段お茶なんてなかなか飲まない仲間達が、お茶を飲みたそうにしているのに困惑している様子だった。
ティア「ブレイン・アングラウス、私達も手伝う。キッチンへ案内して」
双子の2人がティーポットを持ってそそくさと行ってしまったので、ブレインは渋々キッチンへ案内した。
キッチンへと到着し、茶葉の場所を教えてやると2人はお湯を準備し、お茶を作り始めた。
しかし、その作り方はとても丁寧とは言えなかった。いや、と言うより雑すぎる。お湯を準備したかと思えば、量も計らず茶葉の袋に手を突っ込み、お湯の中に茶葉を乱雑に投げ入れた。
ブレイン「お、おい。そんなんでいいのか?」
ブレインはあまりの雑な作り方に思わず質問するとティナは表情を変えずに言った。
ティナ「味は濃ければ濃いほどいい。分かりずらくなる」
ブレイン「なんだ?毒でも盛るつもりか?」
ティナ「うん」
ブレインは思わず吹き出した。冗談で聞いたはずだったのに思わぬ回答が帰ってきたのだ。動揺せずにはいられない。
こいつは何を言っているのだろうか、ラナー王女だけでなく、仲間も巻き込むことになるんだぞ。
そんなことを考えるブレインなんて気にも止めず淡々と作業をこなす2人を見て、ブレインは正気を取り戻し2人に尋ねる。
ブレイン「おいおい。なんの意図があるか知らないが、姫様も口にするかもしれないお茶なんだぞ。毒なんて入れるな」
ティア「安心しろ。ボスに飲ませるだけ」
ブレインはますます意味がわからなくなる。なぜ仲間に毒を盛るのか。
ブレイン「なんでまた毒なんて盛るんだ?仲間なんだろ?」
ティナ「仲間だからだよ」
ブレインは全く意図は理解できなかったが、2人の眼差しを見て、殺しをしようとしているようには見えなかった。
きっと、ブレインには分からない理由があるのだろう。
ブレインは今まで復讐や、憎悪に塗れた人間を多く見てきた。そういった連中の目は腐っている。しかし、この2人の目はそうは見えない。むしろ、何かを助けたがっているような眼差しだった。
ブレインは自分が首を突っ込んでいい話では無いと察し、それ以上の詮索はしなかった。
キッチンから戻ると2人は早速お茶をラキュースの前に出してみせた。
お茶の匂いを嗅いだラキュースが顔をしかめる。キッチンで嗅いではいたが、やはり酷い匂いらしい。
ティア「ボス、私が初めて淹れたお茶、喉ごし最高、一気に飲むといい感じ」
そう言われるとラキュースは飲みたくないなど言えるわけもなく、渋々ながらお茶を飲んだ。
ティア「どう?美味しい?」
ラキュース「うっ…とても一気には…無理かしら?」
そう言った次の瞬間、ラキュース悶え始めた。
ラキュースが苦しみ出したのを見ると双子のうち1人が背中に何かを突き刺し、ガガーランが上から頭を叩き潰すかのように殴る。そしてイビルアイがなにか魔法をかけたかと思うとラキュースは急に大人しくなり、目が据わっていた。
ラナー「怖いですね…」
クライム「皆様?!一体これは…」
クライムがラナーを庇うようにして前に出る。
イビルアイ「こいつの事だ。どうせ魔導王とやり合うつもりだっただろうからな。無理矢理にでも連れていくことにしたんだ」
イビルアイが説明をするとクライムは少し安堵して、肩の力を抜く。
その後、イビルアイから一緒来るか と問われたが丁重に断ると青の薔薇は転移の魔法でどこかへと行ってしまった。
そして、ブレインも自分のやるべきことをやるため、クライムに剣を投げ渡す。
ブレイン「俺も、好きにさせてもらうぜ。構わないよな?姫様」
ラナー「えぇ、こんな状況ですから。引き止める理由もありません」
そしてブレインは城を後にした。部屋を出る前、クライムが何か言いたげだったが、言葉を交わす必要は無いと思い何も言わず魔導国軍の方へと歩き始める。
魔導王を刺し違えてでも殺すつもりだった、奴が現れるまでは。
自分の向かう先から冷たい空気が流れ込んで来るのが分かった。何かと思い顔を上げると前から、鎧のような外骨格を持つ虫のような怪物が白い女達を連れて歩いていた。
昔、ガゼフと2人で歩いた大通りを我が物顔で怪物が闊歩していたのだ。
ブレインは自分の内から煮えたぎる物を感じ、それと同時につい先程まで魔導王に向けていた敵意は目の前の怪物へと移り変わっていた。
ブレイン「あいつを…打つ!!!」
前言撤回、ディアーVSリク・アガネイア戦はバチバチに始まりませんでした。すみません。次回こそ!次回こそはバチバチに始めるので許してください!