ランポッサとラナーは共に玉座の間まで肩を並べて歩いていた。
最後の時まで共にいるために。親として、最後くらい娘に安心させられるように。手を握って歩いていた。
しかし、玉座の間への扉についたランポッサとラナーが目にしたのはいつもの風景ではなかった。
玉座の間へと続く入口には異国風の白い服と凍えてしまいそうな冷気をまとった女性が並んでいた
雪を思わせる純白を肌を持ち、触れれば溶けてしまいそうな、淡くそれでいて冷たい目を持つ、人ならざる者
誰が連れてきたのか。そんなこと、聞かなくとも分かる。
コキュートスの眷属「入れ。元王とその娘よ」
ランポッサとラナーは言われるがまま、玉座の間へと入ってた。
そして、中で待ち構えていたのは言うまでもない。
アインズ「あぁ、すまない。私は貴様に会いに来たのだが、玉座にいなかったのでな。少し待たせてもらった」
死が待ち構えていたのだ。
───
ランポッサ「いったい…どうやって」
それを聞くと魔導王は指を顎に添え、答えた。
アインズ「ふむ…答えても良いが、それを貴様が今聞いたとして意味があるのかね?」
ランポッサは数秒の後、魔導王を見て答える
ランポッサ「…そうだな。答える必要は無い。そして、貴殿の求めるものも、ここには無い」
アインズ「ふむ、果たして本当にそうかね?」
ランボッサはラナーを庇うように前に立つ。
ランポッサ「ああ、事実だ。王家に伝わる品々はこの国のどこかに───」
アインズ「あぁ、それは良い」
ランポッサは思わぬ反応にたじろぐ。
ランポッサの想定ではどこに隠したのか、尋問でも受けるかと思ったが、現実は違った。
全く興味を示していない。
玉座にて座して待ち、王をわざわざ待っていた者が王家の品々を取りに来る以外の目的とは?
ランポッサが思考を深くまで巡らせる前に、魔導王が続けた。
アインズ「そんなものは後でいくらでも探せる。ここに来た目的は、ただ1つ」
ランボッサは息を飲む。それは、魔導王に殺されるかもしれないと思い、恐怖したでは無い。
魔導王に殺されること以上の恐怖。
言葉に出来ない、異様な悪寒を感じたからだ。
そして、永遠とも思えたほんの数秒の静寂の後、魔導王はランポッサの後ろへ指を指してこういった。
アインズ「貴様に、最後の演目に付き合ってもらうためだ」
ランボッサは後ろを振り向く。
ランボッサは戦慄した。ランボッサの後ろにいたのは、確かに娘であったはずだ。そう思っていた。
だが、違った。
娘だと思って庇っていたのは、娘では無かった。
ランボッサの後ろにいたのは娘では無く「娘の形をした悪魔」だった。